新しく
お仕置きが終わってから、子供達の色々な手続きや其々の荷物などの整理、その他諸々の事をする日が1週間続き、遂に此処を出る日がやって来た。
誘拐された子達は、本当の親子か調べ上げられて、身元が確認取れ次第に、親の元に戻されて行ったんだ。
本当の孤児の子達は、新たな孤児院に移る事になっていて、これから用意されたバスに乗って、新しい地へと向かって出発。
遺骨が有るかも知れないけれど、子供達にとっては大切な家でも有り、場所でも有るんだよね…。
皆んな、何処か寂しげな顔をしていたんだ…。
あんなに辛い日々を過ごして来た筈なのにね…。
そして子供達を乗せたバスが走り去って行く。
「ねぇ凰哦さん、あの子達の行き先はちゃんとした所なの?安全?」
「当たり前じゃないか、勿論ちゃんとした安全な所だよ」
「そう…それなら良かったよ…。でも皆んなバラバラになっちゃうのかな?…」
「いや、皆んな一緒だ」
「えっ…そうなの?それ本当?」
「ハハッ本当だとも。何だ?俺が信じられないのか?」
「いやそれは無いけどさ、誘拐された子達を差し引いても、まだ12人は居るんだよ?そんな上手い具合に、いっぺんに引き取れる施設って有るモノなの?」
「正直それが1番大変だったよ…。だがそれも何とかなったから、こうしてあの子達を此処から送り出せたんだ…」
「そうなんだぁ…ありがとう凰哦さん、頑張ってくれて。あの子達の代わりにお礼言っておくよ」
「ふふっ…それと後な蓮輝、お前も凄く喜ぶ筈だ」
「喜ぶって…何を?」
「それは内緒!」
「えぇ〜!何でだよ!教えてくれても良いじゃ無い!」
「なら、俺の事を父さんと呼ぶか、俺の恋人になるのなら教えても良いが?如何する?」
「ハアッ!?何言ってんの?バッカじゃ無い!父さんならまだしも、何が恋人だよ!?笑えない冗談は止めてくれる?…エッ…ウソ…もしかして、本当にそうなって欲しいと思って…」
「な事、有る訳無いだろー!こうでも言わないと、お前絶対どんな手を使っても聞き出そうとするだろうが!だから敢えて、絶対にどっちも選ばない選択肢を出したまでだ!察しろよ!」
「フッそんな事くらい分かってたよ…。全く笑えない凰哦さんのジョークを笑える様にしてあげただけじゃ無い…。でもそうかぁ〜…凰哦さんって、そのケがお有りなんだね…」
「だから違うって言ってるだろうが!」
「あ〜はいはい…そう言う事にしておくよ…へっ!…」
「おまっ!このヤロウ……ヨシッ!始めるか!ってコラ!ちょっ待て〜!如何して逃げる!逃げるな蓮輝ー!」
危険を避ける為、猛ダッシュする僕!
「ケッ!だ〜れが待つかボケ〜!逃げるに決まってるでしょ!だ〜れが大人しく調教なぞ受けて堪るかって〜の!」
本当止めてよね!僕病人だよ?
そんな僕を全力疾走させるなんてさ、如何いう精神してるのさ?
鬼だね鬼!これ以上無いくらいの慈悲心の無い鬼!最早鬼神ですよ!
ポンコツ魔神から鬼神に変化しましたよあのお方…。
「ホグゥ〜!…キュゥゥゥ…」
「ハァハァハァハァハァ…手間かけさせやがって…ふうぅ〜〜…お前、俺から逃げられるとでも思っていたのか?…」
「いえ…全く…全然…」
「なら逃げるな!」
「………はい……」
見事に捕まっちゃいました!
