旅のしおり2
取り敢えず先に謝っておきます。
ゴメンなさい!
何に謝ってるのかは、読んでから確認して下さい。
では、本編を如何ぞ〜…。
ウケケと1人、病室で楽しそうに、凰哦達のお見舞いを待つ蓮輝。
午前の点滴も終え、昼食も食べ終え、軽く昼寝をし、午後の点滴もそろそろ終わりに近付いたのに、誰1人として、お見舞いにやって来ない…。
始めはしてやったり!と、思っていたのだが、此処迄遅いと、直ぐにやって来る筈だと考えた思惑が外れ、イライラが募ってくる。
既に午後の点滴も終わり、そろそろ夕食の時間迄、後僅かと成った頃
(あれ?何で誰も来ないの?…僕の予想だと、既にバカヤローと言いながら、お見舞いに来てた筈なのに、何で皆んな来ないんだよ…)
と、思い始めていたら
(エッ!?もしかして、マジで誰も来ないつもりなの!?お見舞い禁止を受け入れる程、皆んなマジで怒ってる?………まさかそんな事無いよね?………エッ?ウソでしょ!?ハハッまさかそんな事……ヤバい!!マジ怒してたら、マジヤバい!!)
しっかりと凰哦の策に嵌り、心底焦りだす蓮輝君なのです。
ビクビクし始めた時…
ガラッ!パーーン……
勢い良く、個室のドアが開かれた。
「!!」
ビクッと、一瞬宙に浮く蓮輝。
ツカツカツカ…
「アハハハハッ!」
満面の笑みで高笑いしながら、蓮輝のコメ噛みをグリグリする片平。
「イタタタタタタタタタッ!なな、何するのさ!い、いきなりコメ噛みグリッイタタタタターー!!」
余りの痛さにジタバタするが、許される事は無く
「ん〜?言っただろ〜!笑いながらグリグリしてやるってな!如何だ!?嬉しいだろ〜?河橋の兄ちゃん。アッハハハハハハハー!!」
笑ってはいるが、目は本気モード。
「痛い痛い痛いって!誰が嬉しいもんなんだよ!こんな事されて、喜ぶ程マゾじゃ無いからね!って、痛い〜〜〜!!」
全く止める気が無い片平のお仕置き。
涙目に成って、青褪めて行く蓮輝。
パキィン…
「痛………あっキュ〜ゥ……」
蓮輝の頭部から、ちょっと?嫌な音がしたかと思えば、そのままグッタリ昇天しちゃいました。
「片平さん片平さん!抜けてる抜けてる!蓮輝君の魂が抜けて来ているから!其処迄にして上げて!」
「エッ…マジ!?」
「マジだから!あっ!ちょっと待って待って!バイバイ手を振らないでー!蓮輝君!」
「蓮輝お兄ちゃん、バイバイしてるけど、何処行くの〜?」
隆志とキューが、抜けて行く蓮輝の魂を見上げております。
其れを見た凰哦たちは、一斉に血の気が引くのでした。
「ありゃ…何時もの演技かと思ったぜ…。だから遂加減するの忘れてたわ…」
両手で蓮輝の顔を掴み、やらかしたと焦る片平。
「蓮輝君!ダメダメ!未だ逝っちゃダメだよ!カンバーック!」
本気で焦りまくる隆志を見て
「ありゃ?こりゃマジ息してね〜な…。しゃあ〜ねぇ〜、こんな時って確か…人工呼吸?だったよな…」
「「「エッ!?」」」
其れを聞いた一同を他所に、至って普通に人工呼吸をしようとする片平。
「ちょっ!オッサン!!」
思わずオッサン呼びし、止め様とする凰哦に
「ん?」
と、振り返った瞬間
「こんボケがあーー!!何しようとしてくれてんのさ!この劇薬め!」
と、意識を取り戻した蓮輝のアッパーが、片平に超強烈炸裂です♪
「ホグゥ!!」
見事な一撃で、倒れる片平に向け
「僕のファーストキッスを奪うつもり!?絶対劇薬のアンタなんかに、奪わせるつもりは無いからね!この劇薬片平めがぁ!」
と、思わず衝撃事実を発表しちゃいました。
「フウーッフウーッ……」
息を荒くした蓮輝のカミングアウトに
「えっ……未だファースト…無し?…」
と、其々が驚いています。
「!!」
思わず自分の言った言葉に対し、隠していた事を知られて仕舞い、恥ずかしさで真っ赤になる蓮輝。
其れと同時に芽生える殺意。
「このバカ平ー!アンタの所為で、誰にも知られたくない事、皆んなにバレちゃったじゃん!如何責任取ってくれるのさ!このバカ平〜!こうなりゃアンタを殺して僕も死んでやる!」
などと泣きながら、片平の首を締め上げる蓮輝なのです。
ツカツカツカ…
“必殺!凰ピ〜〜ン!”
