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目が覚めて

何だか良く寝た気がする。

目を開けると

「蓮輝!蓮輝!」

凰哦さんが僕の名を何度も連呼する。

「…あっ…凰哦さん、おはよう…ごめん、寝過ごしたみたいだね…、直ぐご飯の支度しないと…」

「バカッ!そんな事なんて、どうでもいいから!気分はどうなんだ!?辛いところは無いのか!?」

凰哦さんの言っている事が、よく理解出来ない。

「?気分?…辛いところ?…何を言ってるの?」

と言って起きようとすると、体中が痛みに襲われるし、力が入らなくて起きられない。

「グゥッ…えっ?…僕どうしたの?起きられない…」

「何だ覚えて無いのか?…お前意識無くして倒れたんだぞ!?」

倒れた?何それ?

「えっ?それ本当?」

「本当だとも、だからまだ寝てろ!」

「…分かったけど、僕どれだけ意識無くして寝てたの?」

「2日間だ…」

「!ーマジで!?2日も!?」

「あぁ、マジだ!…本当心配したんだからな…」

「…ごめん…あっ!その間、凰哦さんとキューのご飯とかどうしてたの?大丈夫だったの?」

「それは何とかなってたから大丈夫だ…それより自分の事を案じろよ…本当生きた心地がしなかったぞ…」

「ごめん…ありがとう…で、ここ僕の部屋だよね?病院とかには行かなかったんだ…」

「初めは本当に救急車を呼んで、病院に行くつもりだっんだがな、意識の無い筈なのに、お前がキューの事口にするし、キューも騒いでしまって、そんなキューを残して病院に行くのもと、掛かり付けの先生に来てもらったんだ。先生曰く、疲労が溜まってしまってたのかも知れないから様子見でと言われ、先程迄点滴してもらって、つい今し方帰ったところだよ」

「そうだったんだね、でキューはどうしてるの?」

「あぁキューか?あいつはずっと心配して、ずっと寝ないでお前の様子を見てたんだ。大丈夫なの?いつ起きるの?ってな。今朝迄おきてたが、疲れたからか今は俺の部屋で寝ているよ…」

「…そっか、キューにも心配掛けたんだね…2人には悪い事したね…」

「何大丈夫だ、気にするな!…だから今はしっかり休んで、早く良くなってくれよ?」

「うん分かった…それじゃもう少し寝てるね…」

「あぁ、そうしろ!何か必要な事や物が有れば、声出すの辛いだろうから、電話掛けて来なさい。いつでも待機してるからな!」

「本当ありがとう、凰哦さん。やっぱり凰哦さんって、頼りになるもう1人のお父さんだよ……だぃ………」

そう言い掛けながら、眠りに落ちる蓮輝。

最後の言葉が気になるのだが、もう1人のお父さんと言われた凰哦は、嬉しさの余り

(蓮輝が初めてお父さんって!うぉぉぉー!メッチャ嬉しいーぞー!!蓮輝ー!もう1度言ってくれよ〜!)

と、喜びポンコツ化しながら悶絶しているのだった。

元々蓮輝の言動で、激甘過保護でポンコツ化し易い凰哦だったが、この数日は、キューが現れた事で、ポンコツ化対象が蓮輝からキューになってただけで、ここに来て再度、蓮輝でのポンコツ化再降臨してしまうのだった。

ラ〜ララ〜ポンコツ凰哦魔神見参!ラ〜ララ〜♪

ポンコツ魔神に変化した凰哦は、嬉し過ぎて無意識に添い寝してやろうと布団に入り、“可愛いヤツだ一緒に寝てやろう”としたのだが、蓮輝の本能なのか分からないが、寝返りと共に凰哦の顔面に裏拳をお見舞いする。

その痛みで我に帰る凰哦。

ハァ〜と、自分自身のポンコツ魔神化の馬鹿さ加減に、呆れてしまっていた。

(俺はポンコツ化すると、我を忘れるみたいだな…幼い子供とつい思ってしまうが、こいつもいい歳なんだから、側から見ればヤバい奴にしか思われないよな…もっとしっかり自分を律しないとなぁ…)

