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プラトニック高校生  作者: 島 尚夏
第一部
2/4

二話

読んでいただけるとうれしいです。

 して、ゴールデンウィークを、俺は、有意義に、そして無駄に消化した。有意義というのは読書家として(漫画も含む)、無駄にというのは、高校生としてだ。

 平年ならば、五日あるはずのゴールデンウィークも、今年は暑さに(はや)されたのか、たったの四日ぽっちだった。だとしても、なにか、これからの人生を左右するような出会いをしたり、遅れていた勉強を取り戻すのには十分すぎる時間だ。

 人間、突如として莫大な時間を手に入れてしまうと、かりそめの全能感に襲われてしまうのは、仕方のないことだ。ゴールデンウィーク初日の俺が、まさにそれである。一応、各教科、宿題も出ていたことだし、五月末にある中間考査にむけて勉強してやろうという気概はあった。気炎をあげていたと言ってもいい。しかし、全能感を手に入れてしまっては、テキストに手が伸びることも、シャーペンを握ることもない。ただただ、ポテチを貪り、コーラを豪飲し、ゲーム、某動画サイト、読書に明け暮れる日々だった。

 問題は、初日をそのようなていたらくで終えてしまうと、そのあとも引きずるということである。ずるずると後回しにしているうちに、気づけばGW最終日の夜一〇時だった。「あしたがあるあしたがある」という有名な歌詞を鵜呑みにした自分を呪いながら、俺はコンビニへ歩いていた。これから宵越しで行われる宿題写経大会のお供に、エナドリを仕入れに来たのだ。心のどこかで、あるいは、こうなることを悟っていた気もする。

 家を出て三分ほどのコンビニで目当ての品を買い、自動ドアを出ようとした時だった。

「あれ、黒原くん」

「ん、おー、楠本」

 近くに住む、同級生とばったり出会(でくわ)した。

 楠本結衣(くすもとゆい)。バドミントン部。

 近くに住む同級生、という表現をしたが、いささか説明不足かもしれない。

 楠本は、幼馴染だ。物心ついた時には、一緒に遊んでいた。小学校の六年間は一緒に登下校して、中学二年の──途中まで。俺も楠本も部活が忙しくなって、同年代の男女が、互いを意識し合う時期に踏み込んだ。そこから、俺たちは突然かつ自然に距離を置き始めたのだ。

 別に、距離を置いたといっても、一切話さなくなったとか、絶対に鉢合わせにならないようにしているとかそんなことはない。ただ、一緒に遊ばなくなっただけ。休日に予定を合わせてゲームセンターに行かなくなったり、ファミレスで勉強会をしなくなっただけだ。

「もう宿題は終わったの?」

「んあ、全然まだまだ。楠本は?」

「私は初日に終わったよ」

 自慢げもなく言うところが、彼女らしい。

「かー。楠本は昔から、そういうとこちゃんとしてるよな」

「黒原くんは昔からそういうところ、ちゃんとしてないよね」

「でも、掃除当番はさぼったことなかったぞ」

「そんなの当たり前じゃない」

 くすり、と笑っていた。

「私今から暇だし、手伝おうか」

「いいよそんなこと。一応バフアイテムも買ったから」

 ほれ、と袋を広げてみせた。

「あ、健康に悪そうな飲み物だ」

「そんなことないさ。ちょっとカフェインが多めの清涼飲料水だよ」

「清涼飲料水自体、あんまり体によくないんだよ」

「アスリートが言うんだったら、そうなのかもな」

 楠本は、去年、つまり彼女が高校一年生の時に、インターハイに出場している。惜しくもベスト16で敗退はしてしまったものの、期待の新星としてバド業界から注目されている、らしい。

