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キューと僕の思い出日記  作者: 喜遊元 我可那
新たな出会いと別れの準備
43/61

誰が誰で、僕は僕。

またまた間を空けてしまいました…。

気になる蓮輝の記憶は如何成ったのでしょうか?

其れでは本編を如何ぞ〜。

何だか聞き覚えの有る声がする…。

………五月蝿い…五月蝿いよ!…。

ちょっと眠いんだよね!

もう少し静かに寝かせてよ!

………あぁ〜マジ五月蝿いっての!

ブチ切れるよ?クロスチョップ喰らわすよ?

「五月蝿い!眠いんだから静かに寝かせてよ!」

ったく、おかげでおっきな声出しちゃったじゃない!

でもまぁ〜、其のおかけで静かに成ったから、落ち着いて眠れそう…。

あっ其う言えば…あの生き物って…何だったんだろう…。

変な生物って…つい思っちゃったけど…とても大切な…そして掛け替えのないって…感じたのは何故だろう…。

不思議不思議…。

其う言えば…五月蝿く騒いでた人達って誰だっけ…?

聞き覚えの有る声だったけれど…よく思い出せないや…。

思い出せ無いのに、大切な人達だと感じるのは…何故?

不思議不思議…。

アレ?…其ういや…僕…って…誰?…。

不思議不思議…。

分から無いの…って…不思議不思議…。


「ねぇ凰さん、蓮ちゃんのあの言葉…」

「其うだよ凰君…。何だか記憶が無いみたいな事言ってたが、凰君は如何感じたんだい…」

「……正樹父さん、美砂母さん…私も其れが気になりましたよ…。蓮輝のヤツ…如何しちまったんだ?…」

「此処で話してても、何も分からないんじゃしょうがないよ…。ちゃんと調べて貰わないと…凰哦…」

「…其うだよな…。今は先生達に任せるしか無いだろうな…」

蓮輝が無事昏睡状態から目覚めて、初めて話した内容がとても気に成る凰哦達だったが、自分達では如何する事も出来無い。

明確な答えが無い状態で話を進めても、何も解決する事など出来はしないと、話が纏まるのだった。

この日のうちに、最も重症な患者を診るICUから軽症のICUに移され、状態が安定していると確認が取れたならば、CTなどでの精密検査をする事に成った。

次の日、安定してると判断され、CTなどによる精密検査が行われた。

其の精密検査に驚く結果が出た。

医師達が何度も入念に調べ、至る専門医と意見を出し合い、満場一致で出た結果を聞かされた凰哦達も、本当にそんな事が有るのかと驚いて仕舞う。

其の結果とは、脳の腫瘍が綺麗に無くなっていたのだった。

「先生、本当に蓮輝の脳の腫瘍は無くなったんですか!?」

驚きを隠せない凰哦が聞くと

「はい…こんな事有るのかと驚いてます…。今までに無い事でしたので、何度も画像をチェックしてみましたが、綺麗に消えていたんです…」

主治医の先生も不可解な事だと、画像を見ながら答える。

だが何故か、其の奇跡を起こしたのはキューだと思った。

だから

「其れじゃ他の癌も…」

と聞くのだが

「其れは残念ながら…残ってまして…。ですから脳腫瘍だけが消えた事に驚いているんですよ…」

と返って来た。

困惑した表情で主治医は言う。

「エッ…」

言っている意味が分からない凰哦。

てっきりキューの“キュー”が奇跡を起こし、蓮輝の病で有る癌が全て治ったのかと思って仕舞い、脳腫瘍が消えたと聞いた時、コレで1年を切った蓮輝の寿命が戻ったかもと思ってしまった。

喜んだ瞬間に突き落とされる心…。

子供の頃から何度も味わう身内の“死”…。

其の為、人一倍“死”に関して敏感に成り、既にトラウマにさへ成っていた…。

そんな凰哦だから、ネガティブの全てを纏めて仕舞う悪い癖が付いているのだ…。

だからあの日蓮輝が死んだと思い、溜め込んだ負の感情が爆発して、隆志を傷付け殺すと言ってしまったのだ。

今もまた、心の器を破壊しそうに溜まった負の感情で、荒れ狂い其うに成りそうだったが、あの日の隆志の傷付いた顔を思い出し、2度とあんな無様な行動を起こすものかと気を強く持つのだった。

