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メモリーブラッド0  作者: sibatamei
ソウルメイトを探し出せ
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導かれしソウルメイト

「藤沢さん達こそ、回復がなければ私達はやられていたよ」


「別に大した事はありませんよ」


「それより海は綺麗だけど、イルカはもう生息していないよね」


 私がしんみり言うと藤沢三姉妹は「イルカはまだ生息していますよ」


「本当に?」


「何だったら合いに行きますか?」


「合いたいよ」


「じゃあ今日はもう遅いので明日見に行きましょう」


 明日が楽しみになってきた。


 私とエイちゃんは眠る必要はないので、アラタトの外から監視をしている。


「ねえ、エイちゃん。明日イルカに合いに行かない?」


「イルカ!本当にイルカは生息しているの?」


「藤沢三姉妹によると本当みたいよ」


「行くよ行くよ」


「じゃあ、明日が来ることを楽しみに待っていよう」


 イルカの話は置いといて、私はエイちゃんに今日の戦いのことで説教を喰らった。

 いくら死にたいからと言って、チョウジの誘惑に負けそうな事に対してだ。

 でも分かってくれないだろうか?私達は禁忌を犯した吸血鬼で死ぬことはない。

 この二百年近く生きる事の辛さをエイちゃんにも分かって貰いたい。

 そう思うとエイちゃんは「確かに死にたい気持ちは分かるけれど、俺達の宿敵のチョウジの誘惑に乗せられるのはどうかと思うよ」


「ごめんなさい。でもエイちゃんも出来れば死にたいんだよね」


「まあな、でも俺にはお前がいるお前には俺がいる。だから俺は寂しくなんかない」


「エイちゃん・・・」


「とにかくだ」と照れくさそうにしてエイちゃんは「チョウジの誘惑に負けるんじゃない」


「ありがとうエイちゃん。私もエイちゃんがいて、言われてみれば寂しくなんかないかも」


 私は寂しいとは断言できなかった。


 私の心の中はエイちゃんだけでは埋められない何かがある感じがした。


 今はみゆきちゃんや藤沢三姉妹にリリィに豊川先生やスターチスの二人がいるが、いつか年をとり、またお別れをしてしまう事になってしまうのは必須だ。

 そんな私の心を読んだのかエイちゃんは「人間はまた同じ事を繰り返す、だから俺達がいるんじゃないか?」


「でも核戦争の時は仕方がなかった」


「そうだよ。それでカッサライ達は現れた。俺が思うにカッサライの奴らは核兵器で死んだ者の魂かもしれない」


「そうなの!?」


「いやこれは俺の仮説だ」


 そこで豊川先生が現れて「察しがいいね英治は」


「父さん!」


「英治の言うとおりカッサライは核兵器で殺された者の憎しみの魂で出来上がったもの。それをチョウジがカッサライとして蘇らせた者」


 私が「カッサライも思えば哀れな人間だったのね」


 今の世の中は混乱している。

 国家や国などのまとまった集団はない。

 集団があるのは豊川先生やリリィが納めた村や集落にしかない。

 国は国家は正義を主張して、第三次世界大戦へとなった。

 その正義を掲げた連中だけが生き残り、連中は今もどこかで何かをしているかもしれない。


 いや連中にもうそんな力はない。

 どこかでのさばって死に絶えただろう。

 哀れで愚かな人間。


 とにかくだ。そんな私達人間の味方でも楽しみが合った方がよいだろう。


 そして私達に朝日が昇った。


「エイちゃん。料理当番よろしく」


「分かった。じゃあ、お前は洗濯物を頼むよ」


「お安いご用よ」


 私はアラタトにある洗濯機を回してみんなの着ている外套やらワンピースなどを洗ってあげた。


 今日も天気は良好だ。洗濯物日よりだよ。


 物干しざおをたててお洗濯をした。


 そこでみゆきちゃんが「メグさん手伝うよ」


「本当に?ありがとう」


 そういってみゆきちゃんは私の洗濯物を干す手伝いをしてくれた。


「みゆきちゃん。藤沢三姉妹に聞いた?」


「イルカの件でしょ。みゆきはとにかく楽しみ」


「私も楽しみだよ」


 そういえば藤沢三姉妹の前世で合ったのはフロリダに行く時に出会ったんだっけ。

 それで今世ではフロリダの集落を統括している。

 私達は導かれしソウルメイトだ。


 朝ご飯も済んで、私達は豊川先生とリリィをお留守番にさせてアラタトを降りて、とあるフロリダの海岸まで折りだ。


 すると藤沢三姉妹は笛のような物でピーと鳴らした。するとイルカの群がやってきた。


「イルカさんだ」


 みゆきちゃんが言うと、スターチスの二人も私もエイちゃんも涙が止まらなかった。


