滅ぶ事の出来ない苦しみ
私達の戦いを見てメビウスはその力を宿している。
メビウスが強くなろうと私には関係ない。
私は殺されてしまった節子ちゃんの敵のために一矢報いるだけで良い、この赤い悪魔であるジェミニとやらを倒すだけで良い。
私が憤慨すればするほど私のパワーはみなぎってくる。
「ああああああああっ」
と叫びなからジェミニに立ち向かっていく。私のホーリーブロフェットを自在に操り邪悪な物を消し去っていく白い炎。
「食らえジェミニ」
「望むところ」
私の白い炎であるホーリーブロフェットとジェミニの赤い赤い炎が激しくぶつかり合う。
尽きることなく放出させる白い炎、ジェミニの赤い炎を激しく圧倒する。
もう私には失うものなんてないんだから。
私が放出した真っ白な炎がジェミニを焼き尽くすこと。
ジェミニは跡形も無く滅びたと思ったが、ジェミニは健在だった。
「そんな」
さすがの私も弱音を吐いてしまうほどの衝撃的瞬間だった。
そこでメビウスが「ホーリープロフェットの使い手のみゆきよ。ここで朽ち果てるが良い」
メビウスが攻撃を仕掛けて来た。
漆黒の炎がみゆきを襲う。
「もはやここまで」
みゆきは目を閉じて諦めた瞬間だった。
どう言うことなのかメビウスに放つ漆黒の炎をみゆきが受けるはずなのにジェミニがそれを阻止していた。
「どういう事だジェミニよ」
メビウスが言う。
何が起こっているのか今一分からないみゆき。
「あたいはアラタトの繁栄の為に生まれし者」
そこでみゆきは悟ったみゆきが放つホーリープロフェットは邪悪の根元を焼き尽くすもの。
つまりみゆきが放ったホーリープロフェットはジェミニの邪悪の心を改心させた。
それに気がついたみゆきは緑色の体をしたジェイランと青い体のラグにホーリープロフェットの炎を浴びせる。
真っ白な炎に包まれたジェイランとラグも同じように改心した。
「どうやら我々はあやつ(メビウス)に操られていたみたいだ」
ラグが言う。
三鬼神はメビウスを見る。
「こしゃくな」
形勢が変わって余裕の無くなったメビウスはそう吐き捨てる。
節子ちゃん。どうやら仇を打つことが出来るかもしれない。
みんながメビウスに目を向ける。
「観念しろメビウス」
みゆきはそう言ってホーリープロフェットの邪悪な存在をたちきろうとする真っ白な炎を怒りと共に放出させる。
節子ちゃん。
「ああああああっ!」
真っ白な炎を放出させてメビウスに立ち向かう。
「ふん。こざかしい」
漆黒の炎を放出させてホーリープロフェットの真っ白な炎と激突する。
「みんな援護して」
アスターの二人は歌い、藤沢三姉妹は手をつないで祈り豊川先生はじっと見つめて構えていて悟子君も同じようにしている。
さらに三鬼神も私達の見方についている。
「三鬼神には善良な心があったとは。我はどうやら三鬼神に邪悪な心を植え付けただけだったとは」
「何をごちゃごちゃと言っている。お前に従うものはもはやいない。覚悟しろ」
すると何が可笑しいのか不適な笑みを向けて私を見つめる。
「ホーリープロフェットの使いよ。我が憎いか?」
「そんなの・・・」
そこで豊川先生は「ダメだみゆきちゃん奴の口車に載ってはいけない」
「口車?」
と言った時には全身が燃えるように熱くなってきた。
「何?私に何が起こっているの?」
そこでメビウスが「ホーリープロフェットの使いよ。気かつかぬのか?自身から放出する憎しみがお前を焼き付くしているのを」
私から放出する憎しみに私自身からのホーリープロフェットに焼き付くされているの?
