危険な旅になってしまった事
「みんな。もう大丈夫だよ」
四人に体を揺さぶって、藤沢三姉妹はよほど怖かったのか?私に飛びつくように抱きついてきた。
そんな三人に罪悪感を私は感じてしまう。
本当は楽しいはずの旅行なのに、何か三人もそれに参加したみんなを巻き込んだような感じで、しかもこんなに怖がって。
「もう大丈夫だよ」
とりあえず連中が持っていたナイフを三人に見せないように引っ込めた。あまり怖がらせたくないからだ。
三人の涙が落ち着いた頃、私は三人に誠意を持って謝っておいた。
「ごめんね。三人共、本当は楽しいはずの旅なのに、こんなに怖がらせてしまって」
すると三人は首を左右に振ってそれを否定した。
未来さんがメモ帳に私にメッセージを書く。
『ちょっと怖かったけれども、とても楽しいよ』
と書いてあったが、正直彼女たちは優しいから私に気を使っているのかもしれない。
リリィの方に目を向けると、私はちょっとリリィの方を威圧的な視線を向けてしまった。三人を怖がらせてしまったのはリリィのせいでもあるのだと。
そんなリリィは私とはまともに目を合わせられずに、自分が悪いと感じている。
すると未来さんが私が持っているサングラスを手に取り、『何これ』と言った感じで、つけて辺りを見ると、リリィの方に目を向けて、リリィも未来さんに気がついた感じだ。
「誰?」
リリィは未来さんを見て不思議そうな顔をして見ている。
未来さんも表情を綻ばせて、私の心を通じて疎通が出来なかったリリィを見て感激している。
このサングラスでリリィの事が見えるのか?
すると舞さんか京美さんか分からないが、私が持っているサングラスをとって、かけて辺りを見渡して、リリィの方を見る。
すると舞さんか京美さんかは知らないが、リリィを見て感激している。
未来さんが二つ目のサングラスをかけたのは舞さんだ。
そんな舞さんと嬉しそうに手話で語り合い、そんな二人を見て京美さんは私もと言わんばかりに、二人のどちらかのサングラスを貸してと言わんばかりに迫っている。
どうやらこのサングラスはリリィを見るための物みたいだ。
三人は二つのサングラスを穏やかな喧嘩を交えながら、リリィとの会話を楽しんでいた。
何かそんな三人とリリィとのやりとりを見ていると、三人に恐怖心を与えてしまった罪悪感が心から感じなくなり、何かほっとしてしまう。
でもリリィを狙ってきたあの連中はリリィに何の目的で近づいてきたのか?
ポケットに隠したナイフは何の変哲もないナイフだが、私のサイコキネシスでくぐつのような木の人形を倒して、何か嫌な予感がして、気持ち悪かった。
そろそろ夜明けだ。
四人はそんな夜明けにも気づくことなくサングラスをかけてリリィと嬉しそうに語り合っていた。
この不可解な事を三人はどう受け止めているのだろう?
とりあえず、この事を豊川先生に報告しておいた方がいいだろう。
リリィの事は私やみゆきちゃん、アスターに豊川先生の問題だ。
だから危険な事になる前に、この旅行を中止させて、スミレちゃんと悟子君と藤沢三姉妹を日本に帰した方が良いかもしれない。
三人はリリィと会話を楽しんでいる。
その間に私は四人に「ちょっと部屋を出るから」と言って部屋を出て豊川先生の部屋へと向かった。
ドアをノックして、「はーい」と豊川先生の声が響き改めて聞くと不安な気持ちが少しだけ払拭された感じだった。
「失礼します」
「はい」
と豊川先生は腕立てをしていた。
「おはようございます豊川先生。折り入ってお話があります」
「うん。おはよう」
すると豊川先生は立ち上がり、連中が持っていたサングラスとナイフとそれに連中が残していったくぐつのような木の人形を見せた。
「それって」
「朝の準備体操が終わったら、僕もメグちゃんの所に行くつもりだったよ」
豊川先生も狙われていた?
