自邸
今回は少し短いです。
クハダ王国の首都、アンビアーノに入った俺と茉莉。
その街並みは、中世ヨーロッパな雰囲気の町で、とてもきれいだ。
道端にゴミがない。
石畳はピカピカである。
活気もあり、多くの人が行き来している。
まるで、アンビアーノの中心部に来たような気分になるが、そうではない。
ここから中心部まで、数十キロあるそうだ。
もう地球のどの都市とも比べ物にならない大きさである。
アンビアーノをめぐるだけでっもどれだけの時間が必要になるのだろうか?
見当もつかない。
これからは、この町で生活するのかと思うとすごいわくわくする。
でもほんとに、ファンタジー感があふれている。
全体像を見てしまっては、ファンタジーどころではなさそうだが、今、目に入ってくる部分だけを見てみると、ゲームの中に張った感じである。
すれ違う人を見ていると、獣耳が生えている亜人がちらほらいる。
ここは、亜人への差別がないようである。
良い事だ。
心おきなく亜人と仲良くすることができる。
猫耳の女の子と仲良くしたいな。
メイド服を着せるのもよさそうだ。
リアルメイドさん見てみたいな。
将来お金持ちになって、豪邸でも建てたら、リアルメイドさんを何人か雇ってみよう。
よし、この世界での新たな目標が出来たぞ。
達成する為に努力せねば。
亜人がいるのであれば、きっとエルフもいるのであろう。
エルフに合うのも楽しみだ。
エルフにメイド服もよさそうかも。
リアルはやっぱりかわいいのかな。
想像がどんどん膨らんでくる。
「これから、家に行くよ。さあ、私はおにーちゃんに、どんな面白いことをしたか、しっかり確認しといてね。」
「そういえばさっき門番さんに、お譲さんって言われたんだけど、そんなに女子に見える?」
「うん、すごくそう見えるよ。まあ、そこも含めて確認しといてよ。」
せっかく想像がどんどん膨らんで、期待でいっぱいだったのに、一気に不安が期待を飲み込んできた。
でもその中に少しだけこれからの生活に期待するわくわく感が少しだけ残っている。
不思議だ。
不安のいっぱいな状況でも、わくわく感が少し残る事もあるのか。
意外な発見である。
町に入ってから、数十分ほど歩いた。
壁との距離的に中心部に向かっているのではなく、壁と都市の中心
それにしても、さすが人口一億人の都市である。
数字を聞いてもあまりピンと来ないというか、想像しにくいのだが、実際に見てみると、想像とかなり違う。
ものすごく広い。
さっき、高い建物の屋上に上ってあたりを見渡してみたが、あまり高い建物のはないのに、果てが見えない。
アンビアーノには、遠くから見渡した時、目印になりそうな建物が少ない。
俺の作りたい五ぷ艇をつく言ったら、場所が遠くからでもわかる事になりそうだ。
その中で少しだけ目立っている家があった。
民家のような平凡な家の中に、豪邸のような家があるのだ。
その豪邸は、敷地が広い。
どこかのお城のような感じである。
もう、他の家が見劣りしてしまっている。
都市の中心部でもないのにこんな豪邸があるのか。
もの好きな貴族がいたものだ。
俺は、あの豪邸ですら見劣りしてしまう建物をどこかに作ろう。
しょうもない梁愛かもしれないが、やっている側としてはそれが面白いのだ。
今俺たちはその家がある方向へ向かって歩いている。
「さあ着いたよ。これが私たちの家だよ。これすごいでしょ。ここの土地全部空き地だったから、買い占めて豪邸建ててみたの。ねえびっくりした?」
驚きすぎて言葉が出ない。
貴族ではないが、もの好きだったのは茉莉だったようだ。
もの好きの神様ってなんかなー。
ぱっとしないんだよな。
神様だからこういう家に住みたいのだろうか?
だったら神様になりたいとはあんまり思えないな。
いろんな感覚が狂いそうだ。
だが、俺の目標の、豪邸を建てるはこれでクリアで良いのではないだろうか?
この建物よりも高い物を作るは達成できないが、意外と目立つし、人を何人か雇っても大丈夫そうである。
うん、そうしよう。
あとはメイドさんがいれば満点である。
「うん、すごいびっくりした...お金とかは大丈夫だったか?」
「私を誰だと思ってるの、おにーちゃん。私はもう神様なんだよ。このぐらいへっちゃらだよ。お金なんていくらでも用意できるよ。」
もう茉莉には頭が上がらないなと思いながら会話をしていると、家(というかもう屋敷)の中から男の人が出てきた。
「おにーちゃん、あの人は執事のセバスチャンだよ。私達なんだか貴族みたいだね。」
「茉莉は貴族なんかよりもすごいけどね。」
「初めまして、アオイ様。セバスチャンと申します。こんにちは、マツリ様。お荷物をお持ちいたします。」
「荷物大丈夫よ、セバスチャン。この後使うから。」
「かしこまりました。」
この状況についていけない。
俺達はこれから、この豪邸に住んでさらに執事までいるのか。
さっき茉莉が言ってたように、本当に貴族になった気分だ。
メイドさんは居ないみたいだ少しだけ残念である。
目標はまだ達成できない。
しょうがない、また今度、茉莉にお願いしてメイドを雇ってもらおう。
それか、捨て猫見たきな感じで、猫耳の人がいないかな?
まあ、まさかそんな事はないか。
とりあえず、メイドを雇う方針で頑張ろう。
何としてでも、茉莉を説得するのだ。
俺は、心に刻んだ。
「ねえ、セバスチャン。おにーちゃんを、部屋に案内してあげて。」
「かしこまりました。アオイ様ついてきて下さいませ。」
セバスチャンに案内され、屋敷の中に入る。
そして、二階の一つの部屋に案内される。
「ここが、アオイ様の部屋で御座います。」
「ありがとう、セバスチャン。戻っていいよ。」
「かしこまりました。何かありましたら、何なりとお申し付けくださいませ。」
セバスチャンはそういうと、戻っていった。
自分の部屋を見渡してみると、ど真ん中に鏡が置いてあった。
サッサと確認しろと言わんばかりの大きさである。
さて、茉莉は俺に何をしたかなーっと確認しようと、鏡の前に立ってみる。
そこに映っていたのは、俺の知らない人だった。
少し変わったぐらいならまだしも、根本的な部分から違う。
「なんじゃこりゃー!!」
そう俺は叫んでしまった。
すると扉がノックされて、
「おにーちゃん、入るよー」
そう言って、茉莉が入ってきた。
「すごいびっくりしたでしょー。」