ショッピング! その2
鐘川夫妻と一緒に、ショッピング開始となったのですが、結構他人と一緒に買い物するのって、楽しいのかもしれない。
それか、ただこの鐘川夫妻が良い人だけなのかもね〜。
でも、産まれたばかりの摩羽ちゃん、可愛いねぇ〜♡
キューも可愛いけど、産まれたての無垢な赤ん坊って、本当守ってあげたくなる可愛さ有るよね〜。
取り敢えず、鐘川夫妻と摩羽ちゃんの欲しい物を購入して、僕達も買う物揃えないとね。
摩羽ちゃんの欲しい物は、ちょっとお高めのマットです。
頭の形が綺麗に形成出来る、寝返りのうち易い、フカフカな物でした。
旦那さんは、仕事で使うバッグが欲しいみたいで、凰哦さんがお勧めの物を購入しました。
社長とお揃いって事で、それはもぅ喜んでましたよ。
奥さんはというと、もぅ〜いじらしい〜、流石主婦!
美味しい物を作りたいからと、便利なキッチングッズを数点チョイスです。
鐘川夫妻は、とてもご満悦でして、凄く喜んでくれました。
その後、摩羽ちゃんがグズリ出したので
「君達はもう帰りなさい、摩羽ちゃんが疲れたと泣いているのだから、早く帰って寝かせてあげなさい」
と、優しく言う凰哦さん。
「篠瀬社長、すいません…お気を遣わせて…。今日は本当にありがとうございました!このお礼は必ず仕事でお返ししますね!では育児休暇が明けたら、お礼に伺います。本当にありがとうございました!」
「お礼は良いから、しっかり育てるんだぞ!では、休暇明けにな…」
と、見送るのでした。
記念に僅かながら、皆んなで写真を撮ったのだけれど、後で見てビックリ!
何とキューが写っていたのです!
見えるのは、僕達だけなのかも知れないけれど、鐘川夫妻も見えてたらどうしよう…きっと驚くだろうなぁ…。
まぁ過ぎた事はどうしようもないから、その時はその時で何とかしましょう。
さて、見送りも済ませたし、僕達もテキパキ買い物済ませますか〜。
「凰哦さん、鐘川夫妻のおかげで、子供用品を流し見出来たから、キューに良さそうな物選ぶ手間が省けたね。早速買いに行こうよ」
「そうしようか…でも何だかドッと疲れたなぁ…」
「ハハハッ、それはしょうがないよ…で、どうする?」
「どうするとは?買いに行くんだろ?」
「違うよ、キューの事!リュック背負う?」
「…そうしたいのはやまやまなんだが、今みたいな事有るかも知れないからなぁ…」
「でもキューを背負いたいんでしょ?」
「本音はなぁ…」
「だったら背負えば良いじゃん!また何か有ったらさ、その時考えればいい訳だし、それに同じ様な事続かないって!」
蓮輝に言われて少し悩むが、結局本音には勝てず
「そうだよな!また何かあった時は、蓮輝宜しく頼むぞ?お前の悪知恵で助けてくれよな!」
このヤロウ!人が機嫌良くしてあげてるのに、悪知恵とは失礼な!まるでお代官様と、極悪商人みたいじゃん!