パチィーーン…
はい!見事、無事炸裂です♪
「ホギャア!………ポテ…」
ランラ〜ララ〜ランランラ〜…ラン〜ラ〜ララ〜ラ〜…♪
何処からとなく、悲しい調べが聞こえて来た…。
如何やら蓮輝に、お迎えが来たらしい…。
サヨナラ…蓮輝…。
「こんドアホッ!!何迫真の悪ふざけしてんだ!!シャレにならんわ!!ってかバカキュー!アンタも何ノリノリで、蓮輝の言う事聞いてんじゃねーよ!!こんな演出要らんわ!!」
ー ウヒッ! ー
しっかりと、“キュー”もこのバカ演出に、絡んでる事を指摘する凰哦。
「蓮輝…お前本気のデコピンお見舞いしてやろうか…?」
「イッ!?」
「其れとも、スペシャルハード調教コースが良いのか?」
マジ切れしている凰哦。
「何方が良い?…其れとも、両方ご希望なのかな?エッ?」
「あっ…いや…えっと…」
しどろもどろの蓮輝。
「其れと、おいバカキュー…。アンタにも、同じ事してやろう…。喜べ…この3択から好きなの選ばせてやるから…」
ー 嫌イヤイヤ〜!我関係無いもん!選ばないもん! ー
「関係無いだと?しっかりバカ演出手伝ってたじゃないか!何処が関係無いんだよ!」
ー あうぅ…。だっだってこの何様偉様がさ、我の力を幾つも奪ってるんだもの…。返して欲しければ、何様偉様を手伝えって脅してくるんだもの… ー
其れを聞いた凰哦達は、蓮輝の底無しの悪戯に、呆れ果てて仕舞う…。
其れは、神様も同じだったみたいで
ー 其の者よ構わん、この大うつけに全てを施せ…。余が許す故… ー
と、神様のお許しが出ちゃいました♪
「喜んで!仰せのままに!って事だ…。覚悟は良いな?」
ー ヒイィィ…勘弁、勘弁なのよね〜! ー
「ぼぼぼ僕も勘弁〜!!」
「フヘヘェ〜!其れは出来ん!さぁ観念しろよなぁ〜♪」
調教お仕置き夜叉様降臨です♪
凰ピンの素振りが、モノ凄い音を立ててます。
ボブシュッ!ボブシュッ!ボブシュッ!
