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メモリーブラッド0  作者: sibatamei
第4章禁忌を犯したものの宿命の対決。
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魂の破壊と復活

 デジャブが配下のランとアランとその子供達の魂を破壊している。


 パリーンとガラスが砕けた音が私たちの耳に届いた。


 これが魂の壊れる音。


 デジャブなんて惨い事を。


 でも魂を壊されて喜びに満ちる四人。


 魂が崩壊したら、二度と転生できない。

 

 それを喜ぶ四人が私は悲しかった。


 空を見上げると、デジャブの漆黒のオーラが南極をも包み込み始めた。


「お前達に告げる、リリィとアラタトをこちらによこせ」


 不気味な声を発して告げるデジャブ。


「そうは行くものかデジャブ」


「ならば、お前達の仲間の魂を壊していくか?」


 その時、豊川先生の心の声が聞こえる「みんな目を閉じて祈るんだ」


「祈るって?」


「目を開けちゃダメ」


 言われたとおり目を閉じる。

 アラタトの中にいるみんな同じ事をしているのを感じる。


『先生、何か策はあるの?』


『もう神に祈るしかない』


 私達は祈った。

 いや、もう祈るしかなかった。

 しかしその祈りは脆く、魂が壊れる音がした。

 その時豊川先生の魂が壊れるのを私は目の当たりにした。


「メグちゃん、決して感情的にはならないでね」


 豊川先生が最後に言った言葉だった。


「わあああああああああああ」


 感情的になれないはずがなかった。


「デジャブお前だけは・・・」


「パリーン」


 と私の魂が壊れる感触がした。




 ******   ******




 みゆきは見た。豊川先生とメグさんの魂が壊れる瞬間を。


「そんな、豊川先生、メグさん」


 みゆきは豊川先生とメグさんの元へと行こうとしたが、節子ちゃんとダンデライオンの二人に止められた。


「僕達にどうすることも出来ないよ」「あのデジャブって奴は尋常じゃないエネルギーの生命体だ」


 ダンデライオンの二人は言う。


「そんなのどうだって良い、豊川先生とメグさんの魂が壊されたんだよ」


 すると節子ちゃんが私に抱きついてきた。


「もうやめて、誰かが死ぬのはもう見たくない」


 モニターにデジャブの姿が見えた。


 それはもうまがまがしくドクロのような顔をしていた。


「もう一度言う、リリィとアラタトをこちらに寄越せ」


 節子ちゃんが「もう・・・引き渡すしか・・・ないんじゃない?」と涙ながらに言う。


「まだよ」


 リリィが言う。


「リリィさん?」


「魂を壊されてもこのアラタトには魂を復活させる力がある」


 一筋の希望が見えてきて私はリリィさんに抱きついた。


「本当に」


「でもそれは三人まで、三人までなら復活させる事が出来る」


「三人まで・・・じゃあ早速、豊川先生とメグさんを」


「でももう時間がない。二人が再生している頃にはデジャブが野望を果たしているだろう」


 そこで節子ちゃんが「私のタイムストッパーで時間を止められる」


「節子ちゃんそれは節子ちゃん命を削る事になるじゃない」


「そんな事は言っていられない」


 確かにそうだ。時間を止める事が出来る節子ちゃんのタイムストッパーで時間を止めて豊川先生とメグさんの魂を復活させる時間が必要だ。


「リリィさん。その時間ってどれぐらいの時間が必要なの?」


「まだ、メグと豊川が魂を壊されて間もない。だから一時間当たりあれば済む」


「節子ちゃんみゆきも力を貸す・・・だから」


「ありがとうみゆきちゃん」


「じゃあ、時間を止めるよ節子ちゃん」


「分かっているみゆきちゃん」


 みゆきと節子ちゃんは手をつないでタイムストッパーを発動する。


 その時である、デジャブの妨害か?

