第十章 向けられた目 一話
危機から脱したアッシュたち。
ダージュは帰国し、アメリカに戻ると大統領と面会し、今回の一連の経由を説明した。
しかし、グイリバナ国が世界でアメリカ国となる事も正式に決まり、ダージュはとある作戦の下準備を着々と進める。
アメリカ国、現大統領、ジョーン・グライが不敵な面持ちで大統領室の椅子で胡坐をかいていた。
「フフフフ、ダージュも馬鹿な奴だ。奴はただ自分の首を絞め続けている事に気付いていない。この前の爆破テロも、今回の国家略奪戦も、奴の独断としれば市民は怒り、発狂し、無差別にその毒牙の矛先をダージュに向ける。奴の実験結果は丸々、私の物となる。もう少しだ、奴を陥れ、奴の全てを奪い、私は完璧な超越者となる。フフフフ、アハハハハハッ!」
大統領は狂気じみながら悦に入っていた。
ジョーン・グライは、一体、ダージュの何を知って、何を考えているのか?
後のダージュとジョーンの因果関係が明らかになる日まで、その答えは出ない。
時が経ち、アッシュたちは滞在しているギゼン国から帰還命令が下る。
通達を受けたアッシュたちは、その通達の中に、自分たちが卒業できることを知る。
しかし、素直に喜べない。
ホテルに滞在していたアッシュたちは浮かない表情で支度をし、ホテルの玄関を出る。
空港に到着すると其処には、スインとダロルドの姿があった。
アッシュたちが滞在していた三か月間で傷が完治していたスインはグイリバナ国には戻らず、ギゼン国で防衛大臣の椅子に座っていた。
ダロルドは兵士や市民の投票により、ちょっとしたクーデターが起き、前のギゼン国の大統領を、その椅子から引きはがし、ダロルドを大統領にする事を強く要望していた。
ダロルドは、これからより良い国にし、他国との和平や締結を結ぶ思いで着任している。
しかし、アメリカとの関係は正直、良くない。
と言うのも、ニュースでグイリバナ国がアメリカ領土内となったと分かったダロルドたちは、ネムイのダージュとの電話のやり取りを聞いて、そこから結び合わせた結論。
それは、ダージュがグイリバナ国に単独で戦争を起こし、領土を略奪し、それをアメリカに売った。
スインと言う、素晴らしい指導者がいる母国を滅ぼし売り飛ばすなど、看過できる事案ではない。
それだけじゃない。
そもそも、ダロルドたちも、領土拡大のためにスインたちと敵対していた、相中を邪魔され、横からかすめ取った事にも腹を立てていた。
もちろん、今回の事は、アッシュたちとは無関係であり、ダロルドやスイン、ギゼン国の市民や国防関係者は、温かくアッシュたちを迎え入れててくれてたのだ。
そんな波乱万丈な一時も過ぎ、アッシュたちが空港でスインとダロルドと別れを告げる時が来た。
「皆、ここまで本当にありがとう。君たちが居なかったら、グイリバナ国だけでなく、ギゼン国も略奪しかねなかった。それだけじゃない、君たちは多くの命を救ってくれた。私もその一人だ。亡きトード君のためにも、これからも多くの命を救って、自分の人生に意味がったのだと、誇りを持って生きてくれ」
スインが軍服に身を纏いながら、激励の言葉と感謝の言葉を、力強く口にする。
「はい。トードの意志は俺が継ぎます。この世界の医療界を改革し、いずれは皆さんのお役に立てられるならば、と思うばかりです。どうかこれからも、恙なく、笑顔で、和を担い立ってください。必ずそれが、俺たちを繋ぎ止めてくれます」
笑顔で言うアッシュは片手を差し伸べ、スインたちと握手する。
スインも笑顔で「君ならトード君の夢を背を得る。私たちも負けじと精進するよ」と意気投合していた。
ネムイたちも笑顔でスインと握手し抱き合う。
「君たちには大きな借りが出来た。大統領として、一人の人間として、君たちには脱帽してしまう程の敬意を込めざる終えない。だからこそ、これからの活躍に期待している。医師としてだけでなく、自分も大切にしてくれ」
ダロルドはビシッと決まったスーツ姿でアッシュたちと握手を交わす。
「これから一国を背負うのは、我々、常人では計り知れないプレッシャーがあると思いますが、どうか、息災で」
心配した面持ちでカズイがそう言葉を放つとスインが「安心したまえ、良き戦友として、相棒として、私は彼を支援し、支え続ける。君たちの武運を祈る」とダロルドの背中をポンポンと笑いながら叩き、カズイたちに安心させる。
それを見たカズイたちは、笑顔で隣に立ち会うスインとダロルドを見て安心するのだった。
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