其の音に、恐怖で声が出ない蓮輝と“キュー”。
「さて、デコピンはメインに置いといて、先ずは調教からだな…。鶴は千年、亀は万年と言うからな…。それじゃ手始めに、其々、千羽の鶴と万匹の亀を折り紙で折って貰うか…」
其う言うなり、携帯を取り出し
「………あっ私だ。済まないが、大至急折り紙を4万枚分、病院に届けてくれないか?其れも出来るだけ早くお願いしたいんだが…。悪いが宜しく頼むよ」
と、部下に連絡するのでした。
「よ、4万枚!?ちょっちょっと凰哦さん!其れ、計算間違ってない!?僕とこのバカ神キューの分合わせてもさ、2万2千枚何じゃないの!?」
既に“キュー”の事を、敬う必要無しと位置付けたのか、蓮輝もバカ神呼び確定している様です。
ー ちょっと!もう少し敬ってよ!失礼にも程が有るよ!口の聞き方成って無いよ!本当、育ての親の顔が見たいよ!って、あはっ目の前に居るのよね〜♪ゲヘゲヘェ〜 ー
其の一言で、膝から崩れ落ちる凰哦。
「……おいバカキュー…言いたい事は言えたか?…ヨシ、良く理解した…。フフッ…其ういやぁ〜忘れてた…。アンタ凄い神様だったな…。其れじゃぁ、折り紙の枚数…倍に増やしても大丈夫だよなぁ〜フフフゥ〜…。アンタだけ、追加で発注しといてやるよ。あぁ其うそう、神様の力を使ってズルしようモンなら、更に倍増するから其のつもりで…」
カッ!!と見開いた目は、般若の面を彷彿されられます。
そして直ぐに、追加発注“倍で!”と伝えちゃいました。
ガタガタ震える蓮輝と“キュー”。
気を失ってる片平や隆志にキュー以外も、ガタガタ震えてます。
これぞ本来の凰哦なのだ!と、思えた瞬間。
「さぁ、調教開始!といこうじゃないか〜。就寝以外は完成する迄、退院させないからな。見張として就寝以外は、交代で監視してるから其のつもりで…。分かったな?蓮輝とバカキュー様…」
「はい…」
ー ハイなのね… ー
ってな訳で、早速スペシャルハード調教コース開始です。
面会可能時間ギリギリ迄、千羽の鶴と万匹の亀を折続けるのでした。
この日は時間も少なかった為、然程作ることが出来ず、翌日以降に持ち越しです。
翌日、此処にきて重大なミス発覚。
毎回調教時に、凰哦も同じ事をするのだが、超不器用な凰哦…何度やっても1つも完成出来ません。
蓮輝と“キュー”がやり遂げても、凰哦が出来無ければ、調教終了しない決まりなので、本人も周りも焦る始末…。
細かい作業が得意な蓮輝は3日で仕上げ、倍の枚数を課せられた“キュー”も、5日目で完了したのに対し、凰哦はやっと10…。
どれだけ不器用何だと思い知らされた一同。
これでは埒が開かないと今回限り、残りを全員で仕上げる事に成りました。
情け無く成る凰哦とは打って変わって、残りのモノ達は、案外楽しく過ごせたと思えていました。
お仕置きが未だ残っていたのですが、自分の不甲斐無さにより、残りのお仕置きは免除と成る筈でしたが
ー 怖いオジサン、不器用過ぎ〜。笑える… ー
と、余計な一言を言った“キュー”に対しては
「このヤロ〜…折角赦してやったのになぁ…。おいバカキュー!アンタだけお仕置き執行だー!歯ぁー喰いしばれ!!」
ー な、何でぇ〜〜〜!! ー
「喧し!喰らえ!」
バチコーーン!バチコーーン!バッチコーーーン!!
