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73話 つっえ

「なんだ?こいつ急に強くなった?」

「気を付けて直之!」


 圭子こと圭一、俺、コボ、橘フーズの社員2人、6対1での戦闘に異変が起きた。


 今まで多少なりでもダメージを与えられていた俺の剣での攻撃が全く効かなくなったのだ。


 疲労からくるパワーダウンじゃない。

 明らかにドラゴンの防御力が上がっている。


 何が原因なのかは分からないけど、今分かるのは強化されるのは防御だけとは限らないっていうこと――


「――があっ!」

「ぐっ……」

「あんた、直之になにすんのよっ!」


 剣でガードしたものの、なぎ払われたドラゴンの尻尾の威力はさっきまでの比じゃなく、俺は簡単に弾き飛ばされ壁に背中を打ち付けた。


 痛すぎるって……これ絶対打ったとこ痣になってるよ。

 こいつの攻撃はガードじゃなくて回避必須だな。


「喰らえ、【閃雷】」


 俺を想ってくれている圭子が怒りで顔を赤くすると、懐から剣を抜いた。

 するとその剣先と足にバチバチと青白い稲光が発生し、圭子の姿が消えた。


 ――ズドンッ!


 そう思った瞬間、轟音が鳴り響きドラゴンの真上から一筋の雷が落ちた。

 よく見れば落ちた先には剣を振り下ろす圭子の姿が……こんな派手で強い技使えるのかよ、俺の彼女。まぁ探索者も兼ねてる若社長なんだから強いのは分かりきっていたけど。

 自分より強いのはなんというか……このまま向こうが彼女っていう体でいいんだよね?


「くっ! 表面が焦げただけか……。致命傷を与えるにはこのまま鱗を何とかする必要がありそうだ」

「圭子っ! 危ないっ!」

「え? きゃっ!」


 ドラゴンは圭子を体に乗せたまま天井まで一直線。

 どうやら潰して殺してやろうという腹らしい。


 ――ドシャッ!


「圭子おおおおおおおおお!」


 完全にぶつけられた。

 天井から崩れた岩がぼとぼと落ちていく。

 ……男とか女とか関係ねえ。こんなに誰かの為に叫んだのは初めて、圭子は俺の1番大切な人だ。


 だから圭子を殺したお前だけは絶対に許してやらな――


「いったーい! 直之、私腕擦りむいちゃったぁ!」


 岩と共に降りてきた圭子は俺の腕にしがみつくと上目遣いで怪我しちゃったアピールを始めた。

 うーん。いや、無事なのは良いことなんだよ。でもちょっと強すぎるんだよなぁ。


「2人とも危ない!」


 いつの間にか頭上に迫っていた岩をコボが切り裂いてくれた。

 岩が豆腐みたいになるとかやっぱり魔剣すげえな。


「凄いね、その剣も君も。喋れるコボルトなんて初めてよ」

「あなたが細江さんの彼女さんですか!いやぁ、あなたの方が凄いっすよ!さっきの動きは神様だって出来ないと思いますよ」


 仲良さ気にコボと話す圭子。

 コボ……お前は圭子を見て普通に彼女って言葉が出るのが凄えよ。


「少し提案なんだけどその魔剣借りれないかしら?私のスピードなら鱗をそれで一気に剥がせるわ。ただ、スキルの再発動までにはディレイがあるの。鱗は直ぐに再生するみたいだから本格的に攻撃に参加は出来ない……皆には私の分まで攻撃して欲しいんだけど、頼っても良いかしら?」

「細江さんの彼女さんの頼みを断れませんって!やったりましょう!」

「直之は無理しないで。……『橘フーズ』の社員は死に物狂いで働きなさい。今回の件で役立たずだって分かったら……その時はどうなるか、想像出来るでしょ?」


 『橘フーズ』の社長だけど……もうこれどっちの味方なのか分かんないな。


 はぁ、おもしろ。

 あっ! そうだこんな共闘滅多に観れるもんじゃないし、音も乗せて配信するか。

 もう本来の目的からずれるけど……同接増えるなら景さんも喜ぶでしょ。



お読みいただきありがとうございます。

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