以前は正樹と美砂が一緒に蓮輝の症状を聞いてくれたのだが、今回は凰哦只1人で聞く事にした。

脳腫瘍が消えた事だけを聞き、凰哦を残して部屋を出る正樹達。

何故ならば、目覚めたばかりのキューが、この病院で他人の病気の穢れを取り込み、異変を起こす可能性が高いので、其れを阻止する為には近くに清浄な者が側に居て、守らないといけないと隆志が言ったからなのだ。

幼い頃から人には見えないモノを見続けた隆志。

其の隆志が言うには、元々清浄な所で生きて来たキューにとっては、都会に居る事事態、大変危険な行為らしいのだ。

其の上純粋で無垢なキューは、無意識にイヤイヤをナイナイして上げなきゃいけないと、自分に起こる異変に気付かず、人々を助けているのだ。

其うならない様に、キューを見守る為の正樹と美砂。

隆志は助かりたいと勝手に襲う穢れを祓う為、幼い頃から自然と身に付けていた浄化する力を使い、キューを守る事に専念していた。

ツトツトや仲上に子供達は、大勢で病院に居てもしょうがないからと、今日は孤児院にて待機している。

だから今診察室で、主治医に話を聞いているのは凰哦1人。

以前なら、確実爆発して暴れていただろう…。

でも今は、凰哦を思う人達が居るという強みが出来、其の思いからもしっかりと最後迄話を聞く事が出来た。

キューと会わず、蓮輝と共に他人嫌いだったなら、絶対に出来無かっただろうと思う凰哦。

心を落ち着かせ

「先生…蓮輝の今の状態は…。記憶が無いみたいな事を言ってましたが、其れは腫瘍と関係が有るのでしょうか?其れと蓮輝の…余命は…変わらないのですか?…」

少し間を空け、主治医が答える。

「記憶の事に関しては、正直何とお答えして良いか分かりません…。脳腫瘍が消えた事によって、一時的に記憶障害が起きたのかも知れません…。戻るのか如何かも分からないのが私の見解です…。申し訳ありませんが専門外でして、私から明確に答えられません…。ですが余命の事でしたらお答え出来ます。お聞きに成りますか?…」

主治医の内容で、聞かなくても理解する凰哦。

其れでもちゃんと聞かなければと

「お願いします…。聞く覚悟は出来てますから…」

少し俯き加減でグッと目を細め、凰哦の覚悟を決めた真剣な表情を確認した主治医。

主治医も其の覚悟に伝える辛さを持ちながら、医師としての覚悟を持って答える。

「…分かりました、ではお答えします。余命は以前と変わらず、残り1年も無いでしょう…」

何度聞いても聞き慣れない言葉…。

覚悟を決めていても、やはり其の言葉は聞きたく無かった。

心が引き裂かれそうに成る言葉…。

重過ぎて押し潰されて仕舞いそうに成る言葉…。

両親の死や姉夫婦の死を聞かされた時よりも、心が壊れそうに成る。

其れは“余命”と言う、命のカウントダウンを日々怯えて過ごさなければいけないからだろう…。

とても耐えられそうには無い…。

其れでも現実は変わらないのだ…。

俯いたままでは、本当に押し潰されて仕舞うと溢れて来そうに成る涙を堪え、診察室の天井を見上げながら

「……くっ…ふぅぅ…其うですか…分かりました……」

言葉に詰まりながら、やっとの思いで言う。

「済いません…先生も伝えるの辛い事だと思います…。教えて頂けてありがとうございます……」

深く頭を下げる。

言う方も辛いが、聞かされる方がもっと辛いのに、其れでもありがとうと言う凰哦に、主治医は心の中で

(お役に立たず申し訳ありません…)

