タイトル考え中
さて、どのような条件を突き付けるのが適切か。
仕事を無しにすることもきっとできるだろう。
何せ、あちらの目的は、俺が他国の手に渡らないようにすること。
それさえできれば、、あちらの目的は達成したも同然なのだから。
逆に言えば、こちらのある程度の要求ならば、すべてのんでくれるという事なのだ。
なら、それを利用しない手はない。
そうだな、茉莉に迷惑がかからなければ良いかな?
茉莉に迷惑がかからないようにするためには、どうすればいい?
早く決めないと、王様に何か言われてしまいそうである。
そうだ!
俺には切り札?があるじゃないか。
シュミレーションをすればいいのだ。
しかし、そのためには、俺が貴族になったら、最低限何をしなければならないかや、この国の情報が欲しい。
それは、今俺の目の前にいる人に聞けばいいじゃないか。
「貴族になるかどうかの判断材料として、聞きたい事があります。まず、この国の情報と、私が貴族なった時に、何をしなくてはいけないのかを、出来る限り全部教えてください。その答えの内容によって判断します。」
「宰相、今の状況をすべて話してやりなさい。」
「よろしいのですね。」
「ああ。ルルにもそろそろ話してやろうか考えてた事でもあるしな。ちょうどよい機会だ。この子もそのうち知る事になるだろうしな。」
「了解しました。今、この国が置かれている状況と、それに対して、君にどのような仕事をしてもらう予定があるのかを、すべて話そう。」
なんか面倒くさそうな感じである。
俺は出来る限りで良いって言ったんだけどな...
なんでわざわざ全部話そうとしちゃうのかな?
ちょっとだけで良いじゃないか。
ルルも驚きのあまり、目が点になってしまっている。
そりゃあそうだよな。
ついこの前知り合いになったばっかな人が、こんな事になっているんだから。
俺だってこんな事態、全く想像できない。
情報が多い状態でのシュミレーションでは、予測する事が出来たかもしれないが...
まあ、しょうがない。
これで貴族にならなくてはいけなくなってしまうが、情報が手に入るのだ。
きっとこれからに役立ってくれるだろう。
「まず、この国の軍事力、経済力、技術力は世界トップクラスである。世界一の国であると自負している。そこの面での心配は、今のところは必要ない。しかし、そんな状態でも、いくつか問題があるのだ。君は、”災害”を知っているかな?」
「ほんの少しだけなら。」
「なら良い。”災害”は、軍をぶつけても倒す事は出来ない、正真正銘の化け物だ。そんな化け物が、実は西の方に広がっている森、良く探索者が行くところよりもさらに奥に、”災害”の一人、そして六王族でもある、殺戮 魔人王 ギエルの部下、”災害”級の吸血鬼の館が出来てしまったのだ。新たな脅威の出現だけでも、対応に困っているのだが、その驚異のせいで、魔物大量発生が起きていて、ユニークの発生も確認している。これが、この国で発生している、一番の問題だ。そして、その問題を解決する為に、戦いに行ってもらいたいと思っている。それが唯一頼もうと思っている仕事だ。ただそれだけなのだ。確かに、その戦いは厳しくなるだろう。しかし、それを達成してくれれば、他の仕事はしなくても良い。それぐらいの問題であるからな。他にも問題は多数あるが、それをすべて説明していると、時間がかかりすぎてしまう。すべて話すといってしまっていて、申し訳ないのだが、資料を渡させてもらう。ルル様にも、資料を渡させていただきます。以上だ。よろしいでしょうか?王様。」
「うむ、ご苦労。そなたは、資料を用意しに行ってくれ。」
「承知いたしました。お任せ下さい。」
宰相はそう言うと、退室していった。
はぁ、それにしても、問題がやばすぎる。
簡単に言ってしまえば、”災害”級の化け物を倒す仕事を依頼すると宣言されたのだ。
これは、正直難しいどころじゃないと思う。
死と隣り合わせの仕事となる。
しかし、俺には最強の味方がいる。
少し迷惑をかけてしまう事になってしまうが、茉莉なら倒す事が可能だろう。
まあ、俺が強くなる事が出来れば、助けてもらう必要もなくなるのだが...
逆に言えば、俺が強くなれば、すぐに仕事が終わり、何もしなくても高月給が手に入り、他の貴族に絡まれることなく、平和にこの世界を過ごす事が出来るのだ。
おや、と言う事は、たった一つの壁を超えるだけで良いのか。
とりあえず、一つだけ確認する。
「その、吸血鬼を倒すのは、貴族になってからすぐに行かなくてはいけないのですか?」
「すぐじゃなくて良いぞ。」
ほうほう、ならば、強くなってから倒しに行くこともできる。
それなら、俺がやる事になる仕事は、そこまで高い壁ではないだろう。
ならば、答えは一つである。
シュミレーションを使う必要がなかったのは、少しだけ残念だが、決まったという事だけで良しとしよう。
頼りすぎるのは、良くない事もあるのだ。
自分の力で解決する事も、きっと大切なのだ。
きっと...
「そうですね、その条件なら、貴族になっても良いです。しかし、吸血鬼を倒すのは、1,2年は準備させていただきたいです。」
「おお!そうかそうか、それは良かった!」
「本当にいいの?」
「うん。吸血鬼退治をすればいいだけだから大丈夫。」
「その吸血鬼は、とても強すぎるのだけれど...」
「私がその吸血鬼よりも、強くなればいいの。そのために、1,2年頑張るの。」
「それで勝てるの?」
「たぶん。」
「そ、そうなんだ...」
「さて、貴族になるのが決まったところで、爵位を決めなくてはならないな。どの爵位が良い?」
「と言われましても...」
「そうだよな。どんな爵位があるかよくわからないのに、急に言われたって困るな。すまないすまない。」
「そう言うわ...」
「爵位は全部で...」
ほんとに、人の話を聞いてくれない。
自分に都合のいい話しか入ってこないように、耳にフィルターを取り付けているのだろうか?
すると、ルルが俺の耳元で、
「お父様はいつもこうなの。慣れてはだめだと思うけど、話は半分以上通じないって思っていてね。」
と言われてしまった。
実の娘にこう言われてしまうのだから、普段からこんな感じなのだろう。
こんな人が国王で、この国はやっていけるのだろうか?
まあ、世界トップクラスの力を持つ超大国になってしまっているのだから、実際になっているのだろう。
しょうがない。
おとなしく話を聞くか。
「爵位は、上から大公、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、準男爵、勤功爵に騎士だ。さあ、何が良い?」
「そうですね。低かったら、まだ馬鹿にされてしまうかもしれませんし、高すぎても、もともと貴族になるだけで、不満が出そうなのに、さらにひどくなってしまいそうです。」
「そうだな。」
「うーん...決めました!この前、貴族のご令嬢様と知り合いになれたんですよ。その人とも友だとになりたいので、その人と同じ地位の、伯爵になりたいです。」
「そうかそうか。いいぞ、そうしよう。大公になりたいと言われたら、どうしようかと思ったが、杞憂になったな。では、すぐに手続きしよう。五日後に全貴族を集めて、お披露目にしようではないか。」
「なっ、それは結構です。」
「必ず5日後の朝に、ここに来るんだぞ。楽しみにしているからな。」
「...はい。」
そろそろ人の話を聞いてほしい。
しかし、大変な事になってしまった。
そろそろ夜逃げが必要になってくるかな?