そこで私はアスターとみゆきちゃんとスミレちゃんが恐ろしく心配になり、走って部屋に向かい、部屋を空けると、四人は何事も無かったように静かな寝息を立てて眠っている。
そんな四人を見て私はほっと胸をなで下ろして、安堵の吐息を漏らした。
「無事か」
人知れずにそう呟いて、寝相の悪いアスターの二人を見ると、何か無性にムカついてきた。
「本当にだらしない。パンツ丸見えじゃん」
とにかく風邪をひくといけないので、ちゃんと布団を掛けてあげた。
そこでマジックペンがおいてあったのでアスターの二人の顔にいたずら心で落書きをしてしまった。
「って私は何をやっているのだろう?」
まあ良いか。私たちが大変な目に遭っているのに気持ちよさそうに眠っていたんだからな。しかもその寝相の悪さを見て、私はつい魔が差しちゃったんだな。
それよりも、この旅行は中止にした方が良いのかもしれない。
先ほどその事を豊川先生に話したので検討しているだろう。
部屋に戻ると、リリィと藤沢三姉妹は共に戯れている状態だ。
先ほど、あんな怖い事があったのに、そんな事を気にしている様子など感じていない。
とにかくそんな三人にリリィと戯れているところ申し訳ないが、私は藤沢三姉妹に声をかける。
「ごめん。ちょっと三人に折り入ってお話が・・・」
藤沢三姉妹にこの旅行を中止して帰国を勧めたが、三人は断固してそれを拒否した。
あんなに怖い目に遭ったのにとか、もしかしたら命を失うのかもしれないってちょっと脅しを交えて伝えたが、三人はこの旅を続行するつもりみたいだ。
だから私はそんな三人を止める権利などないと思って、次にスミレちゃんに事情を説明して帰国するか否か意見を出して貰おうと思って、再び、アスターやみゆきちゃん、それとスミレちゃんの部屋に言った。
中に入ると四人は起きていて、朝からスミレちゃんの影響で絵を描いていた。
先ほどアスターに落書きした顔はそのままで改めて見て吹き出しそうになったし、二人も、互いに気づく事もなく絵に没頭していた。
「スミレちゃん」
と声をかけたが、スマホのアプリで絵に没頭して気がつかない状況だ。
ここで呼び止めたら、絵に集中しているスミレちゃんの邪魔になってしまうかもしれないが、とにかく大事な話なので、持っているスマホに手をかけて、「スミレちゃん」と言うとようやく私に視線を合わせてくれた。
スミレちゃんにもちゃんと藤沢三姉妹と同じ事を伝えたが、本人は藤沢三姉妹と同様にこの旅行を続行したいと、私の言葉に左右に首を振り、否定した。
「そう」
すると、アスターの盟が「ねえねえ、梓の顔が落書きされているよ」とクスクスと笑いながら私に言い掛け、「お前もだよ」と言ってやると、盟は鏡を見て、大げさな声で「何これ」と叫んでいた。
梓もそんな盟を密かに笑っていて、もしかしたら、以外にもスミレちゃんかみゆきちゃんの仕業だと思っていたが、二人に疑いをかけられるのは私の心が痛むので、私は正直に私がやったと白状した。
もちろんアスターは怒りましたよ。
だから私の顔に落書きをさせて、朝食の時間になるまで、そのままで入る事を強要された。
本当に世の中は因果だ。
悪い報いは悪い報いで返ってくるのが世の常。
これからはいくらアスターにいらだったからと言って、もういたずらをするのはやめようと、心に誓うのだ。
ちなみに同じ部屋にいたスミレちゃんとみゆきちゃんが第一発見者になるはずなのだが、みゆきちゃんはアスターの二人がまた互いに悪ふざけをしたと思っていたらしく、スミレちゃんは面白くも何とも思っておらず、ただ黙って気にもとめなかったみたいだ。
悟子君が参加するかどうかは豊川先生に伝わっているだろう。
悟子君は分からないが、後は豊川先生がこの危険な旅行を続行するかどうかで決まるだろう。
私としては、豊川先生と共に藤沢三姉妹とスミレちゃんと悟子君はおとなしく帰って欲しいと思っている。
極力、リリィの件は私とみゆきちゃんアスターの問題であると思うから、そんな私たちを残して帰国してもらいたい。
下手をしたら死者が出るかもしれないからだ。
そこで朝食前に私達は豊川先生の部屋で私達は話し合った。
「私の意見ですけど、藤沢さん達とスミレちゃんと悟子君は日本に返した方がいいと思うんですけど」