と言葉にはせず、深謝するのだ…。

主治医と今後如何するのかと聞かれ、もしこのまま蓮輝の記憶が戻らないのなら蓮輝の希望を裏切る事に成るが、このまま病院での延命治療をして貰う事にした。

キューは蓮輝の希望通りに清浄な自然に帰し、其の土地で暮らす事も考慮に入れる。

独断だが、其う決めた凰哦は診察室を後にした。

バイタルが安定したかを見る為に、軽症のICUに未だ居る蓮輝を窓の外から見て

「蓮輝…今はゆっくり休んでいてくれよ…。お前の希望通りにはなら無いかも知れんが、後の事は俺に任せてくれよ…」

其う言い残し、正樹達の元へと向かう。

正樹達が居たのは、以前仮の孤児院だった寮の傍に在る小さな休憩所。

此処には木々が有り、病院の敷地内でも1番穢れのない場所だった。

隆志が

「此処でなら患者さんからも離れているし、穢れがほぼ無いからキュー君には良いと思うよ。其れに僕の浄化の力も働き易いからね…」

と言うので、其の場所にて春の日差しを浴びながら、待機していたのだ。

正樹達の元に着くなり、主治医と交わした内容を伝える凰哦。

余命は変わらずなのだが、脳腫瘍が綺麗に消えた事に驚く正樹達。

そして凰哦の考えを聞いて、全員が其の方が良いだろうと賛同する。

「凰君、私は其れで良いと思うよ…」

「私も其う思うわ…。蓮ちゃんには悪いけど、少しでも長く生きて欲しいから…」

「僕は凰哦の考えに賛成だけど、本当に其れで良いの?凰哦が其れをする事によって、罪悪感で押し潰され無いかが心配だよ…。でも其れでも良いって言うなら、僕は凰哦が其うならない様に尽力するよ。だから思った様にしてよね…。大切な凰哦の心は僕が守るからさ…」

此処に居る皆んなの心が凰哦の心を軽くしてくれる。

「凰哦パパ…僕もパパのイヤイヤナイナイして上げるね〜」

キューも其う言って、凰哦に抱き付く。

何て俺は恵まれているんだと、胸が熱く成る…。

「皆んなありがとう…」

「あいあい…」

「気にしないでね、凰さん…」

「ケヘケヘ〜!パパ〜良い子良い子なの〜」

「フフッ…本当に純粋で無垢だよね、キュー君は…」

「いや隆志、お前も純粋で無垢だと思うぞ?」

「えっ…其うかな…?」

「其うだとも、隆志君はキューちゃんと同じに思えるよ」

「私も同感」

「なっ?皆んなが其う言ってるんだ、誇っても良いんだぞ?俺はお前の其の純粋さと無垢さに、どれだけ癒されたか…。多分だけど、其の純粋さと無垢さがお前の特殊な力の源なのかも知れないな…。まさか浄化の力を持ってるだなんて、思いもしなかったよ…」

凰哦の言葉に頷く正樹と美砂。

「えっ…そそそ、其うかな…」

純粋と無垢と言われて赤面する隆志。

「フフッ…でも本当に凄いよな…其の力…。如何やって身に付けたんだ?其れに其の力を使うにあたって、何かしらの影響が無いのか?」

「……この力は、本当に自然と身に付いたんだよね…。穢れたモノの話を聞いたり、辛い苦しいって言うから、其の痛みが癒える迄慰めてたりしてたら、何時の間にか浄化の力として身に付いてたんだ〜…。だけど何時も浄化した後熱が出たりして、直ぐ寝込んでしまってたんだよね…。病弱なのも、其のせいなのかもね…」

隆志の説明に、凰哦と正樹に美砂も納得するのだ。

「やっぱりお前は穢れ無い純粋な存在なんだな…。どんなモノでも助けようと思う其の心は、何処の誰にも真似出来ないと思うぞ?」

「何だか恥ずかしいよ、其うマジマジ言われると…」

凰哦に穢れ無い純粋な存在だと言われた事に、嬉しく成りながらも顔を真っ赤にする隆志。

「アハハッ…でもだからかも知れないな…」

「ん?何が?」

「お前の自己犠牲の精神が強さを増してたのは…」

「……かもね…。でも今はもぅ間違った自己犠牲はしないよ。凰哦との約束だからね…」

「あぁ、其うしてくれよ?お願いだから…」

「うん…。其れにしても此処…病院の近くなのに、こんなに清浄な場所だったんだ…。キュー君を守る為に此処に居たんだけれど、一切穢れが襲って来ないんだよね…。まるでこの場所を避けてる感じなんだよ…。不思議だなぁ…」

