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巣篭もりしますか? その2

「お待たせしました」

そう言って店主と一緒に、奥さんと思われる人が、天ざる蕎麦を3つ運んで来た。

出来立ての天麩羅と、艶のあるざる蕎麦。

あぁ既に美味いが確定してますよ!

僕達の前に、天ざる蕎麦を置くと

「どうぞごゆっくりお召し上がり下さい」

「それじゃ遠慮なく、頂かせていただきます」

「ありがとうございます!あぁ凄く美味しそ〜う!」

「では、お食事が終わりましたら、お声をお掛け下さい」

「あっはい、分かりました」

そう言って、店主と奥さん?が奥に戻って行く。

「それじゃ美味しいうちに頂こうか、キュー宜しく!」

と凰哦さんが言うと

「い・た・だ・き・ま・す」

「「い・た・だ・き・ま・す」」

箸が使えないキューの為に先ず、先にキューを食べさせる凰哦さん。

凰哦さんの膝の上で、天ざる蕎麦を堪能したキューは、食べ終えた後、自らリュックに入り、そのまま寝てしまうのだった。

「お腹いっぱいになって、リュックに包まれたからか、安心して寝ちゃったね…」

「フフフッその様だな…それじゃその間に、俺達も堪能させて貰おう!」

そう言って、2人無言で食べ始めるのだった。

「あぁー美味しかったぁ〜!これだけの量、久々にペロっと食べちゃった〜」

「ハハ…本当美味しかったよな!お前の食欲も戻ったみたいで、良かったよ!流石此処の天ざる蕎麦は、絶品だよなぁ〜」

本当、こんなに美味しい蕎麦や天麩羅を提供してくれる、とても優良なお店を潰そうだなんて、頭悪いんじゃ無いの?

それと、何でも大きい声で騒がないといけない種族の方達や、周りの人達に不快な思いをさせても平気なアホで横暴な奴とか、店員さんに命令口調で言ったり、自分が悪いのに、店員さんのせいにして、お金を払わない様に仕向けるクソ共って、淘汰されたらいいのにって、毎回思うんだよね〜。

あっかなり口が悪くなってしまったね、まぁ本音だから別に良いかぁ〜。

他人嫌いだからってのもあるけど、そういう他人の嫌な所って、本当目に付くと、ムダに嫌な気分になるんだよね…。

だから尚更、このお店の様に、落ち着いて食事出来るお店が無くなるのは、何としてでも阻止したいよ。

……よし!凰哦さんに、今思った事、心読まれては無さそうだし、僕の癖も出てなかったみたい、一安心っと!

「ご馳走様でした〜」

「本当ご馳走様だったなぁ〜、あっ済いませんご馳走になりました〜」

凰哦さんの掛けた言葉で、奥からやって来た店主と奥さん?が、並んで頭を下げる。

「いえいえとんでもない…粗末な物ですが、お気に召した様で、此方も嬉しく思います」

「主人共ども、何とお礼を言えば良いか分かりませんが、ご助力の方、何卒宜しくお願いします…」

と言いながら、更に頭を下げる2人。

やっぱり奥さんだったんだ〜。

「いえそんな…頭を下げないで下さい。まだ何もして無いのですから…それに、こんな絶品な物を作られてるのに、粗末な物だなんて、何を仰ってるんですか!今度部下達を連れて食べに来ますから、その時も是非、この絶品な天ざる蕎麦を食べさせて下さい!」

「何と…それはとても嬉しい事を仰って頂いて…本当胸がいっぱいになりますよ…」

「えぇ本当に、何と有難いお言葉を頂いてしまって…恐縮ですわ…」

「本当に、恐縮されないで下さい!そこ迄有り難たがられると、此方こそ恐縮してしまいます…」

「ハハハッそうですか…それではそうさせて頂きます」

「その方が助かります…」

何と大人な会話なんでしょう。

これですよ、これ!