 イルカ達は私達の心を癒してくれているみたいだ。


 そういえば初めてイルカに合ったことを思い出す。

 イルカセラピーだ。

 イルカは私達の悲しみを癒してくれている。

 その時思ったんだ。


 生きていて良かったと。


 またこうしてイルカ達に出会えた事は私達の魂の成就になるだろう。


 そしてリリィも豊川先生にもイルカセラピーを楽しんで貰おうとエイチャンがアラタトに戻り、イルカに出会ったリリィと豊川先生も涙が止まらないと言わんばかりに涙をたくさんながしていた。


 まさに私達の魂の成就、私達に次の戦いに向けての幕が下ろされる。


 待っていろチョウジ、あんたに殺された人達の魂は返して貰う。


 救いようのないこの世の中だけど、私は絶対に守って見せる。


 私にそんな思いをさせるのはイルカ達もあるが、あえて言うならリリィやみゆきちゃんスターチスの二人に豊川先生がいるからだ。


 イルカと戯れて、私達はアラタトに戻った。


 レーダーにはカッサライの気配は関知されていない。


「豊川先生、カッサライ達の長のチョウジはどこに行るか分かりますか?」


「チョウジは僕達の知らない世界にいる」


「知らない世界?」


「そう。チョウジはベヒーモスやスキュラを召還している。ベヒーモスやスキュラはこの世の物ではない」


「じゃあチョウジはベヒーモスやスキュラよりも恐ろしい怪物を召還できるの?」


「出来るだろうな。だがチョウジは僕達と遊んでいるようにしか見えない。チョウジを本気にさせれば僕達の力では倒せなくなるだろう」


 本気になったチョウジは私達の力では倒せない!?


「じゃあ、チョウジの目的は何なの?」


「僕にも分からない。とにかく核兵器で犠牲になった者達を操り僕達を陥れようとしているのは確かだ」


 カッサライもかわいそうな連中なんだよね。


 私達は何のために戦っているのか分からない。


 豊川先生の話を聞いたみゆきちゃんは、アラタトの外に出て昨日羽のはやしたカッサライに襲われ倒したカッサライに魂浄化の踊りを舞った。


 やはりカッサライ達も魂が存在していた。

 みゆきちゃんは言っていた。

 出来ればこんな事はしたくないと、誰かの死んだ魂を胸に受け止め魂を浄化させることはあまり良いことではない。

 その気持ちは分かるが魂達もさまよい苦しんでいる。

 それでみゆきちゃんのパワーが増すのであった。

 私も出来ればカッサライ達や村のみんなのように争いのない時代にしたい。

 でも歴史を振り返ると争いなしでは国は進展しない愚かな世の中になっている。

 その愚かな正義を掲げて人間達は自滅していった。


 みんなが夜の食事をしている時私は一人になりたくてアラタトの外に出た。

 空はガラスをちりばめたような美しい宝石のようにきらめいていた。


 夜空は綺麗だった。景色も綺麗だった。

 この世の中はカッサライに乗っ取られようとしている。

 でも仮にカッサライ達にこの世を乗っ取られてもまた新たな争いが始まるのだろう。


 カッサライも元は人間の憎しみで出来上がっている。

 そんなカッサライ達を野放しにしても彼らもまた争いを繰り返し、自滅していくだろう。


 そう思うと私は戦う意欲をなくして、このまま誰も知らない歴史の傍観者として生き続けるのだろうか?


「おい。メグ何をしているんだ」


 考え事をしている私にエイちゃんが私に肩を添えて語りかけてきた。


 そして私の隣に座って、「どうしたんだよ。そんなしけた顔をして」


「エイちゃん怒らないで聞いて欲しいんだけど、私達は戦う必要なんてないんじゃないかな。

 こんな愚かな人間達の為に。

 仮にカッサライのチョウジを倒してもまた新たな争いを繰り返して自滅する運命になるんじゃないかな?」


「そうだな。俺達のやっている事は無駄な事なんじゃないかと俺もそう思ったよ。

 でも俺は戦うよ」


「戦って何の意味があるの?」


「それでも俺は戦う。それが神に背くことであっても。俺は人間達が愚かな奴ばかりじゃないと思っている。

 俺達はチョウジを倒してもまたみゆきちゃん達みたいなソウルメイトと出会い、また戦うことになるだろう」


「また戦うって、それに何の意味があるの?」


「人間は争いを繰り返して良き時代を築く、国のお偉いさん達もそう思っているだろう。核の恐ろしさを」


「いいや何も何も進展していない。人間は愚か者だよ。そんな愚か者の人間の為に戦っても意味なんてない」


「メグがそう思っても俺はそうは思わない。チョウジを倒せばまた再び平和がやってくる。その時に人間達は自分達が愚かだった事を振り返り思い出し、良き時代を発展させていくだろう」


