永遠の約束
ラミネスは言う。
「我は生きることの苦しさに解放されたかっただけ。その弱みにデジャブの策略に乗ってしまった」
「ラミネス」
「すまぬ、我は死んでも償いきれない罪を犯してしまった」
ラミネスは心底悪い奴では無かった事に私は何度も安心した。
そこで豊川先生は「そう思うなら、この壷の中に入って反省して貰おうか」
「待って豊川先生」
「メグちゃん。デジャブはラミネスに魂を売った。デジャブに操られているかもしれないんだ見えない糸で」
「壷に封印したければ、そうすればいい。確かに我はデジャブに魂を売った。他の竜巻を起こしている三人もあのアランもデジャブに魂を売った。
我らはもう輪廻天性出来ぬ体じゃ」
ラミネスの言葉を聞いて私はぞっとする。
もし私に弱い心につけ込まれていたらラミネスのような存在になっていたかもしれない。
「言って置くがアラタトには魂を消滅させる事の出来る装置が設置されておる。
それにデジャブは魂を壊す能力を持っている」
「ならそれでデジャブに魂を壊して貰えば良いじゃないか。もう私達に危害を加えるのはよしてよ」
「いや、魂を壊した者には永遠に尽きることのない、苦しい輪廻天性が待っている。それを永遠に永遠に輪廻天性をしなくてはならなくなる」
「それをデジャブが恐れているのか?」
「そういう事じゃ、じゃからアラタトには世界の人々の魂を壊す装置がある。それを千回壊す事が出来る。この世のすべての魂が消滅すれば、我らは解放される。すべての魂が壊れればもう我らの禁忌もなくなる」
「そんな事をさせるものか!」
「お前は禁忌を受けてどれぐらいの年月が経った」
「約半年くらいだな」
「我も禁忌を犯した時、永遠に生きる喜びを味わった。
しかし我はもう一万年もの間禁忌を受け継ぎ、今は滅びたいと思っておる。
わずか半年で禁忌の罰はもはや生ぬるい」
私は怖かった。もし私もラミネスのように一万年もの間死ぬことが出来なかったら、ラミネスのようになっていたかもしれないと。
私の気持ちは恐怖のどん底に陥れられる程、怖かった。
一瞬私もその恐怖から抜け出すために、リリィを解放して、ラミネスを支配しているデジャブに協力をしようと血迷った考えになった。
ラミネスは豊川先生の言うとおりにして、壷に封じ込めた。
ここで北海道の竜巻は消滅した。
残りのそれぞれの三人の竜巻は健在だ。
この三人の竜巻を消滅させ、その長であるデジャブを倒さなければ我々には未来はないだろう。
アラタトに戻り、とりあえず、私たちが住む東京へと向かった。
みゆきちゃんが「メグお姉さん元気ないね。どうしたの?」
みゆきちゃんに心配かけないように「大丈夫だよ。私は元気だよ」
節子ちゃんが「残りの三人の竜巻について何か、情報は?」
そうだった。私は恐怖心にかられてラミネスに三人の竜巻の情報を聞き出すことを忘れていた。
だから私は「豊川先生、ラミネスに三人がそれぞれ起こしている竜巻の情報を・・・」
「いややめておいた方がいい。ラミネスの心はもう腐りかけていた。仮に呼び起こして聞いても嘘の情報を流すかもしれない」
「そう」
私も一万年も経てば私の心は腐ってしまうのか不安になった。
エイちゃんの家の塾にたどり着き、エイちゃんが心配そうに私の事を見ていた。
そんなエイちゃんを見ると、私の目から涙がどばどばと流れ落ちてきた。
「どうしたんだメグ」
「・・・」
私は黙ってエイちゃんの胸に飛びついた。
それにみゆきちゃんにも節子ちゃんにもダンデライオンの二人にも心配され、心配させたくないと言う気持ちでも涙が止まらず、そのままエイちゃんの胸で泣いた。
私は禁忌を犯した吸血鬼であり、一生このままだ。
今はこうして理解してくれて抱きしめて癒してくれる人がいるけれども、この温もりもいずれ消えて私一人にして消えていくのかもしれない。
それでもエイちゃんが生まれ変わり、そのエイちゃんを探してまたくっついて行けば良いのだと考えていたが、一万年も経てばラミネスのようになってしまうのかもしれない。
禁忌なんて受け継ぐんじゃなかった。
