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初詣から

スヤスヤ眠ってるキューをリュックに入れて、僕達は初詣に行く為に家を出た。

凰哦さんが車を運転してくれて、正樹お爺ちゃん美砂お婆ちゃんの店近くの、僕のお気に入りの神社に行くつもり。

だったのだけれど、何故か違う道を走ってるなぁ〜と思ってたらね、高速道路に乗ってひたすら車を飛ばす凰哦さん。

「あれ?何で高速なの?お爺ちゃん達の店の近くの神社に行くんじゃ無かったの?ただドライブしたかったんじゃ無いよね?」

「まぁあの神社は後で行けば良いから、如何してもお前を連れて行きたい所があってな、其処に向かってる」

「それって何処?」

「着いてからのお楽しみだ!」

「お楽しみって、ねぇ正樹お爺ちゃん美砂お婆ちゃん、2人は行き先知ってる?」

「いや私は知らないよ?」

「私も何も知らないわ…ごめんね…」

「いや大丈夫だよ美砂お婆ちゃん、2人も知らないんじゃ完全に凰哦さんの独断だもん。どんな手を使っても教えてはくれないと思うから、取り敢えず着く迄大人しくしてるね」

「そうそう、今は何も聞かず楽しみにしててくれ!それに到着迄結構時間も掛かるから、寝ててくれても良いから。父さんと母さんも、シート倒せば楽に眠れますから、着く迄少しでも休んでいて下さい」

「いや、その前に行く所有るでしょ!何勝手に話進めてんのさ?少しは気遣いしなさいな!」

「ん〜?何だ、別に勝手に話進めてるつもりは無いぞ?それに何処に行く所が有るんだ?」

「サービスエリア!トイレ!飲み物!後、食べ物!」

「あっ…」

「あっ…じゃ無いよ!お爺ちゃん達の店の近くに行くつもりで出て来たのに、な〜んの用意もしないで、それは無いんじゃない?」

「だよなぁ…済まん…。父さん母さんも済みません…」

「いや大丈夫だよ凰君、先程たらふく年越し蕎麦食べたからね。だがトイレは行きたいかも…」

「まぁ貴方ったら!…そう言いながら私も念の為、行っておきたいわね…」

「ほら〜でしょ?凰哦さんって、思い込んだら真っ直ぐなのは良いけどさ、もう少し計画性持ちなよ。そうしないと周りが迷惑して誰も付いて来なくなるよ?」

「…ごもっともです…」

「取り敢えず年始の今日なら、この時間でもサービスエリアで食べる物とか調達出来ると思うから。ただ混雑してるとは思うけどね…」

「あっそうだよな…」

あっそうだよな…じゃ無いよ!

これも凰哦さんのダメな所なんだよね〜。

時折発生する無鉄砲ぶり。

突然思い立って行動するから、その都度振り回されるこっちの身にもなって欲しい…。

僕は良いとして、正樹お爺ちゃん美砂お婆ちゃんは、その無鉄砲ぶりに慣れて無いんだから、もう少しだけはマシになって貰わないとね。

しばらくして着いたサービスエリア。

案の定大混雑でござ〜る…ウッキィーー!!

バナナ奪い取るよ?

野生の猿さん凶暴何だよ?

隙見せたら引っ掻くよ?

アブシッ!……

運転席から華麗なるチョップ頂きました!