「そんな事信じられないよ、人間はどこまでも愚かな人間よ」


「メグ信じようよ。俺達はただの歴史の傍観者だけでなく人間もまた新たな良き歴史を作り上げていくだろう」


「エイちゃん・・・」


 エイちゃんの顔を見ると二カッと私に潤いをもたらす笑顔を見せてくれた。


「そうだよね。人間はそこまで愚かな人間じゃないよね」


「そうだよメグ、人間はそこまで愚かではない」


「じゃあ、私信じてみるよ。今度こそ素晴らしい世界を作ってくれると」


 そしてエイちゃんは私の事を抱きしめてくれた。

 こうしてエイちゃんに抱きしめられ、心をときめかされるのはいつぐらいだろう。


 私にはエイちゃんが必要だ。

 これから先もエイちゃんとは互いに心支え合う関係でいたい。

 思えばエイちゃんも私も人間の愚かさにうんざりしていた。

 でもこうしてみゆきちゃんと出会い、無関心だった私達の心の浄化をしてくれた。

 そして私達は目覚めたのだ


 私達は長く生きすぎて愛の反対である無関心の罪に苛まされていた。

 でも私にはエイちゃんやみゆきちゃん達がいる。


 仮にみゆきちゃん達とお別れしても、またソウルメイトとしてまた出会うことが出来るだろう。


 私はまだやれる。

 人間達はそこまで愚かな人間じゃない。

 また人間が同じ事を繰り返すなら私達が作り替えしてあげよう。


 そこで豊川先生が現れて、「二人ともチョウジが現れるとみゆきちゃんのチャクラと藤沢三姉妹の占いで分かったみたいだ」


 するとみゆきちゃんは第三の目を開き、藤沢三姉妹は水晶玉を持って、リリィは鉄の柱で構え、スターチスはいつでも歌える準備をしている。


 アラタトの内線から聞こえてくる。


「ひょひょひょひょひょ、お前達は人間の愚かさを知らないのか?」


 そこで私が「知っているとも、でも人間はそこまで愚かな人間じゃない。お前達が私達に勝ってもお前はその人間だったカッサライ達に殺される羽目になるぞ」


「何だと」


 感情的になるチョウジ。


「お前も人間達を信じて戦っていたんじゃないか?」


「そうとも、わしも人間達の為に素晴らしい世界を創造しようとした。でも人間は正義を糧にして第三次世界大戦を引き起こした。そんな人間達の愚かさに心底呆れてしまった。だからわしは憎しみで死んでいった魂をカッサライとして蘇らせ、人間達を襲わせた」


「やはりそうだったのか。お前がカッサライ達を作っていたのか・・・」


「わしは一万年もの間に人間達の世話をしていた。人間達は争いを繰り返して、そして進展して行く者だと思っていた。しかし今回の件で人間達は第三次世界大戦を繰り広げて、世界の人間は百分の一に減少してしまった」


「それでも人間はその過ちに気がついてまた新たな世界を創造すると私は信じている」


「わしはそうは思わぬ。人間は愚かだ」


「そうだよ。愚かだよ。その愚かな人間達にもう一度チョウジ、私達と手を組まないか?」


「寝言は寝てから言え、人間の愚かさにお前も絶望したはずじゃ」


「確かに絶望したよ。でも人間は少なからずとも生き残っている。その生き残った人間達の為に再び立ち上がる気はないか?」


「ぐぬぬぬぬ」


 葛藤の仕草をしているように見えるカッサライの長チョウジ。


 するとチョウジに向かってみゆきちゃんが聖なる炎をときはなった。


「ぐわわわわわ」


 とチョウジが苦しみもだえる。


 チョウジにその人間に対する愛を取り戻そうとしている。


「チョウジ、思い出せ、人間は愚かな生き物だ。でも、人間は過ちを繰り返しながら反省してまた新たな世界を作り上げる」


 チョウジはみゆきちゃんの聖なる炎を浴びせられ、その事を思い出そうとしている。


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