「其うなの隆志さん?」

「えぇ其う何ですよ、美砂さん…」

「隆志君、君は子供の頃から見えてたって言ってたが、私達とは違い、他にも違う別のモノが見えてたりしているのかな?」

「…本当は黙っていようと思ってましたが、正樹さんの仰る通りで見えてます。しかも様々な物怪とか怨霊みたいなモノ迄沢山…」

「其うなのかい!?…其れは凄いな…」

「本当其うですよね、正樹父さん…。私にはキューしか見えてないのに…」

「だからかも知れませんね…」

「ん?何をだ?母さん?」

「いえ…蓮ちゃんが隆志さんにお願いした事…」

「お願いした事?…あっ!其う言えば、何故か蓮ちゃんは確信持って隆志君にキューちゃんの事頼んだよね…」

「其う其れ…。あの子の直感力は凄いですから、隆志さんの力を無意識に感じたのかも知れないと…ふと思ったんですよね…」

美砂の思った事に、何故か妙に納得して仕舞う凰哦と正樹。

「多分其うでしょうね…。僕も蓮輝君にお願いされた時、其うじゃ無いかと思いましたから…」

「其う思うと、蓮輝の感は凄いよな…」

「「「確かに…」」」

「あっ後1つ気になる事何だが、聞いて良いか!隆志」

「えっ?何を聞きたいの凰哦?」

「いや…今のお前はさ、穢れとかを浄化するとしたら、やはり体調を崩して仕舞うのか?もし其うなら無理はさせられないんだが…」

「其れは大丈夫!大人に成るにつれて、力も増して来たみたいだし、余程強い物怪とかじゃ無いなら、無意識に浄化してるみたいだから安心してよ」

「其うなのか?…其れなら安心して任せられるが、余り無理だけはしないでくれよ?お前にもしもの事が有ったなら、俺は耐えられそうに無いよ…」

「うん分かったよ凰哦。心配してくれてありがとう。僕の事其うやって気遣ってくれるのとても嬉しいよ、そんな凰哦が大好きだよ」

「おまっ…ちょっと…其れは…」

素で言う隆志にしどろもどろに成る凰哦。

「さて皆んな、此処に居てもしょうがないから、孤児院へ行きません?皆んなが報告待っている筈だからね〜」

隆志が孤児院に戻ろうと提案する。

「其うだな、そうしようか?其れじゃ正樹父さん美砂母さんも、其れで良いですか?」

「あいあい、其うしよう」

「其うしましょう、如何やらキューちゃんも退屈してるみたいだしね…ウフフ…」

其う決まって、全員で孤児院へと向かう事にした。

孤児院へ向かう最中、凰哦の中では

(隆志…色々と迷惑掛けて済まないな…ありがとう…。そしてキューを守ってくれたみたいに、俺がお前を絶対守ってやるからな…。()()()()の約束だけじゃ無く、俺の本心としての想いを全てお前に捧げるよ…)

其う思う凰哦だった。

孤児院に着き、ツトツト達に病院での会話を説明する。

「其うなのか?…余命は変わらないが、脳腫瘍が消えた事には驚くよ…凰凰…。喜ぶ事では無いが、良かったな…」

ツトツトが良かったと言ってくれる。

「でも記憶が無くなったのは、如何言う事なのかしら?…」

「「僕(私)達も其う思う…」」

仲上が疑問に思い、其れに同意する子供達。

「主治医の先生も分からないと言ってたんだ…。記憶が戻るなら嬉しいが…もし戻らないのなら……多分…多分だが、皆んなを傷付ける事を言うかも知れない…。其れでも出来れば皆んなには、とても悪いが我慢してくれないかな…。如何か…お願いします……」

