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キューと僕の思い出日記  作者: 喜遊元 我可那
新たな出会いと別れへの旅路
64/65

思い掛け無い出会い

 今僕達は、四国の愛媛に来てます。

 四国と言えば、お遍路さん八十八ヶ所巡りって言う程、霊的スポット満載の地。

 正直、これだけ有名スポットが在るのだから、良い穴場が在るかもと、かぁ〜なり期待しています。

 唯ね、前回の奄美大島の様に、わんさか見知らぬカッパちゃん達やものの怪さん達が、ぎっしり集まってるかもと思うと、二の足を踏んじゃいそうに成るんだよね〜…。

 まぁ其う言う事で、余り過度な期待をせず、旅を楽しみながら、ぐる〜っと一周しちゃいましょ〜か。

 ルートは、愛媛→高知→徳島→香川の順で、グルっと周ろうと思います。

 さぁ先ずは愛媛から〜出ぱ〜つ!

「お遍路さん♪あっお遍路さん〜っと〜♪」

 少々陽気に、お遍路さんソングを歌っていると

「ん?如何したんだ蓮輝。随分とご機嫌じゃないか…」

「んん?えっ其う?」

「其うよダーリン、何時ものおバカさ加減は何処に行ったの?」

「だよね〜寵さん。何時もなら、こんなご機嫌スタートじゃ無く、おバカスタートなのにさ、本当如何したのさ?」

 寵と隆志迄もが、何時もと違うと言うのだ。

「ちょっ、酷っ!何2人して〜!?メグちゃんはさ、僕のお嫁さんでしょ!?隆志さんは親友だよね?なのに何故そんなズケズケとデスれるのさ!?」

 ムムムっと不機嫌な顔をして、2人を問い正す蓮輝。

「そんなの決まってるじゃないの…。ねぇ?宮津さん」

「だよねぇ〜寵さん。おバカ代表何だから、しっかりとおバカ扱いしないとね…」

 完全におバカ認定確定だと、2人に太鼓判を押された蓮輝。

「はわわ…そそそ、そんなぁ〜…。そんな立ち位置、僕は嫌だからね!言っておくけど僕、()()()()()()()()()()()!?折角お真面目蓮ちゃんに成ろうと心に決めたのにさ…あぁ…やる気失くすわ〜…」

 車のシートにグッタリともたれ掛かって、呆然と虚な目をする蓮輝なのでした。

「まぁ今迄の行いが、物語ってるんだ。本気で心を改めるってのなら、しっかりと行動で示さないといけないぞ?蓮輝」

「其うそう河橋君。君は誰よりも他人を思い遣る心を持ってるんだから、君がちゃ〜んとしていれば、おバカ認定何てのは、直ぐに払拭されると思うよ?」

 隣の席に座ってる江田さんが、ニコッと笑って頭を撫でて、優しく労わってくれました。

 キュ〜ン…キュンキュン♡

「江田さん!もっと僕をヨイショして、慰めあやして〜♡」

 江田さんの胸にグリグリと顔を埋め、抱き付きながら、癒しを乞う蓮輝。

「このバカダーリン!癒しを求めるのなら、先ずは私でしょ〜が!も〜このバカダーリン!」

 結構本気で怒るメグちゃんに

「だってメグちゃん、正直僕にはメグちゃんの胸に、顔を埋める勇気は未だ無いんだもの…。幾ら結婚しててもさ、ぼぼぼ、僕、好きなミグちゃんと触れ合うのに、勇気が要るって言うか…。其れに、キキキ、キスも未だちゃんと出来て無いし…。其の点江田さんだったなら、優しさ満開の抱擁で安心出来るし、江田さんの抱擁が大好き何だもの。其う言う事も含めて、江田さんが大好きなんだよね〜」

