希望
サブタイトルが変わりました。
其のタイトルに、そった内容なのかを読んでみて、合ってるか確かめて下さい。
ではどうぞ〜。
テーブルの上には、豪華な食事が並べられていた。
其れも沢山。
腕によりを掛けて、2人の料理の出来映えを競う様に、次々と作られていくのだった。
既にテーブルには置ききれず、リビングのテーブルにも沢山並ぶのだった。
「なかなかやるなぁ!凰凰!」
「其方も!」
競い合うのは、凰哦とツトツト。
結局全てを食べ切れないと判断して、孤児院から子供達と正樹と美砂も呼び、タクシー6台が凰哦の家にずらっと並ぶのだった。
近所の人達にしたらずらっと並ぶタクシーを見て、流石大企業の社長は、朝からでも訪れる人が多いのだなと思うのだが、降りて来るのが子供達ばかりなので、何故子供達ばかりなのかと不思議に思ってしまう。
だが
「わぁ〜すご〜い!此処が凰哦叔父さんの家なの〜?」
「其うだよ君達の新しい孤児院、“蒼いツバサ”を用意した凰君が住んでる家だ。ちょっと聞くがね、足長おじさんと言うお話しは知ってるかな?」
正樹が子供達に、足長おじさんの話を知っているか聞くと
「何其の足長おじさんって?」
「孤児の女の子を支えた人のお話しだよ。今度読んでみると良いから。でも君達にしたら、凰君は叔父さんでは無く、もう1人のお父さんに思えているんじゃ無いかな?如何だい?」
「「うん其う思ってる〜!」」
「やっぱり其う思ってくれてるんだね。私としても、とても嬉しいよ。勿論凰君も其うだと思うから、偶にはお父さんって呼んで上げたら、凰君も凄く喜ぶと思うよ」
「フフッ其うですよね、私達もお爺ちゃんお婆ちゃんと呼ばれるの、とても嬉しいですものね…」
「「は〜い!」」
そんなやり取りをしているのを聞いた近所の者達は、凰哦のした事を知り、大企業の社長が何て素晴らしい事をしているのだと、感心するのだった。
其の上、子供達から父親の様だと言わされているのでは無く、本心から言っているのだとも思えた。
其れ程子供達の表情が柔らかく、嬉しそうに笑っていたのだ。
「さぁ着いた事を教えないとね。で、誰がインターホンのボタンを押したいかな?」
「「僕!」」
「「私!」」
皆んな自分が押したいと言い出す。
「あらまぁ困ったわね…其れじゃこうしましょう。1人1人順番に押して、切れた後次の人が押すってのは如何?」
「其れは良い考えかも知れないけど、先に凰君に連絡しておいた方が良いかもね。其うしないと、凰君も直ぐパニックに成るからね」
「ウフフッ凰さんって、直ぐパニックに成りますものね。貴方、凰さんに連絡しておいてくれません?私は順番を子供達と相談しておきますから」
「あいあい、其れじゃちょっと電話しておくよ」
正樹が凰哦に其の事を連絡し、凰哦の了承を得るのだった。
其の間に子供達の順番も決まり、1人ずつとインターホンのボタンを押し
「凰哦お父さん!おはよう!」
と、早速お父さん呼びをしてくれる。
1人1人にお父さんと呼ばれる度、ポンコツ化して行く凰哦。
目の前で見ていないのに、ポンコツ化して行く姿が目に浮かぶ2人だった。
「アハハッさぁさぁ、中に入ろうか?」
「「は〜い!」」
少し長い玄関迄の道のりを楽しそうに歩く子供達。
玄関を開けると、ポンコツ化のままの凰哦が待っていた。
「……ねぇ凰哦お父さん……」
「う〜〜ん?如何したんだぁい?」
返って来る返事もポンコツな感じだったのだが
「…其れ…普段着?」
「カッコ良い感じじゃ無いよね…」
「「だよね〜」」