「確かにそうだね」
豊川先生がそう言うと藤沢三姉妹は不服そうに豊川先生に問い詰め、スミレちゃんは上目遣いでふくれて、悟子君は「面白そうだから、俺も残ることにするよ」とお馬鹿な発言している。
私は身のほどを知らないみんなに威圧的な口調で言う。
「あんた達馬鹿じゃないの?」
すると三姉妹、スミレちゃん、悟子君は黙り混む。
続けて私は。
「みんなこれはもう旅行どころじゃ無いんだよ。楽しいはずの旅行なのに、こんな形で台無しにしてしまったのは謝るよ。
ごめんなさい」
と深々と頭を下げた。続けて、
「でもみんな自分の事を大事にして」
そう言って自然と涙がこぼれ落ちる。
すると未来さんがサングラスを着用しながらリリィと肩を並べてにっこりと笑っている。
「未来さんそれと二人ともスミレちゃん悟子君も遊びじゃないんだよ」
そこで悟子君が豊川先生からサングラスを着用して「遊びじゃないことぐらいは分かっているよ。俺たちは昨日今日出会ったばかりだけど。あんた達に豊川先生の力になりたい」
私はみんなの顔を一通り見る。
みんな本気の目だった。
その覚悟は理解したが「ダメ。さっきも言ったけれど、本当に危険なんだから」それで豊川先生の目を見て『一言ガツンと言ってくださいよ』と目で促した。
すると豊川先生は立ち上がり、「確かにこのままメグちゃん達と共にするのは危険だ。でも僕はみんなを信じているから、残るか残らないのは個人の自由にするよ」
「ちょっと豊川先生」
「メグちゃん。今回の事はアスターの二人とみゆきちゃん以外に何か宿命あるかもしれない」
「その宿命っていったい?」
「それは僕にもわからない」
もう一言言ってアスターとみゆきちゃん以外の子を帰国させるべきだと断言しようと思ったがこの旅行の最高責任者豊川先生だ。
上司が決めた事だから、私はその命令に従わなきゃいけない。
とりあえず私達はグループ分けをすることになった。
まず最初に豊川先生と悟子君。
次にアスターの二人とみゆきちゃんがスミレちゃんをフォローさせる。
それで最後に私は藤沢三姉妹とリリィのサポート役に回った。
そう言ったグループに分けたが、アスターの二人には「ちゃんとスミレちゃんのフォローをちゃんとしなさいよ」そう言うと「そっちこそ」「そうだよメグさん」
アスターの二人に不本意ながらに一本とられてしまった。
そうだよ私もしっかりしなきゃいけないよ。
アスターに忠告されてちょっとした腹いせに豊川先生に『しっかりしてね』と言おうと思ったが、豊川先生を見ると『もうわかっている』と言った感じで、私が忠告したら、まさに地雷を自らか踏みにいくのだとおののきやめておいた。
リリィとやり取りできるサングラスは丁度3つあるので各グループに1つずつ各自で持つことになった。
「何度見てもシュールな夢を見ている感じだな」そう言って悟子はサングラスをかけてリリィに「よろしくな」握手をしたいと手を出した。
するとリリィは好奇心溢れる嬉しそうな顔で悟子君を握手ではなく思い切り抱き締めた。
「やめろ止めてくれ」
そう言えばリリィは怪物並みの力があったんだっけ。
「ギブギブギブ」
そんな悟子君とリリィにスマホで写真を撮った。
写真を確かめて見るとリリィは映ってはおらず、悟子君が空中で苦しそうにしている。
面白いのでみんなにも見せて上げた。
するとみんなは大爆笑。
何だろう危険が差し迫っているのにこうしてみんなで笑っていると、リリィの問題なんか笑いで吹き飛ばせた感じだ。
いつものバイキング形式のご馳走が並べられていた。
もちろんリリィはスタッフにばれないて昨日と同じように入って行き、また昨日のようにリリィはがつがつ行儀悪く食べるんだろうと覚悟はしたが、ちゃんと昨日教えた通りにナイフとスプーンちゃんと使いこなしていた。
でもまだぎこちないがリリィも学習能力に私は感心した。
それはそれで良いのだがアスターにはまったく学習ないみたいで汚ならしい食べ方をしている。
だから私はアスターの二人にサングラスをかけさせてリリィの食べている姿を見せた。
すると二人はボーゼンとして、まだぎこちないがちゃんとマナーを守って食べているリリィの姿を見てちょっとは自分達がはしたないと感じている様子だ。