「アスリートだなんて、おだてないでよ」

「いやいや、実際もうどの三年生よりも、楠本の方が強いんだろ」

「わからない、その時のコンディションによるから」

「そっか……楠本は、何買いにきたんだ?」

「えーっと私は化粧水を買いに来たんだ。もうすぐなくなっちゃうから」

「そっか、俺そんなの使ったことないわ」

「今どき、男子も美容に気をつかってる人もいるらしいよ」

「美容とか言い出す男子ってあれだろ、量産型黒髪マッシュとかだろ大体」

「ふふ、なにそれ初めて聞いたよ、でも黒原くんも、どっちかというとマッシュ寄りじゃない?」

「俺は偽装マッシュだ」

「ふふ、それ偽装する意味ある?」

「はは……ねえな」

 俺が返事をした時、楠本の携帯から通知音が鳴った。

「お母さんだ」

「そうか、確かにもう遅いし、早く帰っちゃったほうがいいかもな」

送ってこうか、と喉まで来ていたが、それは自分に似合わない気がしてやめた。

これ以上楠本の足止めをしないように、俺は歩き始める。

「ん、じゃあ俺は帰って、宿題を退治してくるわ」

「え、黒原くん、ちょっと」

 宿題は敵じゃなくて、味方なんだから——

 そういう彼女の声。挨拶代わりに手をあげた。

 いつからだろう、お互い、苗字で呼ぶようになったのは。


 次の日。俺は死線をくぐり抜けた戦士の面持ちで、登校した。

 写経とはいえ、小中生の時のように、答えを書いてはいおわり、ではすまない。やたらと長い数学の途中式、若干書き方を変えなきゃいけない国語の記述回答、嫌がらせレベルで画数の多い日本史用語の漢字。

 これらをいかに早く写し終わるかの技術に関しては、東大生より俺の方が勝るだろう。

 そこで勝っても何にもならないけど。

 一限目から昼前の四限目までで記憶にあるのは、谷松先生に起こされて何かを質問され、「0です」と答えたら奇跡的に合っていた、数学の授業だけだ。唯一のピンチだったがことなきを得た。裏を返せば、それ以外は全て寝ていたことになる。

 四限終了のチャイムは、なぜかはっきり聞こえた。顔をゆっくり起こすと、ほっぺたに机の跡がついているのが、顔を見なくてもわかる。腕も痺れていた。

 今更ながら、自分が昼飯を持ち合わせていないことに気づく。疲れと眠気が(たた)ったのか、家の玄関にお弁当を置いてきてしまった。今日のおかずは、たしか唐揚げだったから軽くショックを受ける。めんどくさいと思いながらも、購買のパンを買いに行くことにした。

 購買は、まあわかってはいたけど、生徒でごった返していた。甘いものが好きな女子や、食堂の定食よりコスパをとって惣菜パンを買う男子が殺到している。長蛇の列とまではいかなくても、中蛇の列くらいには仕上がっていた。

