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メモリーブラッド0  作者: sibatamei
第3章
57/89

輪廻転生出来ない苦しみ。

 メビウスを封じ込めた瓶を飲み干して、みゆきちゃんから得体の知れないパワーがみなぎってくるのがわかる。


 みゆきちゃんに触れようとする否や邪悪なメビウスのパワーとみゆきちゃんの聖なる白い炎が入り交じるように強力でまがまがしい力には対抗することが出来ずに吹き飛ばされてしまった。


「みゆきちゃんお願い。目を覚まして、節子ちゃんはこんな事は望んでいない」


 私の悲痛な思いなど届くことなくみゆきちゃんはメビウスを飲み干して邪悪なパワーをみるみる上げていく。


「ああああああああああ」


 メビウスの力をものにしたみゆきちゃんはおぞましい声で叫んだ。


「お前達などもう用はない。お前たちは私の約束に答えなかった。なら悪魔でもいい何でもいい、節子ちゃんが蘇るなら私は悪魔にも命を捧げる」


「みゆきちゃん、みゆきちゃんのお願いを聞き入れる事は出来なかったけれど、豊川先生は言っていた、他に方法があると、その方法にかけてみない?」


「黙れお前たちなどもう宛にしない」


 その時気がついたんだ。


 もしかしたらメビウスは万が一のためにあのように節子ちゃんを殺したんじゃないかって。


 怒りは憎しみに変わることをメビウスはよく知っているのだ。


 みゆきちゃんから放たれる憎しみが消えた。 


「みゆきちゃん?」


「節子ちゃんは吸血鬼として生まれ変われる」


 みゆきちゃんは言う。


 それはどう言う事?と豊川先生の目を見た。

 すると豊川先生は、「それは危険だ」

「何が危険なの?」


「説明している暇はない、今はみゆきちゃんの野望をくい止めることが先だ」


 豊川先生がみゆきちゃんの元へと走っていく。


 私も続き豊川先生はみゆきちゃんの力に圧倒されて、吹っ飛び私も同じように吹っ飛んでしまった。


 みゆきちゃんから邪悪なオーラが放たれている。


「節子ちゃん今、救って上げるからね」


 メビウスを封じた壷を見つめてみゆきちゃんは言う。


 そしてメビウスを封じた壷をたたき割り、空を飛び去っていった。


「メグちゃん。みゆきちゃんはきっと節子ちゃんの遺体が運ばれた病院へと行ったのだろう。メグちゃん。お願いだ。第二のメビウス、いやそれ以上のまずい存在になってしまいかねないみゆきちゃんの行動を止めるんだ」


