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女神(妹)と気ままに異世界生活  作者: 月之住人
異世界転移
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異世界転移

 神様がいる=安全

 この考えに至れないのは俺だけだろうか。

 確かに茉莉は信頼できると思うし、神様はすごいのだろうけど、これから行くのは超危険地帯だと思われる場所である。

 さっきは茉莉の言葉で訂正したが、まだ笑顔が怖いままである。

 訂正させておきながら、表情を変えないというのはもう悪魔その者に見えてくる。

 もしも、茉莉は世界最強なんじゃないかというぐらい強くて、茉莉がいれば何でも解決できるのであるとしよう。

 その場合だとしても、茉莉がずっとそばにいられるとは限らない。

 茉莉がどこかでかけているうちに、俺は誰かに襲われて死んでしまいました、という事態になったら、シャレにならない。

 本当に大丈夫だろうか?


「分かった。そんなに怖いなら、別にしなくていいです。その代わりに、今までのことをすべて忘れて、なにもわからない赤ちゃんとなりそのまま成長して不幸な人生を送るといいです。そして、苦しんで苦しんで苦しみまくって死ねばいいんです。では、さようなら。」

「ちょっと待った。する。するから、それだけは勘弁して下さい!お願いします、どうか、それだけは~」


 俺はすぐに土下座した。

 少々情けないなーっと思ったが、仕方のないことだとすぐに思い直す。

 何も知らずに苦しむのはごめんである。

 何も知らなくても苦しむのは嫌だ。

 とにかく苦しむのは嫌だ。

 さらに、やっと茉莉と再会出来たのだ。

 このチャンスを逃してはならない。


「わかったから、顔を上げてよ。本当にはやらないから。」

「た、助かったー」

「ちょっと言い過ぎた、ごめんなさい。じゃあ、早速今から行く場所、アストロンについて説明するね。」


 茉莉の説明をまとめると、

・アストロンとは星の名前である。

・地球よりも大きい星

・自転のスピードがものすごく速いため、一日の時間は二十四時間と地球と変わらない。

・町から何から様々なことにおいてスケールが地球と比べてかなり大きい。

・言語は違うけど、何とかなる。

・ファンタジー要素満載。魔物が出てきたり、魔法が使えたりする。ゲームの中のような感じ。

・地球は科学の力で発展してきたがアストロンでは魔法で発展してきている。

・やばい奴はそこらへんにうじゃうじゃいる。例として挙げるならば、”災害”と呼ばれる、一度暴れ出すと大災害級の被害が出る奴らがいるらしい。

 

 と、こんな感じである。

 この説明を聞いたら、さらに不安が襲ってきた。

 魔物?

 魔法?

 ゲーム?

 完全に危険なことではないか。

 やばい奴が?

 うじゃうじゃ?

 大災害級?

 三日間生きていける自信が一瞬で無くなった。

 絶対に面倒事に巻き込まれていくではないか。

 科学が通用しないのであれば俺は何もできないではないか。

 俺の数少ない得意科目であり、成績伸ばすために自主的に色々調べて、知識だけは大量にあったのに...

 俺の今までの苦労はいったい...


「じゃゃあさっそく転移を開始するからね。いくよ!」


 えっもう!?

 少し早すぎないか?

 ここは、他になんか色々話をしてからようやく行くよ、ではないのか?

 

「ちょっと、まだ心のじゅん...」


 俺の言葉は茉莉に届かず、一瞬で目の前の景色が変わった。

 人生初の魔法体験が、こんなに急に来るなんて思いもしなかった。

 せっかくの初体験なのだから、もっと楽しむために心の準備くらいさせてもらたかった。

 もしも、この気持ちが茉莉に伝わってしまったら、またやばい事になりそうなので、顔に出たり口を滑らす事がないように、最大限の注意を払う。 




 周りには気が生い茂っており、木漏れ日がいくつも入ってきている。

 鳥のさえずりも聞こえてくる。

 とても心安らぐ場所だ。どうやらここは森の中のようだ。

 最初から、目の前に魔物がいるという、最悪のアクシデントは避けられたようだ。

 助かった。


「着いたね。よかった誰もいなくて。誰かいたら説明が大変だったよ。」


 そうだな、と相槌を打ちつつ、隣に居る茉莉を見てみる...

 あれ、なぜだろう?

 俺は茉莉よりも十センチ背が高いため、いつも茉莉を見下ろす感じだったのに、今は見上げないといけなくなってる。

 元々背の低い俺達が、さらに低くなるとは考えたくない。

 なら、茉莉の背が伸びたと考える方が妥当なのだが...


「茉莉、背伸びた?」

「私は何も変わってないよ。おにーちゃんがちいさくなったんだよ。おにーちゃんには、学校に行ってもらおうと思うの。そうすると、才能ある小さな子たちがたくさんいて、その中で才能のないちょっと背が飛び出た子供がいると少し目立っちゃうでしょ。それを防いであげたの。あと、家に着いたら鏡見てみれば?面白いことになってるから。」

「まって、十六歳でこれは背低すぎでしょ。これじゃ小学生中学ぐらいの背だよね?あと面白い事って何?今までの不安がさらに膨れ上がったんだけど。希望なんて残ってないんだけど。心の中が、不安だけしかないんだけど。俺みかっかん生きていける自信がないんだけど。」

「おにーちゃん、それ以上言うと、三日と言わずに五分でこの世とサヨナラできる、特別コースに案内しちゃうよ。」

「すみません、何でもありません!心の中に不安など一ミリもありません。」

「よろしい。年齢は、七歳ですってごまかしちゃえ。ばれないから。逆にその背で十六歳ですって言った方が疑われちゃうよね。おにーちゃんは今から私の弟だ!不安なんてないよーお姉ちゃんが守ってあげるからねー。」

「七歳はちょっと傷つくからやめて!俺は十二歳でいいから、茉莉は十歳か、十一歳のどっちかになっていてよ。そういえば、声が高くなってる...なんかうなじのあたりがむずむずする。」


 なぜだ?なぜだ?なぜだ?なぜだ?

 頭の中でこの言葉がひたすらループしている。

 そのループを無理やり止めて、考えるのに集中する。

 まさか、性別が変わったわけでもないし。(かくにんはしていないけど、まさか茉莉がそんなことするわけないし。いや、そう信じたい。)

 背が小さくなったのは、幼くなったからなのか?

 そうだとすれば、声変わり前の俺の声に戻ったという事になる。

 そういうことなら納得できる。

 むずむずするのは、髪が長くなったりでもしたのだろうか?

 確認しようかなっと思ったところで茉莉が、


「むずむずずるのは何の問題もないからね。かじろうとかして触っちゃだめだけどね。触ったら存在消し去るからね。しょうがないなー。私も同じぐらいになって上げるから、文句言わないでね。文句言っても、存在消し去るからね。そして、また輪廻転生の輪の中に戻って、苦しい人生を送ってもらうからね。苦しんで死んでもらうからね。よし、これでおにーちゃんと同じ身長になったよ。これでいいよね?私は十歳って事でよろしくね。声が高くなった理由は、家に帰ればわかるよ。それじゃ家に向かって出発ね。」


 背筋がぞっとする。

 触ろうとしただけでそうなるとか少しひどすぎないか?

 今、茉莉の本性が出まくっているのか?

 存在を消す、という言葉を、この短い時間の間に二回も言っているぞ。

 そんなに俺は地雷を踏みそうになっているのか?

 これは奇をつけなくては。


 茉莉が先導して森をでるとそこには城壁が高くそびえていた。

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