「節子を殺しておいて正解だな」
体が燃えるように熱いよ。メビウスに殺された節子ちゃんの憎しみが私自身を消滅させてしまうなんて。
「あの世で節子と思い出話でもするんだな。さぞかし昔話に花が咲くだろう」
本当にやられてしまった。
自分が放出した力に殺されてしまうなんて。
せっかく形勢がこちらに向かって来たのに。
でも考えて見れば、とりあえず一矢報いるだけの事はした。
自分が放出した憎しみに邪悪な根源の立つ私が放出するホーリープロフェットに自爆してしまうなんて。
本当にお笑いだよね。
力を無くした私は真っ逆さまに地面にほおり落ちる。
そんな時、私はジェミニに受け止められていた。
「まさかあなたに助けられるなんてね」
今頃、みゆきちゃん達はメビウス達と戦っている。
あれから半年が経過して、ここでの半年はみゆきちゃん達が戦っている本来の世界では半日が経過した事になる。
私は豊川先生から授かった能力をこの半年で使いこなせるように出来るようになった。
「大分使いこなせるようになったね」
「はいお陰様で」
すこぶるパワーがみなぎってくるこれならメビウス打倒にも出来ない事もないのではないかと思っているが流霧さんが言うには、メビウスも私と同じ吸血鬼であり私以上の力を得ていると言っている。
そして流霧さんは「そろそろ私の力も得ても良いかもしれないね」
緊張が走る。
「流霧さんの力?」
すると流霧さんは爪を剥ぎ取り私にその血を吸わせるためか?出血した。
「さあ、メグ今こそ私の力を」
私は息をのみ出血した流霧さんの血をおもむろに口にした。
・・・・・・
苦しむ覚悟はしていたけれど、何もおきはしなかった。
「流霧さん?」
すると私の頭の中にいかんとしがたい物が浮かんできた。
これは流霧さんが今までおよそ千年生きた中で苦しんできた記憶、流霧さんは物凄い孤独を味わってきた。
流霧さんが味わってきた孤独の辛さが私の脳裏に焼き付き、私は苦しむ他なかった。
そして流霧さんも吸血鬼で不老長寿であり死ぬことが出来ずに今だに死ぬことを懇願している。
「私も死ぬことが出来ずに魂が朽ち果てるまで・・・」
「それは大丈夫よ。それは神様からの私への罰なのだから。その罰まであなたが背負うことはないはず」
それを聞いて安心したのはつかの間、その流霧さんが犯した罰が私の脳裏に焼き付いてくる。
流霧さんが死ぬにも死にきれない罰の記憶が私に精神的なダメージとして現れる。
その精神的な苦しさに苛むよりも私は流霧さんの抱えている苦しさの方が勝っていて辛かった。
悲しくて涙がこぼれ落ちる。
「流霧さん。その罰を代われる事が出来るんでしょ。だったら私が代わってあげる」
流霧さんの前で両手を広げて、さあ、と言った感じです私は構える。
流霧さんは一瞬躊躇う様子を見せて、「あなたみたいなガキに同情されるほど落ちぶれてはいないよ」
流霧さんの血を吸いその能力を得て、それと同時に流霧さんの事を知った。
流霧さんの過去を知り、私は精神的に苦しみはしたが、こんなことを流霧さんに言ったら怒られるかも知れないが本当に可愛そうな人だとわかった。
「思ったよりも苦しみはしなかったね」
「・・・」
私は苦しんだがその苦しみよりも流霧さんが抱えている苦しみに辛く感じた方が強かったかも知れないのは黙っておく。
流霧さんも吸血鬼だ。
「それと一ヶ月は精神的な苦しみを味わうがそれまでは耐えることね」
正直に精神的な辛さはあるが我慢出来ないほどではない。
私も昔、甘えることすら出来なかった。
不幸自慢をしてはいないが私も苦しみはある。
いや誰にだって苦しみや心に傷があるのは当たり前だ。
でも人それぞれだがその事を自慢するように言う人間がいる。
そう言った人間はたいてい大した苦しみなど持っていないのが現状だ。
本当に苦しい人の苦しみは藁をもつかみたくなるほどの余裕が無くなるほどの切羽詰まった状態だ。
私の母親は酷いもので合った。
私の母親は歳をとっても若々しくチャーミングな感じだった。
男をとっかえひっかえ連れて、母親は男にたぶらかされて私を多額の保険金にかけたことがあった。
その時私は思った。
お母さんの為に死ねば良いのだと。
そうしてその眠りに付けば私は死ぬはずだった。
でもその時、私は思ったんだ。死にたくないと。
生きて生きて生き抜いて生きたい。と。
