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RATE  作者: 恵 奏香
2章
17/19

2-7.ALICE

『何だこの人の多さは。セフィラムとは桁違いに活気があるな』


街へ入ると人が溢れかえっていた。まずは街の散策からだ。


「お兄さんたち、ちょっと寄っていかない?」


怪しげな店が立ち並んでいて、そのいずれにも客引きがいる。


「さっきから何人目だよ・・・」


まったくだ。はじめは断っていたが、無視したほうがいいと判断した。


30分ほど歩いてきたが、景色は一向に変わらない。


「イッキ、あそこに地図みたいなのがある」


ひとまず地図のある場所へ移動した。今いる場所は【アリス東】。


「アリス広場に店が沢山あるみたいだね」


しかしゴールドを持っていない。トレードするにも持っているカードの価値もわからない。


「やっぱりモンスター倒して稼ぐしかないかぁ。ん?これはなんだろう」


ヅカは地図の横にある張り紙を差した。


『新装開店!集いし強豪!北のコロシアムにてイベント開催中!賞金、レアカード有!』


父親がいつも見ていたパチンコ屋のチラシそっくりだ。


「イベントで賞金とかレアカードあるんだってよ」ヅカは相変わらず何にでも興味深々。


『でもさ、コロシアムって怪しくないか?どうせバトルだろ?』


俺は正直、気が乗らない。バトルはリスクが高いことと、プレイヤー相手だとあまりいい気はしない。しかしレアカードなら現実に戻れるカードという可能性もあるか…


ヅカが見るだけでも行ってみようというので、コロシアムへ向かった。


「コロシアムってどんな所だろう?やっぱり俺らは弱いのかな?」


確かに今の手持ちカードでどのくらい戦えるのかわからない。


『初心者だから弱いんじゃないか?カードもほぼノーマルだし』


「それって出てもすぐ負けるパターンだなぁ」


確かにそうかもしれない。しかし、どんなカードが景品かは気になる。RATEからの脱出できるカードという可能性もある。


「現実に戻るためのカードとかだったら、参加者の人数すごいことになりそう」


確かにそうだ。レアカードというだけでもかなりの人数が参加すると予測できる。


「あれ?もしかしてここ?」


...なんだこの拍子抜けした感じは。


「これってゲーセンじゃね?」


ヅカが言うまでもなく、ただのゲームセンターだ。名前は「コロシアム」。


グラディエーターが闘うような場所を創造していたが、まさかのゲーセンだとは。非現実世界なはずが、一気に現実味を帯びた。


『ひとまず入ろう』「そうだね」


中に入るとすぐに受付カウンターがあり、受付嬢がいる。

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