教えて!“キュー”様!
前書き前書き前書き…。
其う思いながら、後書を書いて仕舞いました。
危ない危ない…。
“キュー”様との凰哦達の遣り取りは、如何成ったのでしょうかね?
気に成る?前回からの続きを如何ぞ〜。
蓮輝を1人残し、江田総合病院を後にした凰哦達。
孤児院へ向かう途中に、食材の手配を手早く済ませ、足り無いと思われた食材は、孤児院に到着後、手の空いた者におつかいを頼む事にした。
普段なら一緒にタクシーに乗る事は無いのに、今回は珍しく、凰哦と片平が同じタクシーに乗っていた。
其れは何故かと言うと、カッパの神様“キュー”を持て成す為に、沢山のご馳走を作る相談の為だ。
“キュー”は、キューと同じモノで構わないと言ったのだが、何と言ってもやはり神様なのだから、其れなりの捧げるモノを用意した方が良いのではと、頭を悩ませていた。
「普段作る様なモノだけで良いと思います?」
「ど〜だろうなぁ〜…。キュー君はさ、何でも食べるって言ってたんだろ?キュー君と同じ存在のモノならさ、別に良いんじゃね?」
「片平さんも、其う思います?」
「ツトツトと呼んでくれても良いのに…。あぁ俺も其う思うぞ…。でもなぁ〜、キュー君とは掛け離れた感じでも有るっちゃぁ有るからなぁ…。カッパの世界でもよ、好き嫌いは有るだろうしな…」
「絶対呼びません!…其う何ですよね…。穢れたモノは先ず確実に駄目だとして、神様に捧げるお供物は、他の神様と同じモノでも良いのか悪いのか、必要か不必要なのかも分からないからなぁ…。何を用意したら良いか…悩むなぁ…」
「呼んでくれよぉ〜ん…。う〜ん…其れだけ悩むなら、全て用意したら良いんじゃね?ビュッフェ形式にしてさ、“キュー”さんの好きなモノ選んで貰えば良いだろ」
「マジ拒否!…そっか、確かに其れなら“キュー”様を安心して接待出来ますよね。ヨシッ其れで決まり!片平さんには悪いですが、私、余り捧げるモノについて知識が無いんですよ…。ですから、捧げるモノをメインに用意してくれませんか?」
「チッ…ダメか…。ん?あぁ良いぜ?潜入で組合入ってた時、前の組合長が祭りとか祀りを重んじる人だったからなぁ、シコタマ躾けられたよ…。だからこんな時に役立たせなきゃ、勿体ねぇもんな」
「舌打ちしやがった…。へぇ其う何でしたか、其れなら心強いですね。では其う言う事でお願いしますよ」
「りょ〜解!任せとけ!さぁて、テキパキしないとな!何せ相手は神様なんだから、もたついてたら怒って仕舞うかも知れねぇもんな」
「ですよね…。ヨ〜シ!張り切って頑張るかぁ!」
2人の役割分担が決まり、孤児院に到着後直ぐ、作業に取り掛かるのだ。
正樹や美砂も2人の手伝いをし、子供達も“キュー”を持て成す為に、食堂の掃除や飾り付けをしていた。
其の間、キューと“キュー”は、隆志がお世話をする事に成っていた。
隆志以外、誰も“キュー”が見えないから、相手をしたくても出来無いからだ。
「隆志、ちょっと良い?」
「はい、何でしょ?如何かされました?“キュー”様」
「隆志って良い匂いするのね。この匂い我好き♡」
キューと一緒に、隆志の膝の上で寛ぐ“キュー”が言う。
少し其の言葉に照れながら
「ありがとうございます。神様に其う言われると、とても嬉しいですね♪へぇ〜良い匂いですか…。“キュー”様、其れってどんな匂い何ですか?」
「分から無いよ〜」
「えっ…分から無い?」
「モノの匂いじゃ無いから、説明出来無いの!我が言えるのは、心から漂うモノってしか言えないよ」
「心の香り…ですか…。其れって“キュー”様だけにしか、分から無いモノ何ですか?」
「うんにゃ、此処に居るキューにも分かるよ。お前も分かるよな?キューよ…」
「うん!僕分かる!いっつもね、凰哦パパとか蓮輝お兄ちゃんとか、正樹お爺ちゃんに美砂お婆ちゃんとね、隆志お兄ちゃんや皆んなからも、僕の大好きな匂いがしてるの〜!特にねぇ、凰哦パパがヨシヨシしてくれる時にねぇ、と〜〜〜っても良い匂いがするのぉ〜」
