第十章 向けられた目 三話
四人は結託し、ダージュへの復讐を誓っていた。
亡き友の遺志を継ぐのはアッシュだけでなく、ライア、カズイ、ネムイもだった。
一人づつ名前が呼ばれ、四人の中ではライアが先に卒業証書を受け取りに行く。
ダージュは心にもない様な目で、ただ黙って卒業証書を渡す。
後に、ダージュに取ってこのような結果は、まだ卒業生たちの通過点に過ぎなかった。
そうこうしている内に、カズイ、アッシュと渡されていく。
等々ネムイの番が来た。
ネムイは名前を呼ばれると、軸がしっかりしている背筋で立ち上がると、壇上へ向かって行く。
息を呑む様に見守るアッシュたち。
ダージュの前に立ったネムイは、ますます怒りが込み上がってくる。
ダージュは何故かネムイだけに小声で「卒業おめでとう。お仲間の無念、晴らすなら今がチャンスかもな」と不敵な笑みで受け渡そうとする。
怒りや殺意を押し殺そうとしていたネムイが我慢の限界を超えたかのように、それが表に現れたかのように、全身の血管が浮き彫りに出る様な感覚を覚える。
両手の拳を強く握りしめ、フルフルと震わせ、俯くネムイ。
そんなネムイを見ても未だニヤニヤ笑うダージュ。
人生で一番の深呼吸をし、気持ちを落ち着かせたネムイは、駆られる気持ちを押し殺しながら、卒業証書をぶんどる様に強引に取る。
「貴方はただの犯罪者よ。医者の皮を被った獣、畜生以下の存在。トードたちにした仕打ち、絶対に償わせる」
恐ろしく低く殺意を込めた声でそうダージュに告げると、ネムイはズカズカとした足取りで檀上を、階段も使わず、飛び降りた。
会場に居る全員が目を向く。
「はあーふうーー。何とか第一関門はクリアしたな」
生きた心地がしない様な素振りを取るアッシュ。
胸を撫で下ろし、ネムイを呆れながら見る。
ネムイがアッシュたちの横に並ぶと、女王様が家訓でも忘れたかのように、ふてぶてしい態度でズドンと思いっきり尻を椅子に落とす様に雑に座る。
しかも足まで組んでいた。
その表情は、とにかくやってられない、と言った嫌気が差したかのような傲慢さが露わになっていた。
それを、やれやれ、と言った表情で見ていたライア。
カズイだけは「ふっ、芯の強いレディーだ」と鼻で笑っていた。
何とか何事もなく終わると思われた卒業式。
……だが。
「――うわあああーーーー!」
「えっ⁉」
突如、一人の男の卒業生が、卒業証書をダージュから受け取ろうとした瞬間、隠し持っていたナイフを突き刺そうとする。
壮絶な雄たけびで刺そうとしたその次の瞬間、なんとその卒業生は、不意に宙に浮かび上がり、手にしていたナイフを落とす。
「あ、ガガガガゥ」
とても苦しそうな表情で呻き声を挙げながら自分の首をかきむしる様に手足をばたつかせながら藻掻いていた。
それをダージュは見上げながら鼻で笑う。
「た、大変!」
「なんだ⁉ 何が起きてる!」
周囲はパニックになり、狼狽する。
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