せめてズル賢いといってよね!…あっ同じか…。
でもまぁ、もしもの事もあるから
「ねぇ凰哦さん、リュックを前に担いだら?そうすればさ、キューも見えるし、キューも前の風景見られるし、前に担いでいれば、僕の代わりに担いであげてるって言えるでしょ?」
「おお!本当そうだな!…凄いなぁー!お前のその悪知恵って!」
感心してくれるのは嬉しいけど、完全に僕の事バカにしてますなぁ…2度も悪知恵って言いやがったぜ…
「凰〜哦さん!ちょっと前屈みしてくれる〜」
「ん?どうした?」
そう言いながら、言われた通りに前屈みする凰哦に、ちょっと強烈目なデコピンをプレゼント♡
「いったあぁー!な、何するんだ!痛いじゃないか!」
「へっ!(ペッ![心の中で唾を吐く])それは貴方が悪い!人の事悪どい奴みたいに言ってさ!な〜にが悪知恵働くだよ!失敬だよ!」
「あっいや…す、済まん…でも本当、そう思ったのだから、やはり悪知恵…」
「キュー、凰哦パパにバイバイしてあげて〜」
「ごめんごめん!本当許してくれ〜〜!もう2度と言わないから!」
「ったく、今度からは、せめて頭の回転が早いって言ってよね!もう無駄に時間くったじゃん!ほら、早く済ませるよ!分かった?」
「はい分かりました…」
凰哦さんがキューの入ったリュックを前に担いで、先程行ってたベビー用品を取り扱っているショップに向かう。
取り敢えず、キューの食器類を数点、椅子に乗せて使う、子供用の椅子と、ベビーベッドを2つを購入しました。
何故ベビーベッドが2つかというと、僕の部屋と、凰哦さんの部屋に各1つづつ置く為です。
キューがどっちかの部屋で好きに寝られる様にする為と言いながら、本当は、凰哦さんがキューを自分の部屋で寝させたいと言ったからなのです。
初めは僕の部屋か、リビングで寝かせようかと思ったのだけれど、リビングだと誰かが訪れた時に、言い訳するのに困るし、僕の部屋だけになると、凰哦さん迄、僕の部屋で寝ると言いかねないからなのですよ。
それなら凰哦さんの部屋で寝させれば良いのだけれど、何せ帰りが遅くなる事多いので、寝てるキューを起こしかねない事も考えての事でした。
後は布団とかだけど、それは明日にでも買えばいいかと、一旦買い物を切り上げる事にした。
何だかんだと、既にお昼を過ぎた頃だったので、食事休憩にしようと、先に車に荷物を載せて、いざ飲食フロアにGO!
「さて何を食べようか?キュー、どの店が良い?」
下手に悪い物食べさせてしまうと、また腹痛があるかも知れないから、キューに選んでもらおう。
するとキューは、リュックから顔を出し、しきりに各店舗を見る。
「ここにねぇ、良い匂いいっぱ〜い有るけどねぇ、どこもねぇ、気持ち悪いのぉ〜」
ありゃ、一軒も無いのですか…それは困ったなぁ…。
「凰哦さん、どうしよう…」
「そうだなぁ…しょうがないから、下のスーパーで何か選んでもらって、家で作って食べるか〜」
「そうだね…そうしようか。キュー、お腹空いてるだろうけど、家に帰ってからご飯にしような」
「うん!分かったよぉ〜!」
「それじゃスーパーに食材買いに行くから、そこでどれが良いか教えてくれるかな?」
「は〜い!」
それから1階のフロア迄降り、スーパーへ向かう途中で
「あっ!ここの食べたい!凄くねぇ良い匂いがするのぉ。綺麗な感じぃ〜」
と言って指差すのは、昔ながらの製法で作られた和菓子屋さんだった。
このお店はチェーン店で、材料にこだわり、無農薬と無添加で有名なお店で、お店毎に作られてるあんころ餅が、絶品の店なのだった。
値段はその分お高めだけどね。
「なる程、やはり農薬とか、添加物はダメなんだな…」
「えっ?それじゃ朝出したベーコンエッグとか、ナゲット大丈夫だっだのは、たまたま無添加のお高いヤツだったからなんだ…あっぶなぁ〜…」
良かった〜、好きでお取り寄せした甲斐があったんだと、正直思ったよ…。
取り敢えず、ここのあんころ餅を6個購入して、そのままスーパーに向かいましょう。
先ずは野菜コーナーから見て回ると、キューが反応するのは、やはり無農薬ばかりで、ここのスーパーには、買える野菜の種類が少ない事を知らされました。
お肉コーナーも、鮮魚コーナーも、ほぼダメ!