これで調教確定、逃げられません…。
首根っこ摘まれて、まるで子猫の様に大人しく運ばれる僕。
「蓮ちゃん…貴方本当に病人なのだから、お願いだから心配掛けさせないでね?2人のやり取りは面白くて好きなのだけれど、もう少しだけ凰さんを揶揄うのは止めましょう?それに凰さんも!流れ的にこうなる事、貴方なら分かってた筈よ?なのに全くもぉ〜!仲の良いのは良い事だけれど、本当2人してまだまだ子供なのね…」
「あい…ずびばぜん…」
「美砂母さん、申し訳無いです…」
「凰君、そろそろ蓮ちゃんを降ろしてあげてくれるかな?首が締まってまともな話し方出来て無いみたいだし、何より顔色が…って!蓮ちゃん!蓮ちゃん!大丈夫なのかい!?」
正樹お爺ちゃんの言葉で蓮輝の顔を見る凰哦と美砂。
首が締まっていて、グッタリして血の気が無くなっていた。
「だ、だびじぇうゔぅ…ぐて…」
「いやぁーーー!蓮ちゃん!蓮ちゃん!」
「ああああああっ!れれれ蓮輝!蓮輝!済まない!蓮輝!?大丈夫か!?」
慌てて僕を降ろす凰哦さん…。
「済まない蓮輝!大丈夫か!?なあ蓮グフゥッ!」
降ろした僕の状態を確認する為、凰哦さんが覗き込む様に来た所をすかさずアッパーーッ!カアァッット!炸裂です♪
良い子の皆んな〜、絶対真似しちゃダメだよ〜!
勿論悪い子もねぇ〜!
約束だよ〜!
ハイ!凰哦チョップ♪…ゴチ!
「アブッ!ブ……」
「何が真似しちゃダメだ!約束だ!このヤロッ!このヤロウ〜!」
「ちょっ!暴力反対!今のチョップだけでも痛ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ〜〜!」
「どの口で言う!如何した?今は暴力振るってないぞ?んん?」
「ヒャヒャヒャヒャヒャ…止め…止めて…ダ、ダメ…ヒャヒャヒャ…其処はダメ…僕の弱い所…脇…腹…アヒャヒャヒャヒャ〜」
「如何だ?クスグリの刑は?段々気持ち良くなって来たんだろ?笑えてるんだから、楽しくてしょうがないんじゃ無いのか?」
「アヒャヒャ…このサディスト!そんな事…アヒャヒャ…有る訳ヒャヒャ…無いでしょうが!凰哦さんって、時折僕より子供になるよね?…」
「凰君、蓮ちゃんの言った通りに思うよ…」
「そうですねぇ、残念な事に…」
「…えっ…。そ、そんな…父さん、母さん迄…」
「って事で、バカな事は此処迄にしてっと…」
「だな…」
「ごめんねぇ、正樹お爺ちゃんと美砂お婆ちゃんに迄付き合わせちゃって〜」
「あいあい、そんなの構わないよ…。たまには参加しておかないとね」
「本当ありがとうございます。でも良く気付きましたね、私達のバカみたいなコントに…」
「そりゃ分かりますよ凰さん、何時も見てたんだから〜。それに一応私達、貴方達のお父さんお母さんで、お爺ちゃんお婆ちゃんなのですもの」
凰哦さんが照れながら
「その言葉…とても嬉しいです…」
「僕も!」
「あら!うふふっ…」
「アハハッあいあい…」
このやり取りで笑い合って、とても幸せな家族になれたんだと、そう思ったよ。
「でも今回正直言うとね、途中蓮ちゃんの顔が真っ青になった時は、生きた心地しなかったわ…」
「確かに心臓に悪かったよ…」
「ごめんなさい…」
「申し訳有りません…」
「でも何事も無かったから良かったわ…」
「蓮ちゃん、本当に具合は大丈夫なのかい?」
「2人共ありがとう、僕はまだ大丈…ゴホッ…ゴホゴホ…」
「ちょっと、蓮ちゃん!?」
「蓮輝!?」
「蓮君!?」
「ご、ごめん…。ちょっと咽せちゃった…だけだ…ウゥゥヴゲェェェ……」
「蓮輝!」
「蓮君!」
「蓮ちゃん!」
「…だだ…大丈夫…。今日飲んだ薬の副作用だから、意識無くす事は無いからね…。本当ごめんね、皆んな…」
「本当だな!?」
「本当なの?」
「無理はしないでおくれ、蓮ちゃん…」
「うん、ありがとう…」