そして私は逃げた。逃げて逃げて逃げ切った。
母親のいない世界へと逃げたいと願った。
靴も履かずに裸足だった。
私は警察に保護され、施設に送られるはずだったが、親権握っている母親のもとへと返され、母親と二人きりになった私は『何で逃げてきたんだ』と罵りながら私は半殺しにあった。
傷だらけになり、高校も行かせてもらえず、働く事で命だけは助けてもらっていた。
それでエイちゃんと出会ったのだ。
それから本当の優しさを知り今に至る。
たぶん母親は私が死んだことにして、保険金をたっぷりと踏んだ喰ったのだろう。
私も死ぬほどの過去を持っているが流霧さんの千年分の苦しみには及ばない。
私は死にたいほどの憂鬱な気持ちでやたら気が重い。
豊川先生の力をメモリーブラッドで得た私は体が鉛のように重くなりそれを乗り越えたと思ったら今度は流霧さんの過去を脳裏に焼き付け力は増すのだか気が重く感じている。
気を抜いたら精神が破壊されてしまうかもしれない。
いつか聞いたことがある。
必要な物を手にするにはお金が必要だと。
それは当たり前の事だが何かを得るためにはただではない。
それ相応の代償が必要となってくる。
豊川先生の時は体が鉛のように動かなくなり私は苦しんだ。
それが豊川先生の力を得るための代償た。
そして流霧さんの力を得るのにもそれだけの代償が必要なのだ。
それを教えてくれてのは唾を突きつけたくなるほどの相手であり、私の母親だ。あんな母親でもそう言った所はちゃんとしていた。
それよりも本当に精神を集中させないと私の魂は壊れてしまう。
精神を安定させなければ。
そんなことを一ヶ月耐えられるようになり、流霧さんがそれでも安定を保てるかと攻撃を仕掛けてきた。
「なかなかやるわねえ、私はあなたを本気で殺すつもりで私の能力を授けたのに」
「私はそれほどまでにやわじゃないよ。それに流霧さんは私を殺そうなんて思えない」
「どうしてそう思えるのかしら?」
「流霧さんに殺気は感じられないからだよ」
ニヤリと笑い、その時私は調子に乗って流霧さんに言った事に後悔してしまう。
「そう。じゃあ本気で殺すつもりで私はあなたに私の能力を授けるわ」
流霧さんから殺気を感じられた。
でも望むところだ。
私は決して負けないし負ける訳には行かないんだ。
ものすごい猛威で流霧さんは私に攻撃を仕掛ける。
精神をたもちながら攻撃をかわすのは容易な事じゃない。
みゆきが放つホーリープロフェットでやきつくされそうなみゆきにジェミニが、それを解放しようとジェミニ自身がみゆきをかばってくれた。
「みゆきよ憎しみは憎しみしか生まない」
ジェミニがみゆきに優しく叱咤する。
メビウスは自分の物としたアラタトに戻り、危険な兵器を使うつもりだ。
アラタトへ向かって行くメビウス。
そこでジェミニが「まずいわねメビウスはアラタトの兵器を使うつもりだわ」
アラタトの兵器は世界を千回分破壊出来ると聞いた。
そんなものを使うメビウスは何を考えているのだ。
「我は滅ぶのだ?」
メビウスがそう言う。
「滅ぶって」
そこで豊川先生が語る。
「メビウスは自身を滅ぼす為にあの兵器を使って、我々人類を巻き込み滅びようとしようとしているのかもしれない」
「どうしてそれを?」
「メビウスは吸血鬼だ。永遠の力を得て生きる事に苦しんでいるのだろう」
「なら私達を巻き込む必要があるの?」
「それは分からない。何故我々を巻き込むのか?」
「とにかくやめさせないと」
メビウスの元へ飛んでいこうとしたが私自身のホーリープロフェットで憎しみを放出させて自滅して体が動かない。
メビウスはアラタトの本拠地に向かっている。
するとアラタトの本拠地が爆発した。
唖然とする私達。
「いったい何が起こったと言うの?」
でも私達には好都合だが、その時私の頭にリリィの姿が思い浮かんだ。
リリィがメビウスの野望を阻止するために自身が犠牲になった。
それを悟った藤沢三姉妹は涙を流して、まともにしゃべることが出来ないので大声でうめき声を発していた。
「おのれ~」
メビウスは怒りを発している。
その怒りは私達も同じなのだ。
「メビウス、死に急ぐなら私達を巻き込まないでよ」
「お前達には分からぬ。転生できないこの姿のまま永遠に死ぬことも出来ない苦しみを」
「それって・・・」