「英語読めないけど、其のイラストキューちゃんだよね?」
「「きっと其うだよね〜」」
「変なの〜!」
子供達の純粋な毒に当てられた凰哦は、ピクピクしながら卒倒してしまう。
「アッハハハハハ!ゲホゲホゲホ…。なっ?俺様が言った通りだっただろ?無いって。アハハハハハッゲホゲホゲホ…」
爆笑しながら泣き笑いするツトツト。
「凰哦…ご愁傷様…。でも僕は好きだよ?其れでこそ凰哦って感じだから」
「……おい隆志…」
「ん?」
「其れ慰めじゃ無いじゃないかよ!せめてお前だけはもっと優しく慰めてくれよ!」
「…本当お子ちゃまだよね…」
プチッ
「チックショー!アッタマに来た!ヨシ決めた!」
「エッ!?な、何を決めたの…?」
「お前達全員このパジャマ着用を義務付ける!」
「「「エエェーッ!!??」」」
「拒否権無し!コレは運営者権限!」
「マジかよ!凰凰!其れはちょっと無いんじゃないのか!?横暴だぞ!」
「アンタが其れを言うか!?ツトツト呼びヤメるなら、少しは考えても良いが?」
「其れは無理!絶対嫌!ツトツトじゃ無きゃ嫌!俺ちゃまツトツト呼びじゃ無きゃ泣いちゃうぞ!」
「ならパジャマ着用確定だあ!」
「「エエェ〜!!マジ〜!?」」
「マジだぁ〜!」
「「このツトツトのバカァー!ブーブー!」」
子供達が一斉にブーイングする。
「ヒドッ!お前達…ヒドッ…」
「「ブーブーブーブー!!」」
「ツトツト…泣いちゃう…!」
「「ブーブーブーブー!!」」
「うわぁ〜んこのミッミ〜!皆んなが酷いんだよ〜!」
「ツトツトのバカ!私からもブーブーだわよ!」
「エッ…このミッミ迄……。お前達酷いよ〜!!」
其う言い泣きながら、奥へと走り去って行くツトツトなのでした。
「ちょっと凰君、もしかしたら私達もかね?」
「其う、私達も同じパジャマ着なきゃいけないの?凰さん…」
正樹と美砂も同じパジャマを着用しなければいけないのかと聞くのだった。
「正樹父さん美砂母さんには悪いですが、特別扱いしてしまう訳には行きませんから!其れに、先程子供達と一緒に頷いてるのしっかり見てましたからね!」
「あぅ…」
「あら…」
「以前から見慣れてる筈なのに、うんうんと頷いた姿見た時、前から其う思ってたんだと分かったら、かなりショック受けましたよ…」
「「………」」
「ですから強制執行です!」
「…あい…」
「…はい…」
「やっぱり僕も…だよね…」
「お前は別、着無くて良い」
「本当に?エッ?何で?」
「隆志、お前だけは別のパジャマを用意してやる!其れももっと恥ずかしい系のを用意してやるからな!」
「ハァ!?な、何でだよ!?」
「唯一の味方だと思ったお前がお子ちゃまだと言ったからな!だからだ!」
「エエェー!!そんな事でー!?」
「安心しろ!俺と同じパジャマにしてやるから隆志1人じゃ無いから喜べ!」
「何言ってるの!そんなの喜べる訳無いだろ!!」
「文句は一切聞きません!決定だからな!」
「マジかあ〜!!」
「其う言う訳で、今から発注するから!」
「「「止めて〜」」」
「知らん!」
そんなやり取りが玄関口で繰り広げられるのでした。
結局凰哦の強制執行は確定となり、後日皆んなの元に、恥ずかしいパジャマが届くのだった。
「ハァ…もぅ諦めよう…。皆んな、中に入って沢山出来てる朝食を食べようか…」
言い出したら聞かない凰哦の性格を理解した隆志が、子供達と正樹達を食卓へと向かわせるのだった。
其処にはキッチンの片隅で、蹲ってシクシクしているツトツトが居るのだが、誰1人として慰める事は無かったのです。