ご馳走様です…。

「イッタイなぁー!何するの!?」

「お前を現世に戻してやったんだ!ありがたく思え!」

「なぁ〜にを〜!!僕より違う世界に行ってるの、そっちじゃん!前に挙動不審者にならないって約束したのに、その後も良く召されてんじゃん!」

「そんな約束した覚えは無い!」

「あっそう…えっ〜と…あっこれこれ。ハイポチッとね!」


「…それじゃ、見ても不安定にならないって、今後もしっかりやって行く事を約束するのなら、見せてあげるけど、その約束守れる?」

「ああ!約束する!絶対守るからさ!だから見せてくれよ〜お願いだぁ〜!」

「……分かったよ…それじゃ観せるけど、少しでも不安定になりそうだったら、即終了するから、そのつもりで気を引き締めて観てね!」

「あぁ分かった!」

「じゃ、はいこれ…」


「ふぅ……さて、貴方様の言い分をお聞きしましょうか?」

「済いません!申し訳ありません!…でも何時の間にそんなモノ録音したんだ…?」

「大体毎回してるよ、凰哦さんがポンコツ化しそうになったらね…」

「ヒィ〜〜!…怖い…蓮輝…お前が怖い…」

「ヘッ!これも処世術だからね!分かったでしょ?僕を敵に回すと如何なるかを…」

「はい!…充分分かりました!」

「分かれば宜しい…」

「はい…」

「ブワァハハハハハッ!アハハハッ!アーハハハハハハッ!ああ面白い…面白いよ…」

「フフフフフッ…ウフフフフッ…本当に…本当に何時も笑わせてくれるのね2人は…ウフフフフッ…」

正樹お爺ちゃんと美砂お婆ちゃんが、後ろの席で大笑いしてくれました!

「面白かった?」

「あぁ…アハハハハ…おも…面白かったよ…フハハハハハ…」

「本当に…フフフ…2人のやり取り好きだわ…フフフッ」

「やったね〜!良かった、笑って貰えて〜。1人だけ恥ずかしくて死にそうになってるけど、僕は嬉しいよ!」

「〜〜〜〜〜!!」

「ほら何時迄恥ずかしがってるの!そこ空いたから素早く車を停める!」

「はい…」

まぁ混雑してる間の、僕から退屈させたく無いという心遣いだったんだけど、上手くいったみたいで良かった!

凰哦さんを上手く誘導するのって結構大変なんだけど、何とか出来てホッとしてます。

取り敢えず確認、小声で

「ねぇ僕の考えてる事分かったの?心読んだりした?」

「ん?…何の話だ?」

セーフ…人の心読む無駄な能力が有るから、要らない手間が掛かって、こんな時正直大変なんだよね…。

でも今回は、ちゃんと出来て良かった。

「ではトイレとお買い物タイムを開始!…凰哦さんは罰として、縫いぐるみのキューをそのまま手にして来なよ?良い?分かった?」

凰哦さんにしてみれば、キューを抱いて行ける嬉しさと、縫いぐるみを抱いてると世間一般の方達にお披露目する、羞恥心の狭間で苦しむだろうね。

嬉し恥かし羞恥心、良いお仕置きです!

僕達から少し離れて歩く凰哦さん。

見た目激渋の凰哦さんに抱かれた縫いぐるみのキューは、スヤスヤ寝てますが、やはり一般客の目線が気になるみたいで、顔を真っ赤にしながら俯いて歩く凰哦さん。

本当に良いお仕置きです!

他人の事など気にしないって言ってた筈なのに、何だかんだと他人の目が気になるのって如何思う?

僕なんて縫いぐるみのキューをリュックに入れて買い物とか、しょっ中してたのに、本当凰哦さんって気に過ぎるんだよね。

まぁこれでポンコツ化もしばらくは落ち着くでしょう…。

「あっ!これは何て可愛いんだ〜!」

ハアッ!?

後ろから聞こえる凰哦さんの声。

如何やらポンコツセンサーに、何かしらヒットしたみたい。

「ああぁ…これも…これも…これも可愛い♡どれを選べば良いんだ〜!?」

何にヒットしたのかを見ると、キューに似たご当地キャラのグッズがズラリと並んでました。

「ちょっとそこのオッさん!何してんの!?他人に迷惑掛かるから、全種類買えば良いでしょ!ったく、少しは反省するかと思えば全く反省する気は無いみたいだね!」

「オオオ、オッさんって…ヒド…」

「やかまし!反省しない人には、オッさんで充分!さっ!早く行くよ!全部の商品このカゴに入れて、会計済ませて来なさい!」

「そんなに怒らなくても…」

「…周り見てみなよ…ザワ付いているでしょうが!」

蓮輝に言われた通りに周りを見渡すと、混雑してるのに、凰哦から数mの距離を離れて、凰哦を見てザワ付いているのが見て取れた。

その時初めて自分のポンコツ化によって、他人の目に自分の姿が如何写っているのかを知る。

余りの恥ずかしさに、無言で蓮輝に言われるまま全ての商品をカゴに入れ、レジを済ませる。

「別に買わなくても良いだろうに、恥ずかしくても欲しいって思う物欲には勝てなかったみたいだね…。まぁオモロかったから良いかぁ〜。それじゃ僕も飲み物と食べ物見繕って来ますか…お爺ちゃん達も、長蛇の列で未だトイレも済ませられそうもないからね…」