こんなやり取りが出来るのが、ちゃんとした大人の人だと思えるんだよね〜。

あぁ〜このやり取りだけで、なんだかホッコリするよ。

「今日は、本当にご馳走様でした。何とお礼を言えばいいか分かりませんよ!ですからそのお礼に、しっかり調べて、キチンとした対応をさせて頂きます!なので、何があろうとも、店を閉めないで開けてて下さい。もし何かあった時は、私くしの会社までご連絡下さい。直ぐ駆け付けて、対応しますので…」

「それにつきましては、本当にありがとうございます。ご迷惑でしょうが、何卒宜しくお願いします…」

「いえ迷惑ではありませんよ!寧ろ燃えたぎってますから!部下には此方のお店の事伝えておきますから、私が居ない時は、部下が対応しますので、その時はご了承下さい」

「はい分かりました。ではどうぞ宜しくお願いします」

「任せて下さい!」

そう言って、凰哦さんと店主がガッチリ握手を交わすのでした。

「ちなみにお名前お聞かせ願いませんか?お店の名前は青柳とされてますが、お店と同じ名前なのでしょうか?」

「これは失礼をしました、私の名前は青柳です。店の名前そのままで、ひねりが無いですがね…」

「そうですか?とても良い名前だと思いますよ!」

「とてもお恥ずかしいですが、そう言って頂けると嬉しいものですね〜、ありがとうございます」

「では、私達はこの辺で失礼します。明日、明後日にでも部下がやって来ますから、ご対応の方宜しくお願いします」

「はい分かりました、本当色々とありがとうございます」

「では失礼します、本当にご馳走様でした」

僕も一緒に

「ご馳走様でした、また来ますね〜!」

「はいお待ちしております!」

そう言って、店を後にする。

帰りは凰哦さんが運転してくれた。

その訳は、今直ぐ会社に向かう為。

その間僕は助手席で、リュックに入ってるキューを抱いていた。

「蓮輝、お前に1つ言っておくよ…」

「ん?何?…」

「お前、店の中でさ、心の中でかなり悪態ついていただろ?」

えっ?マジ!?やっぱり読まれてたの!?

「今回は心読んでは無いから、ある意味安心しろ!ただ何となくお前の事だから、読まなくても分かるんだよ…。ただなぁ…その思った事、余程の事が無い限り、口にするんじゃないぞ!?お前だけなら良いが、相手が逆ギレしてみろ、店に迄迷惑が被るのだから、本当に余程の事が無い限り、口にするんじゃないぞ!分かったか?」

「………分かった…約束するよ…」

「よし!それなら良い!だが正直俺も、腑煮えくり返ってるんだ!絶対に再開発阻止して、2度と人前に出られない様にしてやるつもりだ!だからな、今回は全て俺に任せて、お前はただ傍観する事に、徹してくれないか?」

「おおっ!凰哦さんの本気モード、久々に見られるんだ!分かったよ、僕は傍観者に徹するからさ、存分に叩きのめしてやってね〜!絶対だよ!」

「あぁ!そのつもりだ!任せとけ!!」

「やったー!久々に、凰哦さんのカッコイイ所見られるんだね〜!嬉しいなぁ〜、よっ!お奉行様〜!」

「…ったくこのバカ…フフフッそうか、カッコイイかぁ…よ〜〜し、ヤル気が出て来たぞー!!」

僕に褒められて、更にヤル気を出す凰哦さん。

ブオォォォォォォーーーン…

ヤル気の表れか、車を加速する凰哦さん。

僕はこんな凰哦さんが大好きなんだよね〜、本当カッコイイよ!

「そんな照れるじゃないかぁ〜」

ブオォォォォォォーーーン

このバカたれ!人の心読んだ上に、幾ら嬉しくても急スピードは危ないでしょうが!