 顔を赤らめながら、メグと本当はイチャイチャしたいけれど、勇気は未だ出ない事と、江田の抱擁に心を開いているのだと、江田に抱き付きながら蓮輝が言うと

「ん〜〜〜〜ん…確かに未だ私もダーリンと、本格的なイチャイチャは…ポッ…。其れに、江田さんの抱擁は何故か私も癒されるから、此処は妥協しちゃっても良いかもね…」

 蓮輝とのイチャイチャを連想し、顔を赤らめ、江田に付いて語る蓮輝の言葉を否定する事は無かった。

 其れ程江田の抱擁力は、群を抜いて、全てを包み込む力が備わっている様だ。

「アッハハハハ…嬉しい事を言ってくれるねぇ〜2人共…。私で良ければね、心が疲弊した時に何時でもおいで。2人、心行く迄抱き締めて上げるからね?」

 少し気恥ずかしそうに、笑って約束してくれる江田さんでした。

「は〜い、其の時は宜しく〜♡江田さ〜ん♡」

「私もお願〜い♡」

 江田の許しを得て、上機嫌に成る蓮輝と寵。

「さて2人共、其の前に、運転席と助手席に居る2人に言わなきゃ行けない事が有ったんだよね?機嫌の良い今の内に、2人にちゃ〜んと伝えなきゃね?」

 “うん?”と、和かな笑みを僕達に向け、今の内に凰哦さんと隆志さんに、言うべき事を伝えなさいと促してくれる江田さん。

「其うだよね…」

「だわよね…」

 僕とメグちゃんが、顔を見合わせたら

「ん?如何した2人して、俺達に何か言いたい事が有るのか?」

「何を伝えたいのか分からないけれど、一体何を伝えたいの?蓮輝君に寵さん…」

 バックミラー越しに、目線を向ける凰哦さんと、振り返る隆志さんに

「今迄ずっと2人の仲を揶揄ってた事を謝りたいんだ…ゴメン…」

「私も同じ…。ずっと2人を揶揄っててゴメンなさい…」

 後部座席から2人に向け、これ迄の揶揄いを謝罪する僕とメグちゃん。

 ……………

 暫し間を空けて

「お前達の言いたい事は分かったよ…。謝罪の言葉、しっかりと受け止めたよ、ありがとうな…2人共…」

「……うん其うだよね…凰哦…。ありがとう2人共。きっとこれからもさ、僕と凰哦2人の関係は、これ迄と変わらないとは思うけれど、揶揄いを程々にしてくれたなら、僕達とても助かるよ…」

 と、優しく答えてくれた。

「うん分かった。これからは其うさせて貰うね〜」

「許してくれてありがとう、凰哦兄、宮津さん。これでこれからも一緒に、心置きなく旅を続けられるわ〜。本当ありがとう…」

 とても和やかな雰囲気で満たされる、車内だった。

「ねぇ凰哦パパ〜」

 隆志の膝の上で寛ぐキューが、運転中の凰哦に、話し掛ける。

「ん〜?如何したキュー。何か有ったか?」

 チラッとキューを見て、凰哦が聞き返すと

「僕ねぇ、お腹空いたの〜。何か食べたぁ〜いの〜」

 ギャルルルルル〜…

 盛大にお腹を鳴らすキュー。

「ブフゥッ!」

 余りの大きな空腹の音に、吹き出す凰哦。

 ギュルルルルルルルルゥ〜!

