5-4.SYMPOSIUM
「皆様、今宵は素敵な一夜となりますよう、宴を存分に楽しんで下さい。それでは」
大神は紳士的な礼をし、ログハウスを出て行った。すると、平原だった景色が一変、猛吹雪になっている。緑の景色が一瞬で真っ白な銀世界へと変わった。
ボーン ボーン
柱時計が0時を示し鐘が鳴った。時計の盤を見ると、本来7が描かれている場所が空白になっている。
「ねぇイッキ。この時計、数字の7が無いよ。もしかして失われた7ってこれの事じゃ」
『あぁ、そうかも。でもまだそれだけで決めるのは早計だと思う』
ポォォン ポォォン ロォォーーーン
何やら低音の心地よい音色が聞こえてきた。
「どう?なかなか上手でしょ。せっかくなら楽しまないとね。」
音楽家のお姉さんがチェロを弾き始めた。みんな心地よく聞いている。
「とても良いですね。それならば私は何か作りましょうかね」
シェフの役割であるサラリーマン風の男がキッチンへ向かう。
ドンドンドン ドン ドドン
チェロの演奏に合わせて鍛冶屋がリズムを刻む。
ドン パッ ドンドンド パッ
残りの人たちは、ストンプやクラップでリズムを取る。みんな楽しそうで、まさに宴の始まりだった。
20分ほど演奏は続いた。
「できましたよー」
シェフが料理を作ってダイニングテーブルに並べてくれた。
「おぉー、これは美味しそう」
ヅカを皮切りに、他の人たちもテーブルを囲んだ。
「やるでござるな。さすがシェフ」
侍の格好をした占い師も唸る。
「いえいえ、ただの男飯ですよ。見た目はともかく、味は保証します」
テーブルには、ポテトやチャーハン、酢豚にスパゲティと他にもたくさんバラエティ豊富なメニューとなっている。そしてどれも美味しそうだ。
『いただきます!』
特にお腹は減っていないが、さすがに目の前に料理が並んでいれば食べたくなる。
「うわ、これ美味しい。僕、ポテト大好き」
「本当に美味しいわね。」
「年寄りにはちと油物はツライが、この焼飯は美味しいのぅ」
みんな美味しそうに食べている。そんな中、
ボーン ボーン
柱時計を見ると1時になっていた。
「わーーー!」「うおー!」「ぬおー!」「なんじゃ!」「なんだこれは」「えー!」
一同が驚いた。
『え、どういう事…』
今までご飯を食べていた音楽家が全身氷づけになっている。
「え…お姉さん?」
パシャーン!!
「え!えぇーーーー!!!」
ヅカが音楽家に触れた瞬間、脆く粉々に崩れ散った。今までそこに居たはずの人が一瞬で消えてしまった。
「なんて事じゃ。祟りじゃ祟りじゃ」
「待てよ婆さん。祟りなんてもんじゃねーだろこれ」
鍛冶屋の男が冷静に言う。
『鍛冶屋の言うとおり。多分、あの大神ってやつの仕業だろう』
これは魔法なのか?カードのスキルと考えるのが自然だが、クエストのNPCがスキルを使えたりするのだろうか。もしくはこの中にスキルを使うものがいるのか。
『ヅカ、音楽家は何を食べていた?』
「何か食べてるところは見てないね。ずっとワインを飲んでた気がする」
なるほど。食べ物に何かあると思ったが、飲み物に細工をされていた可能性もあるな。




