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64話 ドラゴンとコボの育てたゴブリン達

「ぎゅあああああっ!」

「――早速出ましたか。でもワイバーンよりも少し体が大きいだけって感じでコカトリスのところに居たのと同じ位……ドラゴンとしてはまだまだ子供って感じですね」

「多分ここからはこのレベルのドラゴンが最低ラインになると思う。小鳥遊君は大丈夫だと思うけど他のモンスター達がどうなるか――」

「ぐああああああああっ!」


 階段を降りた先で早速現れたドラゴンは初心者用のドラゴンといった見た目で迫力も少ない。

 とはいえこっちが連れているモンスターとは種としての格が違いすぎるようにも感じてしまう。


 これ本当にこいつらで相手出来るのかな?

 改めてそんな事を思っていると、臆する様子もなくゴブリン達が突っ込んでいった。


 ゴブリンもここに来るまで軒並み進化させて、その司令塔役を5匹ほど育成していた。


 コボ曰くゴブリン達はオークよりも頭がいいから育成が甘くても連携をとってドラゴンの相手を出来るということだったけど……さてその実力はいかに。


「ぐあがっ!」

「「ぐあっ!」」


 ゴブリン達は司令塔役の1匹が声をあげると真っ正面から向かわずに四方八方に散っていった。

 すると火を吐こうとしていたであろうドラゴンはそれをやめて重そうな尻尾を持ち上げてそれでゴブリン達を振り払おうとする。

 ドラゴンとしても少しでも範囲の広い技に切り替えて一掃してしまいたい気持ちがあったのだろう。


 しかし、それが裏目に出た。

 ゴブリン達はテツカミバチから抽出した毒を塗りたくったナイフを腰から取り出すと、敢えて尻尾攻撃を受け、その拍子にナイフをドラゴンの体に突き刺していく。


 ナイフはこの日の為に用意したもので、硬度の高い魔石を研磨して作り出された特注品。

 魔石は自分達で手に入れているものだから材料費0円。

だけれどこれだけの数を加工してもらったお陰で相当な額の出費が出てしまった。


 まぁそれでも遠藤が知り合いに、モンスターを絞めるときに使う簡単なものだから適当でとにかく数だけ用意して欲しい、という風にお願いしてくれたから通常のそういった店で頼むよりは安くはなったらしい。

 通常価格だったらいくら掛かっていたのか、考えただけでも恐ろしい。


「ぎゅ、あ……」


 ナイフに塗った毒が効いたのか、ドラゴンは苦しそうな表情を見せてその動きを止めた。

 ドラゴンは麻痺の毒が有効、しかも耐性が低いってことがこれで分かった。

 内心毒が効かなかったらどうしようってドキドキだったんだよな。


 テツカミバチから毒を抽出するのは案外大変で、努力が水の泡になるのは気持ち的にダメージが大きすぎて作戦に支障が出るかもしれないとすら考えていた。


 ゲームでセーブし忘れて電源落とすと、そのゲームは積みゲーへと変身する。

 つまりはその時と同じ様なもん。


「ぐあっ!」


 再び司令塔役のゴブリンが声をあげると、ゴブリン達は関節部分を狙って攻撃し始めた。

 万が一ドラゴンが動き出した時に反撃されてはまずいと考えての指示だろう。


「ぎぎゅあああっ!」


 ドラゴンは痛みからか悲鳴をあげるがそれを無視してゴブリン達は攻撃を続ける。

 ドラゴンの体表がいくら硬いといっても、ゴブリン達のレベルはそんなものに屈する程低くはない。

 深く抉る事は難しいだろうが、確実に少しずつダメージは入る。


 時折ドラゴンが若干動く体を地面や壁にぶつけるがゴブリン達の防御力は並み以上。

 その程度では傷も浅い。


 これはもう勝ったな。

 一体のドラゴンに対して今の数は過剰戦力にも見えるし、後2、3匹は同時に問題なく相手が出来そうだ。


「俺の育てたゴブリン達、強いでしょ!」

「ああ、やるな」

「後4組分残ってますけど、1組1階層で任せちゃいますよ!ふふふふ、とっておきのコボルト部隊は温存温存っと」


 コボは鼻高々に胸を張って見せた。

 頼もしいけどなんか腹立つのはなんでだろ?


「神様! イベントの時間の事もあります。参加者がガンガンこのダンジョンに押し寄せて来ている時を無駄にしない為にも早く次に降りましょう!」

「分かった! お前ら俺についてこ――」

「ぐぎゅああああっ!」

「俺がこの階層からいなくなった後は全部ゴブリンに任せるけど……別に道を邪魔するやつを処理するのは俺でも構わないのだろ」


 奥の道から1匹のドラゴンが地面を4足歩行で走ってきた。

 恐らくスポーン場所が奥にもあって匂いか何かで俺達に気づいたのだろう。

 気付かない振りをしてればもうちょっと長く生きていれたのにねえ。


 ――パンッ!


 俺は向かって来たドラゴンの額に拳を突き出した。

 面白いくらいに破裂するドラゴン。

 飛び散る血と肉片。

 手には痛みも傷もない。


「ようやっと1レベルアップした俺はなぁ、もうお前らの敵じゃないんだよ」

お読みいただきありがとうございます。

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