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キューと僕の思い出日記  作者: 喜遊元 我可那
新たな出会いと別れの準備
54/64

旅支度2

 今回、其れ程間を空けずに投稿出来ました。

 そんな報告は良いとして、如何ぞ早く続きを読んで下さいまし。

 では如何ぞ〜。

「ねぇ蓮輝お兄ちゃ〜ん、確か隆志お兄ちゃんと結婚するんだよね?」

 と、突然核弾頭発言をするキュー。

 其の言葉に暫く間を置き

「「「エエエエェェーーーーッ!?」」」

 と、声を揃えて驚く一同なのでした。

「ちょっちょっとちょっと!キュー!けけけ結婚こんこんって、ととと突然、ななな、何言い出すのさ!!」

 驚き過ぎて、言葉が上手く言えない蓮輝。

「ハアーッ!?ねえちょっとダーリン!結婚って如何言う事!?」

「いやぼぼぼぼ僕…」

「何焦ってるのよ!…ったく、この状態じゃ埒があかないわ…。ねえ坊ちゃんメガネ!アンタ、私のダーリンと婚約してたの!?如何言う事なのか教えなさい!内容によっちゃ〜、只じゃ置かないわよ!?」

 ヒートアップして行く寵。

「ん!?ちょっと坊ちゃんメガネ!アンタ何顔を赤くしてるの!?えっ…マジで結婚する…」

「ち、違うから!僕と蓮輝君とは……けっ…結婚しないから!」

「あん!?…ねぇ今何故一瞬変な間が有ったのよ…」

 そりゃ其うだ…。

 何故なら2人の出会いは、隆志の結婚申し込みの告白なのだから…。

「べっ別に何でも無いから!ってかさ、何時迄僕の事坊ちゃんメガネって言うんだよ!ちゃんと名前で呼ばない失礼な人には答えないから!其のつもりで!」

 負けじと言い返す事で、寵の追及を逃れ様とする隆志。

 其処に

「なぁキューの坊ちゃん、河橋の大将とこの隆チッチの事、何か知ってるのかい?」

 と、片平がキューに尋ねる。

「うん知ってるよ〜」

「おおっ!?其うなのかい?其れじゃ〜詳しく教えてくれねぇ〜かな?OK〜?」

「良いよ〜!えっとねぇ〜隆志お兄ちゃんがね、蓮輝お兄ちゃんにね、結婚してってね、言ったんだって〜。でね、蓮輝お兄ちゃんがね、えっと〜お付き合い?っての?してって言ったの〜。でね、蓮輝お兄ちゃんと隆志お兄ちゃんがゲギャッ!?」

 其れ以上言わせない為に、キューの口を塞ぐ蓮輝と隆志。

「キキキキュー!ちょっちょっと、ななな何言い出すんだ!?」

「そそそ其うだよ!キュ、キュー君!其れ以上は言わなくて良いからね!」

 焦る2人。

 だが時既に遅し…。

 ガガンッ!!

「「アブ死っ!」」

 容赦なく寵の鉄白豆腐を喰らう蓮輝と隆志。

「「ウゲッ…」」

 更に夜叉の目を向け、寵に胸ぐらを掴まれる蓮輝と隆志。

「………私、嘘とかマジ嫌いなの……。正直に言わないと…幾らダーリンでもね、容赦はしないわよ?…良いっ!?」

「は、はい…」

「オイコラ…坊ちゃんメガネ…。ちゃんと名前で呼ばれたいなら、如何言う事か素直に話しなさい…。事と内容によっちゃ〜、アンタ…生かしちゃおかないからね…良い?分かったかしら?」

「うぃっ…は、はい…」

 寵の脅しは、此処に居る誰よりも強力で、一同に恐怖を植え付けるのだった。

「其うそう素直に言っちまえよ、河橋の旦那と隆チッチよ〜♪」

 何処か楽しそうな片平。

「其うよね〜、私も知りたいし聞きたい♡」

 流石バカップル、仲上迄もが片平と同じ思考をしているみたいだ…。

 更に

「私、2人が病院で会った時からね、如何言った関係なのかって、ずっと気に成ってたのよね〜」

 とまぁ、余計な一言を付け加える始末。

「ちょっと…其れって如何言う事なのかしらねぇ…。これはマジ詳しく聞かないとね…。へい凰哦兄!此処に机とテーブルライトを用意!努パパは聴取の補佐よ!良い!?今から2人を聴取するからね!」