記憶の無い蓮輝が、此処に居る大切な人達に対し、どの様な反応をするのかも分からない…。

他人嫌いだった時の様に、人を罵り傷付けて仕舞うかも知れない…。

其う思って凰哦は、また深く頭を下げてお願いをするのだった。

「凰君…」

「凰さん…」

「凰哦…」

「「凰哦父さん…」」

「「凰凰…」」

「凰凰止めろ!こんな時迄其の呼び方するな!」

「「はい…」」

「ったく…本当少しは状況を考えてくれませんか?お願いしますよ!」

このバカップルが!と、凰哦達全員が思った。

だがツトツトと仲上が言う内容で、バカップルと思った事を後悔する。

「本当済まない…。だが少しは暗い雰囲気は軽く成っただろ?」

「暗い雰囲気のままだと、何もかもが暗い考えに成ってしまうものよね…。其れは蓮輝君に教わったわ…」

ただふざけて居ただけでは無かった…。

本当に暗い雰囲気を変える為なのかは確信出来ないが、凰哦や正樹と美砂、隆志に子供達も其うだよなと思えて

「ツトツトと仲上さん、其れ本当に其う思ってましたか?」

「だよね〜、ふざけた事に情熱を燃やすのがツトツトだもんね。仲上さんも如何やら其のタイプみたいだけれどね…」

隆志が其う付け加えると

「失礼だわ!私、一応元看護師よ?ふざけた事に情熱を燃やす事なんて、出来る筈が無いでしょ!人の命を預かってるのだから!ただ初めて出来た彼何だもの…。ついつい浮かれてツトツトの真似しちゃってたわ〜…」

この時誰もが思った。

この歳迄恋人が居なかったのかと言う事と、初の恋人がこんなふざけたオッさんで良かったのかと…。

「この人で良かったの!」

「「「!!!???」」」

誰も口にして無いのに、思ってる事の答えを自主的に言うから、一同が驚いて仕舞う。

「あいや…何故私達が思った事分かったんだい?」

「正樹さん、そんなの簡単じゃ無いですか。逆の立場なら私も其う思う筈ですもの。其れとただ1人だけポロッと呟いた方が居ましたから…。其れは貴方ですよ、篠瀬さん…」

「えぇっ!?俺?俺がぁ!?」

「別に蓮輝君の代わりに、蓮輝君の癖を真似なくても良いのに、しっかり言葉にしてましたよ!」

何だが罰が悪い凰哦。

「俺が蓮輝の呟癖をしてたのか…何だか情け無い…」

凰哦が情け無いと言った其の言葉を聞いて、隆志が有る事に気付く。

「ねぇ凰哦…其の呟癖、其う言えば此処最近よくしてたよ。其れに此処に居る全員、何かしら蓮輝君の性格や癖や考え方とか似てる所が増えた気がするよ…」

隆志の発言に騒付く一同。

「其う言えば其うだね…私達も蓮ちゃんの観察する癖が付いちゃってる気がするよ…」

「其うですよね貴方…」

「僕はお仕置きかな?」

「其れは嘘だろ!元々素でやってたんじゃ無いのかよ!」

「あっ失礼な…。僕凰哦にするお仕置き以外は、メッ!して終わりってパターンだったよ?他人を避けてたから、怒り方とか良く分からないんだよね…」

「其うなのかぁ〜?俺達へのお仕置き…今思い出しても恐怖何だけれどな…」

「其れは俺も思う!…俺はイタズラが増えた気がする」

「いや其れこそ元々でしょ!ツトツトが笑いたいからって、しょっ中してたじゃ無いですか!」

「其れは其う何だけれどさ、イタズラのレベルが上がった?其れとも種類が増えたのかな?…何にしろ、笑えないイタズラしそうに成っちゃうんだよ…。だから毎回慌てて必死に抑えてるんだぜ?」