 更に、盛大に鳴り響くお腹の虫。

「「「ブフッ…アッハハハハハハハハハハ!」」」

「ウフフフフフッ!」

 車内はキューのお腹の音で、笑いに包まれました。

「キュ〜、キュ〜ゥ!アハハッ今迄に無いお腹の音だね〜。凄い大きな音だったけれど、そんなにもお腹が空いたの〜?」

 涙目に成りながら、蓮輝が尋ねると

「うん僕〜、もぅお腹ペコペコなのねぇ〜」

 空腹で、グテっと顔を傾げる(かしげる)キュー。

「ハハハッキュー、そんなに可愛い仕草しやがって、本当お前に癒されるよ。ヨシッ分かったぞ、何処かお店に入って食事をしようか?」

「!!うん!食事しよ〜!!凰哦パパ〜♪ウケッ♪」

「アハハッヨシヨシ♡だがもうちょっと我慢しててくれよ?キューが安心して食べられる店を探すから。其れ迄待っててくれるか?」

「は〜〜〜〜〜い!」

 元気よく返事をするキューに

「「「アハハハハハッ」」」

 車内は、大きな笑いで賑やかに成った。

 キューが齎した笑いの中

「ごっはん〜ごっはん〜パクパクごっはん〜♪は〜やく食っべたいなぁ〜♪」

「「「ブフゥー!」」」

 作詞作曲 キューのご飯の歌に、一斉に吹き出す一同。

「アハッ…アハハハハハハァ〜!!」

「ヒィ〜ヒィ〜…なな、何だ其の歌は…ブフフフフフ…」

 笑いが止まらない蓮輝達は、お腹を抱えて涙目に成ってます。

「クフフッ…キュー、キュー君、あ、余り笑わせないでよ…ブフッ…」

「ウフフ…ほ〜んとキューちゃんは可愛いわねぇ〜♡癒されるわぁ〜♡」

 隆志と寵も、無垢なキューの言動に、心くすぐられてます。

「ハハハッいや〜実に愛らしいよね〜。でも一体こんな歌、良く作れたもんだね〜?キュー君、お歌の作り方、誰かに教わったのかな?」

 フワッと微笑みながら、キューに尋ねる江田。

 するとキューが

「ん〜?お歌〜?…え〜っとねぇ、蓮輝お兄ちゃんがね、よく変な歌をね、歌ってたのぉ〜。其れを聞いててね、僕もマネして歌ったの〜!ケヘェ〜♪」

 全員から褒められた事により、嬉しそうに満面の笑顔で答えるキュー。

 其の内容を聞いた全員が、一瞬にしてビクッと為る。

「隆志、今直ぐキューの耳を塞げ!」

「うん了解!」

「ウケッ!?」

 突然隆志に耳を塞がれたキューが、驚き固まる。

「キュー君、今暫くこのままで、誰の話も聞かないでくれる?」

 驚いたキューに、そっと伝える隆志に

「は〜い!」

 と、耳を塞ぐ隆志の手に、自分の手を重ねるキュー。

「偉いぞ〜キュー」

 運転席からキューの頭を撫でる凰哦。

 ウケケッと嬉しそうにするのを見て

「おい蓮輝!キューがお前のマネをしてるって言ってるぞ!如何するんだ!?」

「其うだよ蓮輝君!キュー君が君のマネをしてるって事は、他にもマネをしちゃってるって事だよ!?」

「本当、其の通りよ!?もしダーリンの悪戯とか、悪ふざけをマネしたら如何するの!?」

 一斉に、蓮輝を責め立てる凰哦達。

「ひひひ、酷っ!皆んなして酷っ!こんなんじゃ、人間不信に成っちゃうよ!ふえぇ〜ん江田さ〜ん!」

 今回も、江田に慰められ様と、江田にしがみ付く蓮輝。

「………君には悪いが、ちょっと擁護出来そうに無いね…今回は…」

「エッ…」

「でもね、本気で心を入れ替えるつもりなら、私は幾らでも寄り添って上げるよ?何せ君のして来た()()を私は知ってるからね…フフフ…」

 以前、入院中に行って来た蓮輝の行動で、同じ境遇の患者にも、勇気を与えた事を今でも、心から感謝している江田だったから、そんな言葉が出て来たのだった。

「江田さん…あぁ大好き♡ありがとう〜!江田さんの其の言葉で、やる気全開に為れたよ〜」

 江田に抱き付き、満足そうにする蓮輝。

「おい蓮輝、其の言葉、本当に思ってるのか?」

「正直僕も余り、信用し切れて無いんだけれどもね…」

 凰哦と隆志が、冷たく言い放つ。

「……う〜ん私はダーリンを信じ様かなぁ〜。何せ私の旦那さんだし、今回の言葉には、嘘は感じられなかったからね〜」

 嘘が大嫌いな寵は、他人の嘘を見抜く力が他人より、飛び抜けて強いからか、今回は蓮輝を信用しようと思ったみたいだ。

「メグちゃん…。江田さんもメグちゃんもありがとう〜。でもね、凰哦さんと隆志さんは僕の()確定だからね!覚えといてよ!フン!」

 シャ─────ッと、2人を威嚇する蓮輝。

「OK OK其れで構わないぞ?長年お前をずっと見て来た俺だ、もぅいい加減お前を溺愛するのはよすよ…。心改めたのが分かる迄、一線を引かせて貰うわ」

「僕は凰哦の味方だから、手助けは程々にしとくね〜」

 凰哦と隆志がタッグを組んで、蓮輝の今後を見極めると宣言するのだった。

「あぁ〜良かった。こんな話、キュー君には聞かせられないもんね。ねぇ凰哦、そろそろ食事処を探さないとね。さっきからキュー君のお腹の音、激しさを増して来てるから、直ぐにでも見付けないと」