鮮度もだけれど、加工しているのか定かじゃないけれど、無理だと言うのだった。
試しに、無添加を謳ってる冷凍食品やレトルトを見せてみるが、どれもダメでした。
無添加と謳っている割には、絶対という程、甘味料が人工的に作られた物を使用している事や、防腐剤に使われてるビタミン系がアウト!らしいです。
そう思うと、今の日本で作られてる物の殆どが、農薬や添加物だらけなんだと、始めて知りました。
それじゃ飲み物はどうだろうと、100%系のジュースを見てもらうと、同じ100%でも、ダメなものと良いものがあって、難しいなぁ〜と、正直思った事なのです。
「これからは、自然食材を取り扱っているお店で買うしか無いみたいだね…」
「その様だな…、まぁ幸い今の時代、ネットで販売されてるし、なんなら、我が社で契約農家作って、それで購入しても良いかもな…」
「契約農家の件は、凰哦さんに任せるから、好きな様にしてくれれば良いよ。でも自然食品店は、調べて確保しとかないとね…」
「そうだな、それじゃレジ済ませて、帰ろうか」
「だね」
レジを済ませて、さっさと帰宅しましょう。
ショッピングモールを後にして、家に到着。
今回はキューを歩かせて無いから、そのまま家に上がり、僕は昼食を作る事にし、凰哦さんは車から荷物を運んで、リビングのソファで一息ついてます。
キューが僕の所に来て、料理が早く出来ないかとウロウロするので
「凰哦さん、キューの事みといてくれる?ここに居たら危ないから、お願いするよ」
「あぁ分かった!ほらキュー、こっちに来て遊ぼうな〜」
「うん!凰哦パパと遊ぶぅ〜!わ〜い!」
「ハハハッ可愛いヤツめ〜」
キャッキャ、キャッキャやっている2人を横目に、食事も出来上がり、さっき購入したキュー専用の食器をあらってから、テーブルに並べて
「出来たから、キューの椅子を持って来て座らせてね」
「了解!さっごはんだぞ〜!早く食べような」
「やったぁ〜!」
「お昼は、なんちゃって焼きそばにしたよ!」
「なんちゃって焼きそば?」
「うん、面に添加物有ると怖いから、冷麦を使って焼きそばにしてみたよ」
「そうか、それなら大丈夫そうだな。よしキューここがお前の席だぞ」
そう言って凰哦さんが、キューを子供用の椅子に座らせると、ピッタリの高さになって、これでテーブルでご飯が食べられると、嬉しくなった。
やっぱりリビングのテーブルでは、ちゃんと食べた気がしないからね。
「それじゃキュー、ちゃんと覚えてるよな?」
「うん!い・た・だ・き・ま・す!」
「「はい!い・た・だ・き・ま・す!」」
また手で鷲掴みしそうになったのを慌てて止める凰哦さん。
「待て待てキュー、もう1つ忘れてる事あるだろう?」
「えぇ〜?な〜んだっけ?」
「ほら、手で摘んで食べてはダメだって事。忘れたかな?」
「あっそうだったねぇ〜、それじゃぁねぇ〜、どうすればいいのぉ?凰哦パパァ〜」
パパ呼ばわりで、また持っていかれそうになるのだが、グッと堪えた凰哦さん。
偉い!偉いよ!よく耐えた!
さぁ優しく教えて差し上げてちょうだい!
念の為に、僕達もフォークとスプーンを用意してました。
何故なら
「キュー、俺のやる事しっかり見ててな。ほらこのフォークをこう…使って…っとほら、食べ物ちゃんと取れただろ?」
「うん!」
「それをこう!」
パクッ…モグモグ…
「な?こうやって食べるんだ。分かったかな?分かったのなら、キューも真似して食べてみなさい」
と、説明できるからね!