特大含め、計3発の凰ピンを喰らう羽目に成りました。
ー イギャアー!なのねー!…っウ〜〜!我生きてきた中で、こんなに痛いの嫌なの初めてよ!この横暴哦オヤジー!! ー
ありゃ、遂には“キュー”迄、名前弄り始めちゃいました。
其れに反応した者2名、蓮輝と片平が大笑いし
「アッハハ!そ、其れウケる〜!凰哦さんにピッタリ〜♡」
「アッハハハハハ!ブフッ…ブフフヘヘヘヘ…キュー様、アンタなかなか良いセンスしてんじゃねぇ〜?其れ最高〜♪」
これにより、カッパ1名と追加2名の、凰ピンオーダー入りました〜。
喜んで〜!と、オーダー通りに炸裂です。
激音を立てて喰らう凰ピンで、意識を吹き飛ばされ、川の字でピクピクする3人。
「懲りないねぇ…」
「ですわね…貴方…」
正樹と美砂の一言。
「ったくバカな人達ね…」
落胆する仲上。
「自由だ…」
呆れる隆志。
ボブシュッボブシュッボブシュッ…
最高の一撃を喰らわす為、修羅の笑みをしながら、素振りをする凰哦。
「よし、調教とお仕置きは完了したから、後は主治医の許可を得て退院だな。皆んな、今日は此処で解散!各自家に帰って、明日孤児院に集合!蓮輝、無事退院出来たら、お前はタクシーで帰って来なさい。隆志とキュー、そろそろ家に帰るぞ〜。父さんも母さんも自宅に1度帰って下さい。長らく家を空けてますから…」
凰哦の指示で、其々が一旦自宅へと戻るのでした。
帰宅後…。
「なかなかハードな1日だったよね…。疲れてない?凰哦…」
ゲッソリした顔の凰哦に、隆志が心配して聞く。
「疲れたに決まってるだろ!?あのバカ共!特に蓮輝のヤロー…好き放題しやがって〜…。心身共に擦り減るわ!俺の寿命が無くなるわ!ったく…。でも隆志、ありがとうな…。お前のおかげで少しは気が楽に成ったよ。其の何気ない言葉、助かるわ…ありがとうな〜」
「いや別に大した事はしてないよ?唯、凰哦の気持ちが少しでも楽に成ってくれてたなら、良かったと思えるから、僕も嬉しいしね〜」
「ははっ…本当お前って奴は、真っ直ぐ純粋何だなぁ〜…。ん?あれ?隆志、お前…元の隆志に戻って来てる?何だか、蓮輝の面影がかなり薄れてる気がするぞ?」
今の隆志の気遣いで、何気に其うだと思った。
「えっ?…其うかな…?」
凰哦の指摘に、余りピンと来ないのだが、隆志も凰哦の様子を見て
「其う言えばさ、凰哦も以前の凰哦に戻ってるよね?呼び捨てする前の凰哦さんって感じ?」
「さん付けヤメロ〜!頼むよ呼び捨て〜!って其うかぁ?」
「ん?あっ違うかも…」
「っておい!」
「あっいやだってさ、頼り甲斐とか、振る舞いは前の大人な凰哦だけどね、ちょっとおチャラ気度合いは、其のままって感じ?だもの…」
「あっいやコレは…」
「えっ…もしかして、其れが素の凰哦なの?」
「………ある意味其うだが、お前の前だけが多いと思うぞ?…うっ…言ってて恥ずかしっ!」
「……其れ聞かされた僕も恥ずいんだけど…。でもそっかぁ〜、付加された蓮輝君の影響は、消えたみたいだね。ある意味良かったよね…」
「ある意味って如何言う事だ!?まるで蓮輝の付加が無いといけないってのか!?」
隆志の言葉に、少し苛付く凰哦。
「あっ其うじゃ無くて、蓮輝君の呟癖も無くなった訳でしょ?寡黙な大人の凰哦に戻れて良かったって言いたかった訳。大企業の社長でもあるし、何より言いたく無い、聞かれたく無いのもさ、コレで安心出来るってもんでしょ?」
何時もの優しい顔で、隆志が言った言葉に、成る程と感心する凰哦。
「流石だな!隆志、お前って奴は。やっぱり俺の味方だわ…。コレからも其のままのお前で居てくれよ?マジ頼むからさ…」
「了解。まぁ前にも言ったけど、僕は凰哦の心を守るって約束、絶対破らないから…。だから辛くなる前に、僕には弱音を吐いてよね?じゃ無きゃ、僕のするべき事出来無いから…」
「?…するべき事?何だ其れ?」
「まぁ深く考え無くても良いから良いから〜」
何て、はぐらかす隆志。
「なっ!またお前!はぐら…」
不審不審不審者♪不審不審不審者♪不審不審不審者♪
ピンポーーンピンポーーンピンポーーン…
片平の着信音と同時に、自宅のチャイムが鳴る。
不審不審不審者♪不審不審不審者♪不審不審不審者♪
ピンポンピンポンピンポーーン!