それでもスヤスヤ寝ているキュー。

キキィィーーッ

会社に着くなり

「それじゃちょっと行ってくる。帰りはタクシーで帰るから、お前達は先に帰ってなさい」

「帰ってなさいじゃないよ!何カッコ付けてんの!このバカ!危ない運転してさ!」

「…済いません…つい…」

「ついじゃ無いよ!もし事故でも起こしたら、僕達だけじゃ無く、キューにも被害出るでしょ!アホっ!」

「…本当申し訳無いです…」

「ったく…怒るのは此処迄にするから、凰哦さん、しっかり頑張って来てね!応援してるから!ちゃんとカッコイイ所見せてよね〜!」

「ああ!ありがとう!そのつもりだから任せてくれよ!」

「うん、でも余りムリしないでよ?部下さん達には悪いけど、疲れを感じたら直ぐに帰って来なよ…何時も限界超えてムリするんだから…」

「あぁそれも分かったよ、肝にめいじておくから、心配ありがとうな!それじゃ行ってくる…」

「頑張らないで、頑張ってね〜」

「ハハハ〜、それ矛盾してるぞ〜?それじゃ…」

「は〜い!」

そう言って会社に入って行く後ろ姿を見送り、僕はキューを助手席にシートベルトで固定して、家路に着くのでした。

家に着き、そっとソファにキュー置いてから、キュー用のマットと布団を其々に設置してみる。

「おっ?なかなか良い感じしゃない?マットも、草や葉っぱみたいに埋もれそうなやつだし、形状も元に戻るやつだし、これでキューも仰向けで寝られそうだよね〜。キューには悪いけど、1度起きてもらって、確かめてもらおっかぁ〜」

そう思ってリビングに行くと、寝ぼけ眼で起きて僕達を探しているキューが居た。

「キュー起きたの?」

「うん…蓮輝お兄ちゃん達…居ないから、どったのかと思ったぁ〜」

「あぁごめんごめん!キューのね、ベッドを作ってたんだ〜。だから1度どんなものか、確かめてくれる?あっ後凰哦パパは、お仕事入ってさ、今会社に行ってるの。だから心配しないでね…」

「そなの〜?うんそれじゃぁね〜、ベッドってのぉ確かめるねぇ〜」

「うん、それじゃお願いね〜」

「お願いする〜ん」

先ずは僕の部屋のベッドで、寝心地を確かめるキュー。

「わ〜い!気持ちいい〜ん!うまっちゃう〜ん!」

おっ!?喜んでくれたみたい。

「それじゃ、次は凰哦パパの部屋のベッドを確かめてみようか?」

「うん!」

「実はね、ちょっとだけ寝心地違うんだよ。凰哦パパの部屋のベッドはね、もうちょっとだけ柔らかいんだ」

「そなのぉ?それじゃぁそっちも〜」

そう言って、パタパタと凰哦さんの部屋に向かうキュー。

この数日で、この家の何処に何があるのかを把握したみたいだね〜。

凰哦さんの部屋に着くなり、飛び乗る様にベッドに入るキュー。

「ケヘヘェ〜、本当〜や〜らかい〜♪」

「でしょ〜!どう、気に入った?」

「うん!」

「そっか、それは良かった!あっちょっとそのまま居てくれる?」

「?どうして?」

「凰哦パパにね、キューの写真を送ってあげたいから、写真を撮らせてね」

「よく分かんないけど、良いよ〜」

「ありがとう!それじゃ写真撮るね〜」

カシャッ!

「もう1枚!」

カシャッ!

「ありがとう、キュー。それじゃ後は、キューの好きな方で寝てくれて良いからね」

「は〜い!それじゃ今日はねぇ、こっちで寝るねぇ〜」

「分かったよ、それじゃお休みキュー」

「おやつみ〜」

凰哦さんの部屋の電気を消して、僕はリビングに戻る。

「さて、頑張ってる凰哦さんに、元気の源を送りますか…」

そう呟きながら、先程撮った写真をメールで送ると、直ぐさま電話が掛かり、出る僕。

「ありがとうー!!出かしたぞ蓮輝ー!!これ、俺の部屋だよな?」

「そうだけど…」

「おおおぅ!メチャクチャ嬉しいぞー!」

「…ねぇ凰哦さん…喜んでくれるのは良いのだけれどさ、今部下の人達が直ぐそこに居るんじゃないの?…そんなに騒いで大丈夫なの?」

「…あっ!…す、済まん…電話切るな!」

「はい、それじゃ頑張ってね…」

「あぁ、ありがとう…」

そう言って電話が切れました。

これ絶対に、部下が驚いてるよね…。

だって、凰哦さんの声の奥から、ドヨメキが聞こえてきたからね〜。

あの人、こんな時の誤魔化し苦手だから、取り敢えず天の助け的、蓮輝の助けをして差し上げましょ!

ポチポチポチッと、はいそ〜信!

しばらくして、“ありがとう助かった”との返信が来ました。

送った内容はというとですね〜、部屋の模様替えをしたいのに、上手にいかないから、どうしようかと悩んでいたところ、僕が上手い事良い感じにしてくれた、みたいな内容を送りました。

一応写真にキューが写ってるから、もし見える人がいたらヤバイからと、キューのベッドをカットした加工写真も添付しておきました。

僕って、本当気がきくよね〜!我ながら素晴らしいと思いますよ!