ツトツト呼びに拘った者の末路が其処に有るのでした。
「「ケッ!!」」
純粋な子供達が、ツトツトに向かって吐き捨てる。
「お…お前達…うわぁ〜〜ん!辛辣だよ〜ん…!何処でそんな言葉覚えたんだよ〜!…」
「「勿論蓮輝お兄ちゃん!」」
「ゲッ!…マジか…」
純粋な子供達の悪い見本として蓮輝の名前が上がって仕舞う事に、落胆してしまう凰哦。
この様子では、自分も何かしら影響を与えているのではないかと、不安になるのだった。
「今日来て貰ったのは、朝食を作り過ぎたから何だ。さぁ皆んな、遠慮無く沢山食べてくれよ〜」
悪い所を見せない為に、子供達の意識を逸らす凰哦の悪足掻き。
「「ケッ!!」」
「!!」
其れも無駄に終わるのだった。
何故ならば、地味にダサいパジャマを着用しなければいけないからだ。
冷たい視線は、正樹と美砂からも注がれるのだった。
泣き崩れそうになる凰哦を
「ヨシヨシ…僕が慰めて上げるから…」
と、凰哦の顔を胸に抱き締めてあやす隆志。
「隆志〜ありが」
「コレが報いってヤツだから、僕が慰めるの最後だからね〜!今後期待しないでよ?」
米マークを貼り付けながら、笑顔で言う隆志。
「…エッ…何で…」
「強制執行に、皆んなご立腹なの分からない訳無いよね〜」
「うっ…」
「ってな訳で、皆んな食べようか?キュー君も待ち侘びてるからね」
「あっ本当だ!」
「起きたのキューちゃん?」
「わ〜い!おはようキューちゃ〜ん!」
「ご飯食べたら遊ぼうねぇ!」
キューが冬眠から起きた事を知った子供達は、キャッキャキャッキャと嬉しそうにしている。
「其れじゃ皆んな好きな様に、食べたいだけ取って食べてよ〜。其処の2人は気にしないで良いからね!」
「「は〜い!」」
完全に蓮輝化している隆志なのでした。
ワイワイ楽しく食べる子供達とキュー。
其れを見ながら
「凰哦とツトツトさん、コレで分かったでしょ?良いオッさんが子供じみた事すると、こんな目に遭うって事をね…。反省する事勧めるよ」
「「はい…」」
「取り敢えず2人は其処で正座!皆んなが食べ終える迄は、キチンとした大人とはをしっかり考える様に!」
「「はい…」」
シュンとする凰哦とツトツト。
「皆んな〜、出来るだけゆ〜っくり食べてね〜!」
「「は〜い!」」
「「エッ!?」」
隆志の言葉に驚愕する凰哦とツトツト。
「ちょっ…ちょっと隆チッチ!そ、其れは酷いんじゃ無いのか!?」
「そ、其うだぞ!ゆっくりされたら足痺れて動けなく」
「シャーラップ!僕の気遣い分かりません?」
「き、気遣いって…隆チッチ…」
「ゆっくりされる分、しっかり考える時間が出来るでしょ?違います?」
「で、でも足…」
「黙って凰哦!足が痺れ様が知りませんから!其うじゃ無きゃお仕置きに成ら無いでしょ!」
「は、はい…」
此処に、マジ蓮輝化した鬼隆志が居ると思う2人。
だが隆志は凰哦に近寄って、耳元で
「凰哦だけのお仕置き、ツトツトにしても良いの?僕は嫌なんだけれど…。仲上さんが居るし、其れに皆んなの前でしたらさ、如何思われるか分からないし、子供達も真似するかもしれないでしょ?さっきみたいに、蓮輝君の真似してたからね…」
と囁く。
確かに其うだと思う凰哦。
其処迄考えてのお仕置きだと思うと、複雑な気持ちに成るのだったが、少しだけ嬉しくも思えたのだ。
やはり隆志は優しい純粋な心を持っているのだと感じたのだった。
お仕置きと言いながらも自分への気遣いが有り、子供達に悪影響を与えない振る舞いを考えて行動しているのだと、素直に其う思えた。
