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メモリーブラッド0  作者: sibatamei
第4章禁忌を犯したものの宿命の対決。
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新たなる野望

「デジャブ様、アラタトの浮遊上がアラタトの民にわたりました。いかがなさいましょう?」


「ふん、メビウスめ、何と愚かな者よ」


「アラタトは世界を千回破滅させる究極のパワーが眠っている。それをあたかもアラタトを移動手段に使っているそうで」


「ふん、まあ良い、奴らからアラタトを奪い、この地球上の民の為にもアラタトが必要じゃ」


 デジャブは玉座から立ち上がる。


「ところでアランよ、計画は進んでおるのじゃな?」


「はい。仰せの通りにデジャブ様」



 

 ******   ******




 私達はクリスマス発祥の地ローマ帝国キリキア属州パタラで過ごしている。


 もちろんリリィのアラタトで行ったんだ。


 丁度その日は雪も降っていて、ホワイトクリスマスを堪能してホテルの屋上からきらめくイルミネーションが飾られてある。

 こんな素敵な光景を目の当たりにして、私は生きていて良かった。そしてエイちゃんと出会えて良かった。


「エーイちゃん」


 エイちゃんの背中に抱きつく私だった。


「エイちゃんメリークリスマス」


 エイちゃんにクリスマスプレゼントを渡す。


「メグ、これはお前から俺に?」


「もちろん」


「あけてみても良いか?」


「もちのろんです」


 私の鼓動は止まっているが、高鳴る興奮は冷めやまらず、エイちゃんが喜ぶ姿を想像する。


「これは俺の欲しがっていた電子辞書じゃないか?こんな高価な物を貰って良いのか?」


「もちろん。その為のプレゼントだから」


「俺もメグへのプレゼントがあるんだけどさあ」


「本当に!?」


 ときめく私であった。


「これなんだけれども」


 小さな箱にプレゼントの包装がされている。


「あけてみて良い?」


「もちろんだよ」


 私が丁寧に包装紙をといていく。

 そして包装紙をとくと、小さな宝石箱が中から出てきた。

 その宝石箱をあけると十字架のヘヤピンが二つは行っていた。


「どうかな?」


 どうかな?って言われてみても、私は一応吸血鬼だ、十字架と言ったら吸血鬼を寄せ付けない物だ。でも私は十字架で恐怖は感じられない。


「微妙」


「エッ?何か不服でも?」


「エイちゃん私は吸血鬼なんだよ。それなのに十字架のヘヤピンはどうかと思うよ」


「そんな~。これプラチナで出来ていて、とても高価な物なのに」


「嘘よ。エイちゃん」


 私は受け取った十字架のヘヤピンをした。


「似合うかな?」


「似合うよ。その為に買ったものだから」


 エイちゃんはちょっとずれた所が有るけれども、私を本気で愛しているのは本当だ。

 私に何かあると、即刻で私を守ろうと必死だ。

 

