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―:或る語り部の幕閉じ
さて、これにて嘘吐き少女の物語はお終いです。
少女はその後どうなったのか、気になるのですか?
――さぁ、どうなったのでしょうか。
気分屋な魔女も旅立ってしまいましたし、愚かな王様は語る「口」など持ち合わせておりません。そして少女は未だ眠りの中。
その胸に飾られた心の結晶を溶かす人間が現れるのか、現れないのか。
魔女は黒い枷を外せたのか。自身に掛けた呪いや魔法を解いて、眠りについたのか否か。
愚かな王様の永遠の命は何処へ彷徨い、何処にしがみつき、どんな生き方をしているのか。
それは皆様の御心の中にございましょう。
私はただ、語るだけ、騙るだけ。
全ての結末を知らぬ者でございます。
あぁ、そろそろお時間のご様子。私めはこれにて失礼いたします。
最後までお付き合いくださいまして、誠にありがとうございます。
これにて「嘘吐き寓話」の幕を閉じましょう。




