6. 初めての...共同作業?
「ねむ〜……」
駒込が俺の家に来た翌日。
今日も変わらず、学校へと登校する。
春も終わりかけ。
少しずつ、太陽が肌を焼く温度を上げていく。
季節が変わろうとも、朝が眠いのは変わらない。
いや、むしろ冬は「起きたくない欲」が夏よりも格段に強くなるから、まだマシか。
そんなことを考えながら、ぼんやりと歩いていると──背中に衝撃が走る。
「よっ!! 相変わらず眠そーだな!」
「……当たり前だろ」
気だるそうに振り返ると、相変わらず朝からうるさい顔をした友人がそこにいた。
紹介しよう。
こいつの名前は上野結城。
俺の数少ない友達の一人で、親友と言えるほど信頼している相手だ。
家は不寓神社。
俺たちと同じく術師の家系で、次期当主として修行中。
どこまでも明るく、悩みなんてないような陽キャの塊。
しかも、顔もいい。めちゃくちゃモテる。
……羨ましい。殺してやろうかな。
俺は基本、人付き合いが少ないが、関わる人間の半分くらいは「結城目当ての女子」だろう。
正直、血の涙が出そうだ。
「で、駒込さんのことはどうなったんだよ?」
「……どうなったって?」
「そんなの決まってるだろ!」
俺が本気で意味がわからずに聞き返すと、結城はやれやれと肩をすくめ、声を落として囁いてくる。
「転校初日、初めて信頼できる男子。家に連れて行ってもらって部屋で二人きり。何も起きないはずもなく……」
「何も起きてねえよ。妄想膨らませんな」
「──あだっ!?」
何を言い出すかと思えば……。
呆れた俺は、軽く結城の頭にチョップをかました。
転校初日で会ったばかりなのに、そんな展開になるわけがないだろ。
もしそれで「そういう気持ち」になる人がいたとして、どんだけチョロいんだ。
──ほんと、冗談もほどほどに……
「クチュン!!」
突然、後ろから可愛らしいくしゃみが聞こえた。
今は夏だし、風邪が流行ってないわけじゃないが……いや、夏風邪か?
思わず後ろを振り返ると──
「ズビッ! あ、目黒くん、おはよう……」
「お、おはよう……その、大丈夫か?」
「平気よ。多分どこかの誰かが私の噂でもしてるんでしょ」
そこにいたのは、噂の渦中にいる駒込だった。
毎回思うが、「噂をされるとくしゃみが出る」って本当だったとして、どんな原理なんだ……?
という疑問がよぎるが、まあ今はいい。
「お〜! 駒込さん、おはよう!」
「あなたは……たしか上野くん、だったかしら?」
「俺の名前、覚えてくれてるんだ!」
「昨日、目黒くんから聞いたのよ」
すると、駒込は何かを思い出したように表情を変え、こちらへ向き直った。
「ありがとう、目黒くん。あなたのおかげで、昨日は久しぶりにちゃんと寝れた気がするわ」
「それはよかった」
「それで、質問なんだけど……今日の放課後は空いてるかしら?」
「今日は……何もなかったと思うが……?」
「そう……じゃあ、私と一緒に死霊狩りに行かない?」
「あのー! 俺、無視されてませんかー!? おーい!? 結城くん泣いちゃうぞー!?」
◆ ◆ ◆
──ということで、放課後。
俺たちは家の近く、いや、俺の家の中にある墓地へとやってきた。
目的は、死霊狩り。
死霊とは、読んで字のごとく「死んだあとの魂」。
一概に悪いとは言えないが、負のオーラを取り込んだり、死霊同士で吸収し合って凶暴化することがある。
放置していると甚大な被害を出しかねない、危険な存在だ。
そのため、死神たちは定期的に墓地などの「死霊が溜まりやすい場所」で狩りを行う。
週一くらいでやらないと、この墓地から溢れてしまうんだよな……。
「うわぁ……うじゃうじゃいるわね」
「うちの神社は、この辺でも一番大きいしな。何より、ここは死を司る神社。墓は腐るほどある」
まあ、そのせいで仕事は増えるが、これも生活資金のため。
文句を言うわけにはいかない。
とはいえ──
「……うちの死霊、他のとこよりトップクラスに強いから気をつけてな」
割り切るしかないとはいえ、正直、不満がないわけではない。
「じゃあ、そろそろ始めようか」
「ええ。あなたのことももっと知りたいし……今日は色々見せてもらうわよ」
面倒そうな顔をしている俺の方へ、駒込がニッコリと微笑む。
──ちょっとだけドキリとしたのは、俺だけの秘密だ。
かっこいいところを見せたいとかじゃないが……どうやら手を抜くのは無理そうだな。
お読みいただきありがとうございます!できればブクマだけでもしてもらえると...
最近まじでコンビニのポテチにハマってるんだけど、うすしお味のやつなんだけどうますぎない?
どんだけ食べても太らないとか最高かよ!