私は何て愚かな生き物なんだ。
私の涙が落ち着いた頃、エイちゃんの部屋で二人きりになった。
「どうしたんだメグ。そんなに泣いて」
「私は禁忌の恐ろしさを知って・・・」
「禁忌の恐ろしさ?」
「私は死ぬことが出来ない、メビウスの禁忌を受け継いだから」
「何だ。そんな事か」
「何だって何よ!それがどれだけ苦しいことなのか分からないの?」
するとエイちゃんは私を抱き寄せて「久しぶりにメグの涙が見れてホッとしたんだ」
「エイちゃん?」
「メグ、出会った時の事を覚えている?」
「覚えている。私が泣き虫でエイちゃんに守られてばかりだった」
「メグが吸血鬼として蘇り、俺はホッとした。
メグが生きていてよかった。たとえ禁忌を犯したメグでさえも生きていて良かったと思える。
だからメグ、禁忌におびえるような事があったらいつでも俺の胸に飛び込んでこい」
「でもエイちゃんやみゆきちゃん聡美ちゃん節子ちゃんもダンデライオンの二人もいずれ私を残して死んでしまう」
「そうしたら、またみんな生まれ変わってメグを見つけて何度でも何度でもその体を抱きしめてやる。
何度でも何度でも」
その時、私の不安が少しずつ消えていくような気がした。
「私は一人じゃないよね」
「ああ、一人じゃない一万年経っても一億年経ってもメグは生きていても、俺たちの魂は永遠だ。
だからメグを決して一人になんかしない。
俺たちがメグを見つけて永遠に永遠に一緒だ」
「ありがとうエイちゃん」
そういって袖で涙を拭って、次の竜巻の作戦に取りかかろうとした。
でも今日はエイちゃんと眠ることにした。
****** ******
「メグさん起きて」
みゆきちゃんが血相をかいて私の所にやってきた。
「どうしたのみゆきちゃん」
「東北の青い竜巻がこちらに接近している」
「何ですって」
そこでエイちゃんが「メグまた行くのか?」
「ええ、もちろん」
「俺は力になれないかもだけど、気をつけてな」
「うん。分かっているよ」
早速私とみゆきちゃん、節子ちゃんダンデライオンの二人と豊川先生の所まで行った。
「豊川先生」
「ああ、分かっている東北の青い竜巻がこちらに近づいているってね」
「とりあえずアラタトへ」
私達、みゆきちゃんに節子ちゃんにダンデライオンと豊川先生でアラタトに向かう。
モニターを映してみると、青い竜巻はこちらに接近している。
この竜巻もこの世の物ではなくメビウスの禁忌を受け継いだ私にしか行けないんじゃないかと思う。
「私行くね」
「待つんだメグちゃん」
「何、豊川先生」
「相手の出方も分からずに突入するのは危険だ」
「でも竜巻で被害に遭っている人たちはたくさんいるわ」
「それはもう仕方の無い事だ」
「仕方がない事って、それってひどくないですか?」
「ああ、ひどいかもしれない。でもこちらから行ったら、青い竜巻を起こしている奴の思う壺かもしれない」
確かに豊川先生の言っている事は一理ある。
でもこの青い竜巻に包まれて死んでしまう人達を目の当たりにするのは私には出来ない。
「私は行くよ」
「メグさん、これ」
みゆきちゃんがホーリーアローの矢を私に渡した。
「ありがとう」
アラタトの外に出て、凄い勢いでこちらに青い竜巻がやってきた。
竜巻に巻き込まれた人を見ると、まるでゾンビのように苦しみもがいていた。
「何て惨いことを」
ホーリーアローを剣に変えて、青い竜巻の方へ立ち向かう。
竜巻の中に入っていくと、派手な服を着た男性の姿が見えた。
「おい。お前、やめろ」
「あっはっはっはっ」
高らかに笑う男性。
男性の方を見ると美しいイデタチをしている。
「美しい私に気安く声をかけるでない」
「お前は自分がやっている事が分かっているのか?」
「分かっているさ、醜い連中を私の手で殺している事さえな」
「きさま~」
怒りに任せて奴の麓まで立ち向かう。
剣を振りかざした瞬間に奴は霧散してしまった。
やったか?と思ったが、奴は私の背後から私の顔を見る。「お前もなかなかの美しいイデタチをしているな」
「黙れ」
剣で振り払い、再び霧散してしまった。