そんな事思いながら、時計を見ると未だ9時前だから、日課の日記を書いて、それから明日の朝の朝食の下準備しときますか…。

さて何を作ろうかなぁ?

こう何度も麺類続いたからねぇ、ラーメンでも作るかぁ…。

って結局麺類じゃないか!ヤメヤメ!

うどんにしよう!

ここ最近ハマってる、僕的最強の出汁はアゴ出汁なんだよね〜。

だからアゴ出汁ふんだんに使ったおうどんにしましょう〜。

メチャクチャ美味くて何にでも合うから、使い勝手が良いんだよねぇ〜。

結局麺類だけれど、そうしよう!

だから〜ん、お揚げを甘辛く炊いて〜、温泉卵も作って〜、あっそうだ、ムキ海老が有るからそれを使って、蒲鉾風を作りますか〜。

テキパキしながら作ったつもりでも、結構時間が経ってたみたい。

時計がもうじき明日が今日になりそうだよ。

やっぱり蒲鉾を蒸して作ると、結構時間が掛かるね〜。

何か時短のやり方ないかな?今度検索してみよ〜。

それじゃ僕も寝ますか…。

凰哦さんは、未だしばらく帰って来そうにも…

「だだいま…」

帰って来たよ!

「お帰り…遅かったわね!貴方何してたの!浮気!?」

「帰宅1番に何ふざけた事言ってるんだ!浮気する前に、相手居ないわ!」

「いや〜だってさぁ〜、凰哦さん今少し、ギスギスした感じでいたでしょ〜?そのままで凰哦さんの部屋で寝てるキューがさぁ、可哀想かと思ってね、少しオチャラケてあげようとね〜、気を遣ってあげたのよん。分かる?僕の親切心?」

「…ただ単に、ふざけただけだと思うが…まぁ確かに少し気が楽になったから、ありがとな!」

「いやいや礼には及ぶよ!貴方、もう1つ感謝する事あるでしょうが!」

「?…何をだ…?」

「会社で部下に、貴方何を晒しました?そのフォローは何処の誰がしたんでしょうね〜?ん?誰かな?ささっパーッと答えてご覧なさい?」

「アザーーーッス!全て貴方様のおかげです!」

「分かれば宜しい……っで!どうだったの?部下の人達は、お店の事ちゃんと調べてくれそう?恥を晒した件は、まぁ僕がフォローしたから、そっちの事は聞かなくても分かるから言わなくてもいいよ」

「恥…へへっ恥ねぇ…本当にありがとう…何とか誤魔化せたよ…。それと青柳さんの所の事何だか、社員の誰もがあの辺りでの再開発の話聞いてないらしい。何か臭うなとなってな、即座に調べ上げる段取りになったよ。少なくとも明後日辺りには、何かしら分かると思う。何せ優秀な奴等が揃ってるからな!取り敢えず、何か有った時の為に、何人かを常時見回りさせる事にしたよ」

「そうなんだ、それなら良かったよね!何せ、凰哦さんの会社って、土地関係もやってるもんね。その社員達が知らないのはおかしい事だもんね〜、しっかり調べてね〜!あ〜楽しみ!何処の誰だか知らないけれどさ、凰哦さんを敵に回すとは不幸な奴だよね!ケチョンケチョンにされるの想像するだけで、テンション上がる〜ん!」

「ハハハッ本当にお前ってヤツは、しょうがないヤツだなぁ〜。だが実は俺も楽しみなんだ!ハハハッ!」

「それじゃ僕はこの辺で休むよ、凰哦さんも早く休んでね!キューが可愛く寝てるから、起こさない様にね〜。可愛いからって、眺めて朝迄寝ないでいたらダメだからね!分かった?」

「…分かったよ…あぁでも俺の部屋でキューが寝てるのかぁ〜、嬉しいなぁ〜待っててくれよーキュー!」

そう言って、即座に部屋に向かう凰哦さんだった。

僕もそろそろ寝ますか…。

話はまた明日にでも聞こう。

それじゃお休み〜。

今回、余りキューが活躍しませんでしたね…。

まぁ何時もの事なんですが…。

話にも出てきたアゴ出汁、僕の大好きな出汁です。

粉末の物を使用してまして、炒め物や炒飯など、本当色々使えて重宝してます。

では次話迄お待ち下さい。

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