3-7.アジト
「ようこそ。俺たちのアジトへ」
俺に銃を向けていた少年が、中央にある玉座に座る。
「おかえり…お兄ちゃん…」
まだ幼さの残るあどけない少女は、あの少年の妹か。今にも消えそうな細い声。
「俺はユウト。このアジトを仕切ってる。お前達は今から俺たちとゲームをする」
玉座に座る少年ユウト。どこかで見たことのある光景だ。
「ガキとゲームしてる暇なんかないんやで」
アツシの言う通りとも思いながらも、何かが引っ掛かる。他にあと7人子どもはいるが、一言も喋らない。もしかしてNPCなのか?
「黙れ。お前達は強制的にゲームに参加するんだよ。このアジトに入ったからにはもう出られないんだからさ」
ガン!ガン!ガン!ガン!
前後左右が分厚い鉄の壁に覆われた。
「何これ。どうなってるの!」
ハジメが動揺している。天井は塞がれていないが、登れる高さではない。
ガガガガガガガガガ!!!!
地面が開き、円卓が迫り上がってくる。
「なんやなんや!!」
『とんでもない設備だな』
俺は思わず見惚れてしまった。鉄の壁に覆われた真ん中に、中西風の円卓が出てきた。円卓の周りには椅子があり、座る場所は13席ある。
ユウトが声を張り上げる。
「さぁ!ゲーム開始だ!好きな席に座れ!」
LISTの画面が点滅している。
[クエスト:アジトの王]
「え?なんかクエストが始まってるよ」
「ほんまや。突発的に始まるクエストなんかあるんかいな」
このアジトがクエスト受注の場所ってことか。いや、俺達は連れて来られた。と言うことは、すでにクエストは始まっていたと言う事。
「まさか…」
俺は気付いた。やはりユウトはセフィラム城にいた子どもの王様だ。
「ようやく気付いたようだな。そう、お前はセフィラム城に足を踏み入れた時点で、このゲームに参加する運命だったんだよ」
なるほど。城に入るとクエスト受注って事か。でも、それならハジメとアツシはどうなる?
「俺は城なんか入ってへんぞ」
「僕もセフィラム城には入ってないよ」
そのはずだ。俺はスキルで入れただけで、この2人はそもそも入れない。
「お前達2人は地下の牢獄に入っていたな」
ユウトは牢獄の話を出してきた。確かに、ハジメはどうして牢にいたのか。
「僕は入ってたけど、あっちゃんは違うよ」
そうだ。アツシは連れてこられたと言っていた。
『アツシ。LIST見せてくれ』
「あー、あるわあるわ。アジトの王ってクエストが表示されとる」
「ほんとだ。僕もクエストの欄にアジトの王って書いてる」
まー、どこで受けたにせよ今はやるしかないか。念の為、ユウトに聞いた。
『このクエストをキャンセルしたらどうなるんだ?』
「何を今更。受注したクエストは絶対だ」
確かに。LISTを見る限りキャンセルする項目は無い。




