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菅原あさひと愉快な陰謀  作者: 安住ひさ
プロローグ
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菅原あさひと愉快な陰謀:プロローグ

 異世界人だとか宇宙人だとか妖怪だとかいうものは常識的に考えれば「有り得ない存在」だが、彼らをフィルターにかけて「有り得ないもの」としてふるい落とすこの「常識」という色眼鏡、これは扱いの難しい猛獣のような類で、非常に厄介な存在だと思うのだ。何故なら、常識というもの自体があやふやな経験則や半端な知識を元に形成されたものだからである。それはしばしば理性的な判断を食い殺し、人を拒絶的な反応へと追い立てるのだ。かつて地動説を主張した、とある偉大な天文学者がこの常識の格好の餌食となった事は有名な話だ。

 いつ頃からだったか、そして、何がきっかけとなっていったのか、余人がそうであるように気が付けば私の中にも常識という色眼鏡が形成されていた。それからというもの、妖精だのツチノコだのサンタクロースだの、いつぞやまでは信じていた筈の彼らをいつの間にか常識という検閲に引っかけるようになり、そして須く眉唾(まゆつば)ものとしてふるい落としていった。

 無論、常識は人間に必要なものだから備わっているという事を否定はしない。この世界の全てにいちいち手間暇をかけて真偽を判定していてはとても生きてはいけないからだ。しかし、時に立ち止まってほしいのだ。常識は具体的な観測や検証から導き出されるものではない。あくまで限られた知識や経験則から導き出されたものなのだ。それが不完全なものである以上、常識という判断基準は往々にして真実を履き違える。

 果たして異世界が無いなどと誰かが証明してみせたとでも言うのか、知的宇宙生命体が地球外の何処にも存在しないと誰が証明してみせたのか、妖怪は絶対存在しないなどと誰が証明してみせたのか。「偽」を証明出来ない以上、それを完全には否定出来ない。

 そして現実というのは、時に唐突に、そして容易く「常識」を打ち破ってくるのだ。


 もっとも私の場合、それはいささか刺激の強すぎる常識破りだったけれども。


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