間違った自己犠牲精神は、既に隆志の中には無い様にも思えた事も、嬉しく思える要因だった。
だが既に1時間。
正座をしていた2人の足は、痺れを通り越して麻痺し、感覚が無くなっていた。
折れる心と泣きそうに成る心。
良い大人が泣き付いて、許しを懇願しそうに成っていた。
焦点が虚に成り、青褪めて行く顔を見て
「皆んな、お腹は膨れた?」
「「うん!満腹〜」」
「其れじゃ正座してる2人にご馳走様とありがとうを言って感謝しよっか?」
「「は〜い!凰哦お父さん、ツトツトありがとう〜!ご馳走様でした〜!」」
正座の辛さで、子供達の感謝を素直に喜べ無い2人。
其れでも
「「お粗末様…」」
と、か細く応える。
「良く出来たね!其れじゃ食べた食器を片付けしてね」
「「は〜い!」」
“美味しかったねぇ〜”と満足そうに片付ける子供達を見て
「はいお疲れ様。良く耐えました!本当頑張ったねお2人さん」
凰哦とツトツトに、フワッと優しい笑顔で言う隆志。
其の笑顔にドキッと2人は成るのだった。
其の笑顔の裏に、また何か有るのかと思って…。
だが
「仲上さん、ツトツトの足をしっかりほぐして上げて下さいね。元看護師さんだからお手のモノですよね?」
「分かったわ〜隆チッ」
「隆志です!」
「はい隆志さん!」
「あっ後、幾ら愛する人からのマッサージだからといって、此処で変な気を起こさないで下さいよ?ツトツトさん?」
「エッ?」
「もし変な気を起こしそうに成ったら、貴方では無く、恋人の仲上さんに緊箍児ちゃんのスイッチ入りますから〜」
「「エッ!?」」
「既に緊箍児ちゃんが効かないツトツトさんに、代わりの犠牲が居ないと理性抑えられ無いでしょ?ツトツトさんって方は〜♪」
「アゥ…はい…分かりました…」
「理解が早くて良かったです♪」
最早完全に蓮輝!
悪魔的お仕置きを行えるとすれば、この2人しか居ないだろうと思ってしまう一同。
正樹と美砂に子供達も震え始めるのだった。
カムバーーーーック!優しい隆志よーーー!!カムバーーーック!!
誰もが其う思うのでした。
「凰哦は僕が介抱しますよ。さぁ凰哦、僕におぶさって」
「はは、はい…」
拒否すれば、またどんな恐怖のお仕置きが待ち受けるかと思い、素直に隆志におぶさる凰哦。
ヒョイっと軽く凰哦をおぶる隆志。
「「ええっ!?」」
正直、ひ弱そうに思っていたのに、自分よりも大きく重い凰哦を軽々とおぶる事に驚く一同。
其の反応を理解した隆志は
「一応鍛えてるから、凰哦2人分ならいけるよ?」
と、何でも無い様に言うのだった。
そして其のまま凰哦の部屋に行き
「ふぅ…ヨイショッ…」
ベッドに寝かせる。
「なぁ隆志、何で俺だけ自分の部屋でマッサージ何だ?」
「ん?あっだって、皆んなの前で痛いマッサージを受けるの嫌だったでしょ?痺れが戻って来たらどれだけ声を殺しても、涙目になる筈だもんね…。そんな所見せたいとは思わないのが凰哦でしょ?違った?」
其の気遣いに感動した凰哦は
「た、隆志〜!あぁやっぱり俺の純粋な味方はお前だけだよ〜!」
と喜ぶが
「アハハ…其れに痺れが戻って来たらさ、力一杯マッサージして上げられるでしょ?」
「!!た隆志!?…そ、其れが本当の目的…じゃ無い」
「其れが本当の目的♪一応未だ根に持ってるから〜!」
ギュ〜ッ
「痛〜〜〜!ごめんなさ〜い!マジ済いモガッ!」
口を塞がれる凰哦。
「フフフゥ〜♪」
満足そうに笑う隆志。
鬼!此処に鬼が居る!隆志と言う名の鬼が居ます!
誰か助けて下さい!
鬼の隆志を退治して下さい!お願いします!