「私は天邪鬼かな?」

仲上が天邪鬼に成ってる時が有るのだと言う。

子供達も其々に、蓮輝の性格や考え方と癖などを持っており、不思議な感覚に成る。

此処に居る者全てに追加されたであろう性格などを足せば蓮輝に成る。

其う考えると不思議に思えてくるのだが、不思議だと思えば思う程、何か良からぬ事が起きるのではと不安に成る凰哦達…。

其の時

“キューの願いは叶えた。今直ぐキューと共に、キューが願いし者の元へと行くが良い…。キューよ、キューはキューの願いを叶えた。よって対価を頂いておくぞ…”

と突然何処からとも無く、全員の心に直接声が聞こえたのだ。

其の声に驚く凰哦達。

「キュー!何だ!?今のは一体…突然心に声が聞こえたんだが!?」

凰哦がキューに其う聞くと

「エッ?凰哦もなの?僕も聞こえたよ…」

「何〜!?隆志お前もなのか!?」

「私も聞こえたよ凰君…」

「私も聞こえました凰さん…」

「俺もだよ…しかもこの声…夢に出て来たカッパの声に似てたなぁ…」

「え〜ツトツトもなの?私も其う思ったわ…」

「僕も聞こえたよ〜!」

「私も〜!」

「キューちゃんがキューちゃんの願いを叶えたの?何だか変だよね…」

と、子供達は驚きを隠せなかった。

キューの声で騒めき始めた凰哦達に

「ケヘッケヘッ!キューの声だよ〜!スっごく低くて怖そうな声だけどね、とっても優しくて凄いのぉ〜!キューとね、他の僕達のお願い叶えてくれるの〜!凄いでしょ〜!」

ケヘッケヘッ楽しそうに嬉しそうに笑うキュー。

純粋無垢なキューの笑顔に、先程聞こえた“キュー”の存在など、如何でも良くなる凰哦達。

目の前の可愛いキューに勝るモノなど無し!

人を超えた力を持っていようが、低音の渋い声だろうが、そんなモノなど全くの無意味!

特に凰哦は、“キュー”の事など如何でも良いと思っていた。

そんな凰哦だったのだが、“キュー”の語る内容に疑問が有り

「なぁキュー、ちょっと聞いても良いかな?」

「なぁ〜に〜凰哦パパ〜?何聞きたいのぉ〜?」

「キューが“キュー”にお願いしたって言ってたが、何を何時お願いしたんだ?」

「僕がねぇ〜、キューにお願いしたのはねぇ、ネムネムしてお寝んねしてた時〜!其れでね、お願いしたのは蓮輝お兄ちゃんのイヤイヤの素がナイナイしてぇ〜ってお願いしたのぉ〜!」

キューのお願いの内容を聞いて、全員が驚く。

「イヤイヤをナイナイ?」

「うん其う!凰哦パパ〜」

「其れは如何言うイヤイヤなのかな?」

「えっとねぇ、蓮輝お兄ちゃん僕がネムネムする辺りからねぇ、悲しい悲しいしてて、寝てる時にね、蓮輝お兄ちゃんのイヤイヤ言ってる声が聞こえて来てね、蓮輝お兄ちゃんがイヤイヤなのイヤー!って思ってね、お願いしたの〜。そしたらねぇ〜、キューが分かったよ〜ってお願い叶えてくれたのねぇ〜!アキャキャッ」

キューから詳しく話を聞く事により、蓮輝の脳腫瘍が消えたのは“キュー”の力により無くなったのだと理解する。

先程如何でも良いと思った事を恥じる一同。

「其れが本当ならありがとうキューと“キュー”…。でも全てのイヤイヤをナイナイするのなら、全ての癌を無くしてくれるんじゃ無いのか?なぁキュー、1つの病気だけ治して、残りは何故治さなかったか分かるかい?…」