 タイムストッパーを発動しようとすると、体が鉛のように重く感じて身動きが出来ない。


「もう良いよ。みゆき、節子。私がアラタト、デジャブに引き渡せばすぐに済む」


「ダメだよ。リリィさん。一時間持ちこたえるから、メグさんと豊川先生の魂を蘇らせて」


 鉛のように体が重く、少しでも気を緩めたら、デジャブの野望は阻止出来なくなってしまう。

 それにメグさんの魂も豊川先生の魂も永遠に輪廻転生出来なくなってしまう。


「僕たちも力を貸すよ」「任せて」


 ダンデライオンの二人は歌う。


 ダンデライオンの歌は本当に良い、鉛のような体だったが、二人の歌声によってかなり楽になった。


「リリィさん」


「分かっている」


 リリィさんは二人の遺体をモニターに移す。

 二人の姿を見てみると、目を閉じて動かない状況だ。


 早くリリィさん。

 モニターを見てみるとリリィさんは二人にターゲットを定めていた。

 きっと二人の魂を復活させる作業をしているのだろう。


 まだ持ちこたえられる。


 みゆきと節子ちゃんそしてダンデライオンの二人。

 その時、藤沢三姉妹が私の手に添えてきた。


 言葉の話せない三人は私に力を貸してくれている。

 さらにエイちゃんもみゆきと節子ちゃんの手を重ねてまるで俺たちの力も使ってくれと言っているように思える。

 さらにエイちゃんの奥さんも。


 何か出来そうな気がする。

 でも復活してもデジャブが同じ事をしてきたら、どうしよう。

 その時はその時考えれば良い。


 みゆきは・・・いやみゆき達は負けない。

 メグさんと豊川先生を復活させデジャブの野望もといてみせる。


 みゆきはメグさんに会わなければ節子ちゃんを助ける事が出来なかった。

 今度はみゆきがメグさんと豊川先生に力になる番だ。


 どれぐらいの時間がたったのだろう。

 分からないがデジャブの力が私達を妨げている。

 でももう負けるわけには行かないんだ。


 みゆきは世界がどうなっても良いとは言い切れないが、せめてメグさんと豊川先生の力にはなりたい。


 デジャブの力は強大だ。

 私たちが一つになっても、その妨害をデジャブはしてくる。


 私たちは負けるわけには行かないんだ。


 どれくらいの時間がたったのか?