結構薬の副作用が強くて、一応副作用を抑える薬も飲んでるけれど、今みたいに効かない時があって、基本我慢して見せない様にはしているけどね、今回は我慢出来なかったよ。
こんな姿、見せたくは無いんだよね…。
見た人が辛くなるのが分かっているし、心配掛けちゃうからね…。
でもきっと、今後はこんな姿を多く見せる事になるんだろうね…。
処方される薬が少しずつ強くなってるし、種類や量も増えたから…。
でも、今みたいにハシャグ事が出来るのは、薬のおかげだから文句を言うつもりは無いんだ〜。
あの全身の痛みで動けない、意識が無くなる事を思えばね。
「なぁ蓮輝、今日は如何した?少し何時ものお前とは違うぞ?」
ありゃ…やっぱり凰哦さんには…いや違うな。
多分正樹お爺ちゃんと美砂お婆ちゃんにも気付かれてるだろうね…。
「えっ?そう?何時もと同じだけど、何か違った?変?」
と、取り敢えずとぼけてみたけど…。
「お前、朝起きた時から体が辛かった筈だ。なのに無理して迄バカな事して、場を和ませようとしたんだろ?俺達が少しセンチメンタル気味なのを気にして…」
「それは私も思ったわ、凰さんの言う通りなのでしょう?」
「私もだよ蓮君…。だから尚更蓮ちゃん達のコントに参加したんだけどね…」
あぁやっぱり気付いてましたか…。
「エヘヘ…やっぱり気付いてたんだね〜。皆んなには、敵わないや…」
「何を言ってるんだ、1番良く気付くのお前だろ?しかも誰よりも先にだ…」
「本当にねぇ…」
「此処にやって来た時も、その目的を言い当てたからね。蓮ちゃんは観察力が有るから、コーヒーの時も驚いた程だったからね…」
「…だねぇ〜。自分の事ながら、そう言われたらそうかぁ〜って思っちゃった。正直に言うとね、此処に何年も住んでいた訳じゃ無いけどさ、思入れって言うか何て言うか…あ〜う〜〜ん上手く纏まらないけれどね、感慨深くなっちゃったんだ…」
「感慨深くかぁ…」
凰哦がそう呟きながら、施設の建物を見る。
それに釣られて僕達も見る。
「うん…ほんの1ヶ月程だったけど、子供達と過ごした事だけじゃ無くてね、父さんの育った場所でも有るから…。警察が事件の事を調べ尽くした後に、この施設が取り壊されて更地になったら、父さんが此処で過ごした証しが無くなる様な気がしてさ…何だか悲しくも思えて来てね、僕そう言うの苦手だからさ、ついやっちゃった〜…」
「…確かにお前は、そう言った事が苦手だよな…。だがそうだなぁ〜、確かに槍馬義兄さんの育った証が此処に有ったんだよな…。言うなれば、俺達の原点とも言えるかもな…」
「えっ…それって如何言う事?…」
「槍馬義兄さんがもし此処で育ってなかったら、蘭姉さんとは出会っていないだろうし、蘭姉さんと俺の2人は山家に復讐する術も無いまま、ただ悔しい思いをしながら過ごしていただろうし、正樹父さんと美砂母さんとも出会えて無かっただろうな…。そう言う意味で"原点"とも言えるのかと思っただけだよ…」
「確かにそうだよね…。もしそうだったならさ、父さんと母さんは出会って無いとしたら、僕はこの世に生まれて来なかったって事でも有るんだもんね…。そう思うとやっぱり此処ってさ、僕達の原点なのかもね…」
「そうなのかもね、私達が出会う為の…原点…だったのかも知れませんね…」
「そうだね…私達の繋がりは、不思議な縁から来ているモノだからね…そう思うと槍馬君の存在が、とても大きく感じてくるよ…」
「それに…キューもね………って、あれっ?キューは何処!?」
それ迄キューが居ない事に気付かない僕。
ずっと誰かがキューの事を見てると思っていたから、完全に忘れていたよ。
慌てて辺りを見渡したけど何処にも居ない…。
「キューが居ないよ!?」
「ん?何言ってるんだ?蓮輝…」
「いやだから、キューが居ないって…」
「えっ…蓮ちゃん、キューちゃんなら子供達と一緒に、バスに乗って行ったわよ?」