 寵に言われるまま、取り調べ用の机とテーブルライトを用意する凰哦。

 簡易の警察の聴取室が完成されました。

「其れじゃ後は、カツ丼2つ用意してよね。じゃあ早速始めるわよ…良い…?」

 そしてまた言われるまま大人しく、用意された椅子に座る蓮輝と隆志。

 部屋の電気を消し、テーブルライトを容疑者の2人に浴びせる寵。

 其処にカツ丼をそっと出し

「お腹空いてるんでしょ?ほら出来立てのカツ丼よ…食べなさい…。そして素直に白状するのよ?良い?」

「「うぅ…はい…」」

 涙流して、カツ丼を頬張る蓮輝と隆志…。

「ってアホかーーー!!何古い刑事ドラマしてんだよ!真面目にしないか!」

 思わずツッコんで仕舞う凰哦。

 ガツンッ!

「ホグ死!」

 また寵にトドメを刺される凰哦。

「いい加減覚えなさいよ、バカ凰哦兄…」

 冷たい視線を向ける寵。

「ブッ…ブアッハハハハハハハハッ!アヒィーアヒィー…アハハハハハハ…笑…笑えるぜ…ブハハハハハッ」

 ガツンッ!

「ゲキ死!」

「努パパ…ウッさい!静かに出来ないなら沈めるわよ!?」

 …育ての親にも容赦ない寵なのでした…。

「で?如何言う事なのかしら…?」

 鋭く冷たい視線に耐え切れず、事細かに全ての経緯を話す蓮輝と隆志。

 2人の出会いや、其れぞれの幼少期からも話した事で

「何とまぁ〜隆志君にも、あの時語らなかったそんな過去が有ったのか…」

「不思議と此処に居る人達って、何かしら凄いバックボーンを持ってるわね…」

 正樹と美砂が、驚きのため息をつきながら言う。

「隆志君の初恋が蓮輝君だった何てね〜、何だか…不憫よね…」

 仲上が可哀想に…みたいな事を言うモノだから

「ちょっと努パパの彼女、其れって如何言う意味!?ダーリンを好きに成ったら不憫なの!?其れじゃぁ私もって事に成るのだけれど!?」

「其うだそうだ!コイツは腐ってもオレの可愛い甥っ子何だぞ!?ずっと溺愛して来た俺も不憫なのか!?」

 寵と凰哦に反発された仲上。

「ちょっちょっと待って!其う言う意味じゃ無くて、違うからね!?」

「何が違うのよ!」

「其うだ!何が違うってんだよ仲上さん!」

 グイグイ詰め寄る2人に

「本当に違うから!…まぁ正直篠瀬さんのはちょっとね…引いちゃうけど…。自ら溺愛って…ね…」

「確かに無いわ〜。凰凰の思考…所々バグってるよな…」

 仲上が引き気味で言い、其れに追順する片平。

 正樹と美砂も、“うんうん”と頷いていた。

 其れを見た凰哦は、何時も通りに崩れ落ちてくれる。

「情けないわ…凰哦兄…」

「本当、其う言うの止めてよ!この年でそんな事言われると、メッチャ恥ずかしいんだけれど!?」

 新カップルの蓮輝と寵が、共同で凰哦にトドメを刺しました♪

 ピクピクしながら意識を飛ばす、生きた屍の凰哦を放置し

「で?私は如何違うのよ?」

「えっ〜とね、隆志君の初恋の相手が、女性だと思ってたのに、本当は男性だっただなんて知ったら、私だったら自分自身にショックを受けると思ったのよ…。あれ?自分は同性が好きなの?みたいにね…。貴女や私達は、初めっから彼が男だと知ってたけれど、隆志君は、其うじゃ無かった訳だしね…。貴女も彼を叩いてから男性だと知ったのよね?」

