第九章 終わらぬ悪夢 七話
ウイリーがハンドガンで、ネムイがAKで撃ち合う。
ネムイは岩場に身を隠しながら身を少し乗り出し、銃口を、木に隠れているウイリー目掛け撃つ。
ウイリーも木影から身を乗り出しハンドガンで応戦する。
トードとイムはネムイが居る横一列に並んでいる、岩場に身を隠し、すぐに無線でダロルドに連絡を取る。
しかし、ダロルドが駆けつけてくるまで時間を稼がなくてはいけない。
数でウイリーを押し勝つと言う戦法をトードは閃き、それをネムイに伝えようとしたが、ネムイは聞かなかった。
それどころか、ここで終わらせる、と言う勢いで、剣幕を突き立てる様に銃を撃っていく。
「ネムイ! 今はその場しのぎで良いんだ! ダロルド将軍たちが駆けつけてくるまで、ウイリー教官を足止めしないと!」
「そんな呑気な事は言ってられないわ! 姉さんはこの場で仕留める! 彼女には既にその覚悟がある! 私たちが逃げ腰じゃ、将軍たちが駆けつける前に全滅よ!」
激し撃ち合いの中、トードとネムイは口論する。
トードの作戦は最もだと思ったイムだったが、ネムイの言葉を聞くと、何かが過ってしまう。
それは恐怖だった。
ネムイの言葉通り、ウイリーは、攻めの姿勢を崩さない。
木から飛び出すと、一直線にイムが隠れている岩場に走り出す。
それに気付いたイムは岩場から身を乗り出し、ウイリー目掛け撃つ。
しかし、ウイリーは突然横に飛ぶ。
横に飛びながら空中で、身を乗り出していたイムを狙い撃つと、イムは肩を撃たれその場で呻き声を挙げる。
「しまった!」
トードも気付いた。
ダロルドたちの援軍を呼ぶためにその場しのぎでは、やられる、と言う事を。
体制が崩れたイムから仕留めよう、とウイリーはイム目掛け突っ走る。
あまりにも早く、銃口を向けていたトードは捉えきれず撃つ事が出来なかった。
躊躇していると、ウイリーは跳躍し、イムが隠れている岩場を飛び越えようとする。
ネムイはマガジンの弾が切れ、装填しなければいけない。
イムの頭上に位置した瞬間、ウイリーは銃口をイムに向ける。
万事休すの時だった。
ウイリーが撃とうとした瞬間、ネムイが近くにあった石をウイリー目掛け投擲するのだった。
その投擲された石は、ウイリーの頭部に当たり、動きを鈍らせる事が出来た。
空中でよろめくウイリー。
その隙に一旦体制を立て直そうとしたイムは、肩にかけていた銃と一緒に、ネムイの居る岩場に走っていった。
ネムイも一分一秒を大事にしようと、マガジンを装填する。
ウイリーは不安定な状態で、地面に背中から着くと、痛みなど振り切るかのように、その場を去ろうとする。
「逃がさない! 償ってもらうぞ教官!」
トードは絶対に逃がさないと言う思いで、ウイリーの後を追う。
それに続くネムイとイム。
ひたすら荒野を走るウイリー。
トードたちはウイリーに発砲していたが、ウイリーはジグザグ不可解な走り方をしていたため軌道が読めず、当たらなかった。
それどころか度々、背後を振り向いては発砲してくる。
撃たれた瞬間、すぐにトードたちは頭頂部を前に突き出す様に身を一瞬まるめる。
ヘルメットで頭部を撃たれないようにし、かつ身を丸め、撃たれる範囲を絞ろうとさせるのが狙い。
しかし、そんな事を続けていると、遠くから列車の音が聞こえてきた。
その列車は、ギゼン国に向かおうとしていた。
一目見て貨物列車だと認識したウイリーは、その貨物列車に飛び乗りたのだ。
刹那、一驚するトードたち。
しかし、すぐに闘志を宿し、ウイリーに続く。
一車両分の間隔をあけ、乗り込んだトードたちは、すぐにウイリーが居る車両に向かって行く。
列車の上でトードたちは合流し終えると、ネムイが手で指示を出し、散開しながら前の車両に、じりじりにじり寄る様に向かって行く。
コンテナの両サイドの左右にトードとイムが、中間ではネムイが。
三人は息を呑むようにして進んでいく。
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今回の投稿はここまでです。
また投稿する日は遅くなると思いますが、引き続き読んでくださると嬉しいです。
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