「そうだよ蓮ちゃん。おや?もしかして、気付いて無かったのかい?一緒に手を振って見送ってたのに…」
「エエェーッ!嘘マジ…全然気付かなかった…。てっきり誰かが見てくれてると、ずっと思ってたよ…」
「如何やら本当に分からなかったみたいだな…。お前、それ程体が辛かったんじゃ無いのか?何時もの蓮輝なら、絶対分かってた筈だぞ?」
「………」
「さっ、俺達もそろそろ行くか!ずっと此処に居てもしょうがないし、この寒さは、お前の体にも良く無いからな…」
「そうだね、蓮ちゃんはゆっくり出来る様に、後部座席で横になってると良いよ。凰君が運転に疲れたら私が変わるから、蓮ちゃんは少しでも休んでなさい…」
「正樹お爺ちゃん…」
「そうよ蓮ちゃん。この人毎日仕入れの為に運転してたのだから、車の運転には慣れてるのよ?だからね、交代要員として起きてなくても良いのよ?凰さんも、バンバンこの人を使ってあげてね」
「分かりました正樹父さん美砂母さん。そう言う事だから、お前は少しでも体を休めておけよ。向こうに着いたら慌ただしくなるかも知れないからな」
「何だろ、その匂わせしっくり来ないんだけどさ、皆んなが其処迄言うから、大人しく従っておくね〜。その方が僕も気が楽だしね〜」
「オッ?素直じゃないか!それじゃ早く車に乗って出発しよう!」
「OK〜!でも途中のサービスエリアに1度は寄ってね。それ迄後部座席を倒してベッドにして寝てるね〜」
「あぁ分かった!それじゃ父さんも母さんも行きましょう」
凰哦さんのその言葉が、この地に残した僕達の最後の言葉。
皆んなの思いと、此処で育った父さんの記憶を其処に残して、僕は
(バイバイ父さん…僕の思い出を残して行くから寂しくは無いよね?…だから此処にはもう来ないからね…。さようなら父さん…ありがとう…)
とそう思いながら、遠ざかって行く施設を見えなくなる迄眺めていた。
気が付けば高速のサービスエリア。
いつの間にか寝てたみたい…。
「ちょっとトイレとタバコ吸って来るよ…」
そう言って、単独行動して真っ先にトイレの個室に向かう。
トイレの水を流しながら吐き戻し、少し落ち着いた頃に炭酸飲料を飲んで、胸の気持ち悪さをスッキリさせてから、タバコも吸わずに車に戻る。
「お待たせ…ってアレッ?皆んな降りて無いの?皆んなはトイレとか買い物とかしなくて良いの?」
「お前良く寝てたからな…。このサービスエリアに来る前に、1度パーキングエリアで休憩挟んだんだ。だから大丈夫だ」
「そうなの?それならごめん、待たせたね…」
「気にしなくて良いよ蓮ちゃん、さっ出発しようか」
「あっ、正樹お爺ちゃんが今度は運転するんだ」
「そうなんだよ。不安かも知れないけれど一応ゴールドだし、凰君みたいに格好良く走れないから、とてもトロトロと遅く感じるだろうけどね…」
「安全運転で良いじゃない!ただせっかくの正樹お爺ちゃんの運転なのに、僕また寝ちゃうかも…。寝ちゃったらごめんね…」
「あいあい、それは気にしなくて良いから。それじゃ行こうかね」
「お願いします、正樹父さん」
「あいあい…」
鼻唄混じりで運転を楽しむ正樹お爺ちゃん。
10分程正樹お爺ちゃんの運転を楽しんだら、予告通りに眠りに落ちる僕。
ーーーーー
「此処が父さんの育った家だよ…」
「あら貴方、この子未だ1歳になったばかりよ?そんな直ぐには分からないわよ…」
「そうかなぁ〜?この子は、君や君の弟の様にとても賢いからさ、分かってくれる気がするんだ。言葉を覚えるのも早かったしさ、僕等の言葉を理解してる節も有るみたいだからね…」
「そうよね…。それに未だ1歳になったばかりなのに、私達の表情を見て、泣いたり笑ったりしてるから、気遣いの出来る賢く優しい子に育つ様な気もするわね…」
「アハハッ僕達親バカなのかな?」