 食堂で細々と箸をすすめる気には到底なれないので、仕方なく並ぶことにした。

 途端、眠気。

 午前中にあれだけ寝たと言うのに、気を抜けばすぐ意識が遠のいてしまう。どんな生物にも睡眠欲はあるという。生物の絶対的メカニズムに、俺が勝てるわけがない。

 おそらく、俺は本当に、立ったまま寝てしまっていただろう。後ろから、肩をつかまれなければ。

「ふうむ、こんな人混みの中で寝るなんて……徹夜で宿題ですかー」

「……だれ、ですか」

「こんなに可愛い声なのに、一回で覚えてないとは。不合格」

 そう言うと、声の主は親指に惜しみなく力を入れた。俺の肩甲骨は、あと少しのところでなくなるところだった。

「むぎぐぅ」

 いつしかを思い出すような、情けない悲鳴が口からでる。

「ほら、これで目が覚めた?」

「さっ、さめましたよっ、イタイイタイ」

 身を捩らせ、なんとか肩甲骨の損失から免れた。

「ごめんごめん、猫背を治してあげようと思って」

 本仮屋茉莉という名前の先輩は、やはりしたり顔で立っていた。

「おせっかい以外のなにものでもないですけど、ありがとうございます」

 でも若干、自分の背筋が伸びたのがわかる。凍りもしたけど。

「てか、なんで僕の真後ろにいるんですか」

「なんでってほら、私がまだ黒原くんの学生証もってるから。返そうと思って」

「あ!」

 眠たすぎて忘れていたけど、俺はこの人から学生証を取り返さないといけない。カラオケボックスや行きつけのうどん屋で、学割の恩恵を享受するために。

「か、返してください!僕の経済は学生証にかかってるんです!」

「まあまあ、そう焦らないの」

 どうどう、と言って、先輩は俺を宥めた。それから、自分のありとあらゆるポケットを探り始め、しばらくしてその作業を断念した。

「あれ、私、机の引き出しに置き忘れてきてしまったみたい。放課後、渡しに行くから、待っててくれない?」

「え、ま……待ちますけど。どこで待ってればいいんすか」

「君の教室」

「わかりました。これで、実は家に忘れてたっていうオチはなしですよ」

「あー。私はそんなにおっちょこちょいなキャラじゃないよ」

 キャラの問題なのだろうか。

「じゃあ、放課後待ってますから」

 結局、先輩はまた俺にメロンパンを奢ってくれた。

 ごほん。ここで一句。

 メロンパン 何回食べても おいしいよ 皮がボロボロ こぼれるけれど


 約束の放課後。

 終礼が終わって、まだクラスメイトが教室から出きっていないタイミングで、先輩はやってきた。

「おーい、黒原くん、こっち」

 廊下側の窓際で、ひょいひょいと先輩が手招きしている。

 目立つから、そういう感じはやめてほしい。

 俺は、さながら授業参観に母親が来た時のような気持ちで、先輩にかけよる。

「ちょっと先輩、もうすこし控えめに生きられませんかねっ」

「全く、わざわざ足を運んできたって言うのに、ツッコミのスケールがおっきいなぁ」

「……いいですから。で、学生証は」

「あ、そのことなんだけど。ちょっと私についてきて」

「昼休みに、おっちょこちょいがどうとか言ってましたよねあなた」

「大丈夫。ほんとに返すから」

 言ったが早いか先輩は、スタスタ歩き出した。

「ちょ、ま、待ってくださいよ!」

 追いかける俺の一挙手一投足に、モブキャラ感が拭えない。

 なんなら、もう板についている気もする。

 先輩は、後ろから見れば普通に歩いているだけだが、速度は俺の小走りと遜色なかった。


「はあっ、はぁ」

 息が切れるほど、歩かされた。小走らされた。

 着いた場所は、校舎を出て少し歩いたところにある、文化部部室棟の一室。

「なんですか、ここ」

「文芸部、いや文藝部の部室だよ」

「漢字を難しくしても、読みは一緒なんですけどね」

「黒原くんなら勘づいてくれると思って」

「僕のことを当てにしすぎです」

「にしてもどうしたの、めちゃくちゃしんどそうだけど」

「それは先輩の早歩きがめちゃくちゃ速いせいじゃないですか」

「責任転嫁だね」

「どうしてだろう、僕は責任転嫁って熟語、どうしても嫌いになれないんですよね」

 嫁、という言葉が入ってるからだろうか。

「やりなれているからだろうね」

「……」

「冗談だよ」

「先輩は冗談が好きなんですね」

 部屋をぐるりと見渡した。

