表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神(妹)と気ままに異世界生活  作者: 月之住人
学校
32/44

王城

 家に帰って、いつも通り茉莉に話をする。

 この前やらかしてしまった、修行をしながらだ。

 今日は、前回に引き続き料理である。

 前回は、この世界で親しまれている料理が多かった。

 しかし、今回は地球で親しまれている、世界各国の様々な料理を作った。

 和食に始まり、中華やフランス料理、全国チェーン店で売られている料理もだ。

 今回もたくさん作る。

 しかし、前回とは違う点がある。

 それは、料理はしっかり、目的があるという事だ。

 前回も、修行という目的があったが、それだけだった。

 今回は、修行だけでなく、作った料理は、自分達が食べる分以外は、すべて孤児院に寄付する。

 だから、遠慮なく大量に作りまくる事が出来る。

 何せ、孤児院の子供たちの為なのだ。

 おいしい料理を、たくさん食べてもらわなくては。

 そんなわけで、張り切って頑張っている。

 茉莉も、色々手伝ってくれている。

 しかし、茉莉も、今日の出来事を伝えてみると、数瞬動きが止まった。

 目も見開かれている。

 驚いてくれるだろうな、とは思っていたが、ここまでとは予想外である。

 今まで、茉莉のこんなにおどいている顔なんて見たことがない。

 なんか、申し訳ない気分になってくる。

 しかし、すぐに再起動する。

 

「へぇ、そうなんだ...まだこっちに来てから、数日しかたっていないのにね。本当に色々やらかしてるんだね

。そうか、貴族様か...さっ、早く料理作らないと、時間無くなっちゃうよ?急げ急げ~」

「わかった。次は何作る?」

「次はね、どうしようかな?」


 茉莉の反応に、不思議な点があったが、今気にしていてもしょうがない。

 シュミレーションで確認してみたが、理由がわかる事はなかった。

 まあ、きっとそのうちわかるだろう。

 わからないのなら、俺にはどうでもいいという事だ。

 割り切ることも大切だ。

 その後の俺らは、さらに料理を作り、無事に孤児院に届ける事が出来た。

 料理は、孤児院の子供たちだけでなく、その孤児院を運営している人達や、たまたま通りかかった人達にも食べてもらい、初めて食べる料理に、舌鼓を打っていた。

 おいしそうに食べてもらって、嬉しかった。

 子供達なんか、一心不乱に料理を食べ続けていた。

 気に入ってくれたようでなによりだ。

 これは、先にご飯を食べていなかったら、食べたくて食べたくて仕方がなかっただろう。

 助かった助かった。

 



 あれから5日がたった。

 今日は、王城に行って、お披露目会?に参加しなくてはならない。 

 俺のだから、サボる事は出来ない。

 さらに、今日はドレスを着なくてはならない。

 ドレスは動きにくいから嫌いだ。

 もしも、公衆の面前でずっこけでもしたら、ただの笑いものであり、転んでしまった本人からすれば、全く笑う事の出来ない、ただの黒歴史である。

 もっと動きやすい服を作ってほしいな。

 前世でも、こんな動きにくい服は着たことはない。

 まあ、前世は男子だから、ドレスなんて着る機会ないんだけどね。

 今、俺はしぶしぶドレスを身につけ、馬車に揺られながら、王城に向かっている。

 騎手はもちろんセバスチャンである。

 まあ、俺と茉莉は、騎手なんてできるわけないら、必然的にセバスチャンに頼る事になるのは、仕方がない事だと思う。

 大事なことだから二回言う。

 仕方がないのだ。 

 決して、俺の万事適性があれば、騎手なんて余裕だろ、なんて思ってはいけない。

 面倒だから、やりたくないわけではない。

 スルーしてくれるとありがたい。

 いや、スルーしなさい。

 これは命令です。

 命令を無視すれば...特に何もないです。

 はい。

 忘れてください。

 こんな感じで、とてもくだらない事を考えているうちに、セバスチャンが、王城についたと知らせてくれた。

 これから、面倒事になるのかなっと思うと、気が進まない。

 何せ、見ず知らずの人が、ふらっと現れたら、自分よりも高い地位につくというのだから。

 納得しない人は少なからずいるだろう。

 不満を爆発させる人もいるかもしれない。

 その場合、俺は責任をとれない。

 まあ、王様が何とかしてくれるだろうけど...

 自分から、面倒事に首を突っ込んだ気分だ。

 決して、そんなはずなかったはずなのに。

 言い切れないのが答えになっているような気がする。

 きっと気のせいである。

 そう願おう。

 馬車から下りる。

 セバスチャンは、この後特に予定がないため、馬車の駐車場で待っていてくれるようだ。

 何かあったら、急いで走っていけば、逃げる事が出来るだろう。

 そう考えると、幾分か気持ちが楽になった。

 まあ最低、極大魔法でも使って、お暇することもできるから、特に問題はなかったのだが。

 何せ、人間程度では俺に勝てないらしいのだから。

 茉莉のお墨付きである。

 そう思うと、不安になっているのが、ばかばかしくなってきた。

 もういいや、と思ってふっきれる事にする。

 どうせなるようになるのだ。

 駄目だったらだめ。

 俺の世界はここだけではないのだ。

 最終手段として、国外逃亡等、取れる手段は無数にある。

 よし、と気合を入れた。

 すると、タイミングが良いのか悪いのかは分からないが、とある人に見つかった。

 

「ああ、やっと来たわね。まったく、待ちくたびれてましたわ。」


 ルルである。

 俺はそのまま、ルルに連れ去られた。

 実際は、案内してもらった、という表現の方が正しいのはわかっている。

 ただ、今の俺の心境は、連れ去られた、または誘拐されたの方がしっくりくるのである。

 まあ、俺が誘拐される事は、絶対と断言しても良いほどにありえない事なので、そう思っているだけで、自分があほに思えてくる。

 ルルにつれされた部屋は、5日前に来た時に案内された部屋と同じだった。

 

「ここで、他の貴族が集まるまで、待ちましょう。」


 ここで、時間をつぶせと、そう言うのかルルよ。

 それはひどいぞ。

 ここでやることと言えば、ルルと話す、ひたすらぼーっとする、寝るの3択である。

 なら、選択肢はたった一つしかないじゃないか。

 俺はその、唯一の選択肢を実行する為に、横になろうとした瞬間、


「せっかくの服装が台無しになっちゃうと困るから、寝るのはダメよ。」


 何!?

 貴様、どうやって、俺の心を読んだのだ?

 俺はまだ、行動に移そうと思っただけだぞ。

 と思ったら、


「そんな寝る気しか感じられない体制で、そんなに驚くのはやめてほしいわね。笑ってしまいそうになるわ。」


 まだ、行動に移していないと思ったら、俺は無意識のうちに、寝ようとしていたようだ。

 そりゃわかるわけだ。

 でも、ルルに俺の心を読む力がなくて、本当に良かった。

 もしもあったとしたら、ルルの前では、かなり思考を気をつけてしまわなければならないのだ。

 さて、時間のつぶし方は、ひたすらぼーっとしているわけにはいかないから、ルルと話す。

 まあ、ほとんど質問攻めされまくっただけなのだが...

 そんな感じで、やり取りをしていると、メイドさんが入ってきた。

 

「そろそろ皆さんがお揃いです。会場まで来て下さいませ。」


 そろそろ始まってしまうのか。

 たぶんだけど、地獄になるであろう時間が...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