キューが嬉しそうに説明してくれたおかげで、何と無く理解出来た隆志。
「心の香りかぁ〜…。本当凄いなぁ…“キュー”様だけじゃ無く、キューちゃんも分かるんだね…。僕も其れが分かる様に成れたら、とても嬉しいのになぁ〜…」
隆志が何気無く話した言葉に
「欲しいなら与えてやっても良いよ?」
と、“キュー”様が言うのだ。
「エッ!?」
唯、本当に何気無く、別に本気で欲しいとは思って無い言葉を拾い、与えてくれると言う“キュー”に驚いて仕舞う隆志。
「エッ!?じゃ無いよ、本当だよ?あっ嘘だと思ったのかい?」
「い、いえ違いますよ!唯其う簡単に与えられて良いモノなのかと、神様の“キュー”様から頂いても良いのかって…」
「別に良いよ?唯、その代わりの対価が必要に成るのとね、この力…時には辛く苦しいモノに感じるから、良く考えて、其れでも欲しいと思ったなら、隆志になら与えて上げちゃうゲヘッ♪」
“キュー”が言った辛く苦しいモノとは、何を指したモノなのだろう?と
「辛く苦しいモノですか?…其れは一体…」
多分、自分が思った事で合ってると思いながらも聞くと
「隆志が思った其れ、間違って無いから。其の通り、悪意に満ちたモノの匂い。其の匂いはとても強烈で、嗅ぎ続けたら、弱いモノは其の匂いに染まったり狂乱したり、稀では有るけれど、衰弱して死んで仕舞う事も有るのよね…」
何も言って無い筈なのに、自分の思った事を言い当てられて驚いて仕舞う。
だが其れ以上に、とても危険な力だったとは、思いもしなかった。
「そんなにも危険な力だったんですね…。凄いなキュー君は…。“キュー”様もだけれど、ずっとそんな危険に晒されていたなんて…。僕だったなら、耐えられ無いよ…。なので、僕には必要有りません。ありがとうございます“キュー”様。僕の為を思って教えてくれたんでしょ?」
「ん?う、うん其う…」
今度は、隆志が“キュー”の気持ちを言い当てて、モジモジ恥ずかしそうに照れる“キュー”。
「でも本当、僕の思った事分かりましたよね?もしかして、僕呟いてました?」
「ううぅん、何も呟いて無いよ。隆志の匂いが教えてくれただけだから」
「其うなの〜!僕達匂いでねぇ、何と無く気持ちがねぇ、分かるのぉ〜!ケヘケヘケヘェ〜。でも“キュー”はねぇ、ぜ〜んぶ分かっちゃうんだって〜!」
ケヘケヘケヘと嬉しそうに笑うキュー。
「へぇ〜本当に〜?凄いねぇ〜!キュー君も“キュー”様も、本当凄いよね!だから何だね、皆んなのイヤイヤに気付いて、笑える様にナイナイってしてくれるのは…。ありがとうね、キュー君…」
「ケヘッケヘッケヘェ〜♪隆志お兄ちゃんにありがとうって褒められた〜ん♪」
「ゲヘッゲヘッゲヘ…本当に嬉しいよねぇ〜♪ゲヘッゲヘッゲヘへ〜」
何方のキューも隆志に、感謝と褒められた事が嬉しかったみたいで、ユラユラと揺れながら喜んでくれている。
蓮輝や凰哦達とは違い、純粋でいて清浄で有り、無垢な心を持つ隆志は、人間ながらも、キュー達にとても近い存在だと言えるだろう…。
だからか、ピュアで嘘偽りの無い隆志の言葉を、とても嬉しく感じてくれるのだ。
「あっ良い匂いがして来た。“キュー”様、そろそろ美味しいご飯が食べられますよ。2人張り切って、沢山作ってるみたいですし、ほら、とても美味しそうな香りが漂って来たでしょ?」
「ケヘケヘェ〜!美味しそうな良い匂い〜ん!」
「……?コレが良い匂いなの?確かに、お腹が減る様な匂いだけれど、食べ物の匂いって、こんな感じの匂い?我、ちょっとドキドキ」
「えっ?…まさか“キュー”様、人の作った料理の匂い知らないんですか?」
「初めてだよ」
「えーっ!?其れ信じられ無いですよ!何千年も生きて来られて、料理を初めてですか…。意外です…」