「…其うだけど…」

「でしょ〜?だから不憫だな〜って思ったのよね…」

 チラッと隆志を見て、仲上が言う。

「…ほら…初恋って、特別じゃない?」

「えぇ…」

「彼の場合、其の初恋が蓮輝君だった訳で、早々と大失恋した上に、今後、女性を好きに成るのか、男性を好きに成るのかも、全く分からないじゃない…。もしかしたらこの先、誰も好きに成れないのかも知れないって思ったのよ…」

 其れが、仲上の思った事全てだった…。

「今は篠瀬さんに夢中らしいけど、それは」

「ちょっと待って!エッ!?何なに!?隆志さん凰哦さんラブなの!?」

「えっ!?其うなの坊ちゃん…じゃなかった、宮津 隆志!?」

 仲上の話を遮り、前のめりで聞く2人。

「何だ?知らなかったのか?大将が昏睡してた辺りから、コイツらラブラブ何だぜ?」

「確かに2人は、仲がとても良くなったよね、あの一件以来…」

「其うよね〜、凰さんも隆志さんの事大好きオーラ出しまくりですからね〜」

 とまぁ、全員公認の仲に成っているみたいなのだ。

「で、本当に其うなの!?其れなら僕的に、メッチャオモロいんだけれど!」

「其れが本当なら、貴方とダーリンの取り合いしなくても大丈夫よね。…ん?でもさ、失恋した途端に、其の身内にって…貴方、背徳感は無いの…?」

 なぁんて感じで、其々が好き放題に言っとります。

 プチッ…

 バアァーーーンッ!

「皆んな…いい加減にしなよ…」

 目の奥底から怒りの眼光を光らせ、机を思いっ切り殴る隆志。

「全員マジ、呪いをお見舞いするよ?」

 屍凰哦以外を睨み付け

「全員直ぐさま正座!アンタもだ…組家 寵さんよ…」

 初めて見せる隆志のマジ激怒に、気の強い寵も

「ははは、はい…」

 と従って、正座をするのでした。

「本当、其々好き勝手に言っちゃってくれて…マジ何なの?暴力振うのってさ、最低な事だから嫌い何だけれど、今なら喜んで全員殴り倒そうかってさ、そんな衝動にかられたよ…」

 本気で怒る隆志に其々が

(((あの抓りは、暴力何じゃ無いっすかね?)))

 と、誰もが思ったのだが

「ちなみに僕の抓りは、暴力じゃ無いからね?()()()()だからね?其処を履き違えちゃダメだから…良い?」

「「「……はい……」」」

 簡単に、心を読まれる一同。

「僕はさ、以前に凰哦と片平さんには言ったんだけれど、僕にとって此処に居る皆んながさ、キラキラした宝物何だよね…。だからさ、其の為ならどんな事でも出来るししたいし、するつもり何だよね…」

 少し悲しげに話す隆志に、罪悪感で表情が曇る一同。

「唯凰哦にだけはさ、他の誰にもして無い約束をしてるし、未だ言えない事も含めてさ、特別なだけ…」

「えっ?其れってLoveって事何だろ?違うのかよ…?」

 と、片平が“?”と成って、誰もが思った事を聞くのでした。

「…違う…と思う…」

 少し間をあけ、考えて出た答えが“違う”でした。

「いやいや其れって既に、Loveだろ?Likeじゃ無く…」

「だから違うっていってるでしょ!…確かにLoveは有るよ?其れは認めます。多分凰哦も僕の事、Love的感情を持ってくれてるとは思うけれど、別のLoveだと断言するよ…」

「ん?隆志さん、別のLoveって…如何言う意味なの?」

 蓮輝が、意味が分からないと聞くのだ。

「其れは、おいおい分かると思うよ…。でも今言えるのはさ、君達みたいに結婚したいとか、片平さんや仲上さんの様な、()()()()()のLoveじゃ無いって事。今言えるのはさ、僕が凰哦にしなきゃいけない義務と使命が有るって事だけしか言えないんだよね…。多分凰哦も同じだと思うよ…。今言えるのはさ、其れくらい何だよね…。分かってくれるかな?」

