4-7.休息
「これからどうする?」
「どっか街でもあったらええけど」
「ここから北へずーーっと行くと、ものすっっっごく大きな商業都市があるよーー」
『あてもないし行ってみるか』
俺たちは北へ向かう事にした。アジトは見る影もない。今までここで戦っていたのが嘘のようだ。
「ところでさ、サナちゃんはなんでユウトに捕まってたの?」
「そやそや、あのスキルでなんとかならへんかったんか」
サナは面倒そうな顔をして話だした。
「んーー、最初はセフィラムで誘われてパーティーに入ったのーー。それで3人になったんだけど、色々あって今回みたいに円卓のバトルになったのーー」
色々って… だいぶ省略したな…
「それで一緒になった人たちはすぐに脱落して、結局サナが最後のターンまで頑張ったんだけど、ユウトと引き分けになっちゃったーー。それでゲームが終わったら、一緒のパーティー2人は魔法陣に吸い込まれていっちゃったーー」
『なんだって?魔法陣に吸い込まれるってどういう事だ?』
「知らない?普通はバトルに負けたら魔法陣が出てきて近くの街に飛ばされるんだよーー。そして手持ちのカードは1枚だけになって、それまで持ってた他のカードは無くなっちゃうーー」
『それってプレイヤー同士のバトルじゃなくてもか?』
「んーー、詳しいことはわからないけど、実際に2人はいなくなったから、きっとそうなんじゃないーー?」
プレイヤー以外にも負けられないとなれば、迂闊にバトルできないな。
「そんなアホな。俺はプレイヤーにやられて1枚になったけど、NPC相手でも同じ事になるんかいな」
「それからサナちゃんはどうなったの?」
「うんーー。結局引き分けで終わったから、ユウトが仲間になれって言ってきたのーー。断るなら今度は別のゲームで決着つけるってーー。もうサナは疲れてたから、適当に仲間になるよーーって返事しちゃったのーー」
なんて軽いノリなんだ。それなのにあんなに塞ぎ込んでいたなんて。
「兄妹の設定はそこから?」
ハジメが問う。
「違うよーー。最初は普通に仲間って感じだったけど、なんかユウトがお兄ちゃんっぽく振る舞ってくるようになって、適当に合わせてたらこんな感じになっちゃったーー」
「ユウトも可哀想やのー。サナが妹とか俺なら無理やわ」
「何言ってるのーー!助けてあげたのにーー!」
「あっちゃん、サナちゃんには借りがあるね」
『そうだな。あの時、アツシは役に立ってなかったからな』
「ウフフフーー」
「うっさいわ。でもトドメを刺したのは俺やからな。しっかり覚えとき」
「はいはい。あっちゃんすごかったー」
「ハジメ…棒読みやぞ…」
『サナ、その後に俺たちが来たってわけか?』
「んーー、妹設定になってからは5組くらいパーティーが来たねーー。でもぜーんぜんダメ。みんなあのゲーム下手すぎてーー。今回みたいにLISTで気付いてくれないしーー」
確かにあの場面でログを確認する事もないだろう。オープンな会話は通知も来ない。ハジメが気付いてくれなけりゃ、俺たちも他のパーティーと同じ末路だったかもな。
「でもーー、リックなら普通に勝ててたかもねーー」
『あぁ、多分な。でもサナの出方次第ってのはあったぞ』
「うんうん。7番の席に座るってのはルールを熟知してないと難しいよね」
「でも、なんでユウトは9番の席やったんや?」
「それはねーー、仲間が9人居るからって言ってたーー。それ以外の理由はないみたいーー」
『仲間想いってわけか』
「あいつそーゆーのちょいちょい出してくんのー。意外といい奴やったんかいな」
「そうだね。ファミリーって感じだったしね」
ハジメとアツシがうんうんと頷いてる。
『それで結局、助けてくれそうな人が来るまで待ってたって事か?』
「そうねーー。逃げ出せる雰囲気でもなかったし、ご飯とかはちゃんと出してくれたし、少しアジトにいたら何か情報わかるかもしれないしーーって感じで一緒にいたーー。まー、ここはお腹減ったりしないけどねーー」
「!!!!」「!!!!」
「ほんとだ。そういえば僕ずっと何も食べてないや」
「ほんまや。俺もなーんも食べてへん」
『ゲームだからな…』
2人は大発明でも成功したかのように、目を丸くして驚いている。
「そういえば、寝てないよね」
「寝とらんな」
『ゲームだからな…』
この世界はスタミナ等もなく、空腹ゲージもない。
「なぁハジメ…」
「何?あっちゃん…」
「もしかして、便所も行かんでええんとちゃう?」
「あっちゃん…」
「もう2人ともーー。女の子もいるんだからねーー」
『それよりも、あとどのくらいだ?』
「まだまだーー。もっともっと向こうだよーー」
俺たちはひたすらに北へ歩く。