「うん、やってみるねぇ〜、えい!」
何度か空振りするが、フォークでしっかり焼きそばの具材を取れて、パクッと食べると
「お〜いし〜の〜!凰哦パパァ〜、嬉し〜いの〜」
と結局、キューの可愛さに持っていかれた凰哦さんでした。
ひたすらフォークで、僕の作ったなんちゃって焼きそばを食べ続けるキュー。
「ほらキュー、スープも作ってあるから、そのスプーンで食べてみな?やり方はこうだから」
と、今度は僕がやり方を教える。
するとそれを真似してキューも、スープを飲む。
「ギャイギャイ!」
突然変な鳴き声をあげるキューに、驚いて
「どうしたの!?もしかして食べれない物だった!?」
と聞くと
「アチチィ〜かったの…」
な〜んだ、あぁ良かった…ただ熱かっただけなんだ…。
「熱かったんだね、そんな時はこう…フーッフーッとして、冷まして飲むんだよ」
「フーッフーッ?」
「そう、フーッフーッ」
言われた通りに、フーッフーッとしてから飲むキュー。
「アチチィじゃなくなった!おいし〜」
今の一連のやり取りで正気に戻った凰哦さんが
「そうか、美味しいか。良かったな!後はゆっくり食べなさい」
「は〜い」
良い返事を返してから、懸命に食べるキュー。
見てて本当飽きないよね。
でも本当によく食べるなぁ〜、カッパってこんなに食欲旺盛なのかな?
それともただキューが、食い意地凄いだけなのかな?
これだけの物食べても、昨日の様に、お腹を壊す様子はないから、多分、ケーキに食べられない物入っていたんだろうなぁ〜。
蕎麦の時は、家に着く迄何も起きなかったからね…。
そういえば、あの蕎麦屋さんも、材料にこだわってて、調味料も全て、昔ながらの製法で作られた物使用してるって言ってたっけ。
やっぱりケーキだったのかなぁ?
にしてもこの調子だと、お代わり要求されそうだね〜。
本当良く食べるなぁ…。
ん?あれ?そういえば、僕達に会う迄は如何してたんだろう?
あの時は、消えそうな程に弱ってたから、食べてなかったんじゃないのかな?
「ねぇねぇ凰哦さん、キューの事なんだけど、こんなに良く食べるのに、僕達に会った時ってさ、今にも消えそうな程だったんだよね、僕達に会う迄どうしてたんだろう?こんなに食欲旺盛なのに、蕎麦屋で何も食べてなかったのかな?」
「そうなのか?あの時の俺は見えなかったからなぁ、何とも言えないな…その事キューに聞いてみるしかないな…」
「そっかぁそうだよね…それじゃ食事が終わったら聞いてみようか…」
食欲の無い僕は、残った物を処分して、庭にタバコを持って出る。
その間は、キューの事を凰哦さんに任せてタバコに火を点ける。
ゴホッゴホッ…ゲホッ…ゴホッ…ウェッ!……
クッゥゥ!…痛い…何この痛み…ゲホッ…ゲホゲホッ!…
慌てて火を消し、その場に蹲る。
僕の異変に気付いた凰哦さんが、慌てて駆け寄ってくる。
「蓮輝!蓮輝!大丈夫なのか!?」
「………」
「おい蓮輝!おいって!蓮輝!」
「…ご、ごめん…だ、大丈夫だから…」
「大丈夫な訳ないだろう!お前、青白くなってるじゃないか!それに、今食べた物全て戻してるだろう!?何処が大丈夫なんだよ!?」
「本当…大丈夫だから、心配掛けてごめん…多分、風邪かなにかで、ちょっと無理したからだと思うから…ゴホゴホッ…ウェェッ!…」
「蓮輝!蓮輝ーーー!」
ここで、僕の意識が遠のいて行く。
薄れ行く意識の中で、僕はキューの事聞かないとって思っていた。
凰哦さんと一緒に、沢山キューの事知りたいんだよね…。
そんな事思いながら、僕は暗闇の中に落ちて行く。
今話で、第一部?第一章?が終わります。
次話から第二部?第二章?が始まります。
この第一部?章?は如何でしたでしょうか?
良ければ感想お聞かせ下さいね〜。
では次話にて。