其う心の中で叫ぶ凰哦。
其の凰哦の部屋から聞こえる悲鳴に、蓮輝のお仕置きと同じ恐怖を感じる正樹と美砂に子供達。
勿論ツトツトと仲上も恐怖するのだった。
隆志の意外過ぎる恐怖の一面を知る一同は、怒らせてはいけない人物が増えたと嘆くのだった。
部屋から出て来た隆志の満面な笑顔。
其れに対し、少しだけ恍惚な表情を残しながらも、疲れた顔をして出て来る凰哦。
意味の分からない其の表情に戸惑う一同。
勇気を振り絞ってツトツトが凰哦に聞くと
「マッサージは良かった…でも恐怖が優って疲れた…」
と答えるのだった。
一体どんなマッサージを受けたのか、怖いモノ見たさで興味が湧くのだが
「どんなマッサージだったかは聞かない方が良い…」
と言う凰哦の言葉で、誰も怖くて其れ以上聞く事は無かったのだった。
ビクビクする一同を見て
「?…あれ?皆んな如何したの?何か有った?」
と、素で聞く隆志。
このビクビクの原因が何を抜かしている!と思う正樹達。
凰哦は、其れにプラス天然発動したのだと思った。
「ねぇ凰哦パパ〜」
ビクビクしている時に、キューが凰哦のズボンをグイグイと引っ張る。
「ん?如何したんだキュ」
ズルッ!
グイグイ引っ張る力が強かったみたいで、凰哦のパジャマのズボンが足元迄ずり落ちる。
「!!」
「「「…………」」」
「ギャーーーーッ!」
悲鳴を上げ、慌ててズボンを上げる凰哦。
「……マジか…更に無いわ〜……」
「「……だよね〜……」」
「!!」
赤面して蹲る凰哦。
「まさか穿いてるパンツ迄…カッパのイラストだなんて…無いわ〜…」
ツトツトのツッコミに、全員が頷く。
「僕はさっきので慰め使い切ったから…慰め無しだから…」
「!!」
「凰君…」
「凰さん…私達もフォロー出来そうに無いわ…ゴメンなさいね…」
「!!」
悲しいかな、強制執行したせいで、誰も味方をしてはくれないのでした。
凰哦の心の中では
(チックショ〜!こうなりゃ全員にパンツもプレゼントしてやる!)
と、懲りない事を考えています。
其の後如何成るのかを深く考えずに…。
「ねぇ凰哦パパ〜!」
「……何だい…キュー…」
少しやるせない目をしながら返事をすると
「蓮輝お兄ちゃんは〜?ねぇ何処〜?起きてからずっと探してるけどねぇ、何処にも居ないの〜」
キューの其の言葉でハッとする一同。
余りにもワイワイギャーギャーし過ぎていて、キューに蓮輝の事を言っていない事に気付くのだった。
「あっ…其の…」
言葉に詰まる凰哦。
誰もが何も言えない。
静まり返るキッチンとリビング。
キューに如何説明して良いのか悩む凰哦。
其々の表情が曇って行く。
「ねぇ凰哦パパ〜!ねぇ〜蓮輝お兄ちゃんは〜?」
不安そうな顔で聞くキュー。
益々何も言えない凰哦に、隆志がそっと寄り添い背中をポンポンと撫でる様に叩く。
「凰哦…僕から言おうか?辛いなら僕が言うよ…」
「…いや俺が言うよ…ありがとう隆志…。お前の其の優しさに俺…」
「ん?…」
「いや何でも無い…。でも勇気をくれてありがとう、本当ありがとう隆志」
「うん…」
目をウルウルさせ始めたキューの目の高さ迄しゃがみ、頭を撫でながら
「よく聞いてくれよ?今から言う事…キューには辛い事何だよ…。だからしっかり聞いて欲しいんだ…」
「…うん…」
「蓮輝は今、病院で1人で眠ってる…」
「病院?」
「其う病院…。以前キューも行った事有るだろ?沢山の病気の人がお泊まりしている所…。蓮輝と隆志が仲良く成った場所…」