「ん?何?いけない?」
「いえいえいけない所か、コレが初体験だと思うと、寧ろ嬉しいくらいですよ…。でも“キュー”様のお好きなモノが有るか如何か、其れも分からないですよね…」
「成る程だね…。そっか、よくよく考えたら我、モノを食べるって事自体、この千数百年して無かったっけ…」
「エエッ!?」
「ゲヘェッ!?な、何!?そんな大きな声出して…。我驚いちゃうじゃ無い!」
「いやいやいや、驚くのはコッチの方ですよ!サラッと凄い事仰いましたが、千数百年もの間、本当に何も召し上がら無かったのですか!?1度も!?」
「何…我が嘘言ってると思ってるの?」
「いえ其れは思ってませんが、僕達人間にしたら、そんな年数聞かされたらとても信じられませんし、食べずに生きてられるモノでも無いので、驚きしか出て来ないんですよ…。流石神様なんですね…。次元が違い過ぎて、話を聞くだけで“キュー”様の凄さを理解し切れませんよ…」
「其う?其うなの?なぁ〜んだ、我凄いのね〜♪ゲヘゲヘゲヘ〜!もっと凄いと褒めて褒めて〜♡」
あっ、この神様って…メッチャ単純なのかも…と、思って仕舞う隆志。
其う思った後直ぐ、唯単純なのでは無くピュアなだけで、穢れや純粋な者やモノから言われた素直な言葉に、喜んでいるのだと思い直す。
思い直した理由は、此処に居る“キュー”が神として、今迄崇められ恐れられて来た筈で有り、感謝は有っても、褒められる事など無かったに違い無いと…。
褒める事は有っても自身が褒められる事、更に言えば、直接目の前で言われる事は、コレ迄無かった筈なのだ。
今迄、付喪神の様なモノは見た事は有るし、稀にだが、其の付喪神と話をした事も有る。
だが、其のどれもが勝手気ままでいて、褒め言葉を掛けても、“何を上から偉そうに人間の分際で”と罵られたりと、余り良い思い出が無い。
また、修学旅行で訪れた宿の近くを1人探索していた時には、多分土地神様なのだろうか、偉く荒ぶる人では無いモノに、呪いの類いを掛けられ其うに成った事も有った。
隆志が知り得る中で、此処迄お茶目で優しく、他人思いのピュアな神様に、出会った事が無かった。
神様が其うだから、キューが純粋無垢なのも納得出来たのだ。
“キュー”が喜んでくれるなら、もっと喜んで貰える様に、何かして上げたいと思う隆志に
「其の心だけで満腹だよね〜隆志〜」
と、“キュー”が嬉しそうに笑うのだ。
其の言葉を聞いた隆志は
「えっ満腹?…あっまた僕の心の匂いから、僕の思ってる事、分かっちゃったんですね?でも満腹って言うのは一体…」
「我はな、我の為に思ってくれる純粋な心を糧にしてるのよね。だから其れだけで、コレ迄食べる必要が無かったのよね〜」
この時、唯何と無くだったのだが、“キュー”に付いてとても重要な事を聞いたのだと感じた。
「ねぇ“キュー”様、心を糧にって言いましたが、“キュー”様を思った気持ちだけが糧に成るんですか?其れに、今僕が思った気持ちだけで満腹だって言いましたが、ほんの少し思っただけで満腹出来ちゃうんですか?」
「我は、思いを糧に出来る様に創られたのよ。其れとな、純粋に思ってくれた気持ちはね、純粋で有れば有る程に、少量でも満腹しちゃうんだよねぇ〜ゲヘェッ♡」
「其う何ですかぁ!?…と言う事は、僕の気持ちは純粋だったと思っても良いんですかね…?」
「其う成るね〜」
「エヘヘ…。何か其う言われると照れちゃいますね…。あっ其うだ!満腹って言ってましたが、凰哦達の作った料理、お腹いっぱいなのに食べれますか?」
「其れは大丈夫〜だよ〜。思いの糧とはまた違うから…。我が食べた物は少しずつ、我等の子達にも分配出来るし、今作られた量なら全部食べても平気だから〜」
「全部〜!?ヒャァ〜ッ凄い…。“キュー”様って大食漢何ですね…凄い…。ん?其う言えば、今分配って言いませんでした?」