眠気覚ましのコーヒーは、またトイレがしたくなりそうだから止めにして、普通にお茶と炭酸飲料にキューも飲める飲料水をカゴに入れ、後はホカホカ肉まんとかにしよう。

キューの分は、此処では手に入れられそうに無いから、念の為持って来ていたお菓子で我慢して貰おう。

レジを済ませると、丁度正樹お爺ちゃん達がトイレから戻って来た。

「トイレ間に合った?」

「何とかね…ちょっと危なかったけどね、アハハ…」

「これだけ沢山の人が居るものね、本当無計画な事されると困るよね…」

「でもまぁ、その分楽しめますからね。あら?お買い物済ませたの?」

「うん。一応今必要そうな物は買ったよ」

「そういや凰君は?」

「羞恥心で車に避難してるよ…」

「羞恥心?」

「うん、自分のポンコツ化による羞恥心にね。でも今頃車の中でポンコツ化してるだろうけど、呆れないであげてね」

僕のその言葉に、直ぐそこにポンコツ化の原因になる商品を目にした2人は、コクコクと頷くのでした。

「ごめん、僕ちょっとタバコ吸ってくるよ」

「大丈夫なのかい?肺炎治したばかりなのに」

「物思いにふけりたい時だけにしてるから大丈夫だよ。心配してくれてありがとうね」

「そうかい?それなら車で待ってるよ、さぁその荷物持って行くから」

「ありがとう、お願いね」

そう言って2人と別れ、僕はサービスエリアの喫煙ブースに向かい、タバコをゆっくりと吸う。

今回の凰哦さんの突然の行動について考えた。

僕を連れて行きたい場所かぁ…。

何となくだけど、予想は付くんだよね…。

クリスマスのプレゼント、あの後から()()()には一切触れる事が無かったから、それに関して関わりの有る所に行くんだろうね…。

多分間違いは無いと思うんだ…。

僕の…両親に関する場所だろうね…。

ふぅ〜…タバコを吸いながらだと、気持ちと心の整理も出来て考えが纏まる様になったよ…。

本当不思議不思議…。

本当ならこんなアイテム使わなくても、ちゃんと出来る様にならないとイケないんだけどね…。

まぁただの言い訳と思われても仕方ないけど、それはそれで構わないや。

さて戻りますか…高速に乗った途中から、何となく行き先分かって気難しそうな顔をしそうだったのも、これで落ち着いた事だしね…。

後は着く迄黙って過ごそう。

「お待たせ〜!ごめんね〜。で凰哦さん、今から行く所ってさ、父さんに関わり有る所?」

ハイッ!僕の悪い癖出ました!

天邪ッキー発動です!

言ってる事、思ってる事と違う行動、ついついしちゃうんだよね〜ん。

「おまっ!れ、蓮輝…な、何故分かった!?」

「それは本当かい?…凰君…?」

「……はい正樹父さん…。実は其処に行こうと、クリスマスの後に思ってまして…。黙ってたのは、サプライズ的に驚かそうかと…」

「そうなんだって、正樹お爺ちゃん。でも美砂お婆ちゃんは何となく分かってたんじゃ無い?」

「ウフフ、そうね…。何となくだったけどね、凰さんを見ててお節作ってる頃には、そう思ったわ」

「やっぱりね〜、僕はもう少し前から何だけど、まさか本当にするとは思わなかったよ…」

「エエェーッ!?2人共分かって…」

「そりゃそうでしょ?慣れてくると凰哦さんって、分かり易いんだもん。正樹お爺ちゃんは、僕の為に蕎麦の事考えてくれてたから、そっちに気を取られて分からなかったんだと思うけど、それが無かったら絶対分かってたと思うよ」

そう言い切った僕の言葉に撃沈する凰哦さん。

「はあぅ…そんなに分かり易いのか…俺は…」

「フフフ…大丈夫よ?凰さん」

「そうそう、親しい人にしか分からないと思うから、それは安心しても良いとは思うけど、部下さん達には気を引き締めておかないと、特に取引先の人には気を付けないといけないよ?」