「あはは、だなぁ〜。って言っても、この辺りには店が全く無いぞ?…如何する?」

 今走っている場所は、愛媛から高知に差し掛かった山中で、携帯の電波も途切れ途切れの場所で、店を検索するのが難しい山道だった。

「う〜〜ん如何しよう…。ねぇ誰か良い案無いかな?」

「取り敢えず、何処かの民家に寄って、良い店が無いか聞いてみようか?」

 敵だと言いながらも、キューの為に、隆志の言葉に提案をする蓮輝。

「う〜ん突然見知らぬ俺達が訪ねて、相手に迷惑掛けて仕舞いそうだが、今は其の案を採用しようか…」

「だね〜。其れじゃ、民家を見付け次第、立ち寄ろうか?」

 蓮輝の案に、従おうと言う凰哦と隆志。

 民家を探しながら暫く走ると

「あっあそこに、ザ古民家って感じの家が在るねぇ。先ずは其処に行って聞いてみようよ」

 蓮輝が民家を指差しし

「だな…」

 と、民家の前に、車を停める凰哦。

 車を停め、凰哦が1人、古民家に誰か居ないかと、玄関の呼び鈴を鳴らす。

「済いませ〜ん、何方か居らっしゃいますかぁ〜?」

 呼び鈴を鳴らして声を掛けるも、全く返事が無い。

 何気なしにガラガラと、玄関のドアを開けると

「おや…鍵が掛かって無いぞ?大丈夫なのか!?防犯的に…」

 と思いながらも

「済いませ〜ん!何方か居らっしゃいませんかぁ〜?」

 少し大きめの声で家中に聞こえる様、声を掛けてみる凰哦。

 其れでも返事が返って来ない。

 如何したものかと、ボリポリ頭を掻きながら、敷地の周りを見ていたら

「おやお客さんかね?こんな田舎に何しに来なすった?アタシに何かか用かね?」

 裏手の方から、1人の老婆がヒョコヒョコとやって来た。

 まさか、そんな所から出現するとは思ってもいなかった凰哦は

「あっ大変申し訳有りません。怪しい者では無いのでご安心を…」

 と、少々驚きながらも返答する。

「其うかい…其れはまぁ別にえぇんやけど、オタクさん、何しに来なすったんや?こ〜んなな〜んも無い所にやって来て、如何したんやの…?」

 凰哦が老婆に、何をしに来たのかと聞かれ

「あ、あの、不躾な事をお尋ねしますが、この辺で、何処か飲食の出来るお店等、在りませんでしょうか…?出来れば無農薬や、天然物を取り扱っている所や店が在れば、大変嬉しいのですが…」

 様子を伺う様に聞く凰哦。

「もしご存じなら、教えて下さいませんか?」

 失礼の無い様にと聞く凰哦に、少し険しい顔をする老婆。

(ん!?何か、表情が険しいぞ?俺、何か気に触る事言ったか…?)