 部屋を囲むように設置された本棚に、歴史を感じる背表紙の本とありきたりな文庫本が合わせて百冊ほど、自由気ままに立てられている。

 部屋の真ん中には、これぞ文芸部って感じの長机。年季が入っていて、ところどころに何故ついたのかわからない傷がある。

 そして、家具好きなら全員が虜になるであろう、シンプルイズベストなデザインの木製の椅子が三つ。ころころと佇んでいる。

 大きな窓からは学校の自然も眺められ、風情を感じるにはもってこいの場所だった。

 雰囲気は一級品。

「なんですか、この最高におしゃれなで居心地の良さそうな空間は」

「でしょ。今日まで私が独り占めにしていたところだよ」

「え、先輩って文芸部だったんですか」

「そうだよ、表彰された作文も、ここで書いたりしてたんだ」

「へぇ……一人でですか」

「まあそうだね、文芸部の部員は、今、私一人」

 一昔前(ひとむかしまえ)は、我が誠真学園にも「月刊文藝部」なんて雑誌があったらしく、文藝部員たちが切磋琢磨し、獅子奮迅の勢いで毎月文章をしたためていたらしい。でもここ数年は、そういった活動もなくなり、本仮屋先輩が部室で一人、本を読んで作文を書いている。

 孤高の文学女子、本仮屋茉莉。少しかっこいい。

 ただ、文芸部の活動が下火(したび)になっているのは、なにもこの学校だけの話ではない気もする。まともな文芸部がある高校は、かなりめずらしいのではないだろうか。

 読書好きの俺からすれば、未来の作家が減ってしまうのはとても悲しいことだ。

「それでも楽しくやってるんだけどね。どう、黒原くん。君もここで本を読むというのは」

「ここでですか?」

「うん……いや?」

「嫌じゃないですけど……逆に先輩はいいんですか」

「私はいいよ。ちょうど、一人で退屈だと思ってたところだし」

「うーん」

「それに一応、部活が成立するためには、二人の部員が必要なの」

「え」

「今は顧問の先生に特別にお願いして一人は入部予定ってことにしてもらってるんけど。ほら、黒原くんが入ってくれれば、文芸部は胸を張って社会に羽ばたける」

「いや……学校も社会みたいなとこありますけど……おおげさです」

「それぐらい私にとっては重要なの。人助けだと思って、ここは一つ、わがままを聞いてくれない?」

 先輩はこれまで、たくさんの男子たちにいろんなお願いをしてきたのだろう。そして承諾させてきたのだろう。

 そう思わせるような、完璧な上目遣いだった。

「……わかりました、入りますよ、もう」

「やったー」

 先輩はばんざいをした。脇が見えそうになったので音速で目を逸らした。

 結局、先輩の手のひらの上で転がされている気がするんだよなぁ。気がするというか絶対にそうなんだよなぁ。何か被害を(こうむ)るわけじゃないからいいけど。

「というか、ここで勉強はしないんですか」

「あー勉強ね。まあ、最近はちょくちょくしてるよ」

「やっと危機感持ったんですね」

「うーん、それでいうと、危機感は特にないよ。私が行きたい大学は、そこまで偏差値が高くないから。でも、全国の同世代と、対等に勝負できるっていうのは少し楽しみかな」

「戦闘民族かなにかですかあなたは……」

受験勉強なんて、必要ないならひとつもやりたくない。それをこうもポジティブに捉えられるのは、素直に尊敬する。

「前にもちょろっと言ったけど、なにか勉強で質問があったら教えてあげる」

「それはまあ……ありがたいですけど」

(ただ)し、教科は現代文に限る」

「あんまし意味ないよそれ!」

「はは、冗談冗談、全教科、七割方はわかってるから、一学年下の内容なら余裕だよ」

「じゃ、少しは頼りにしてますから」

「そうしたまえー。ああ、そうだそうだ」

 先輩はなにやらごそごそと鞄から取り出した。

「忘れないうちに、学生証返すね」

「あ、どうも」

 テレレレテッテッテー。

 テッセンは《がくせいしょう》をとりもどした!

「ま、結論私ができるお返しは、この快適な空間の提供と、勉強を教えることぐらいかな」

「先輩って、そんな恩に報いるタイプでしたっけ……」

「黒原くんが私のことをどう思っているか気になるなぁ。まあいいや。読書だ、読書の時間だよ、黒原くん」

 先輩は、急に本が読みたくなったらしく、俺との会話もそこそこに本を読み始めた。

 いつものカフェオレを飲みながら。

 いや……勉強は……?

