レベル
ベルを助けてから、一夜明けた次の日の朝。
朝食の時間に、ベルを助けている時の事を手短に報告すると、
「うーん、おかしいな?渡した鈴にそこまでの力はないはずなのに...」
「どういう事?」
「あの鈴の力はね、茶柱が三本立ったとか、虹が同時に三つ出現したとか、それぐらいのことしかできないはずなんだよね。」
「そうだったの!?いみないんじゃ...確かにそれが起きたとしたらすごいけど。」
「しょうがないでしょ、持ってくる鈴間違えちゃったんだから。あの時に取り行くのは格好がつかないし。」
「そこ格好つけるとこじゃないでしょ...格好つける事よりも、ベルを助けることを優先しようよ。」
「そ、それはともかく。メニューを手に入れたのね。ステータスとかしっかり確認した?」
茉莉が話をそらした。
神様なのに話をそらした。
本当に大丈夫なのかな、この神様は。
こんな感じでも神様になれるのなら、他の神様もこんな感じなのだろうか?
そうだとしたら、かなり不安である。
神様は、一応は超越的な存在であるはずだ。
その存在は、実は、こんな適当な人ばかりでは、やって行けるのだろうか?
世界が滅んでしまいそうである。
まあそれは置いといて、質問に答える。
「一応はしたけど。」
「どうだったのか教えてよ。あっでも、見してもらった方が早いかな。見して!」
「見えるの?」
「神様の特殊な力でね。もちろんほかの人には見えないよ。」
「神様の力って便利だね。」
「そうでしょそうでしょ。すっごい便利なの。」
俺は、左上にある欄からステータスを選ぶ。
俺の視界の真ん中に大きくステータスが表示される。
茉莉は、俺の後ろに移動して見ている。
ステータスに表示されている内容にあまり変化はなさそうだ。
しいて言うならば、メニューのレベルが上がっている事だろう。
メニューのレベルは、メニューの項目が増える事によって変わるみたいだ。
メニューの項目の増え方は、何かが欲しいと思った時に増えるようだ。
先ほどもそうだった。
ならば、もしも同じスキルを持っている人がいたとしても、その人によって、違うメニューになりそうである。
そして、俺のメニューにある、俺のステータスを確認してみると、
名 ヤサカイアオイ
種 人族?
レ 9999
魔 計測不能
ス 万物適性Lv10 魔神の化身Lv10 神の加護Lv10 手加減LV10 メニューLv4 ????Lv??
「あれ、称号と総合値が表示されてないね。」
茉莉がそういうと、魔力値の隣に、
総 8600000 Sランク
スキルの下に、
称 ???? 神の兄 神達のお気に入り 超越者 人外 料理の神 救世主 良い子の味方
が表示された。
メニューのレベルは5にアップした。
スキルと称号等、怪しいところが多すぎる。
総合力8600000って高いか低いのかは分からない。
スキルだと、魔術書を手に入れていたはずだが、無くなっていた。
魔神の化身にでも変わってしまっていたのだろう。
だが、俺は魔神の化身になったはずはないのだが。
称号はというと、料理の神は、料理をしまくったからだろうし、救世主も良い子の味方も、ベルを助けだしたからだろう。
神の兄にも心当たりがある。
だが、なぜまた????があるのだ?
なぜ俺は神達のお気に入りなの?
まだ神だけならわかる。
茉莉が原因だなとわかる。
しかし、達がつくと事情は変わる。
茉莉以外にも、俺を気に入っている神様がいるということだ。
そんな、神に気に入られるようなことしたっけ?
人外?
俺はまだ人間だぞ?
確かに茉莉が、体を作り変えたが、人間なのである。
ものすごい身体能力を有しており、たったの一蹴りでおじさんを気絶させる威力の攻撃力を持つ...
あれ、おかしいな。
俺、本当に人間なのだろうか?
人間だと、100%ありえない動きだぞ?
超越者?
俺はなにを超えてしまったのだ?
人間の域を超えたからか?
人外と同じような感じなのか?
俺も大丈夫なのか?
「ああ、やっぱりもうこんなレベルまで達しちゃったか。まったく、あのバカのせいで...おにーちゃんにはまた説明しなくちゃいけない事が増えちゃった。ちょっと聞いてね。」
茉莉が説明したのは、レベルについてだった。
レベルが100に達したら、今までの経験をもとに、上位種に進化できるらしい。
例えば、魔法を頑張り続けていたら精霊に変化したとか、そんな感じらしい。
俺の場合は、この世界に来てからの経験が少なさすぎるので、まだ変化できないそうだ。
ここが変化できていないため、ステータスの種族の所に?がついてしまっている。
人種では、ここまだレベルが上がるのは、数十年の一人ぐらいであるらしい。
そこからは種族が変化し、強力な力が手に入るため、三百くらいまで到達できる者がいるらしいが、それより上は、今までいなかったらしい。
レベル200になると、自分だけのスキルを手に入れられるらしい。
俺はまだ????になっている。
こちらも経験が足りないようだ。
しかし、実はもう入手していて、ただ気づけていないから、表示されていないような気がする。
まあ、今は確かめる方法がないから諦めよう。
そのうち使えるようになるのだから。
300になると、自分だけの固有技を得られる。
技は自分でどんどん作り出せるようだが、それらはすべて、真似できてしまうらしい。
だがここで出来た技は、例外もあるが、似たようなものは作り出せても、同じ効果の物は作れないらしい。
その例外が、上位スキルによるコピーだと、完全再現できるらしい。
ただ、上位スキルであるため、このスキルを持っている者は、少数らしい。
400になると、その者に適した神器を与えられるらしい。
魔法使いには杖だったり、ドラゴンには変えの歯だったり、種類は様々でかなり自由なようだ。
俺の場合はすべてに適性を持っており、何でも出来てしまうため、万変の玉が与えられたようだ。
すべて使いこなせてしまうので問題ないのだが。
茉莉は神様であるため、もちろん神器を持っている。
普段着ているドレスがそれのようだ。
どんな能力なのかは教えてもらえなかった。
400を超えている奴がいたら、どんな神器を持っているのか、多少は警戒しなくてはいけないのか。
ちょっと面倒だな。
確認できる方法でも作ってみようかな。
500になると、最上位種に変化できるらしい。
人間だと聖人になったり、どこかそこらへんにいる最下級の地竜であったとしても、最上位種の竜人に変化できるそうだ。
そして、千にまで達すると、亜神になる事が出来るようになるらしい。
ここまで達するのは、最上位種でも、ドラゴンや、魔王など極々一部のようだ。
だが、ドラゴンは知性をもつものもそんなに多いわけでもなく、知性を持っていても、神には興味がないようだ。
魔王も自分の立場を変えるつもりはないらしく、亜神になる奴はそうそういないみたいだ。
はー、なんで俺は最初からレベルがこんなに高いのだろうか?
これじゃあただの化け物じゃないか。
スキルや称号の時点で、わかってはいた。
わかってはいたけど、納得したくない。
認めたくない。
まさか、転生したら、化け物でした、って完全に笑えない冗談である。
普通の人で過ごしていきたいのに。
いままでどおりの普通だらけの生活を続けていきたいのに。
気ままな異世界生活は、前途多難なようでである。