「分かりました」


 私はみゆきちゃんの後を追う。


 みゆきちゃんも空が飛べるらしく私も空を飛ぶことが出来る。


 みゆきちゃんの行き先を私は追いかける。


 みゆきちゃんから放たれる邪悪なオーラは普通の人間にも感じるほど強大な物だ。


 みゆきちゃんの後を追い、そろそろ節子ちゃんが保管されている節子ちゃんの病院が見えてきた。


『みゆきちゃんを助けて上げて』


 私の脳裏に聞こえてきた。


 みゆきちゃんって、もしかして節子ちゃん。


『私の事はもういいの、でもみゆきちゃんを助けてあげて』


「私はもう良いって」


『私はメビウスに操られたときからこの運命から逃れることが出来ないことを知っていた。私は死ぬと。でもメグさんでしたね、どうかみゆきちゃんを助けて上げて』


 自分の事よりも友達の事を助けようとする節子ちゃんはみゆきちゃんが禁忌を犯してまでも助けたいという気持ちは分かった。


 それほど二人は親密な関係にあったんだ。


 出来れば二人とも助けて上げたい。


 節子ちゃんを助けると言ったのにそれが出来なかったのは私の責任でもある。


 みゆきちゃんは病院の窓を突き破り、節子ちゃんの気配が感じる。


 私もみゆきちゃんの後を追い病院の中に入っていく。


 節子ちゃんが保管されている遺体をみゆきちゃんは引き吊り出す。


「みゆきちゃん。お願いだからやめて。節子ちゃんが悲しんでいるよ」


「なぜお前にその事が分かる。知ったような口を聞くんじゃない」


 そういって私にその手から黒い波動を放った。


 両手で受け止めすさまじい力だ。


 この波動は病院の人たちにも害を及ぼすだろう。


 その強力な黒い波動を両手でつぶし、効果をなくす。


「節子ちゃん」


 みゆきちゃんはそう言って、節子ちゃんの遺体に口づけをした。

 すると節子ちゃんの体から得たいのしれない黒いオーラがはなたれ、おもむろに起きあがる。


「節子ちゃん」


「みゆきちゃん」


 節子ちゃんが喋り出す。


 阻止しようとしたがもう遅いかもしれない。


 これからいったい何が起こるのか?私にも分からない。


 それに嫌な予感しかしない。


「節子ちゃん覚えているみゆきと誰も邪魔のないユートピアに行こうって言う約束」


「みゆきちゃん覚えているよ。ここがその私たちのユートピア」


 すると二人は私を見つめて、二人に見つめられると体が重く感じてつぶれそうだ。


「あいつを殺そうよ節子ちゃん」


 私に指さして言うみゆきちゃん。


「そうだねみゆきちゃん」


 二人は本気で私のことを殺すつもりだ。


 これはメビウスの技でグラビティホールドであり、相手を重みを加えてつぶしてしまう技だ。


 だけれども私はそんなのではやられたりはしない。


 伊達に一年近く流霧さんの所で修行していたんじゃない。


「節子ちゃんあいつはそう簡単にやられそうではないようだよ」


「そうみたいだねみゆきちゃん」


 二人は妙に息が合っている、さらに二人を操り人形のように操るメビウスの面影が見える。


「メビウス、お前はどこまで汚いんだ」


「何を言ってるのメグさん。メビウスから節子ちゃんを救えなかったのはあなたのふがいなさからでしょ」


「だからって悪魔にまで魂を売りつける何てどうかしている」


「節子ちゃんを蘇らせる方法なら何だって私はするよ」


 もはやみゆきちゃんはメビウスに完全に操られている。


「節子ちゃん。約束のユートピアに行こうよ。二人でそう約束したよね」


「もちろんだよ。みゆきちゃんは私の大切な友達」


「その前にこの嘘つきを始末してしまおうよ」


「嘘つき?」


「そう嘘つき。メグさんは節子ちゃんを助けるって約束してくれたのにその約束を破ったの」


「そのメグさんと言う人は私を助けようとしてくれたの?」


「だけど、約束を破った。節子ちゃんはメビウスに殺されてしまった」


 何か二人はもめ事をしている様子に見えてくる。


「メグさんって人は私を助けるために命を張ってくれたのを節子は知っている」


「節子ちゃん。だまされてはいけない」私の方に指を指し、「あいつが私達の元凶のメグだよ」


「違うよ。みゆきちゃん。メグさんは節子ちゃんを助けてくれたんだ。そういう人を粗末にしちゃだめだよ」


 その時二人のオーラがメビウスを実体化させた。


「お前たちの敵はメグだ」


 再びメビウスに洗脳されてしまった二人。


 その時私がとっさにとった行動は、「ごめん二人とも」微量のサイコキネシスを与えて、気絶させようと思ったが、実体化したメビウスがバリアーを張り利かなかった。


「ふん。こざかしい吸血鬼もどきのメグよ」


「お前はあのまま壷の中に封じ込まれてしまえば良かったんだ」


「クッ私は輪廻転生をしたいのだ。あのまま閉じこめられて永久に苦しめようと言うのか?」


 そんな時に豊川先生の声が聞こえてきた。


「メビウスよ。その件については僕が協力させてはくれないだろうか?」


「貴様はメグとやらを吸血鬼に変えた人物だな」


「話を聞く気にはなったか?メビウスよ」


「ならば聞こう。私は輪廻転生をするために死にたいと思っている。それは可能なのか?」


「現段階ではお前と同じ立場の吸血鬼が一人いる。その人に会ってみてはくれないか?」


