2-2.LIST
『やっぱりか…』
思わずため息が出た。
そこにはリーナそっくりの女性が居たからだ。違う所と言えば、他にも数人いることだ。
おそらくリーナに話しかけると4つの選択肢から選ぶことになるのだろう。
という事は、俺とヅカで残りの「1.ワールドについて」「3.パーティーについて」を聞けば、4つすべて説明を受けた事になるな。
さっそく話しかける。
「いらっしゃい。RATE-ON-LINEへようこそ!初心者さんね。私はリーナっていうの。これは私からのプレゼント!」
小さな液晶画面と4つのボタンがついたリストバンドを貰った。
そしてリーナは続ける。
「これはLISTと言って、液晶部分にはその時々のメッセージが流れるの。それと、4つのボタンがあって左から【カード】【パーティー】【バトル】【ログ】となってるわ」
展開が急すぎて戸惑う。
まずわかった事、それはこの世界が【RATE-ON-LINE】だという事。ほぼ確信していた為、それほど驚きはしなかったが、何とも言い難い不安にかられた。
なおもリーナは続ける。
「まず【カード】から。このボタンを押せば所有しているカードのメニューが表示されて、「カード化」「データ化」を実行できるの。ちなみに所有しているカードはすべてLISTで管理されるから、カードを直接持つ場合はカード化、LISTに戻すときはデータ化を選択してね。バトル等で獲得したカードは、入手時にデータ化されるから安心よ」
「次は【パーティー】と【バトル】についてね。パーティーは仲間にしたい対象にLISTを向けてボタンを押す。相手が承認した時点でパーティーメンバーに参加。バトルも同じく対象にLISTを向けてボタンを押すだけよ。ただ違うのは、相手の承認は必要が無いわ。バトルを仕掛けた時点でお互いが攻撃を与えられる状態になるの。反対にバトル申請していない相手に攻撃は当たらないわ。自分がバトルを申請していなくても、相手からされている場合もあるからその辺りは注意が必要ね。ただし、プレイヤーに限っての事だから、敵モンスターは申請無しでバトル可能よ」
「最後に【ログ】。これはダメージを受けた場合や、アイテム獲得時、その他イベント時に流れたメッセージを遡って確認することができるの。単純に記録を確認する機能って事ね」
「LISTは以上4つのボタンと液晶画面で構成されてるわ。うまく使いこなしてね!」
そういうとリーナは笑顔で手を振った。
ヅカもリーナと話をし、LISTを手に入れた。
ひとまずカードを確認してみた。
すると4枚のカードが表示された。
あれ?5枚あったはずなんだけど。
【黒服の男 アーサー】
【美容師のハサミ】
【翼竜の牙】
【右ストレート】
カードリストにあったのはこの4枚。
なぜか【モデルガン】が無くなっている。ヅカに聞いてみると、問題なく5枚表示されているらしい。
試しにログを確認した。すると…
---修斗のスキル【盗む】により【モデルガン】は盗まれた---
なんと、あの泣いていた子にカードを盗まれていた。去り際の笑顔はそういう事だったのか。
ヅカにこの事を話した。
「ほんとに?そんな事ができるなら街にいても安心できないね」
まったくだ。気の休まる場所は個室の宿屋くらいだ。
それにしてもこれからどうするか。
「パーティー組んだほうがよくない?」
ヅカからの提案。確かにそうだ。何が起こるかわからない状況で1人は危険だ。
ヅカが俺にパーティー申請をした。するとLISTの液晶画面に
[ヅカがパーティーの申請をしています(OKはパーティーボタン)(NGはログボタン)]
迷わずパーティーボタンを押した。
[ヅカとパーティーを組みました]
液晶画面にはそう表示され、俺とヅカのパーティーが結成された。
さすがにゲームの時とは違い、頭上にマークは無い。LISTの待ち受け画面には、パーティーメンバーとしてヅカの名前が表示されている。
これでバトルが少しは楽になるかな。
「ハジメを探さない?」
ヅカが突然提案した内容は、当初の目的であったハジメを探す事。状況が状況だけに、この世界にいる可能性は高い。
しかし、仮に元を見つけたとして、ここから出るにはどうすれば良いのか。
でも「Life」に体験談を書きこんでいる人もいたから、現実世界に戻ることはできるはず。
ハジメを探すこと、現実世界へ戻る方法を見つけること。
まずはこの2つを何とかしなければ…