 メビウスの禁忌を受け付けあれから二ヶ月ぐらい経過している。

 今の所は問題ないけれども、たまにこの世の果てまで生き続けて、それでも死ぬことは許されず、宇宙を漂う事を思うと私は恐ろしくもある。

 でも豊川先生も同じ禁忌を犯した存在だ。

 私一人じゃない事が今の恐怖を妨げる役となっている。

 だったら私は豊川先生と契りを結ぶべき何じゃないかとふと思ったりするが、私は豊川先生の息子のエイちゃんを愛しているから、それは出来ない。


「ひゅ~ひゅう~」「お二人とも熱いね」


 どこからわき出てきたのか私の舎弟一号二号の盟と梓が私をからかう。彼女達はセイレーンの歌声を司るいわば歌の女神だ。


「盟、梓、あんた達はこのホテルで賛美歌を歌うんじゃなかったっけ」


「あーそうだった」「忘れていた」


 二人はぴゅーとホールへと向かっていった。


「全くあいつ等は」


 日本ではアスターとして出ていたが、ある事情により、アスターの二人は日本では歌えなくなってしまった。


 それでリリィが協力してくれて、アスターの二人の歌を日本ではダメになってしまったが海外で密かに名前を変えて出るのはどうかと相談したところ、快く相談に乗ってくれた。

 その名前はダンデライオン、つまり日本語に訳すとタンポポだ。


「私達もあいつ等のコンサートに行ってみない?」


 エイちゃんを誘う。


「そうだね」


 コンサート会場に足を向けると、ホールは二人がまだ出てこないことに不服や不満の声があがっていた。


「あいつ等何やってんだよ」


 様子を見に行こうとした瞬間に会場内のスポットライトや電気が落ちた。


 どうやら始まるみたいだ。


 そして彼女達にスポットライトが照らされて、盟は赤いドレスに梓は青いドレスにまとっていた。


 二人はマイクをとって、ゆっくりと口元に当てて歌い出す。


 先ほどはブーイングの嵐だったにも関わらず、彼女たちの歌声に心を奪われ、ブーイングはおろかそんな事も気にした人は一人もいなかった。


 思えば、彼女達はもう一度大勢のお客の中で歌ってみたいと思っていたんだよね。

 そしてお金を稼いで私や豊川先生にわずかでも良いから恩返しをしたいと照れながら私に言っていたっけ。

 あいつ等も何だかんだ言って大人になっていったんだな。


 最初は路上ライブから始まり、そしてすぐに有名なプロデューサーにスカウトされ、それからトントンビョウシでここまで成長したんだよな。


 ホールに入っているお客は約五千人。


 ちなみに彼女達のマネージャーは私だ。


 それに以前の彼女たちを知るものはいない。


 知られたら一発でアウトだからね。


 でもアスターいや今はダンデライオンの声量を聞いていると夢の世界に浸透してしまいそうだ。


 私は歌を聴いていて、踊り出したくなる感情を抑えて、エイちゃんの左手を私の右手でつなぎ会った。


 そんな夢心地の二時間はあっと言う間に過ぎていき。ダンデライオンの控え室まで、行く。


「お疲れ様二人とも」


「私達が歌えばこんな物でしょう」「右に同じ」


「さて二人とも、帰るわよ日本に」


「え~せっかくクリスマスの発祥地に来たのにもう帰るの?」「せめて観光だけでもしていこうよ」


「そうしたいのは山々だけれども、みんな待っているんだからね。帰ったらみんなでクリスマスパーティーだから」


「クリスマスならここでしようよ」「せっかくクリスマスの発祥の地に来たのに」


「文句は言わないの。さてリリィを呼ぶわよ」


 私とエイちゃんとダンデライオンの二人は外に出て、パラパラと雪が降っている。

 それに町は数々のイルミネーションが点在して町を彩っている。

 そんな光景を見て、私もダンデライオンの二人の気持ちが分かるようになってきた。

 確かにこのまま帰るのはもったいない気がするが、仕方がない、塾でみんながごちそうを作って待っているからな。

 日本からイタリアの時差は八時間程度、今帰れば、日本は朝を迎えているだろう。


 さて帰るか。


 私がリリィを念じて手を挙げて待っていると、アラタトの浮遊上が頭上に来た。


 これを見えるのは私だけだが、特殊なサングラスを持ってすれば、見える。

 そして私達はアラタトに吸い込まれるように、宙へと向かった。

 私達はアラタトのコックピットの中に入り、そこにはリリィが存在している。


「メグ、コンサートどうだった?」


「大成功」


 親指を突き上げてにやりと笑う。


「凄いメグ」


「凄いのは私じゃないダンデライオンの二人だよ」


 二人は観光したいとか何とか言っていたけれど、二人はお疲れモードで、二人そろって眠っている。


「本当にこいつ等頑張ったんだよな」


「エイちゃんも引率係お疲れ様」


 そしてリリィはアラタトの動力点のクリスタルに手を伸ばして、輝き、そしてモニターを見ると、私たちが住む街であった。


 空は明るく、空気が乾燥しているせいか、筑波山や富士山などが見渡せる。


「さあ、帰るわよ」


 私は眠ってしまっている盟と梓を抱えて、アラタトから外に降り立った。


 降り立った先にはみゆきちゃんやら元気を取り戻した麻美ちゃんや豊川先生それに藤沢三姉妹もいる。