 険しい表情のまま、無言の老婆に、内心ドキドキモノの凰哦。

「店かえ?」

「ゥヒャッ!」

 思わず悲鳴を上げる凰哦。

「あれあれ、如何したのかいな…。驚いた声を上げてまぁ〜…」

「あああ  いや済いません。なな何でも無いです」

 慌てて、何事も無いと答える凰哦。

「其うかい?まぁ〜其れならえぇけど…」

「申し訳有りません…」

「そんでな、あんたらの知りたい店ってのは、よ〜考えたけんど、この辺じゃ〜無かかよ?1番近い店でも、山〜さ、3つは超えんと、無いけぇねぇ〜」

 如何やら店が無いかと考えて、険しい表情をしてた様だ。

 其の老婆から聞かされた答えの内容に

「えっ…3つ…」

 唖然とする凰哦に

「そやよ?3つ。3つは超えんと、無かった筈だでね、どないする?」

 今から山を3つ分超えて、店を探すとしても、少なくとも数時間は掛かるぞ?と聞く老婆。

「どないする?っとは…」

 正直、激腹減りのキューの事を思うと、そんな長い時間を掛ける事は出来そうに無い。

 其う思っていた凰哦に、如何するのかと聞く老婆に、何を如何するのかと聞き返す凰哦だった。

「いや〜こんな田舎の山奥に迄来なすったのに、なぁ〜んも無いのは辛いじゃろう?やけ、大した物は無いんやけど、私ゃ(わたしゃ)ん家でご飯食べて行きんしゃいな…」

 思い掛け無い老婆の提案に、目を丸くしながら

「えっ!?そんな突然見知らぬ者を招いた上、食事迄ご馳走して頂けるというのですか!?」

 驚きを隠せないまま、聞き返すと

「ふぅん?そんなの当たり前や無いの。別に気にする事も無かよ?遠慮は要らんけぇ、連れのモンも一緒に家に入りなされ」

「えっ!?わわわ、私達全員ですか!?」

「ほんにえぇって、ささっ早よ入り?気にせんと入り?」

「いや…でも…」

「なぁ〜に気にしとるんよ…。此処はお遍路さんの国やよ?お遍路さん達を世話するのも、私ゃ等の役目やから、そんなの気にする事無いわね」

「あっ…成る程…」

 老婆の言葉に納得する凰哦。

「其れじゃお言葉に甘えて、ご馳走に成らせて頂きます」

「あぁえぇよえぇよ〜。まぁちょっと支度に時間が掛かるけど、居間で寛ぎなされ。何せ6()()()用意せなからね…」

 其う言って、家の中へと入って行く老婆。

「ありがとうございます。ってな事で皆んな、此処の家の方が、6()()()の食事を用意してくれるみたいだ。さっ言葉に甘えさせて貰おう。中に入ろうか?」

 と、笑顔で伝える凰哦。

“は〜い”と言われるまま家の中に入り、居間で寛ぐ蓮輝達。

「良かったね〜、親切な人が居て」

「本当、有難いわよね〜ダーリン」

「だなぁ〜、本当助かったよ」

 と、ハァ〜と一息付く凰哦達に

「……ねぇ凰哦、ちょっと違和感が有るんだけれどさ…」

 ん?あれ?みたいな顔をして、凰哦を見る隆志が何か、違和感を覚えた様だ。

「ん?何だ隆志。何が気に成るんだ?」

「あっいやね、さっき6()()って言わなかった?」

「あぁ其う言ったが…。其れが如何した?」

「………ちょっと良く考えてみてよ、6()()()()?普通の人だったなら、僕達5()()しか見えてない筈…だよね…?」

「勿論其うD…」

「「「!!!!」」」

 隆志の指摘で、やっと言葉の意味を理解する一同。

「エェッ!?そそそ、其れってもしかして…」

「そそそ、其うだわよダーリン…。ままま、まさかとは思うけど…」

「イィッ!?って事は…みみみ、見えてる…のか…?」

「多分其うだと思うよ、凰哦…」

 隆志が肯定をすると同時に、一斉にキューを見る一同。

「まさか、キュー君が見えてるとはね…。この家の方は、今何処に?篠瀬君…」

 江田が、老婆の存在を尋ねると

「い、今、しょしょ食事の支度と言って…」

 青ざめながら、部屋を見渡すと

「なぁ〜んも大した物は無いけど、お代わりは有るけぇ、た〜んと食べぇ〜」

 と言って、食事を運んでやって来た。

「あっ…ありがとうございます…」

 急いそと、テーブルにおかずを並べる老婆に、感謝を述べる凰哦。

「未だご飯と味噌汁が有るけぇ、ちょっと待っといてくれっちゃね」

 ヨイショっと言いながら、人数分のご飯と味噌汁を取りに戻ろうとする老婆に

「あぁ、わ、私が運びます」

「ぼ、僕も運びますから、お婆さんは休んでて下さい」

