2-7.ALICE
『何だこの人の多さは。セフィラムとは桁違いに活気があるな』
街へ入ると人が溢れかえっていた。まずは街の散策からだ。
「お兄さんたち、ちょっと寄っていかない?」
怪しげな店が立ち並んでいて、そのいずれにも客引きがいる。
「さっきから何人目だよ・・・」
まったくだ。はじめは断っていたが、無視したほうがいいと判断した。
30分ほど歩いてきたが、景色は一向に変わらない。
「イッキ、あそこに地図みたいなのがある」
ひとまず地図のある場所へ移動した。今いる場所は【アリス東】。
「アリス広場に店が沢山あるみたいだね」
しかしゴールドを持っていない。トレードするにも持っているカードの価値もわからない。
「やっぱりモンスター倒して稼ぐしかないかぁ。ん?これはなんだろう」
ヅカは地図の横にある張り紙を差した。
『新装開店!集いし強豪!北のコロシアムにてイベント開催中!賞金、レアカード有!』
父親がいつも見ていたパチンコ屋のチラシそっくりだ。
「イベントで賞金とかレアカードあるんだってよ」ヅカは相変わらず何にでも興味深々。
『でもさ、コロシアムって怪しくないか?どうせバトルだろ?』
俺は正直、気が乗らない。バトルはリスクが高いことと、プレイヤー相手だとあまりいい気はしない。しかしレアカードなら現実に戻れるカードという可能性もあるか…
ヅカが見るだけでも行ってみようというので、コロシアムへ向かった。
「コロシアムってどんな所だろう?やっぱり俺らは弱いのかな?」
確かに今の手持ちカードでどのくらい戦えるのかわからない。
『初心者だから弱いんじゃないか?カードもほぼノーマルだし』
「それって出てもすぐ負けるパターンだなぁ」
確かにそうかもしれない。しかし、どんなカードが景品かは気になる。RATEからの脱出できるカードという可能性もある。
「現実に戻るためのカードとかだったら、参加者の人数すごいことになりそう」
確かにそうだ。レアカードというだけでもかなりの人数が参加すると予測できる。
「あれ?もしかしてここ?」
...なんだこの拍子抜けした感じは。
「これってゲーセンじゃね?」
ヅカが言うまでもなく、ただのゲームセンターだ。名前は「コロシアム」。
グラディエーターが闘うような場所を創造していたが、まさかのゲーセンだとは。非現実世界なはずが、一気に現実味を帯びた。
『ひとまず入ろう』「そうだね」
中に入るとすぐに受付カウンターがあり、受付嬢がいる。