 程良く毒を織り交ぜて、其う答えるのだった。

 隆志の言った意味をちゃんと理解するには、此処に居る全てにとっては理解し難く、困惑するのでした。

「まぁ理解し難いだろうけれど、その内分かる筈だから、其れ迄頭の片隅に置いといてよ。だからね、余り僕達を揶揄わないでくれる?今後も揶揄うのなら…分かるよね?其の身が如何成るのか想像してよね?OK?」

 冷たい視線で睨まれる一同は、コクコクと只頷くのでした。

 其れ程に、今回の隆志の気迫は恐ろしく、鬼気迫る感じなのです。

 何しろ怨念を上乗せ出来る、強力なアタッカーなのですから…。

「う…う〜ん…何だ…如何したんだ皆んな…。やけに大人しく正座して畏まって…」

 生きた屍から生還した凰哦。

 其の凰哦に

「い、今ね、たたた隆志さんから凰さんと隆志さんに付いて、お叱りを受けてたの…」

 と、美砂が簡単な説明をします。

「ん?えっ?…其う何ですか?」

「そそそ、其う何だよ凰君…。ちょっと調子に乗っちゃって、全員もれなくお叱りをプレゼントされてたんだ…」

 隆志にビビる正樹が、更に追加で答えると

「其うなのか隆志?」

「……まぁ嘘じゃ無いけど…」

「其うかぁ〜、此処最近ずっと揶揄われてたからなぁ〜。ありがとう隆志♪俺の為に色々してくれて、本当ありがとうな!大好きだぞ隆志♪」

 と、ハグをして頭を撫でる凰哦。

「ちょっ!ちょっと皆んなの前で止めてよね!だから誤解を招くんだよ!(…でもちょっと嬉しいけれど…)マジ止めてよ凰哦!」

 顔を真っ赤にしながら、凰哦を引き剥がす隆志。

「えぇ〜…何時もの事だろ?何を今更…」

 不思議其うに不貞腐れる凰哦。

 ハァ〜…とため息を吐き

「僕達愛し合ってるって、全員が思ってるって言われたばかり何だけれど!?凰哦は其れで良いの?凰哦自身、そんな気持ち無い筈でしょ?違う?」

 と、呆れた風に言われ

「あっ……」

 と成る凰哦なのでした。

「多分、蓮輝君なら共感してくれるんじゃないかな?」

「えっ僕ぅ!?」

「うん其う…」

「えっえっえっ!?ななな何で?」

 此処でもまた、ため息を吐きながら

「知り合った頃の2人はさ、蓮輝君、凰哦によくハグや頭を撫でられてたよね…。此処最近はさ、少なく成ったけれどもね…」

「あっ…確かに其うだった…」

「だから共感出来るって言ったんだよ…」

 蓮輝と凰哦を交互に見ながら

「凰哦のこの行動ってさ、()()()()と思えるモノに対してやってる事だと思うよ…。特に心を開いて溺愛する対象にだけにね…。身に覚え…有るでしょ?…蓮輝君…」

 其処迄言われて

「確かに其うだ!凰哦さんって、そんな人だったよ…」

 と、隆志の言葉に酷く納得するのでした。

「只最近、其の対象が僕に成っただけ…」

「えっ…何で?…」

「だって蓮輝君、本当に余命僅かなの?ってくらい、無茶するでしょ?」

「あ…あうぅ…」

 隆志に言われると、反論する言葉が出て来ない蓮輝。

 本来の隆志は、生真面目で誠実が服を着て歩いてる様な、お堅く正論を的確に語る人物なのでした。

 なので誰も、隆志に言い返せなかったりするのでした。

 そんな隆志に言われたモノだから、蓮輝は何も言えずにいるのです。

