第十章 向けられた目 九話
しかし、カズイは気にする事なく、脳裏で思考を回す。
「真面かどうかは今までの言動を鑑みても真面とは言えないのは確かだ。だが、私生活ではそれが無いようにも思える。言わば私生活が人の本意の根幹ともいえる。もしかしたら、ダージュ先生が仮に何かを秘密にしていたとしても、それは根幹の事も踏まえると、意外と言えない秘密ではないのかもしれないな」
カズイの推測に、ネムイは一度冷静になって、もう一度周囲をよく観察して、カズイの言葉と今までのダージュの言動を比較し、照らし合わせる。
しかし、どれだけ考えても、ダージュを殺したい、その憎しみが強く浮き彫りになってしまい、考えるどころではなくなり、大きな溜息を吐いて、頭を抱え、俯いてしまう。
そんなネムイを見て、ライアが背中を優しく摩り、引き続き、捜査する事にした。
ネムイも少し落ち着き、気持ちを切り替えようと努力する。
だからこそ自分は推測や憶測をする側に回らず、ただ気になる点を見つけ、その材料を仲間に提供し、冷静な仲間に考えてもらおうと、今はそう思い留まり行動に移す。
隈なく調べてみたがこれと言ったものが無かった。
だが誰も諦めかけたりしなかった。
またとないチャンスを物にするため、時間が許される限り調べていく。
「そう言えば、あそこはまだ調べてないわね」
ネムイがぼそりと呟く様に言うと、デスクをじっと見て近付いていく。
「そこならさっき調べたけど、特に何もなかったぞ」
ネムイがデスクに近付くと、アッシュがそう告げる。
「一度だけでなく、何度も調べるべきよ。捜査の基本でしょ」
まあ、間違えていない言葉を口にするネムイに、それもそうだな、と思ったアッシュは、再び本棚を入念に調べ始めた。
「こういう時って、何か物を動かしたら隠し扉が出てくるとか鉄板だよな」
何故か少しワクワクしながら操作していたライア。
どうやら、秘密の入り口的な物に興味があるようだ。
「そうだな、だがどうにも引っかかる」
「何が?」
カズイが黙々と調べているがかなり浮かない表情だった。
それを見て、ライアが首を傾げる。
「今言ったように、隠し扉などは、それを漏洩させないためだ。だが今までのダージュ先生のやり方を見ていると、何かを隠すタイプではない。それどころか、この前のギゼン国やグイリバナ国に俺たちをゲリラ戦闘員として赴かした事も、秘密にしてない。今までも非常識な言動は世界が知った上で、ダージュ先生は世界の医療界を牛耳る事が認知され、承諾されている始末」
「つまりどう言う事だ?」
眉間に皺をよせ推理していたカズイの言葉の言っている意味が良く分からず、皺をよせカズイに聞いてみたライア。
「……いや、俺の考えすぎかもな。すまない、捜査に支障をきたす事を言って」
「あ、いや、別にいいけどさ」
腑に落ちない会話の終わりにライアはクエスチョンマークを浮かべたまま、再び捜査する。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回の投稿はここまでです。
今回の第十章、向けられた目はまだ続きますので、もうしばらくお付き合いして下さると幸いです。
次回からも是非ご一読ください。
よろしくお願いします。




