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女神(妹)と気ままに異世界生活  作者: 月之住人
学校
18/44

救出完了

 発射の掛け声とともに、魔法陣から放たれた誘導矢(リモートアロー)は、クズマの私兵の腿や脹脛を、切り裂き、貫通しながら、どんどん無力化している。

 全員余りの痛みに足を抑える為、武器を落としているのだ。

 かなり効率良く敵を無力化しているが、かなりグロい。

 ベルからは、魔法陣が前にあり、それが光ってまぶしいため、良く見えないだろう。

 だが俺は、魔法陣の前に立っている。

 直視してしまうのだ。

 今の俺があれをくらっても、なにも被害はないだろう。

 それくらい手加減をしているはずなのだが、鎧が紙のように切り裂かれている。

 あの鎧は紙でできているのだろうか?

 そうなのなら、今すぐ交換する事をお勧めする。

 いや、無理にでも直させる。

 こんなの見ていたくない。

 スキル 魔神の化身 の能力なのだろう。

 スキルが働きすぎである。

 スキルが強力すぎて、使った本人が迷惑に思うとか、かなりの皮肉である。

 俺はスキルに嫌われているのだろうか?

 それはさておき、部屋の中は鎮圧完了だ。

 あとは廊下にいる奴らだけだが、数が多い。

 誘導矢(リモートアロー)は、部屋を出ると九十度回転して、廊下にいる奴らにも攻撃を開始している。

 しかし、今倒した何倍もの数が廊下で待機しているため、なかなか数が減ってくれないような錯覚にとらわれる。。

 まあ、一番後ろの方では、ベルを助けに来た王国軍と戦いが始まっているようだ。

 さすが正規軍。

 私兵とは比べ物にならない強さである。

 きっと今回の件は、謀反的な扱いになるのだろうな。

 まあ、俺には関係ないから、謀反の罪で、クズマが処刑されようとも、関係ないのだがな。

 逆にそっちの方が、もう一生顔を見なくて済むため、楽かもしれない。

 復讐とか何とか言って、ベルがさらわれる心配もないだろうしね。

 これ以上は正直面倒くさいので、さっさと王国軍に合流してしまいたい。

 正面突破してしまおう。

 魔法陣を解除しながら、ベルに指示を出す。


「ベル、正面突破するよ。防御魔法を張るから、走ってついてきて。って走れるよね?ドレスじゃ大変?」

「問題ない!」

防御(プロテクション)!走る時は、部屋を出るまで、下の方を見ない事をお勧めするよ...見っちゃても自己責任だからね。冗談じゃないからね」

「はい?」


 ベルは疑問符を浮かべたようだが、下を見ないように、やや上を見ている。

 俺は、入口付近に倒れている奴らを吹き飛ばす。


突風(ウィンド)


 足元に強い風が吹き、倒れている奴を壁際に転がしていく。

 最後の一人が転がり終わったころに進みだす。

 全員、斜面を下って行くように綺麗に転がっていて、爽快だった。

 やっぱり、威力がおかしいような気がするんだよな。

 今度茉莉に診てもらおう

 床にこべり着いている血は何とかしてほしい。

 床をきれいにすることもできるのだが、ここはクズマの屋敷である。

 たったそれだけのことであるが、やる気がうせる。

 さあ、廊下への道は開けた。 

 万変の玉を如意棒のような形に変化させる。

 俺の心は寛大である。

 全員殺さないでいてあげよう。

 ちょっと怖い体験をするだけで済むのだ。 

 感謝してほしい。


「いくよ。」


 と、ベルに一言いってから走り出す。

 廊下に出るときは曲がらないといけないが、すぐ前にある壁を蹴り、無理やり進行方向を変え、飛び上がる。

 少し先の方にクズマの私兵達がいる。

 飛び上がった勢いのまま突っ込み、棒を振り下ろす。

 我ながら素晴らしいほどの、時短テクである。

 良い子は危険ですので、真似しないでくださいね!

 悪い子は真似してくれても良いですが。

 その代わり、怪我などしても一切の責任はとれませんので、自己責任でお願いします。

 まあ、常人にはできないですけどね。

 私が特別なのです。

 着地するときに、少し力を込めると、床は粉々になり、近くにいた私兵は吹っ飛び、壁に穴をあけていた。

 なんか、自分の体重がすごく重くなったような錯覚を受けてしまう。

 決して重くなってはいないのだが。

 ベルはちょうど部屋から出てきた。

 俺は、どんどん敵を吹き飛ばしながら、前に進んでいった。

 ベルは、ドレスで動きにくいだろうに、精一杯走ってついてきてくれた。

 まあ、俺もドレスなのだがな。

 早く着替えて動きやすい格好に着替えたい。

 今回は、動きにくいドレスだからこそ、すこし、力加減に失敗した程度で済んでしまっているのだろうけど。

 敵を吹き飛ばすのも飽きてくるころには、当初予想していた通り、少し疲れてきた。

 やはり、異常な身体能力に見合うほどの体力は、まだ付いていないようである。

 それでも、王国軍がいるところまであと少しの所まで来た。

 このまま、王国軍が来るのを、待っていても良いのだが、時間がかかる。

 なので一気に終わらせる。

 ここで、体力を使いきってしまっても良いかもしれない。

 すこし、ベルを置いて行ってしまう事になるが、全速力で走りだし、集団の中央へとはいりこむ。

 それにより生じたソニックブームで敵を半分蹴散らし、残りのやつには、手加減スキル全開で魔法で攻撃する。


爆破(エクスプロージョン)転移(ワープ)!」


 轟音が響く。

 クズマの私兵は、爆破の衝撃波ですべて吹っ飛ばした。

 俺は役目を終えた為、家に帰るべく、転移(ワープ)を使う。

 ベルはこのまま、王国軍に保護されるだろう。

 ならば無事に家まで帰れるだろう。

 俺は残っても良かったのだが、色々説明が面倒だ。

 クズマの屋敷を、思いっきり破壊してしまったしね。

 もしかしたら、今頃崩れているかもしれない。

 まあ、そうだとしても、ベルに被害は絶対にないから良いか。

 あと、体力を、本当に使い切ってしまったので、立てるかどうかもわからない。

 そんな醜態をさらしてしまうよりかは、帰ってしまった方が良いだろう。

 ベルとのお泊まり会はまた今度の予定になりそうだ。

 出来たらこの予定は、永遠に開催されないでほしいな。

 ところどころ穴があき、今にも崩壊しそうな屋敷から景色が変わり、綺麗なきれいな自分の家に着いた。

 家のドアの目に、茉莉が立っていた。

 ずっと待っていてくれたのだろうか。

 セバスチャンと、家に来ていた使用人らしき人は外にいない。

 使用人らしき人はもう帰ったようだ。

 セバスチャンは家の中で何かやっているのだろう。


「お帰りなさい、おねーちゃん。お疲れ様。」

「うん、ただいま。」


 やっと終わったと、達成感があふれてきた。

 こんなに一日を長く感じたのは、久しぶりだ。

 あー、精神的にも身体的にも疲れた。

 早く寝たいな。

 俺はそのまま、前に崩れ落ち、深い眠りに就いたのだった。

 

「まったく、ドレスが汚れちゃうじゃない。頑張りすぎよ。無茶しちゃだめって言ったのに。」


 茉莉は、セバスチャンを呼び、葵を部屋に運び込んでもらった。

 そして、葵の寝顔を、いとおしそうに見つめるのだった。

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