 そろそろ限界になってきた。


 リリィの姿を見るとクリスタルに手をかざして二人を助けようと試みてみる。


「リリィさん。僕たちも限界だよ」


「もう少し、もう少しで良い。もう少しで二人の魂は復活する」


 そんな時英治お兄ちゃんは「メグ俺にはこれしか出来ない。今こそみんなの力を一つにして」


「出来た、これでメグと豊川先生は蘇る」


 モニターを見るとメグさんが立ち上がった。

 だが豊川先生の方を見てみると、立ち上がる気配はない。


「豊川先生が立ち上がらないなんてどういう事?」


「豊川は魂復活に拒絶している」


 なるほど、豊川先生は五千年の時を経て生きることに嫌気がさしたような事を言っていた。


 その時、エイちゃんが、


「その永遠の魂を俺に譲ってくれないか?」


「それは出来ることだけど、英治、あなたも禁忌を犯した吸血鬼になってしまう」


「それでもかまわない。親父の代わりに俺が禁忌を受け継ぐ」


 禁忌を受け継いだ時点で豊川先生は立ち上がった。


 どうやら豊川先生も禁忌を受け継いだことに後悔の念が存在していたみたいだ。


 少し失望したが、みゆきは五千年をも生きたことがないので私にはその気持ちは分からないのかもしれない。


 メグさんならやってくれるこの惨劇を食い止める為に戦う事を。


 メグさんと豊川先生が復活した瞬間に、デジャブはまた同じ事をしてくる。

 それは魂の崩壊。


 だから私達も魂の崩壊を避けるために、エイちゃんがメグさんと豊川先生を連れてアラタトのコックピットの中に入ってきた。


 この中に入っていれば少しは時間が稼げる。

 それでメグさんと豊川先生が帰ってきた事は私たちにとって有利になる。


 ここでみゆきは節子ちゃんの力を借りて、予言する。


「リリィさん。サンピラー(太陽の柱)の中に入ればいくらか時間を稼げる」


「分かった」


 アラタトの動力源であるクリスタルに手を触れて、サンピラーへと移動する。


 基本南極は白夜だと聞いている。

 デジャブの力を弱めるには太陽の光が必要だとみゆきと節子ちゃんの予言で分かった。

 デジャブはオゾン層を辿ってこの私たちの力を弱める漆黒のオーラを放つことが出来る。

 豊川先生の言う事に間違いはなかった。


 サンピラーにたどり着き私達はとりあえず一息つくことが出来る。

 何か作戦はないかみんなと話し合う。




 ******   ******




 豊川先生はエイちゃんにピンタした。


「英治お前がやったことはどういう事か分かっているのか?」


 そこでみゆきちゃんが、「豊川先生の魂を復活させるためにやったけれども、豊川先生はそれを拒絶した」


 豊川先生は返す言葉もなく黙り込む。続けてみゆきちゃんは、「私たちにはあなたが必要だった。にも関わらず、魂再生に拒絶したのはあなたの方だ」


「本当なのリリィ」


 私が言うとリリィは残念そうに。


「うん。確かに豊川は魂を再生することに拒絶した。だから禁忌を英治にやり豊川を復活させるしかなかった」


 その事を聞いてみんなが愕然とした。


 でも私は豊川先生を攻める事は出来なかった。


 豊川先生も五千年生きた吸血鬼、生きる事に煩わしくなってしまったのだろう。


「そうだ。英治が悪いんじゃないんだ。すべて僕の責任」


「豊川先生自分を攻めるのはやめてください。いつも仰ってたじゃないですか」


「メグ、今は争っている場合じゃない」


 リリィは言う。続けて、


「コックピット内に漆黒のオーラが入ってくる」


 漆黒のオーラを浴びると力が抜けていく。


 もはやここまでなのか?


「ラグ、ジェイラン、ジェミニ、わずかでも良い、この世の物じゃない漆黒のオーラをくい止めて」


「「「了解」」」


 何か策はあるはずよ。

 私達がアラタトを乗っ取られたら、すべてが終わってしまう。

 終わらせはしない。


「ダンデライオン、力のある限り歌って」


「僕たちももう力が」「歌うよそれでも」


 弱々しい返事だがもう一刻を争う事態になってしまっている。

 このままでは世界も終わってしまう。


 コックピット内のモニターを見ると、サンピラーが漆黒の闇に閉ざされていく。


 まだだ。まだ終わらせはしない。


「リリィ、ごめん」


 リリィを壷の中に封印した。

 その壷をポケットの中に入れた。


 アラタトを動かすクリスタルに手を触れると、もはやアラタトは動かなかった。


「豊川先生、アラタトが動きません」


「アラタトは僕とメグちゃんの魂を復活させたためかもしれない。アラタトに残っているのはもはや世界を千回壊せる機能しか残っていない。

 そのためにはメグちゃんがリリィを封印したのが良かったのかもしれない」


 ダンデライオンの二人も限界に来ている。

 漆黒のオーラがアラタト全体を包み込んでいる。


「あ・・・あきらめ・・ちゃ・・ダメだ」


 漆黒のオーラがアラタト内を包み込み、もはやなすすべもなくアラタトは宙を浮くことも出来ずに、ゆっくりと地面に落ちていく。


「とにかくみんな外に出るんだ」


 私は倒れたダンデライオンを二人担いで、エイちゃんがみゆきちゃんと節子ちゃんを抱いて、そしてさらに豊川先生は藤沢三姉妹と麻美ちゃんと奥さんを宙に浮かせて、アラタトの扉を開こうとした。


 開いた瞬間だった。


 漆黒の突風により私たちは吹き飛ばされバラバラになってしまった。


「エイちゃん、みゆきちゃん、節子ちゃん、藤沢三姉妹、麻美ちゃん、豊川先生、奥さん、ダンデライオンの二人」


 みんな漆黒のオーラに包まれて吹き飛ばされてしまった。


 何なんだよこれ。


 何でこんな事になっちゃったんだよ。


 デジャブが禁忌を恐れている?そんな事知ったことかよ。


 何もかもが夢であってほしい。


 そうだ。私には流霧さんが管轄している指輪の世界に行くことが出来る。


 だが指輪が発動しない。


 どうしてだよ。


 漆黒のオーラに包まれ力も衰退して意識がなくなっていく。


 諦めてはいけない事は分かっている。


 でももう為すすべもない。


 エイちゃん。せっかくエイちゃんと私同じ存在になれたのにね、エイちゃんも禁忌を受け継ぐ吸血鬼として生まれ変わる事が出来たのに。


 このエイちゃんと私の物語はバットエンドに染まっていく。


 何もかもが消えていく。

 そう何もかもが消えて、私たちはどうなってしまうのだろう。


 かすかな意識の中海は赤い色に染まっている。


 空は漆黒の空に染まり、私達の魂は破壊されてしまうの?


 だったら破壊された方が良い、この世界では私達は生きる事が出来ないだろう。


 デジャブ、ざまあないな、あんたがほしがっていた世界の魂を千回壊せる鍵となるリリィはこちらの物になっている。


 そうやって世界を滅ぼしながら生きていけば良いさ、あんたはとんでもない禁忌を犯したことになる。


 私達はあの世であんたの様子を拝見させてもらうよ。


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