「可能なのかどうか聞いておるのだ」


「可能ではないな」


「貴様私を甘く見ているな」


「甘くは見ていないし、僕はメビウス、君の力になりたいと思っている」


「力だと」


「ああ、力にはなるそれは約束する。だからその二人を離してくれないか?」


 威圧的な視線がメビウスと豊川先生との間にぶつかり合うようににらみ合う。

 それはお互いの駆け引きをしている感じだ。


「フン」


 と言ってメビウスは節子ちゃんとみゆきちゃんから離れた。


「みゆきちゃん。節子ちゃん」


 そういって私はみゆきちゃんと節子ちゃんの元へ。


 二人とも意識がないどうしてしまったのだろう。


「案ずるな。二人は意識を失っているだけだ」


 メビウスが言う。続けて、メビウスは「さあ、その私と同じような吸血鬼と会わせて貰おうか」


 豊川先生は私の目を見る。


 その時私は理解した。


 指輪の世界にメビウスを連れていけと。


「メビウス」


 指輪をはめてメビウスにはめた右手の手を差し出す。


 メビウスは私の手を取り、流霧さんのいる世界へ。


「この世界は?」


 不思議そうにメビウスは言う。


「この世界はあんたと同じような吸血鬼の流霧さんがいる世界」


「その流霧と言うのはどこに行るのだ?」


 この世界はパラレルワールドとなっている。ここはもう一つの世界のフロリダ。


 ここまでくれば流霧さんを念じれば現れる。


「流霧さん」


「どうしたって言うんだい、メグ」


 背後を見つめると修道士姿の流霧さんが側にいた。


 そこでメビウスが「お前が私と同じ死ぬに死にきれない吸血鬼と言う訳か?」


「そうだが。豊川から聞いている。お前が例のメビウスと言う奴みたいだな」


「我は早く輪廻転生がしたいが為にここまで足を運んだ」


「残念だけど、その輪廻転生研究は輪廻転生出来るところまで、進んでいないのだがな」


「それは豊川と言う奴から聞いておる。貴様と同じ吸血鬼なら輪廻転生するために力になってくれると聞いた」


「ああ、私もメビウス、お前と同じ輪廻転生するためにこのパラレルワールドの世界をさまよっている。

 私の本来の年はもう一万年以上も経っている。

 それだけ生きて私は知りすぎて早く輪廻転生したいと思っている。

 だがその方法は見つからない」


「なら話にならぬじゃないか」


 憤るメビウス。


「そう熱くなるでない。輪廻転生がしたいなら、その代わりの人間にそれを代行させる所まで研究は進んでいる」


「そのやり方を我に教えろ」


「それは出来ない。いやお前には出来ないと言った方が良いだろう」


「どう言う事だ?」


「お前は罪を犯し続けた。さらに邪悪なエナジーをまとっている」


「ならばどうすれば良いというのだ?」


「お前の取って代われる邪悪なエナジーに耐えられる人間はいないだろう。

 その方法とはお前の魂を邪悪な心から浄化させる事が先決だ」


「我が善良な吸血鬼になれば良いのだな?」


「そういうことだ」


「さらに聞くがその代行できる人間とはいったい?」


 流霧さんが私を指さす。


「私」


 私自身を指さして言った。



 するとメビウスは胡乱な瞳で私を見て、「お前にその覚悟があると言うのか?」



 私は狼狽えて「そんな私にはそんな覚悟はないよ」


「それか豊川ね」


「豊川先生が?」


「ええメビウスの心を浄化させ、あなたか豊川に代行してもらえればメビウスは輪廻転生が出来る」


「誰でも良い私が輪廻転生するには善良な心を持てば良いのだな」


「それは気が遠くなる程の年月になるが覚悟はあるか?」


「それ以外方法がないなら仕方がない。私はお前を流霧とやらを信じることにする」


「ならばメビウスよ。私とここで滞在すると良かろう」


「ここで滞在して何をすると言うのだ?」


「実を言うと私も禁忌を犯した吸血鬼。私もお前と同じように輪廻転生の為にここで、心を浄化して、いつしか、豊川に私の身代わりになると約束した。

 それをお前に譲ると言うのだ。

 悪い話ではないだろう」


「お前はどうするというのだ?」


「私か?」


「お前は輪廻転生できないではないか」


「私の心配をしてくれるのか?」


「そういう事じゃない。誰がお前の心配などするか。

 我はお前が裏切るんじゃないかと不安でたまらん」


「私が裏切ったら私の心は浄化したことにはならない。それに人を信じる心がなければ心の浄化には繋がらない」


「分かった。お前の言う事を信じよう」


 どうやら話は付いたそうだ。


「さっきも言ったがお前が犯した罪はすぐには浄化しない」


 するとメビウスは感慨深そうに言う。


「我もかつては神の使いとして、この世に転生した神官の一人だった」


「それで永遠に生きる為に禁忌を犯した」


「あのような過ちさえなければ、我はこのような存在にはならなかった」


 悔やむように言うメビウス。続けて、


「輪廻転生さえ出来れば私は何でもする」


「なら、最初にやる事はみゆきと節子の心の浄化することだね」


「分かった。輪廻転生できるなら我は何でもする」


 早速指輪の世界から、抜け出して、みゆきちゃんと節子ちゃんの所へ。


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