 寵と隆志が、運ぶのを手伝うと申し出た。

「あぁ其うかぇ?あんがとさんやね〜。そんじゃご飯と味噌汁は、お願いしようかね…。其れじゃ私ゃお漬もんを用意しようかね…」

 と言って、台所に向かう老婆。

 其の後に付いて行く、寵と隆志。

 残された蓮輝達は、老婆の言った“6人”の言葉の意味を、如何切り出して聞けば良いのか悩み、無言に成る。

 静まり返る居間に、カチャカチャと音を立てて、お茶碗とおひつに、味噌汁の入った鍋を運ぶ寵と隆志。

 其の後に、老婆が大量の漬物を運んで来た。

「こんなもんしか無いがね、遠慮なく食べたってよ〜。どれもこれも、私ゃが作った農薬無しの野菜とね、山で採って来た山菜やけぇ、安心して食ったてなぁ〜」

 テーブル一杯に並べられたおかずは、野菜の煮物や、山菜等の山の幸がふんだんに使われた、おひたしや天ぷらだった。

「な、何を仰います!こんな贅沢な物ばかりを用意して頂けて、本当に宜しいのでしょうか?」

 見ず知らずの自分達に、此処迄のもてなしをしてくれて、大丈夫なのかと心配に成る凰哦が、慌てて聞くと

「これくらい、如何って事無いわね。お遍路さんでよ〜慣れとるけぇね、心配せんでもえぇよ?」

 と、大した事では無いのだと、老婆は答える。

「そ、其うですか…。其れならお言葉に甘えて、頂かせて貰います…」

「え〜ぇっ、其うしてくれりゃ〜えぇから。そんじゃ私ゃも一緒に、お昼を食べさせて貰うわね」

「あっはい是非…」

 老婆の申し出に、素直に承諾する凰哦。

 全員席に着いたのを確かめて、老婆が其々に、ご飯と味噌汁をよそって渡して行く。

 其の行為に全員が

「「「!!!???」」」

 驚き、言葉を失うのだった。

 何故ならキューの前にも、平然とご飯と味噌汁を並べたからだ。

「エッエッエッ…おおお、お婆さん…!?」

 やっとの思いで凰哦が言葉を口にしたら

「ほぃ?何惚けとるんよ?ささっ早よ食べなさいな」

 と言って、また其々に取り皿を配る老婆。

 平然と物事を進める老婆に、呆気に囚われながらも、老婆の行動を見ていたら、また1つ、違和感を覚える凰哦達。

 ご飯と味噌汁に、取り皿の数を数えると、此処に居る人数より1つ分多く、並べられていたのだ。

 誰もが“ん?えっ?”と成った時

「あれま、ま〜だ寝とるのかね、()()()は…。お前さん達、ちょっと待っといてな〜。もう1人ご飯に呼ぶけぇ、一緒に食べよかね?」

 此処でまた、誰もが“もう1人!?”と成り、黙ったまま頷く。

「ありがとうねぇ〜、そんじゃ呼ぶはね〜。お〜いでい太〜、ご飯やよ〜。早よ来んと、ご飯冷めるよ〜!早よ来んしゃいなぁ〜」

 大きな声で、もう1人のでい太と言うモノを呼ぶ老婆。

「早よ〜でい太〜!」

 もう1度、大きな声で呼ぶと

「お婆〜分かったっちゃ〜、今行くっちゃね〜」

 と、奥の部屋から少しの太い声が聞こえて来た。

 暫くして、居間に入って来たのは、人に成らざるモノだった。

「「「!!!」」」

 驚きの余り、全員がフリーズする。

「さっでい太、皆さんに挨拶して、早よ食べよ?」

 老婆が其う“でい太”に催促すると

「如何も、俺、でい太っすわ。宜しく」

 ペコっと軽く挨拶し

「頂きます」

 と、パクパク食事を始める。

 唖然としたまま、老婆とでい太を見る一同。

「皆んな如何したんかね…早よ食べな?折角のご飯が冷めて仕舞うさね…」

 至って普通に過ごす2人に、未だ固まったままの凰哦達なのでした。

 この状態は、未だ暫く続くでしょうね…。

 夏が終わりましたね…。

 何時の間にか、蝉の声も聞こえなく成り、所々で鈴虫が鳴き始めてます。

 って言っても暑い!全然涼しく成らやしないやないの!

 だ〜れだ!?太陽を創り出したのは!

 出て来い!

 っとね、ちょっとばかり文句を言いたいっすね…。

 誰か地球を太陽から、少し遠去けてくれないっすかね〜。

 そんな愚痴を言いながら、次話を待っててとお伝えします。

 次話では、気に成る?新たなキャラがどんなモノなのか、分かる筈です。

 だからね、マジ次話を待っちょいて下さいね。

 マジで…へへ…。

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