子供の頃から見ているせいか、凰哦の中で、まだまだ子供と思っている節があった凰哦なのだ。

今迄の行動の中で、蓮輝に対してやって来た事の全てが、未だに子供としか見てなかったせいでもある。

それを今頃になって、やっと気付くのだった。

気付いてから、あれやこれやと思い出すと、外でもちょくちょくポンコツ化してはタガが外れてしまい、奇行な振る舞いをしていた事に、その場に崩れ落ちてしまう。

(自分でやった事に、これ程のダメージ受けるとは……よし!これからは開き直ってしまおう!どうせ今更変わらないのだから!人生楽しんだ者勝ちだ!)

と、開き直る事を決心する。

そう決心して、蓮輝の部屋を後にするのだった。

可愛いキューを1人にしておけないからと。

それからどれくらい経ったのだろう、目を覚ますと、僕のベットの片隅で眠ってる凰哦さんとキューが居た。

僕の事を本当に心配してくれてたんだね、ありがとう。

2人の寝顔見てると可愛く思えて、このまま起こすのも悪いからと、しばらくそのまま眺めていた。

キューは相変わらず可愛い寝顔だし、そういえば凰哦さんの寝顔って、初めて見るかもしれないね。

こんな寝顔なんだ…。

渋メンの凰哦さんの寝顔、寝てる時は無防備で渋くも有り、可愛くも有るんだね〜。

こりゃ奥さんとか出来たら、奥さん眠れないんじゃ無いかな?

このギャップを見たくて…。

そんな事思ってたら

「おっ?蓮輝…起きたのか?」

「うん起きたよ…それより凰哦さん、未だ寝ててくれても良かったのに、あっでもちゃんとベットで寝ないと体に悪いから、今からでもベッドで寝たら?」

「俺の事はいいから、お前こそちゃんと寝てないと」

「僕はもう大丈夫だよ、ありがとうね〜。とてもよく寝たから、本当スッキリしてるし、体も楽だよ!」

「そうか?…それなら良かった…ファァ〜」

「ほら、未だ眠そうじゃん!早く自分のベッドに行きなよ」

「…面倒だ…お前のベッドで寝る…」

「えっ!?何言ってんの!?」

「いやマジで動くの辛いんだよ…この2日間…寝て無かったから…ファァ…本当に…疲れて…しまってて…スー…スー…」

「あぁ分かったから、ほらそんな風に寝ないで、僕のベッドで寝て良いから!ほらっ早く!」

「あぁ…ありがと…」

モゾモゾとベッドに潜り込んで、即眠る凰哦さん。

キューも全く起きそうに無いから、凰哦さんの横で一緒に寝かせる事にした。

僕は、バキバキになった体をほぐしながら、2日振りのお風呂に入る事にした。

なるべく音をたてない様、そっと部屋を出て、お風呂にはいり、その後冷蔵庫から冷えたコーラーとタバコを片手に庭に出る。

外に出て分かったのは、既に夜だったのだという事。

時計を見ると、深夜の11時を過ぎていた。

久々のタバコと、コーラーは美味しかった。

点滴で水分は補給されてても、やっぱり口から流し込む飲み物は、格別に上手いよね!

タバコは、2日振りだったせいもあるけれど、ちょっとクラクラしたが、上手く感じた。

少し前の僕ならタバコは、ただ人を遠ざける為の道具でしか無く、別に吸いたいから吸ってたんじゃ無かったからいつでも辞められたんだが、ここ最近は、物思いにふける時につい吸ってしまう様になっていた。

何かボーッとしながら考えたい時に、タバコが有ると、何故か色々とまとまるんだよね〜。

本当不思議〜。

キューに色々聞く事有ったのに、聞く前に倒れてしまったから、明日の朝にでも聞く事にしよう。

取り敢えず、明日の朝の朝食の下準備しといて、僕は凰哦さんのベッドで寝ますか。

キューの為に、手作りの無添加ジャムと、ミートボールを作って冷蔵庫にしまい、凰哦さんのベッドに横になる。

おっ?凰哦さんの匂いがするね、そろそろオッサン臭してくる頃なのに、全くしないのは流石だね〜。

普段付けてるコロンの匂いだ。

寝る時も付けてるのかな?