「そんな所にさ、僕が凰哦の心を守ってるからさ、凰哦もついつい心許して、僕を身内としての溺愛対象になっちゃったんだと思うよ…」

 其れを聞いた一同が“成る程!”と、納得するのでした。

「なので組家さん、今の僕には(やま)しい事や、後ろめたい事は一切無いから、安心して蓮輝君とお付き合いしてよね。分かった?」

「……えぇ……」

「分かってくれたなら、もぅ正座はしなくて良いから…。皆さんも今後僕達を揶揄う事しないって約束出来るなら、正座とお仕置きは無しにします。さぁ立って立って」

 と、此処に居る誰よりも大人な隆志なのでした。

 だが…

「ん?何故立ち上がらないんですか?片平さん」

 ビクッとして、滝の様に汗をかき始める片平。

「……片平さん…アンタ…もしかして…」

 隆志の険しい目に、ひたすら汗をかきながら

「あっいや、だっだってよ…」

「んん!?エッ!?何!?ボソボソ小さな声で言ってないで、ちゃんと答えてくれませんか?ねぇ片平さん!」

「ははは、はいっ!言います!……オ…オレちゃま…約束出来そうに無いなぁ…ってさ、思っちまったんだよな…」

 約束出来ないと言う片平。

「何でですか?」

「いや、ほら分かるだろ?オレちゃまの性格…」

 其の言葉で、全員が“あっ成る程…分かるわ”と、無言で納得するのでした。

「オレちゃま…悪ふざけや弄りが大好物だからって言うか、生き甲斐だからよ、あっこりゃ無理だわ…って思って、今の状態なのよ…OK?」

「ダメだわ、このオッさん…」

 如何言う訳か、片平には毒を吐きまくる隆志。

「ちょっと、人の親に何言ってくれてんのよ!って言いたいけれど、私も同意見だし、もぅ好きに罵ってくれて良いわよ。皆んなも罵って上げてね!其うしないと、折角出来た彼女さんにも悪いからね…」

 寵の許しにより、誰もが片平を罵れる事に成りました。

「ちょっ…其れ酷く無いか!?」

「何言ってんの?努パパの方が酷いわよ!努パパの奇行で1番被害を被るのは彼女なのよ!?其れ分かってる?」

「メグちゃん…」

 寵が自分の心配をしてくれてると知り、感動で涙ぐむ仲上。

 なのに

「このミッミには悪いけど、この歳迄この性格何だぜ?オレちゃま、守れない約束は出来ねぇ〜よ…」

 と、情けない事を抜かす片平(バカ)なのでした。

 なので

「仲上さんだったわよね?こんなアホ男、さっさと別れちゃいなさいよ…。見捨てて次の良い男見付けなさいな」

「えぇ其うするわ…」

 寵の言葉に、コクンと頷く仲上。

「おいおいおい!ちょっと待ってくれよ〜!オレちゃまと別れるってのか!?」

「えぇ其うよ?其のつもり…」

「マジかよ!?オレ、マジこのミッミの事しか愛せないんだよ!だから別れるとか悲しい事言わないでくれよ〜!お願い頼むからよ〜!」

 泣き付き縋る片平に

「私はね、貴方とずっと一緒に居る為に、色々と変わって来たのよ?本当はバカな事とか、全く縁の無い人生を送って来たの。其れなのに貴方って人は、出来ないじゃ無く、やらないだけじゃない!やろうとしてないだけじゃないの!約束出来ないからじゃ無くて、やろうと努力しますとか言えない訳!?折角名前に()って入ってるのに、名前負けしないでよ!もっと頑張ってよ!」