「ご忠告感謝します…はい…」

「で、正樹お爺ちゃん美砂お婆ちゃん、車に戻って来た時の凰哦さんは、ポンコツ化してた?」

「アハハハッしてたよバッチリとね!」

「正樹父さん…笑わないで下さいよ〜…トホホ…」

「本当よ貴方ったら!もう!ごめんなさいね…」

「良いよ美砂お婆ちゃん、自業自得なんだからさ!」

「〜〜〜〜!後で見とけよ蓮輝…絶対調教してやるからな!」

「うえぇ〜何でー!?ヤダよ止めてよ!」

「お前も自業自得だ!!」

「アッハハハハハハハハ〜!」

「ウフフフフフ〜」

そんなやり取りをしながら、朝日が昇る頃に目的地に到着。

「さぁ着いたぞ蓮輝」

「此処が目的の場所?」

「そうだ、此処にお前を連れて来たかったんだ。だがその前に…調教始めようか?」

「普通に止めて!お願いだから!」

「大丈夫だ!今回のは気持ち良くなるから、安心して受けるが良い〜!」

「ヤダッ信用ならない!目が笑って無いもん!」

「観念しなさい…フフフフフ…」

結局観念して調教を受け入れた僕だったのですが、今回の調教は何時もと趣向が違ってまして、朝日が昇り切る迄ラジオ体操をする事でした。

確かに気持ち良かったよ。

元旦早々初日の出を眺めながら、皆んなでラジオ体操も良いものだね〜。

車の中に長い時間居たからか、体操してスッキリです。

そして車を停めた場所に在る、そこそこ広い敷地に建てられた施設のインターホンを押す凰哦さん。

しばらくして

「はい何方様でしょう?」

「明けましておめでとうございます、篠瀬です。済いません朝早くから突然やって来て…」

「あら篠瀬さん!?ちょっと待ってて、直ぐ迎えに出ますから…」

「はい、それではお願いします」

インターホンが切れてから直ぐに、中から年配の夫婦が出て来た。

「明けましておめでとうございます、元旦に顔を出すのは珍しいですね」

「遠い所迄わざわざ来て下さって、疲れたでしょ?寒いから中に入って下さい。ささっ早く…」

「ありがとうございます。済いません、何の連絡も無く突然お伺いしてしまって…」

「何言ってるんですか!そんなの全然構いませんよ、ささっ早く中に…」

「ではお言葉に甘えて…」

「お連れの方達もさぁ中へ…。何もご用意出来ませんが、温かいお茶でも飲んで下さい…」

そう促されて、僕達は中に入る。

「お邪魔しま〜す…」

「はいどうぞ〜」

そう言って年配の夫婦は、奥の部屋に僕達を案内してくれた。

「今お茶を用意して来るので、適当に椅子に座ってて下さい」

言われたまま、大きなテーブルの席に座って待つ僕達。

「ねぇ凰さん、此処は如何言う所なのかしら?」

美砂お婆ちゃんが、僕も聞きたいと思った事を先に聞いてくれた。

「此処ですか?此処は孤児院です。蓮輝、お前の父さん…槍馬義兄さんが育った所だよ…」

「えっ…此処がそうなの?…僕父さんの縁の在る場所だとは思ったけど、育った所だとは思わなかった…。思ったのは母さんとの出会いの場所とか、そんなの思ってたよ…」

「此処が蓮ちゃんのお父さんが育った所なのかい?」

「はいそうです、正樹父さん。槍馬義兄さんは、此処で高校迄育ってから奨学金で大学を卒業したそうです」

「そうなの?」

「そうなんだ、槍馬義兄さんはかなりの努力家で、此処を出てから蘭姉さんに出会う迄、勉強とバイトで明け暮れてたらしいぞ?」

「そうなのねぇ…それ程の方なら、とても正義感が強いしっかりした方だったのでしょうね…」

「そうなんです美砂母さん…。ですから僕の憧れの存在でも有りました。理想の義兄さんでも有ったので、とても僕の中で大きな存在でしたよ…。他人の事信用出来ない僕にとって、大好きで家族として愛してました…。本当に信頼出来る人でしたよ…」

凰哦さんに其処迄心許せる父さんは、どれだけ器の大きく広い人だったのか、何となくだけど理解出来たんだ。

そう思ってた時

「済いませんお待たせして、お茶お待ちしました。良ければ簡単な物ですが、朝食代わりにこれも如何ぞ」

そう言って出されたのは、焼き芋でした。

「これ、園児達と育てた芋なんです。少しでも食費を節約する為と子供等が言って、農薬とか一切使わずに作ったんですよ」

あっそれ嬉しい!