まぁいいか…それじゃお休み〜。

………そういやポンコツ魔神見参とか夢に出て来たなぁ…あれ何だったんだろう…まぁいっか、今度こそお休み〜……うん?何か引っ掛かるぞ?…何だろ?……分かんないや…ああーヤメヤメ!色々考えても無駄!…よし!今度こそ寝よう!お休み!………

気になって眠れん!

何だよポンコツ魔神って!見参って!

なんか今後色々と迷惑被る気がする……。

僕の中で、警鐘が鳴り響いてますよ…。

だいたい当たるんだよね〜、僕の勘って…

あぁー!何なんだよもおーっ!何となく察しは付いてるけどさぁ!魔神ってどういう事よ!?

見参してんじゃないよ!

バタバタしてたら、あっ布団からコロンの良い香り♡っじゃ無いっての!

メッチャ危機感あるんですが!

そんな事1人やっていたら、朝になってました。

「…ふぁあ〜っ…あぁ〜よく寝たなぁ〜…ん?ここ蓮輝の部屋だぞ?…あれっ?キューが横に寝てる…可愛いなぁ…」

寝ぼけ眼でお腹辺りをボリボリかきながら、寝癖の凰哦が目を覚ました。

寝ぼけていても、キューの可愛さで朝からテンションが上げ上げの凰哦。

気持ち良く顔を洗いに蓮輝の部屋を出る。

顔を洗い、リビングに行くと

「おばよゔ…」

と、疲れた顔をした蓮輝がグッタリしながらソファーに座っていた。

「おおっと、蓮輝起きてたのか?取り敢えずおはよう。どうだ?調子は?」

「…この顔が良さそうに見える?…」

「いや見えないなぁ…どうしたんだ?そういえば、お前は何処で寝てたんだ?まさかソファーで寝てたのか?」

「そんな訳ないでしょ…凰哦さんが僕のベッド占領したから、僕は朝食の下準備してから、凰哦さんのベッドで横になってたよ…」

「ならちゃんと寝れたんじゃないのか?あっもしかして…匂いとか気になって寝られなかったのか?」

「違うよ…匂いはコロンの良い匂いだったよ…」

「そうか、良かった。俺はグッスリ眠れたよ」

「そうそれは良かった…」

「で、何で眠れなかったんだ?」

「…気になる事があってさ…」

「何だ?…まさか変なモノでも出たのか?」

「出たというより、夢か現実か分からないけど…」

「夢?現実?何だそれ?何を見たんだ?」

「…ポンコツ魔神…見参…」

「……………」

「ねぇ何黙ってるの?何か心当たりあるんじゃないの?」

「いや…全く…全然…」

「…ふ〜ん…そうなんだね…何か今後被害を被りそうだけど、まぁ良いや…。あっそうそう、今後凰哦さんの食事、キューの食べられない添加物まみれの物だけ出すからね…宜しく!」

「はぁ?何故だ!?」

「被害被る前の抵抗だよ、今後キューと同じ物食べられないと思っててね〜、それじゃキューを起こしてきてよ、お願いね〜」

と言い切って、キッチンに向かう僕。

とぼけて誤魔化そうとした凰哦は、蓮輝にただ謝り続けるのだった。

そして許して貰えそうにないと悟り、哀愁を漂わせながらキューを起こしに行くのだった。

まぁこれで、今後ポンコツ魔神とかになる事は無いだろうと、蓮輝は思いながら、ちゃんと凰哦の分も、無添加の物を用意するのだった。

第二章の最初の話なので、内容は抑えてます。

ポンコツ魔神の今後の活躍にご期待下さい?

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