「ならこれならどうだ?」
私の周りに仲間がいないことを確認して、私はサイコキネシスを放った。
「ぐあああああああああ」
効果ありだ。
「貴様~、そういえば名前を聞いていなかったな」
「私は吸血鬼の川上メグ」
「私の名前はアトラスだ」
「ならばアトラスとやら食らえ」
最大限のサイコキネシスを放ち、アトラスは苦しんでいる。
「ぬおおおおおおおお」
アトラスは私に未知の力でサイコキネシスを打ち消した。
「まだまだ」
私は最大限のサイコキネシスを放ち、いつの間に私の周りにはみゆきちゃんに節子ちゃん、それにダンデライオンの二人がいた。
彼女たちを巻き込み、みんなは耳から血を流し目から血を流して苦しんでいた。
私は何て事をしてしまったのだと、心が凍り付いた。
「フッハッハッハッ」
自分の仲間を自分で消してしまうとな。
私はパニック状態に陥り、どうせいこのまま死んでしまうならと思い、最大限のサイコキネシスを食らわせた。
その最大限のサイコキネシスは自分の人体にも影響があって、私自身も滅んでいく。
「あああああああああああ」
すると私に矢が刺さった。
これはみゆきちゃんと節子ちゃんのホーリーアロー。
豊川先生は「これはすべて幻だ」
私の気持ちは落ち着いて、聖なる矢であるホーリーアローに身を包まれ、私は我に返る。
ダンデライオンの二人は歌い、みゆきちゃんが剣となり節子ちゃんが盾になった。
そしてアトラスは巨大なドラゴンへと変身した。
「良い仲間を持ったなメグ。今度はこちらから行くぞ」
ドラゴンへと変身したアトラスは青い炎を放つ。
しかし節子ちゃんが盾となってくれて、その青い炎は私には通じない。
こいつも禁忌を犯した魔物に過ぎない。
みゆきちゃんの剣は聖なる剣なので奴の邪悪な心を浄化するだろう。
ドラゴンに変身したアトラスにみゆきちゃんの聖なる剣をかざして、倒れたと同時にアトラスの決壊である青い竜巻が崩壊していった。
アトラスが落ちていく、「今よ豊川先生、こいつを封じ込めて」
「分かっている」
剣と盾になっていたみゆきちゃんと節子ちゃんはそれぞれ元の姿に戻っていった。
竜巻で被害に遭った人たちも元通りに戻っていった。
アトラスとやらに残りの二つの竜巻の事を聞くのを忘れていたが奴もラミネスと共に同じように心が腐ってしまっているのだろう。
すると黒い炎が出てきて、アランだ。
「残念だったな、アラン。お前が率いるアトラスは封じた」
「愚か者が、アトラスは実体を持たない禁忌を犯したもの、お前たちの力にはとうてい及ばない」
そしてアランは両手を広げてアトラスをドラゴンに実体化させた。
「そんなあ~」
私は弱音を吐いた。
もう一度みゆきちゃんと節子ちゃんに剣と盾になって貰って、立ち向かおうとしたが、また同じことになってしまうだろう。
そこで豊川先生は「もう一度、みゆきちゃんと節子ちゃんに剣と盾に戻って貰うんだ」
「豊川先生」
「それで最大限のサイコキネシスを奴にくらわすんだ」
「分かったやってみるよ。
みゆきちゃん。節子ちゃん」
「「うん」」
みゆきちゃんに剣になってもらい、節子ちゃんに盾になって貰って最大限のサイコキネシスを剣から放出させた。
「ぐぎゃぐぎゃぐぎゃ」
とアトラスの断末魔、奴を封じる事が出来ないならどうすれば良いか考えさせられる。
しかしドラゴンと化したアトラスはどんどん小さくなっていく。
「そうだ。もっとこいつに小さくなって貰うんだ」
最大限のサイコキネシスをアトラスに喰らわせて、どんどん小さくなっていき、最後にはヤモリのサイズになり、それを豊川先生は捕まえて壷に封じる事が出来た。
「くっ」
アランは悔しそうにしながら去っていった。
「今回の敵はナルシストの爬虫類だった訳だ。
こんな奴にもはや言葉など通じないし、封じ込めただけでも、得と考えた方が良いだろう」
このアトラスは幻を見せることが出来る。
私がサイコキネシスでやっつけようとしたところ、小さくなって私に幻を見せつけた。
そしてまた一つ私のメモリーブラッドで幻を見せる能力を培った。




