表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

4. 俺の妹はまったく...

「あなただれですか?」


「はぁ.....」


ため息をつきながら、俺――目黒 黄泉は状況を確認する。


奥で困惑の表情を浮かべているのは、今日初めて家に連れてきた死神、朝倉 未来。


そして俺の目の前にいるのは、唯一の妹、目黒 彩花。


――そうだったぁぁぁぁ!


正直、ほぼ初対面の女子を家に招くことで舞い上がっていた。すっかりこいつの存在を忘れていた。


いつもならこんなミスはしないのに……なんだかんだで緊張していたさっきの自分を殴ってやりたい。


「なぁ、彩花……」


「お兄ちゃんは黙ってて?」


「あ、はい……」


しゅん……


怒られてしまった。


こうなった彩花は歯止めが効かないということを、俺が一番よく理解している。ダメ元で声をかけてみたが、やはり効果はなかった。


ギロリ。


なんとか宥めようとした俺を黙らせると、彩花は再び朝倉に目を向ける。


「えっと……」


まだ困惑している朝倉は、何を言えばいいのか迷っているようだった。しかし、彼女が言葉を発する前に、彩花が先に口を開いた。


「あなたが何の目的でお兄ちゃんに近づいたのかは知りませんが、もしお兄ちゃんに害をなそうものなら、私は容赦なくあなたを殺します」


その目には明確な殺意が宿っていた。


実際に、彩花の警戒心は並大抵のものではない。まるで本当に攻撃の機会をうかがっているかのように、朝倉を見つめていた。


そんな彩花に対し、朝倉は終始困惑したまま、あたふたしている。


正直、ちょっとおもしろかった。


ぷふっ……


とはいえ、このままでは埒が明かない。


「とりあえず、朝倉」


俺は彼女の手を取ると、少し駆け足で階段へ向かった。


「お兄ちゃん!」


「また後で話すから!」


そのまま勢いよく朝倉を引っ張り、2階へ駆け上がる。


階段を上がる途中、俺と朝倉の足音以外は聞こえなかったので、彩花が追ってくることはないだろう。念のため、部屋に入ると鍵をかけた。


「すまんな、家の妹が」


「いや、全然……」


さっきまで困惑しかしていなかった朝倉だが、俺の部屋に入ると途端にきょろきょろと目を動かし、ソワソワし始める。


俺の部屋は普通の部屋だ。うちは神社を管理しているが、住んでいるわけではない。横に一軒家がある。


とはいえ、いたるところに貼られた御札を除けば、の話だが。


「……あの、聞いていいのかわからないけど……妹さんはずっとああなの?」


「ああとは?」


「さっきの態度……」


「ああ、最初からじゃないよ。彩花がああなったのは、俺が小6のときからだ」


「小6のとき?その時になにかあったの?」


「まあ……簡単に言うと、俺の力が欲しかった女性の術師が、俺を誘拐しに来たんだ」


「なるほど。他の術師が……」


「それ以来、彩花は外部から来る女性に敏感になった。特に初対面の女性には、だいたいあんな感じだ」


「理解したわ」


「ただ、あいつも死導きだし、家族を守りたいだけなんだ。悪いやつじゃないから、できれば仲良くしてやってほしい」


「そんなことで、同じ境遇の人を嫌いになると思う?」


「……いや、思わないな。悪かった、野暮なことを聞いた」


「謝ることではないわ」


その後、話題は妹のことから死導きのことへと移っていった。


◆ ◆ ◆


ぎゅっ……


ソファに座っている俺に、彩花が抱きついている。


時は、朝倉が帰ったあと。


「ごめん、彩花。お前に報告するのを忘れてただけなんだ。朝倉も、俺たちと同じように死導きの宿命を背負って苦しんでいて……放っておけなかった」


「…………」


ぎゅっ……!


抱きつく力が強まる。


目には、確かに涙が浮かんでいた。


しばらく俺に抱きついたまま黙っていた彩花だったが、やがて俺の顔を見上げ、ぽつりと言った。


「お兄ちゃんは……ずっと私のそばにいてね……?」


「……ああ、約束しただろ?俺はずっと彩花と一緒だ」


「うん……うん……!」


――お兄ちゃん『は』、か。


その言葉を聞いた瞬間、幼い頃につけられた胸の傷が疼く。


俺を連れ去ろうとした術師が刻んだ傷。


もう完治しているはずなのに、こうして昔のことを思い出すと、まるで昨日の出来事のように痛みが蘇る。


俺が誘拐されそうになったあの事件。


俺たちの親が再婚した理由。


それは、俺の父親と彩花の母親が、怪異によって命を落としたからだ。


当時、沢山の人が巻き込まれ、命を落とした。


あれは俺が7歳、彩花が6歳の頃の出来事。


幼かった彩花にとっても、それは大きな傷となり、今でも夢に見るほどのトラウマになっている。


もう二度と、大切な人を……家族を失いたくない。


彼女の警戒心の根底には、そんな強い意志がある。


だからこそ、俺は彩花のこの態度を無理に変えさせるつもりはない。


俺だって、父親を失って……もう二度と、大切な人を失いたくないのだから。


そうして俺は、心の奥底に渦巻く闇から目を背けるように、彩花の頭をそっと撫で続けた。


彼女を……守るために。



お読みいただきありがとうございます!できればブクマだけでもしてもらえると.....

ストレス解消に走るのっていいですよね。

その上コケて膝を擦りむいてけがをするのも最高だ!

さいこう......だ......(泣)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