「ウフフッそうかもね…でもそれで良いじゃない。誰に何を言われても、私は親バカに徹してあげるわ。こんな可愛い子を守ってあげられるのなら、親バカと言われようと構わないわ」
「そうだね、僕達がこの子をしっかり守って育てなくっちゃね。その為なら親バカでも構わないよね。ありがとう蘭そして蓮輝…」
「私こそありがとう、槍馬さん…」
「蓮輝…本当にありがとう…しっかりお前の思い出を貰ったから…。父さん嬉しかったよ…こんなにも大きく良い子に育ってくれて、本当にありがとう…凰哦君、蓮輝を此処迄育ててくれてありがとう…」
「凰ちゃん、私達の代わりに蓮輝を育ててくれて、本当にありがとう。とても辛い事も大変な思いも有ったでしょう…ごめんね凰ちゃん…本当にありがとう…」
ーーーーー
「蓮ちゃん…蓮ちゃん…そろそろ着くわよ…。凰さんも、そろそろ起きてね…」
美砂お婆ちゃんの声で、目を覚ました僕。
「あら?2人共如何したの…?何か悲しい夢でも見たの?涙流して…」
如何やら凰哦さんも助手席で眠ってたらしい…。
しかも夢を見て、僕と同じ様に涙を流してたみたい…。
「あっ…いや…悲しい夢…では無く、何方かと言うと…優しい夢でした…。槍馬義兄さんと蘭姉さんが出て来て、蓮輝を育ててくれてありがとうと…夢の中でそう言ってくれました…」
「えっ!凰哦さんも父さんと母さんの夢見たの!?僕もだよ…。此処にお前の思い出を残してくれてありがとうって、賢く優しい子に育ってくれて嬉しいって…。そして凰哦さんに感謝してた夢だったよ…」
「お前もなのか!?…不思議な事も有るんだな…。2人同時に同じ夢を見るなんて…」
「それ本当なのかい?」
「如何やら本当みたい、正樹お爺ちゃん…」
「そうなのかい…」
「それが本当なら、本当に不思議な事よね…」
「うんそうだね…。でもキューと出会ってからずっと不思議な事が続いたからさ、今じゃ不思議な出来事や人との縁も全て、キューが起こしてくれた奇跡の様な気がするんだよね…」
「…そうかもな…」
「そうだろうね…」
「そうでしょうね、キューちゃんが運んでくれた奇跡なのかも知れませんね…」
キューと出会ってからの様々な出来事、それは全てキューが運んでくれた奇跡何だと、僕達は素直にそう思えたんだ…。
「まもなく目的地に到着します。音声案内を終了します」
カーナビから案内終了の音声が流れて来た。
「…えっ…目的地って…此処!?」
「そうだ」
「えっ?えっ!?…如何言う事!?此処…僕が通う病院じゃん!?」
「そうだ、此処に子供達が住むんだ」
「えっ!?意味が分からない…」
「まぁ住むって言っても、仮の場所なんだがな…」
「仮?」
「そう仮…。ずっと此処にって訳にはいかないだろう?ちゃんとした場所が出来上がる迄の、間借りみたいな感じだ」
「益々意味が分からない…」
「まぁもう少し楽しみに待っててくれないか?そうすれば俺のした事が分かるからさ!」
メッチャ嬉しそうな、楽しそうな顔をして凰哦さんが言う。
しかも子供の様な無邪気な顔をして…。
「分かったよ…それじゃもう少しだけ、ワクワクドキドキしておくよ。先に言っておくね、サプライズ成功おめでとう凰哦さん」
「アハハッ!そうか!それは嬉しいなあ!お前を驚かせる事が出来て良かったよ!」
また無邪気な顔で笑って言う。
それを見て、正樹お爺ちゃんと美砂お婆ちゃんも嬉しそう。
勿論僕もね…。
さてこのサプライズ、一体どんな内容なのかなぁ…。
ちょっとだけ、楽しみにしていよう…。
本当にちょっとだけね…。
年明けからの孤児院編、結構続きましたね〜。
まぁ正直、蓮輝と凰哦にとって必要な場所でも有り、物語にとっても必要なモノでしたから、此処迄続いたのですがね…。
一応、孤児院でのお話は完了しました。
次話でも孤児院の子供達が出て来ますが、孤児院の話は完了なので、ただのサブストーリーみたいに思って下さいませ。
では次話をお待ち下さい。