「言ったけど?何?其れが如何したのよ隆志…」
「気を悪くしないで聞いて頂けますか?疑問に思った事が有りまして…」
「ん〜?良いけど…」
チラッとキューを見て
「分配って言うのは、キュー君と同じ仲間に分け与えるって事で合ってます?」
「其うだよ〜」
「其れはどんな感じで、分け与えているんですか?」
「う〜んと〜…我の中で浄化消化させて、其々の命の根源に与えてると言えば良いのかな?」
「命の根源ですか…。僕が聞いた話、キュー君が蓮輝君と凰哦に出会った時、今にも消えて仕舞いそうに、姿が揺らぎ薄らいだって聞きました。あの時蓮輝君がキュー君を助けて無ければ、この世に存在する事が出来ません…。“キュー”様が、其の分配ってのをしてたのなら、キュー君がそんな目に遭わなかったんじゃ無いのかって、そんな疑問がフッと湧いて来て…」
「………其の事に関しては、キューには聞かれてはいけないモノなのね…。だから今は言えないよ…」
「やはり、何か事情がお有りの様ですね…。済いません、不躾な事を聞いて仕舞いました…」
本当に悪い事をしたと思う隆志の気持ちは、“キュー”にしてみれば、とても心地好いモノだから
「隆志の気持ちは本当に良いね♪もっとお代わりしたい♡」
などと、全然気にしていない様だ。
「隆志〜!コッチの準備は完了したから〜、“キュー”様とキューを連れて来てくれ〜」
食堂のテーブルに、ズラッと並べられた出来立ての料理。
食堂の隣の部屋に居た憩いの間から
「分かった〜。って事なので、食べに行きましょうか?」
「ワ〜イ!僕ペコペコ〜なの〜!ケヘケヘェ〜♪」
「久々の食事〜♪た〜のしみ〜!ゲヘェッ♡」
隆志とキューがやって来たのを見て
「隆志、其処に“キュー”様も居るんだよな?」
「勿論。スッゴく嬉しそうにしてるよ。何せ千数百年振りの食事らしいから」
「「「!!!!!」」」
隆志から聞かされた其の年数に、唯驚愕する凰哦達。
何度この“キュー”に、驚かされるのだとも思うのだ。
「やっぱり其う思うよね〜…。ささっ“キュー”様にキュー君、席に着いて冷めないうちに食べましょうか」
隆志が、“キュー”の為に設けられた席へと案内する。
其れにより、驚き固まった思考から戻った凰哦が
「そそそ、其うでした。ささっ、遠慮無く食べて下さい。もし足り無いなら、満足行く迄幾らでも追加を作りますから。後、この中で食べられ無いモノはございますか?キューが食べられ無いモノは作っては無いのですが、“キュー”様の良し悪しが分から無いモノでして、ダメなモノはダメと教えて頂けますか?」
「大じょ〜ぶ〜だよ〜!どれもコレも綺麗な匂いがするからねぇ〜♪でも先ずは、このキューが食べたい分だけ上げてくれる〜?我は其の後、好きな様にさせて貰うから〜」
「あっはい、分かりました。其れじゃキュー、自分が食べたいモノ食べたいだけ取り分けてやるな。どれが良い?」
「ケヘッ♪凰哦パパ〜、僕ねぇ、アレとコレと其れとぉ〜其の其れにぃ〜、コレをこ〜んだけ!頂だ〜い!」
「あははっ本当食いしん坊さんだなぁ〜。分かったよ、直ぐ取り分けるから、席で待っててな」
「は〜い!ケヘケヘェ〜♡」
正樹と美砂も手伝い、キューの前に、大量の料理が置かれるのだ。
「あらあらキューちゃん、こんなに沢山食べられる?何時もの倍は有るわよ?」
美砂が心配そうに聞くと
「大丈夫〜!美砂お婆〜ちゃん!」
「おおっ?元気が良いねぇ。あいあい、其れじゃゆっくりお食べ、キューちゃん」
「は〜い!正樹お爺〜ちゃん♪」
い・た・だ・き・ま・す!と言って、パクパク食べ始めるキュー。
とても嬉しそうに食べる姿に、何時ものキューだと、微笑ましく思える一同。
「そんじゃあ“キュー”様よ、後はアンタさんが食べたいモノ言ってくれたら、直ぐお待ちするぜ?」
パーァン……
「痛ってぇ!…な、何するんだよ…何故頭を叩くんだよ…このミッミ〜……」