 疑念を抱きつつも、先輩につづいて俺も本を読もうとしたのだが、思い出したように眠気が襲ってきた。この部屋、居心地が良すぎる。読むはずの本を枕にして、俺はいつのまにか深く眠っていた。


「ねえねえ、黒原くん、おきておきて」

「……は、はい、はいはいどうしましたか」

 ねぼけまなこで声の方を向くと、スクールバッグを持っている先輩がいた。

 どうしたのだろう、もう帰るのだろうか。

 最終下校時刻までまだ一時間ほどあるというのに。

「本当によく寝るね。じゃあ私、帰るから」

「あー、わっかりました」

「ま、暇だったら明日もおいでよ、またらいせ」

「また……らいせ」

「うん」

 鍵だけ返しておいてね。

 そう言い残して、先輩は出て行った。

 まじないのような別れの挨拶について、質問するのもままならなかった。

 結局俺は、最終下校のチャイムがなるまで、もう一度惰眠を貪った。

 

 そして帰ると、今度は目がガン開く。昼夜逆転生活のスタート!もちろん不本意。

 わざと長風呂をしても、まったく眠くならなかったので、逆に眠くなるまで起きていることにした。逆転の発想、俺、天才。

 一〇時近くになっても全く眠くならないので、暇つぶしも兼ねて、昨日と同じくコンビニに出かけた。今日はなんだろう、ポテチでも食おうかな。

 そういえば小学生の頃は、ポテチなんか好きじゃなくて、グミとかゼリーとかばっか食ってたけど、味覚って変わるもんなんだな。そうめんの薬味も、ねぎじゃなくてみょうがをチョイスするようになったし。

「あれ、楠本じゃん」

 瑣末(さまつ)なことを考えていると、また楠本にあった。今日はランニングらしい。ジャージを着ている。

「黒原くん、昨日ぶりだね」

「そうだな。楠本、こんな遅い時間に走ってるのかよ」

「まあ、こうでもしないと強豪校には勝てないから」

「真面目だなぁ。ストイックだなぁ」

「意味の似た熟語二つで褒めてくれてありがとう」

「俺なんて、ずっとだらだらしてるだけ」

「でも、黒原くんは本、読んでるじゃん。すごいとおもう」

 本——教室で読んでいるところを、見られていたのか。

「あんなの、ただの趣味だよ」

「ええ、うらやましいな。私、趣味ないもの」

 だとしたら、彼女にとってバドミントンとはなんなのだろうか。生きがい、生活、命。

「バドミントンは趣味じゃないのかよ」

「バドミントンはね——恋人、かな」

「こいびと、か」

 恋されたバドミントンも、きっとまんざらではないんだろうな。楠本も時々、おもしろいことを言う。

「やだな私、変なこと言っちゃったかも」

「別に、いいんじゃないか。それぐらい大事ってことじゃん」

「そ、そうだね。ほんとに大事……」

 楠本は、靴のつまさきをトントンッっと地面に当てた。

「将来はオリンピックとかに出てたりするかもな」

「ふふ、もしそうなったら、応援しにきてね」

「おう、まかせとけ」

 観客席で、汗をかきながら大声を上げる自分を想像した。

「まあ、あんま遅くなると昨日みたいにお母さん心配するだろうから、いいあんばいで家に帰りなよ」

「うん。もう少ししたら、帰る」

「そうか、また明日」

「うん、また明日——」

 楠本はタッタッと走っていく。あのペースで走ったら、俺は早々にバテるかもしれない。最近、チャリ通以外の運動なんて全くしてないし。

 コンソメではなく、なんとなくのりしおを買って、俺はアニメ鑑賞の夜をすごした。


  *


ここまで読んでくださってありがとうございます。

これで第一部の半分くらいです。

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