 そしてみんな言った。


「メリークリスマス」


 と。


「メグちゃんもダンデライオンの二人もお疲れ様」


 麻美が元気よく言う。


「ただいま」


 そんな時、藤沢三姉妹はサングラスを着用して、頭上のアラタトに向かって手を振った。

 大好きなリリィに挨拶をしているのであろう。

 するとアラタトから無数の光が放たれた。

 リリィからの私たちの合図だろう。


 彼女の心の声が聞こえる。


「メリークリスマス」


 と。


 私が盟を背負い、エイちゃんが梓を背負っている。


 エイちゃんの家兼塾にお疲れモードの二人をベットに寝かしつけておいた。


 私もエイちゃんも結構疲れたので眠りにつく。


「んん?」


 私の眠りを妨げるのは誰だろうと起きあがってみると、みゆきちゃんだった。


「どうしたの?みゆきちゃん」


「また不穏な気配を感じる」


 真摯なまなざしで私に言うみゆきちゃん。


「不穏な気配?もう勘弁してよ」


「みゆきも勘弁して欲しいと思う」


 メビウスの禁忌を受け継ぎ、あれから二ヶ月が経ったんだ。

 でも私が吸血鬼になってから私の人生は大きく変わり、その分トラブルにもさらされてきた。


「で、みゆきちゃんが言う不穏な気配って?」


「みゆきにも分からない。でも何か不穏な気配がこちらに近づいてくる。それもメビウスよりも強大で恐ろしい力を秘めていると、節子ちゃんとの予言で出てきた」


 みゆきちゃんの予言に心配はいらないとは言い切れない。でも私は禁忌を受け継ぎ死ぬことが出来ない生き物だ。それに生半可の力ではない。

 この世に私以上の力を持つ物は誰一人いないと豊川先生は言っていた。


「その話なんだけれども、後にしてくれないかな、私はダンデライオンの二人のコンサートでかなりこたえているから」


「対策を練るには早い方が良いと思うけれども」


「みゆきちゃん。そいつはいったい何者なの?」


「さっき言った通り、メビウスよりも強大で恐ろしい力を持つ者とでしか節子ちゃんとの予言で出てきた者」


 また面倒事は勘弁して欲しいが、みゆきちゃんと節子ちゃんの予言を看過したら、取り返しのつかないことになってしまうかもしれない。


 後で豊川先生に相談した方が良いかもしれない。


 そうだ。その前に私の配下となったジェミニ、ジェイラン、とラグを使うのはどうかな?

 確か連中は鍵のかかった机の引き出しにしまってある。


 緑の玉がジェイラン、青い玉がラグ、そして赤い玉がジェミニだったっけ。


「みゆきちゃん。この三人に偵察をさせるのはどうかな?」


 と相談してみる。


「うんその方が良いとみゆきもよんでいる」


 三人を具現化させたいが、どうやって具現化させるか分からない私にみゆきちゃんが「貸して」と言って貸すと乱暴に地面に叩きつけた。


 すると三人は淡い煙とともに具現化した。


「現れたわねジェミニ、ラグ、ジェイラン」


「はっこの時を待ちわびていました」


 ラグが言う。


「もうちょっと私たちを丁重に扱ってはくれないかな?」


 ジェミニが不服を言う。


「はー久しぶりだから体がなまってしまったかもしれない」


 ジェイランが言う。


「三人共、私達に不穏な気配を感じているとみゆきちゃんが言う。三人は何かを感じないか?」


「我々は予言者じゃないからな」


 ラグが言う。


「私と一戦を交えたみゆき様が仰るならそうかもしれません。彼女の力は本物です」


 ジェミニが言う。


「じゃあ話は早い、何でも良い、何か不穏な気配を感じたら私達に知らせに来てくれないか?」


 私とみゆきちゃんは三人を連れ、屋上へと上がっていった。


「じゃあ、三人共よろしく頼むよ」

 

 みゆきちゃんが胸につけているロザリオを握りしめ言う。


「本当に大丈夫かしら」


 そこまでみゆきちゃんに心配させたら、元も子もないので、私はもう少し眠りにつきたかったが、そのままパソコン室で引きこもりの生徒や社会になじめないニートなどのお世話をしている豊川先生の所まで相談に言った。


 三鬼神を屋上で待機させて、それでも心配なみゆきちゃんは豊川先生の所まで行く。


「豊川先生、少しよろしいでしょうか」


「うん。どうしたの?」


 相変わらずパソコンの画面に目をやりながら私達に話す。


「またみゆきちゃんが予言で不穏な気配を感じていると仰るのですが、いかがでしょう」


「不穏な気配とはいったい?」


 みゆきちゃんが「はい。節子ちゃんとの予言でメビウスよりも強大で恐ろしい何かがやってくると」


「なるほど、でも相手の招待が分からないなら手の打ちようもない。とりあえず三鬼神に見張りを任せて置くしかないな」


「分かりました」とみゆきちゃんは素直になる。


 そこで私は「みゆきちゃん。勝手な行動は慎んでね」と真摯な瞳を突きつけるとみゆきちゃんの目はかすかに泳いでいた。


 その時みゆきちゃんはまた勝手な行動に移して、面倒事を運んでくるような気がしたから、ギラリと瞳に『面倒事を運んできたら承知しないよ』と言う視線を言った。


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