「うん!覚えてるよ〜!」
「其処に今1人で眠ってるんだ…」
「…?どゆこと?お寝んねしてるの?」
「其う何だ…」
「其れじゃ会いに行こ〜!」
「あぁ其うだな…ただ…」
「ん?…ただ?…如何したの?」
「長い間目を覚さなく成ってるんだよ…。しかも何時目を覚ますかも分からないんだ…」
「其れ、僕のネムネムみたいなの?ポカポカさんが来ても起きないの?」
「…あぁ其う何だ…。キューとは違ってポカポカさんが来ても目を覚さない、別のネムネム何だよ…」
「其うなの?……でもね、もうおはようするよ〜?」
「エッ?ハァッ!?…キュー…おはようするって…如何言う事何だい!?」
「ケヘケヘ〜!今ねぇ〜、キューからねぇ、僕が行けばおっはよ〜さんするってねぇ、言われたの〜!ケヘケヘ〜!」
「「「!!!」」」
キューの言葉に驚く一同。
「凰君!」
「凰さん!」
「凰哦!」
「「「凰哦お父さん!」」」
「「凰凰!」」
「凰凰ヤメロ!」
「「はい…」」
「でも其れ本当なのか!?キュー!?」
「うん本当〜!」
「貴方!キューちゃんが…キューちゃんが…」
「あぁ其うだね…。其れが本当ならこれ程嬉しい事は無いよ!なぁ凰君!」
「はい正樹父さん!美砂母さん!」
「其れじゃ早く病院に行こうよ凰哦!」
「ああ!キューありがとう!今直ぐ蓮輝に会いに行こう!」
「うん!ケヘケヘ嬉しいの〜!蓮輝お兄ちゃんに会えるの嬉しいの〜!」
「其れじゃ皆んな、今直ぐ行こう!タクシー直ぐ呼ぶから、後で子供達と一緒に来てくれませんか、ツトツト…」
「あぁ任せておけよ!ほらっ、早く其のダサいパジャマ着替えて行ってこいよ!」
「ダサい言うな!…でも済いません、後はお願いします」
「分かったから分かったから!」
「其れじゃキューはリュックにスタンバイ!俺は直ぐ着替えて来るから玄関で待っててくれよ隆志!正樹父さんと美砂母さんも待ってて下さい」
「あいあい」
「慌てないでね、凰さん」
「分かったよ、僕もパッと着替えて待ってるよ」
「其れじゃ着替えて来ます」
バタバタと慌ただしく物事が進んで行く。
身支度を整えてから逸る気持ちを落ち着かせ、急いで病院へと向かう凰哦達。
未だICUに居る蓮輝の元へと、足早に駆け付ける凰哦達。
ICUに着くなり、リュックから飛び出して
「あっ!」
凰哦達がキューの行動に驚いた声を出す。
ICUのドアが開いた隙を見計らって、中に入って行ったからだった。
「ちょっ!おいキュー!待ちなさい!キュー!!」
呼び止め様と声を上げるのだが、其れを無視して
「蓮輝お兄〜ちゃん!お〜きて!」
と以前、蓮輝のお腹に飛び乗った時と同じ事をするキュー。
「グフウ!!」
「コラッキュー!!」
「お〜きて!」
「……ん…お、お腹が苦しいよ…」
眠ってる筈の蓮輝が、言葉を口にするのだった。
「「「!!!!」」」
久々に聞く蓮輝の声に驚く凰哦達。
思わず
「蓮輝!蓮輝!蓮輝ーー!!」
「「蓮ちゃん!蓮ちゃん!蓮ちゃんーー!!」」
「蓮輝君!蓮輝君!蓮輝君ーー!!」
一斉に蓮輝を呼ぶ凰哦達。
其処に中から出て来た看護師が
「此処はICUです!静かにして下さい!」
「あっ済いません…ですが今、蓮輝が言葉を話したのでつい…」
「エッ!?」
凰哦に其う言われて、蓮輝を見ると
「うぅ…お腹に何か…乗ってる……苦しい……」
と呟くのを聞き
「先生ー!河橋さんが!河橋さんが目を覚ましました!」
と先生に伝え、蓮輝の元へと駆け付けるのだった。