「ねぇ、其の着信音ってさ、片平さんのでしょ…?其れに…このチャイム…出ないの?…」
鳴る着信音とチャイムを無視続ける凰哦に、隆志が聞く。
「………出たく無い…」
「ハア!?何で出たく無いんだよ!?着信音と同時にチャイムって、如何考えても緊急事態何じゃないの!?…あっさては、あの人に何かしたんだね?其うでしょ?」
少し険しい顔付きで、凰哦を問いただす隆志。
「あっ…いや…まぁ…」
「出ないなら、僕が代わりに出るよ。良いよね?」
「あっ!ちょっ…」
電話とインターホンに出ようとする隆志を阻止しようとするのだが、其れを振り切り
「もしもし?片平さんですか?如何したんです?電話とチャイム迄鳴らして…」
と、強制的に出ちゃいました。
「隆志ー!其処に凰凰居るのか!?居るんだろ!代わってくれよ!俺ちゃま聞かなきゃいけない事有るんだよ!家に入れてくれよ!」
今迄感じた事が無い程の焦り様に、一体何をしたのかと思う隆志。
「ちょっと待って下さい、今本人に何をしたのか問い詰めますから。其の間に、少し落ち着かせて下さい。良いですか?」
「……分かった。でも俺ちゃま、長くは持たないと思うからさ、早めにヨロシク…」
「はい…」
其う言って、電話とインターホンのスイッチを切る。
「…で?一体何しでかしたのさ、凰哦?」
問い詰める為、抓りのポーズをすると
「言うから!言うから其の抓りのポーズで脅すな!」
と、素直にお答え姿勢でスタンバイ。
尻尾と耳をキュッと下げ
「解雇通知出しました」
「………エッ?……」
「多分、其れの事だと思う…」
「……ハアッ?エッ!?其れ…マジで言ってる?」
「マジ…」
「〜〜〜〜!!」
言葉を失う隆志。
一呼吸の間を置き、片平に電話をする。
「もしもし!隆志!凰凰は如何した!?何て言ってるんだ!?」
「……あ〜あのですね、今日はもぅ遅いので、明日…明日話し合おうって言ってます。なので一旦孤児院に戻ってくれますか?じゃないと、色々証人が必要な案件なので…」
「いやいや今此処で話さなきゃダメだろ!俺ちゃま納得出来ねぇ〜よ!」
「だから尚更です。青柳夫妻や仲上さんも一緒に話さないといけないでしょ?何故そうなったのかや、色々と証人必要だと思いますが…?」
「……だな…。分かったわ、隆志の言う通りに今日は帰る。其れと、凰凰に言っといてくれ。キチンと説明しろよとな!そんじゃヨロシク!マジヨロシク!!」
其の後直ぐ、遠くから“何故だーー!”の叫びが聞こえて来た…。
「で、何故なの!?」
「…其れは明日説明するよ…。でも上手く追っ払ってくれてありがとうな〜。流石隆志〜!面倒事はお前に任せるのが1番だよな〜。これからもお願いするな〜♪」
プチッ…
「ギャイッ!」
マルっと面倒事丸投げの凰哦に、怒りを覚えた隆志は、お仕置きの抓りを怨念上乗せし、繰り出しました。
実はこの怨念上乗せの抓りが、隆志の抓りを強力にさせているのです。
なので、怨念が強く成れば成る程、抓る力が増大するのです。
更に言えば、怨念が込もってる分振り解く事が出来ず、“キュー”にも絶大な効果が有るのです。
「何を怒って…」
ギューーーッ!
「ウギャアァーーーッ!ゴメン!マジゴメン!許してくらさい…」
「本当、これから先も同じ丸投げするなら、凰哦を見捨ててやるからね!蓮輝君じゃないけどさ、こんな子供な大人だとは思わなかったよ!もっとしっかりした憧れの凰哦で居てよ!」
「…あい…済みません…」
「明日しっかり説明してよね!?ちゃんと出来る!?」
「…はい…します…」
「ったく!…それじゃ明日!お休み!」
「……お休み…」
とまぁ隆志の説教で、この日は終わりました。
グッモーニ〜ング!ってな訳で、目覚めの悪い朝がやって来ました。
隆志にオドオドしながらも朝食など済ませ、朝一に孤児院へ→GO!