「うんとねぇ…えっとねぇ…対価が足りなかったからかなぁ〜?良く分かんないの〜」

「其う何だね、ありがとう。で、其の対価とは一体どんなモノなのかは…」

「分かんない!」

「ハハッ…だよなぁ…」

「でもね!今から蓮輝お兄ちゃんの所に行けって言ってたからねぇ、早くお兄ちゃんの所に行こうよ〜凰哦パパ〜」

「あぁ其うだな…行こう!皆んなで今直ぐに、蓮輝に会いに行こう!」

神のお告げ的、カッパのお告げに従う事にした凰哦達。

タクシーを数台呼び、急いで蓮輝の元へと駆け付ける。

検査の結果意識も有り、バイタルも安定していたので、個室に移されていた蓮輝。

其の個室にゾロゾロとやって来る全メンバー。

個室一杯に成る事に驚く蓮輝は

「ななな、何貴方達…一体誰なの!?な、何勝手に部屋に入って来てるのさ!看護師呼ぶよ?其れとも警察呼ぼうか!?」

“キュー”に言われて来たのに、全く記憶が戻っていない蓮輝。

カッパのお告げは嘘だったのか?と思った凰哦達。

だがキューだけ

「蓮輝お兄〜ちゃん!未だ寝呆けてるのぉ〜?」

其う言ってベッドにダイビングするのだ。

其の行為にビックリする蓮輝なのだが…

「うわっ!ちょっと毎回毎回フライングアタックして来てさぁ!危ないでしょ?()()()()

「「「!!!エッ!!!」」」

誰もが驚いた…。

「っとに、其ういうのは危ないからやっちゃダメ!分かった?ねぇ凰哦さんからも言ってやってよ!やっちゃダメだってさ!」

「れ、蓮輝…」

「ん?何?如何したのさ…」

「お…お前…俺が…俺達の事が分かるのか?」

「ん?はぁ?何言ってるの?そんなの当たり前じゃ無い!意味分かんない事言わないでくれる?」

「貴方!」

「ああ美砂!」

「凰哦!」

「隆志!正樹父さん!美砂母さん!」

「「蓮輝お兄ちゃんの記憶が戻った〜!やった〜!」」

「ツトツト〜ん!」

「このミッミ〜!」

「其の続きはするなよ!バカップル共!!」

「「はい…」」

習慣でキスしそうに成った為、其れを即阻止する凰哦。

「あぁ良かった…本当に良かった…ああぁっ…ああっ…嗚呼嗚呼嗚呼ぁぁぁー…」

記憶が戻った蓮輝を見て、心から喜び泣き崩れる凰哦。

子供達は大声を上げて泣き、正樹と美砂は、良かったと抱き締め合いながら泣く。

ツトツトと仲上も、1番声を上げて泣く凰哦に気遣い、声を殺して泣く。

一斉に泣くモノだから、如何したら良いのか分からない蓮輝は

「ちょ、ちょっと皆んな!如何したのさ!?何泣いてるのさ!?」

其れに答えたのは勿論隆志。

「蓮輝君、君が昏睡状態から目が覚めたらさ、記憶が無くなってたんだよ?其れも自分の事もね…」

「!!えっ!?嘘…其れマジなの?隆志さん…」

「マジだよ、大マジ!」

「エエエエエェェーーーー!!!!」

其れ以上無い程の大音量で驚く蓮輝。

「ラッキ〜!貴重な体験したんだ〜!ちょっと嬉っし!」

其の一言にブチ切れる一同。

「「「ふざけるな!!このバカ!!」」」

凰哦だけでは無く、正樹と美砂に子供達と、ツトツトと仲上にあの優しい隆志迄もがバカと言うのだ。

全員の本気の怒りに

「………済いません……」

と謝る蓮輝。

其々が文句を蓮輝に言い続けていたのだが、記憶が戻った喜びが優って、泣き笑いしながら其の日は終わるのだった。

だが最後に…

「えっとね皆んな、明日のお日さんが1番高い所に来た時にねぇ、キューからお話が有るって言ってるよ?其れ、とても大切な事何だって」

と、キューが“キュー”からの伝言を伝えるのでした。

其れを聞かされた一同は、明日の正午にこの部屋に集まる事にするのだった。

さて…“キュー”の伝えたい事とは一体…何なのでしょうか…?

この続きは、明日に成ってからにしておきましょう…。

サブタイトル、このまま続きます。

今は其れだけしか言えません。

では次話を待ってて下さいね〜。

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