「あぁ…蓮輝…良かった…良かったよ目が覚めて…蓮輝ぃ…蓮輝ぃ〜…嗚呼あぁ…嗚呼ああぁ…」
「本当に…本当に良かったよ凰君…あぁ…嗚呼ぁ…嗚呼ああぁ…」
「嗚呼ぁ本当ですよ…嗚呼あぁ…良かった…嗚呼…良かった蓮ちゃん…嗚呼あぁ…嗚呼あぁ…」
「お…おはよう蓮輝…君…嗚呼ぁ…良かったね凰哦…本当…良かったね…。今迄辛かったのも…キュー君のおかげで…嗚呼ぁ…良かった…凰哦…凰哦…嗚呼あぁ…良かったよね…嗚呼ああぁ……」
正樹と美砂、凰哦と隆志が其々労う様に抱き合い、涙を流して喜ぶのだった。
其処に後からやって来たツトツト達も、蓮輝が本当に目覚めたのだと知り、キューの存在の凄さを其の肌で感じるのだった。
だが…
「此処は…何処…。ん?僕に乗ってる君は誰?…何モノ?…アレ…僕は…だ…れ…?…」
ICUの中から聞こえる蓮輝の言葉…。
「エッ…アイツ…何言ってるんだ…?」
蓮輝が呟く言葉が理解出来無い凰哦達。
其れはキューもだった。
「蓮輝お兄ちゃん?…僕の事…分かんない?」
と聞くのだが
「えっ…何コレ…変な生き物が…喋ってる…」
「お兄ちゃん?どったの…ねぇ?」
「……あれ…何だろ…変な生き物と思うのに…大…切…な…」
此処でまた眠りに落ちる蓮輝。
「蓮輝!蓮輝!」
「蓮ちゃん!蓮ちゃん!」
「蓮ちゃん!起きてお願い!」
「蓮輝君!寝ちゃダメだよ!蓮輝君!」
「先生!蓮輝は!?蓮輝は如何何ですか!!」
ICUの外から怒鳴る様に聞く凰哦。
「先生!!」
「五月蝿い!人が眠くて寝てるのに!静かにしてよ!」
「「「「!!!」」」」
蓮輝のブチ切れ怒声に驚く凰哦達。
蓮輝の状態を確認しようとした医師と看護師も驚くのだった。
「…ゴメンなさい…ネムネムしたかったのねぇ〜…」
と、シュンとしながら蓮輝から降り、凰哦達の元へと戻って来るキュー。
其のキューをギュッと抱き締め
「ありがとうキュー!…ありがとう!…本当にありがとう…キュー…。蓮輝が大声出して驚いただろうけどゴメンな…。俺達が騒いでしまったから、俺達に向けて怒っただけだからな?許してくれるか?…」
「…うん…」
「ありがとう…キュー…」
「ケヘケヘ〜…うん!」
凰哦の胸の中で嬉しそうに答えるキュー。
其れがまた意地らしくて愛おしくて堪らなく成り、涙が止まらない凰哦。
「ありがとう…ありがとう…」
キューの頭を撫でながら、ありがとうを繰り返すのだ。
「ウケケッ!アキャキャッ!凰哦パパあったかぁ〜い!良い匂い〜!ケヘケヘ〜!」
無垢なキューは、其の場に居た者の心を温めるのだった。
無垢なキューに心癒された者達は、優しい涙を流しながら、深い眠りから蓮輝を覚ましてくれた事を感謝していた。
やはり、蓮輝を目覚めさせてくれるのはキューだったのだと、其う思った自分の勘が正しかったのだと思う凰哦。
キューに感謝しつつ、スヤスヤと眠る蓮輝を見て凰哦は思う。
何故記憶が無い様な事を言ったのだろうと…。
キューの存在を忘れ、しかも自分は誰なのかと言った蓮輝の言葉が、頭から離れないのだった…。
不安は未だ有るのだが、昏睡状態から目を覚ましたのだから、後はゆっくりと考えようと、蓮輝を見つめながら其う思う凰哦だった…。
サブタイトル通りでしたでしょうか?
ちょっと心配…。
歯切れの悪い終わり方ですが、今話はコレで完了です。
では次話をお待ち下さいね。
其れにしても優しい隆志は何処へ…?
カンバーーーック!です。