孤児院へ着くなり
「待ってたぞ凰凰さんよオ〜ゥ!?今直ぐコレの説明して貰おうじゃねぇ〜か!オウオウオウ〜!!」
と、解雇通知の紙をパンパン叩く片平。
「ウッ…そ…其れについては今はノーコメント!先ずは全員が集まってからだ!」
語尾を強く言う事で、主導権を握らせない様にするのだが
「青さん夫妻には既に来て貰ってるさ!勿論河橋の大将にもな!」
「はあ!?アイツ未だ病院なんじゃないのか?何故退院している!?」
「昨日のうちに連絡して、“オモロ”って昨夜には退院してたぞ?江田院長にもちゃんと許可貰ったって言ってな!ほら、退院許可証も此処に有るぞ!」
凰哦を黙らせる為に、わざわざ直接江田院長に迄許可を得る、蓮輝の執念。
全て“オモロ”い事を楽しむ為なのだ…。
凰哦の肩にポンと手を置き
「観念してサッサと終わらそ?じゃないと、約1名何をしでかすか分からないからね…」
と、隆志が諦めろと諭す。
「くっ…あのバカ…。分かった、キチンと説明するか…」
観念して説明をする事にした凰哦。
「手早く簡潔に話します。テメェー人の事おちょくりやがって!そんな人材は要らん!即解雇だ!…ってのが理由です…」
「「「…………」」」
「ハア!?なっ!マジたった其れだけの理由なのかよ!?マジか!?」
「マジだ!」
「なっ…大人気ない、子供染みた理由で…」
其れ以上言葉が出て来ない片平。
凰哦も子供染みてると思っていた為、説明するのが億劫に成っていたみたいです。
「そんな訳で片平さん、アンタはクビ!以上!不服や文句は一切受け付けません!コレ決定事項!」
苦情は聞きません!と宣言したものの、蓮輝と隆志を除く者達からは
「おいおいおーい!待てまてまて、ちょい待ってくれよ!俺ちゃまと凰凰の仲じゃん!唯の戯れ合いじゃんよ!?」
「其うよ篠瀬さん!アレくらいは、広い心で受け止めてるって思ってたわ。其れ勘違いなの!?」
片平と仲上が言う。
「凰君、私もちょっと其れは、酷いかと思うのだが…」
「其うですよね〜…。何時もの寛大な凰さんなら、笑って済ませていたと思うのだけれど…」
正樹と美砂も、反対意見らしい…。
其の中で唯1人、大笑いしているのは勿論、天邪ッキー蓮輝です。
「ギャハハッ笑える〜!オモロ〜!いや〜シャバは良いよね〜ん♡オモロが満載♡アハハハハハッ」
お腹を抱えて笑っていた其の時
ガラッカツカツカツ…
孤児院の玄関から、誰かが土足のまま入って来た。
音から察するに、ヒールの足音の様だ。
其の音が蓮輝に近づいた途端…
パチィーーン!
「ホブシュッ!」
思いっ切り平手打ちをされる蓮輝。
「イッター…いきなり何するんだよ!誰だよアンタは!」
涙目に成りながら、叩いた人物を見る蓮輝。
其処には派手な装いの若い女性が立っていた。
「何するんだよじゃ無いわよ!アンタ人の親に向かって、馬鹿にした感じで笑うだなんて、誰が許せるっての!?未だ人をコケにするのなら、何発もグーで殴ってやるわよ!目〜潰すわよ!」
と、何とも気の強い女性に叱られました。
この時、誰もが“人の親?”と思ったのだが、何故か蓮輝だけは
「…好き…メッチャタイプ…。僕のタイプ…好き…」
と、違うベクトルへと向かってます。
「「「!?…ハア!?」」」
蓮輝の告白と取れる呟癖に、全員が思考停止しちゃいました。
修羅場に成る筈だったのに、一瞬で、蓮輝の初恋物語が始まろうとしています。
以上、現場からお伝えしました…。
もぅお分かりでしょうか?
何に謝っていたのかを…。
サブタイトル引き継ぐ事が決定!してしまいました…。
予定は未定…良い言葉です♪