キューも食べられるものね!

「で、不躾な事お聞きしますが、篠瀬さん以外の方達って…」

「あっそれは説明せず済いません。此方が甥の蓮輝、槍馬義兄さんの息子です。そしてこの2人が青柳正樹さんと、美砂さんで、私の父親と母親に、蓮輝にとってお爺ちゃんお婆ちゃんです」

「えっ!?あの槍馬君の子供?…それに篠瀬さんのお父さんとお母さんとは…」

「その説明は後で詳しく話しますが、蓮輝に槍馬義兄さんの育った所を如何しても見せてやりたくて、連れて来ました」

「はぁ…何だか良く分からないけれど、それは後程聞くとして、この子があの槍馬君の息子さんなのね…」

「そうです、蘭姉さんとの間に産まれた子が、此処迄大きくなりましたよ!」

「そうなのね…」

君江(きみえ)良かったな、槍馬君の息子さんを見られて…」

「ええ貴方…」

「ねぇ凰哦さん、僕達を置いてけぼりで話進めてるけどさ、紹介してよ…」

「あっそうだったな…ごめんごめん…。此方がこの孤児院を運営している稲葉康太(こうた)さんに君江さん。槍馬義兄さんの育ての親だよ」

「稲葉康太です」

「稲葉君江です」

「僕蓮輝です、初めまして…」

「フフフ…初めましてじゃないのよ?」

「えっ?」

「貴方が産まれて1歳の時に、2人で見せに来てくれたのよ。覚えてる訳無いわね…でもあの子がこんなにも大きくなったなんて、とても嬉しいわ…」

「そうだね…槍馬君も、大きくなった彼を見たかっただろうね…」

「そうだわね、蘭さんもそうでしょうね…。あんなに良い子と良い人が…あんなにも早く逝ってしまうだなんて…」

「世の中不公平だよ…辛いモノだ…」

康太さんと君江さんも、両親の死を悼んでくれてるのが伝わったよ…。

何だか少しでも多くの人が、両親の事を知っていてくれるって思うと、嬉しくなるね…。

「そして、槍馬義兄と蘭姉さんの事に付いてお話が有りまして、その前に先ずはこれから話す事を説明しますから、しばらくお付き合い下さいますか?」

凰哦さんが稲葉夫妻にそう言って、僕達の不思議な縁を説明し、それによって両親の死の真相を語った。

1度に色々と聞かされて困惑しながらも理解し、両親の死の真相を知って、激しく憤りを感じたみたいだった。

「とても許せない…!」

「本当に…本当に許せません!」

泣きながらそう言ってくれた事にも、嬉しく思えたんだ。

「其処で相談なのですが、聞いて頂けますか?」

凰哦さんが稲葉夫妻に、そう言って2人を見つめる。

「私達に出来る事なら何でも聞きましょう…」

と、康太さんが言ってくれた。

そして僕を見ながら

「2人の息子の蓮輝に付いてなのです…」

と、何処か悲しそうな顔をしながら言うんだ…。

僕だけじゃ無く、正樹お爺ちゃんや美砂お婆ちゃんもが、どんな事を相談しようとしているのか、全く分からないまま時間だけが過ぎて行く…。

今話は、サービスエリアのお話がメインになってますね。

しかもポンコツ凰哦さん、拍車が掛かったかんじです。

蓮輝のお父さんの育った所も少し出てきましたが、ほんのちょっとだけ匂わせて次話持ち越しです。

さて次話で、この続きが如何なるのか楽しみにお待ち下さったら、嬉しいです。

後書きでも少しだけ匂わせておきますね〜。

では次話をお待ち下さい。

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