表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/45

第九章 終わらぬ悪夢 四話

 一方、ギゼン国の後方部隊では。


 滞りなく治療が進んでいたトードたち。


 安静にしていれば助かる兵士たちも居た。


 そんな中、渦巻く煙の中から一人の何者かがコツコツと姿を現し始めた。


 「おい、誰か来るぞ?」


 「もしかしたらグイリバナ国から派遣された誰かか?」


 見張りの兵士たちがその人物に訝しい目を向ける。


 その人物は戦場とは似つかわしくない、スーツ姿で、その上には防弾チョッキを着ていた。


 スーツの上から防弾チョッキを着ている人間は見た事がない。


 そんな不思議な面持ちで、その謎の人物を出迎える兵士の二人。


 「貴方はグイリバナ国の人間ですか? それともトード君たちの関係者?」


 普通に話しかける兵士の言葉に、その人物は不敵な笑みになる。


 誰を隠そう、その者はウイリーだった。


 「私はこの戦争の裁定者よ」


 意味深な言葉に首を傾げる二人の兵士。


 すると、ウイリーは、ダージュと同じく、その二人の兵士の頸動脈を素早くナイフで斬る。


 「うっ、がはっ」


 その場でばたりと倒れ絶命する二人の兵士。


 ウイリーは、そのままギゼン国のトードたちが居る場所に向かって行く。


 「おい、見張りの兵士から応答がないぞ?」


 「何かあったのかもな」


 不可思議な面持ちで二人の兵士が見張りの兵士の元に向かおうとする。


 少し進むと、ウイリーの姿があった。


 斬新な服装に首を傾げながらも近付いていく二人の兵士。


 「あの、いや、待て。その血はどうした⁉」


 「止まれ! 動くな!」


 先程の兵士たちを殺した時に付いた返り血を不自然に思った二人の兵士は、慌ててウイリーを止めようと、銃口を向ける。


 ウイリーはニヤリと笑い、ハンドガンを素早く抜く。


 速攻で一人の兵士の額を撃ち抜くと、もう一人の兵士は、乱射しながら横の岩陰に隠れる。


 「敵襲! 敵襲! 各部隊は武装し、グイリバナ国方面の南で迎え撃て!」


 必死な様子で無線でそう指示を出す兵士の言葉に飛び跳ねる様にして武装の準備をする兵士たち。


 兵士と言っても、残りの人数は、先程殺された二人の兵士を含め、八人。


 三人は殺され、残り五人しかいない。


 しまも、ウイリーもダージュに匹敵する腕前。


 その気になれば、一国を敵に回しても生き残れる実力者だった。


 ダロルドも何事かと思い、武装の準備を始める。


 トードたちは無線など付けてはいなかったが、銃声に驚き、医療テントから慌てて出てきた。


 「トード君! 君たちはこのままギゼン国に向かってくれ!」

 

 「何があったんです⁉」


 血相を抱えてダロルドがトードたちにそう頼むが、当然のことながら状況が読めないトードたちは眉を顰める。


 「私にも分からない。ただ、無線で敵襲と告げられる案件は、全て危機的状況だからこそ応援を要請するものだ。だから今はかなりまずい状況かもしれない」


 冷や汗を流しながら慌てて説明するダロルドの言葉に納得がいったトードだが、このままギゼン国に言って保護されるのは、後ろめたさがあった。


 すると、ネムイはダロルドの言葉など無視して武装の準備をしていた。


 「何をしている⁉」


 それを見たダロルドは一驚する。


 「こう見えて私たちは戦闘訓練を受けてるわ。それに、ここには患者が居る。グイリバナ国の兵士たちだってこのまま見殺しには出来ない」


 鋭い眼光をダロルドに向けると、ダロルドはネムイの佇まいに圧巻した。


 言葉が出てこず、口をポカンと開ける始末。


 そこへ、ライアとカズイも武装の準備を始めていた。


 「そうだよな。散々かくまってくれた恩も返せず、おいそれと逃げ出す様な真似は出来ねえ」


 「ああ。それに俺たちは医者である前に一人の人間だ。戦友がピンチの時に動かないで、友と呼べるわけがない」


 ライアとカズイも意気揚々と言いながらも、その目には闘志が宿ってた。


 この言葉で、トードたちにも火が付いた。



ここまでお読みいただき、また評価して下さった読者の皆様方、本当にありがとうございます。

今回の投稿はここまでです。

明日は仕事で外出しなければいけないので投稿できません。

申し訳ありませんがよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
こんにちは❇︎ 本日もお疲れ様ですm(_ _)m ウイリーの登場かと、シーンから読み取れました。 しかし、ダージュと同じく片っ端からやっつけてしまい、兵士が呆気ないですね、、、 そこでのヤバさと、無…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