「あっ…うぅ…はい…」

 仲上の説教を初めて聞き、素直に従う事にした片平。

「本当に手間の掛かるパパだわ…。其の点、私のダーリンはしっかりしてるわよね〜、ねぇ其うでしょ?ダ〜リ〜ン…」

 また突然、話を振られた蓮輝は

「あっうんうん其う!勿論其うそう!」

 と、高速頷きで答えるのでした。

「だよね〜♡って事だから〜凰哦兄〜、し・き・じょ・う、良い所紹介してよね」

「ゲッ…」

 凰哦の言葉に寵は、鉄白豆腐をブンブンさせながら

「ゲッ?ゲッて何?ねぇねぇ凰哦兄〜?」

 と、ニッコリ笑ってくれました。

「いい加減そ、其の脅し方止めなさい!メグちゃん!」

「止めて欲しければ、素直にお願い聞きなさいよね!」

 高圧的に言う、寵の其の言葉に

「本当いい加減にしないか!」

 と、怒り心頭に成る凰哦。

 今迄注意はされても、本気で怒らせた事が無かった寵は、ビクッと驚き固まる。

「メグちゃん、如何して何時も上から目線でモノを言うんだ!?そんな相手に、大事な甥の蓮輝をやる訳にはいかん!」

 超マジな顔付きで怒鳴る凰哦。

「メグちゃん、君がそんな調子で病人の蓮輝を振り回されては困る!バカキューのご加護で何とか持ち堪えてるのに、アレコレ好き勝手に振り回されちゃ敵わないんだ!」

 厳しい目で言う凰哦に

「わ、私の好き勝手にだなんて…し、してないわよ!」

 と、答える寵。

「なら何だって言うんだ!?其れにメグちゃんは、本気で蓮輝の事を愛してるって言うのか!?誤魔化しや適当な嘘は一切無しで、ちゃんと答えなさい!」

「………」

「答えないか!」

 覇気を纏った怒号に、此処に居る全員がビクッと成る。

「何だ!?答えられないのか!?答えられないのなら」

「私はちゃんと好きよ!…唯、愛してるのかって聞かれると、心の底からは未だ無理だけれど、私本気で彼の事好きなの!其れだけは分かってよ!お願いだから!」

 顔を赤らめて、震えながら答える寵…。

「唯ね…唯ダーリンに少しでも多くの思い出と…証…を残して上げたかったのよ…」

「…思い出と証?」

「…うん…。だって…余命僅か何でしょ?」

「……あぁ……」

「だからね…ダーリンにはさ、少しでも良い思い出と、生きた証をカタチにして、残して上げたかったのよ…」

 そんな事迄考えての発言だったのだ…。

「メグちゃん…ありがとう…。僕、今とても幸せで嬉しいよ…」

「ダーリン…」

 寵の想いに、これ迄味わった事のない感動を覚えた蓮輝。

 其の2人を見て、目頭が熱く成る凰哦と一同。

「……メグちゃん、其れが本当の気持ち何だな?」

「…うん…」

「そっか…其れなら良い…。只振り回すだけじゃ無いって事だけでも分かって、俺は嬉しいよ…。でもな、思い付きで行動する其の性格治さないと、周りだけじゃなく、メグちゃん本人も辛く傷付く事になるんだぞ?分かるか?」

「………」

 凰哦の言いたい事を理解し、無言で答える寵だった。

「蓮輝、お前も結婚したいと思ってるのか?」

 真剣な眼差しで言われ、蓮輝は

「…うん其うだね…。僕も…願いが叶うなら、メグちゃんと結婚したいと思うよ…。凰哦さん…」

 自分も寵と結婚したいんだと言う。

 其れが蓮輝の答えだった。

「其うか…分かった…。其れじゃ2人を祝福しよう…。結婚したいのなら、式を挙げなさい」

 先程迄の怒りは無く、穏やかな顔をして、笑って許す凰哦。

「えっ…良いの?…本当に良いの?凰哦兄…」

「…あぁ…」

「マ、マジで良いの?凰哦さん…」

「あぁ、良いって…。だから、心から祝福してやるよ」

「本当に?」

「本当だから!…ん?何だ?嫌ならしなく」

「するするする!私達結婚するから!」

「ぼ、僕もする!ありがとう凰哦さん!」

 先程迄の険悪なムードが一変し、今度は暖かなムードが漂って来た。

「あははっ2人が心から喜んでくれるのなら、俺は何もこれ以上言わないでおくよ。だがな、この先辛い未来が待ち受けてるのだから、其れを吹き飛ばすくらいに、幸せに成ってくれよ?お願いだから…」

「うん!分かった!」

「はい、其う努めます…凰哦兄…」

 これで目出たく2人は、結婚をする事が許されました。

 キャッキャと仲睦まじくしている2人を見てた正樹達も、涙ぐんで喜んでくれました。

「良かったね、蓮ちゃん」

「えぇ本当に…」

正樹と美砂が祝福を述べ

「「「おめでとう〜蓮輝お兄ちゃん、寵お姉ちゃん

」」」

 子供達も祝福してくれました。

「良かったわね…羨ましいわ〜」

 仲上がフフフッと笑って言うと

「なぁこのミッミ、オレちゃま達も結婚…しねぇ〜か?」

 と、片平がプロポーズするのです。

「…エッ!?…」

 驚く仲上に

「実はずっと前からさ、結婚しようってプロポーズをしたかったんだが、何せオレちゃま、年齢が年齢だろ?…こんなオヤジを相手に結婚したらさ、このミッミの未来を駄目にしちまいそうでさ…中々言い出せなかったんだ…」