「ちょっと努さん!貴方もバカなの!?蓮輝君みたいにタメ口してんじゃ無いわよ!相手は神様なのよ!?其れ分かってる!?」
「……いやぁ分かってるけどよ…。コレだけフレンドリーな神様何だぜ?其れならコッチもフレンドリーに接した方が良く無いか?其れによ、コレくらいで臍曲げる神様が居たら、寛大な御心は無ぇ〜のかってさ、俺腹抱えて笑っちまうぜ?」
「笑っ……あぁ……底無しのバカだわ……。何で私…こんな人を好きに成ったのかしら……」
「エヘッ♪ある意味スリルが有ってさ、目が離せ無くて楽しいだろ?其の方が♪」
「……バカ……」
バカと言いながら、嫌いに成れ無い仲上なのです。
「確かに其れくらいで臍は曲げないよ〜。まぁ〜人やモノにもよるけどねぇ〜」
「ほらこのバカ!“キュー”様が優しく忠告してくれたのよ!?お願いだから、臍を曲げられ無い人で居て頂戴!貴方に何か合ったら、私悲しいんだからね!」
「このミッミ〜…。へへっああ分かったよ。俺、このミッミの為にも自分を貫くぜ!」
「「「貫くな!!」」」
「本当に…バカ…」
我が道を進むと宣言した片平に、呆れ果てる仲上達。
「う〜ん…如何やら、何様偉様の影響が未だ強く残ってるみたいだねぇ〜。まっいっかぁ〜!其れより我も食事をさせて貰うぞ〜♪あっ取り分ける必要は無いから〜」
何やら重要な事を言ったと思えば、早く食事を堪能しようと話を切り上げた瞬間…
パクッ!
モグモグモグ…ゴックン…
食堂のテーブルに、収まり切らない程の料理が一瞬で、綺麗に跡形も無く消えたのだ。
何が起こったのか、全く理解出来無い凰哦達…。
「「「………………」」」
今目の前で起こった事が、余りにも現実離れしていて、無言のまま其々がジェスチャーで
『あれ?此処に有った沢山の料理は?』
『あら?何時の間にか無くなってるわね、如何してかしら?』
『其処の貴方、全部食べちゃった?』
『いやいやいや、自分は食べて無いよ。あっ、さては君だな?』
『自分も食べて無い無い!…えっ?君も君も食べて無いって〜?そんなバカな〜(笑)』
『其れじゃ何処にいったんだろう…。誰か分かるかい?』
『……如何やら誰も分からないみたいだ。こりゃぁお手上げだ〜!アッハハハハハハハハ〜!!』
と、まるで昔の白黒映画のワンシーンの様に、オーバーアクションで肩を竦めて顔を横に振ったり、お腹に手を当てて大袈裟な笑いを演じて、現実逃避をするのだった。
「皆んな現実逃避して無いで、お代わり要求してるよ!」
隆志が喝を入れて、現実に引き戻す。
「お代わり要求!?そ、其れじゃアレだけ有った料理全部、“キュー”様が食べたって言うのか!?」
凰哦の驚いた言葉を肯定しながら
「未だまだ足り無いらしいよ」
「エエッ!!た、足り無い!?」
「とても美味しかったんだよ〜。今のを後4回は食べたいよね〜」
「「「エエエェェーーーーッッ!!??」」」
「よ、4倍…必要なのか…」
驚きを通り越して、最早何も考えられない凰哦達。
「さぁ早く作ってね!“キュー”様待ち切れず、メッチャ涎垂らしてるから〜!あ〜っ“キュー”様!其れ以上涎垂らさないで〜!!」
涎のキーワードで、慌てて追加の料理を作り始める。
作る量が量なので、大人達は勿論、子供達も足ら無い食材を買いに行ったりと大奔走。
必死に調理をする孤児院のキッチンは、さながら戦場の様な慌ただしさに成っていた。
此処が凰哦の家だったなら、とてもじゃ無いが、これ程の料理を作るには狭過ぎる。
“キュー”様と、ワイワイしながら、自分達も食べるつもりで孤児院にして良かったと思う凰哦。
改装はしたとは言え、元料亭の厨房を其のままキッチンにして正解だったとも思えた。
「あ〜〜満足〜♡」
其う言って、甲羅をさする“キュー”。
其の姿は隆志にしか見えず、隆志は
(えっ…“キュー”様のお腹って…甲羅に有るの…?)