「努…さん…」

 頭をポリポリ掻きながら

「で、俺からのプロポーズ…受けて貰えるかな…」

 顔を赤くして、震えながら尋ねる片平。

 何時もの冗談めいた感じは一切無く、本気で問う片平…。

 其の姿を見た仲上は、両手を口に当てて涙し

「はい…喜んでお受けします…」

 と、プロポーズを受理しました。

「だけれどもねさっきも言ったけど、出来ないじゃ無く、出来る様に頑張ってくれなきゃ…婚約取り消すからね…良い…?」

 震えた声で条件を言う其の顔は、涙を流しながらも、幸せそうな表情をしていた…。

「ああ任せてくれ!この約束は絶対守るから、だから俺と結婚してくれよな!OK?」

「フフフッはい、OKです…」

 こうして此処にも新婚さんが、誕生する事に成りました。

 2組のカップルがゴールイン確定し、拍手が巻き起こる中

「其れじゃ2組同時に結婚式挙げたら如何?」

 と、隆志が提案すると

「だな、うん其れが良いだろ!式場もさ、此処で身内だけでするってのは如何だ?」

 みたいな感じで、凰哦が追加提案しました。

「良いね其れは!是非其うしたら良いよ蓮ちゃん、メグちゃん」

「其うそう!其れが良いわね♪其うしちゃいましょ?別に豪華な式を挙げなくても、心から祝福してくれる人達だけに祝って貰えるだけでもね、嬉しいモノだものね」

 正樹と美砂が嬉しそうに、賛同するのでした。

「蓮輝君と組家さんに、片平さんと仲上さんは如何したいですか?」

 隆志が其う確認すると

「僕は其れで充分だけれど、メグちゃんは如何なの?」

「私も其れで充分よ♪でもある程度式場らしく、装飾してくれたらね〜」

「あははっだってさ〜。で、僕達はOKだけれど、其方の劇薬カップルさん達は如何なの?」

「劇薬って…貴方覚えてなさいよね…。まぁ私も別に文句は無いわね…。あっでもウェディングドレスは着たいわ〜♡」

「オレちゃまは、このミッミが良いのなら余裕でOKさ〜!…でもよく考えてみたらよ、合同結婚ってやつだよな…。しかも娘と一緒にってのは、面白くて笑えるよな!アハハハハハッ」

 と、こんな感じで上手く纏まるのでした。

「其れじゃ善は急げだ!2組今直ぐ婚姻届を出しに行って来なさい。其の間に、此処を式会場としてプランを練っておくから」

 嬉しそうに4人に指示を出す凰哦。

「うん其うするね!」

「ありがとう凰哦兄〜」

「ありがとうございます、篠瀬さん…」

「其れじゃちょっくら届けに行ってくるわ」

 と4人、嬉しそうに役所に向かうのでした。

 これから少し忙しく成ると思うと、張り切る凰哦と隆志達。

 部下に直ぐさま連絡を取り、結婚式のプランを幾つか用意をする、そんな幸せを噛み締める一同なのでした。

「あれぇ〜?蓮輝お兄ちゃんとね、隆志お兄ちゃんだけじゃなく、ガハハオジちゃんとプニプニお姉ちゃんも、蓮輝お兄ちゃんと結婚するの〜?」

 と、未だ意味を分かっていないキューなのでした…。

 違うからねキュー。

 今度はしっかりと、意味を教えて上げて下さいよね…。

 頼むね凰哦パパさん。

 如何でしたか?

 次話に、結婚持ち越し感満載で終わりました。

 さてさて、次話はどんな内容になるか、大体の方は予想付くでしょうね〜。

 まぁ、予想通りの内容に成るのか思い描きながら、次話をお待ち下さいませ〜。

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