と、1人思うのでした。
「ま…満足して頂けたなら、良かった…です…」
疲れてヘトヘトになりながらも、“キュー”に一言添える凰哦に
「未だ6分目程だけど、これ以上は贅沢覚えちゃうからね〜。今回はコレで我慢だよ〜」
ゲヘゲヘと笑う“キュー”。
「「「えっ…………」」」
未だ足り無いのかと、驚愕しながら燃え尽き、白く灰に成る凰哦達…。
“神様マジ怖い”と、誰もが思ったのでした。
「満足したからね〜、お話し聞くよ〜?何か聞きたい事有ったんだよね?」
満足した“キュー”が、何か聞きたい事が有るんだろ?と、尋ねて来る。
「あっ其うだった!持て成しの料理を作るので、すっかり忘れてた…」
「だよなぁ…。流石の俺ちゃまも、1度にアレだけ作るのは堪えたぜ…」
「皆んな本当にお疲れ様。でも早く聞かないと、“キュー”様が寝ちゃいそうなんだよね…。大分ウトウトしててさ、船漕いでるから…」
隆志が的確に、“キュー”の状態を教えてくれる。
「マ、マジか!?」
「マジ!」
「あっあの“キュー”様、私達が聞きたいのは対価の事何です。色々と教えて頂けますか?」
「ん〜…ムニャムニャ…。話せる事だけなら、別に良いけど…。其れ以外は話ちゃ不味いのは話せ無いよ?其れでも良いのかね?」
「えぇ、其れで構いません。ですからどうか、教えられる範囲で教えて頂けますか?」
「………スースー……」
「“キュー”様!寝ちゃダメですよ!」
「!!其うだよね!危ない危ない…。で、対価の何が聞きたいの?」
此処に、神様では無く、もう1人のキューが居ると思った凰哦達。
「……キューが支払った対価とは何か?と、其れは私達が代わりに支払う事は出来無いのか?に、私達でも願えば、“キュー”様に対価を支払って、叶えて頂けるのかなどです。他にも聞きたい事色々と有りますが、先ずは其れだけを聞かせて貰えますか?」
「………無理……」
「無理!?…何故…?」
「キューが此処に居るからね…」
「キューが居るから?」
「聞かせちゃ不味いのよ…。本来なら、隆志やお前さん達にも聞かせてはいけないし、我の姿や存在も教えてはいけないの…。こうしているのも特別なのよ…分かってくれるかい?…」
「……成る程…分かりました…。では、近くの神社でキューを子供達に相手して貰いますから、其の特別に甘えさせて頂いて、教えて貰えますか?」
「………其れならまぁ〜今回だけ……」
「ありがとうございます!其う言う事だから、君達キューの相手をしてくれるかい?」
「「は〜い!!」」
「ありがとう。其れじゃお願いするよ、宜しくな」
「「キューちゃ〜ん!遊びに行こ〜!」」
「ん?遊ぶの〜?……うん!僕遊ぶ〜!!」
「其れじゃ何時ものリュックに入ってね〜」
「お外に行くのねぇ〜、は〜い!!」
ケヘケヘ嬉しそうにリュックへと入り、楽しそうに子供達と近くの神社へと出掛けるキュー。
「コレでキューは居ません。ではお聞かせ願えますか?」
「……約束したからね…。其れじゃ話せる事だけ……」
こうして“キュー”から対価に付いて、やっと話を聞く事が出来る凰哦達なのでした。
そして、其の対価に付いて聞かされる内容とは一体…。
はい!
ってな訳で、未だまだ続きますよ〜。
次話に持ち越しサブタイトルです。
では次話をお待ち下さいね。




