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メモリーブラッド0  作者: sibatamei
第3章
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サイコキネシス



 時間は夕刻を過ぎて、私達は部屋に戻った。


 藤沢三姉妹は私の心に通じるリリィと心を寄せていたいからと言って、私と寄り添うことに。


 心を読むエキスパートとも呼べる三人に藤沢三姉妹は私の目を見つめて、その心にあるリリィと共にする気持ちを見て、面白そうに見つめていた。


 私のベットの隣に座って、リリィも私の心を通して藤沢三姉妹の心を見つめているような感じだ。


 私の心を経由して、穏やかに藤沢三姉妹とリリィは心で見つめ会っている。


 私もそんなに藤沢三姉妹とリリィに見つめられて、疲れてきたので「タイム。私疲れてきたからさ。一息入れさせてくれないかな?」


 藤沢三姉妹はごめんなさいと手話を交えて、そう感じた。

 リリィはもっと藤沢三姉妹と距離を縮めたいと思っているようだが、私もそんな風に見つめられて疲れてきているので、ちゃんと私の『疲れた』と言う気持ちを伝えて、私はベットに寝転がった。


 でも疲れるけれども、私の心を経由して見つめ合う。リリィと藤沢三姉妹の気持ちを直に感じていて心が何か満たされるような感じがするが、疲れるんだよねこれが。


 ベットに寝転がっている私の横で私の腕を掴んで寄り添うリリィを見つめて、本当に甘えん坊なんだな、と心がほっこりとする。


 リリィはこの海岸でずっと暮らしてきたのだと言っている。

 イルカと会話して、海岸に潜って魚などを食べて飢えをしのいでいたと言っていた。


 リリィはこの上なく寂しい人間何じゃないかと思ったが、もしかしたらそうじゃないかもしれない。

 人に気づかれる気づく事は出来ないが動物とふれ合うことが出来る事を知り、リリィは独りぼっちじゃないかもしれないと密かに安心していた。


 でもこのリリィの私に対する甘えようは、もしかしたら、動物とは心を通わせる事は出きるが、もしかしたら、動物にも人にも甘える事が出来なかったんじゃないかと思えて、ちょっと不憫に思えてきた。


 明日もクルーザーに乗って自然のイルカとふれ合う予定だ。


 さてと、スミレちゃんやみゆきちゃん、アスターの様子でも見に行こうと思って立ち上がると、どうせリリィも付いてくるのだと思って覚悟をしたがリリィはいつの間にか眠ってしまっていた。

 本当にかわいらしい寝顔だと心がほっこりとして気持ちが良くなってずっとその寝顔を見つめていたいと思ったが、私は引率係の仕事を全うする為にアスター達の様子を見に行かなければいけない。


 藤沢三姉妹に一言言って部屋を出て、早速アスター達の部屋へ行こうと思ったが、せっかくだから藤沢三姉妹も一緒に誘ったら、穏やかに笑って喜んでと言った感じで付いてきた。


 四人で行くと、部屋でアスター達はスミレちゃんの影響で昨日のように絵を描いていた。


「おう。みんな今日も絵を描いているのか?」


 藤沢三姉妹も絵に興味を持ったようで、穏やかに笑って、スミレちゃんの絵を見て、どのようにしたらこんな素敵な絵を描けるの?と顔をしていたが、スミレちゃんは伝わっているかどうか分からないけれども、ちょっとその問いに困っていた様子なので私が間に入る。


「三人とも。絵は上手く描くよりも、描きたい気持ちが大切なんだよ」


 胸に手を当てて藤沢三姉妹の穏やかな笑顔をイメージすると、三人にはちゃんと伝わり、三人も同じように紙をそれぞれ持って、四人が共有して使っている色鉛筆を借りて描いている。


 今日はスマホに描かないで紙に描いている。


 私もみんなに触発されて、描こうと思ったが、リリィの事が心配になり、部屋に戻る。


 部屋に戻るとリリィは気持ちよさそうにベットの上に寝転がっている。

 気が付けば私は色鉛筆セットと、紙を二枚持っていた。

 そう私もリリィに絵を描く楽しさを伝えたいのだ。

 でもリリィは気持ちよさそうに眠っている。

 無理に起こすのは悪いので、リリィが起きた時、独りぼっちで不安にならないように私はリリィの眠っているベットに座って、一人で描いていた。


 イルカを描きたいと思ったが、何かリリィの寝顔を描きたいと思った。

 何となくテーブルを見ると、白いカラーの花が花瓶に挿してあったので、リリィの髪に添えて、描いた。


 上手く描けるかどうか不安だけど、とにかく賢明に描こうと思う。

 こうしてリリィをモデルにして描けば、絵でリリィがどんな姿をしているかみんなに伝えられることが出来る。

 そこで私は思いつく、写真にリリィは映るのか?

 試しにスマホのカメラを起動させて眠っているリリィを撮影したが、予想通り、リリィは映っていない。

 だから私は色鉛筆を片手に髪に白いカラーの花を添えたリリィを描く。


 リリィは私と似ている。姿も似ている。性格も似ているかも。

 私もエイちゃんと会うまでは、リリィのように誰にも甘える事は出来なかった。

 いや、私の場合は甘えたら、母親の容赦ないピンタがとんだ。

 あの痛みを思い出すと、心が凍り付くような気持ちになる。

 当時も感じていたが母親は私の事なんて愛していなかった。

 自分の都合通りに動かないと、その容赦ないピンタは私の頬を直撃した。

 私は甘えないように、その無情な鞭のようなピンタを極力避けるために、私は必死でバイトを頑張るしかなかった。

 本当に辛かった。

 母親は辛いのが人生なんだよと私にそう呪文のように教えた。

 でも母親も母親で私を養うのに大変だったと思う。

 母親は年の割には容姿も愛らしく思わせる顔立ちをしていたので、男から何度も見初められ、連れてきた男はろくでもない男ばかりだった事を私は覚えている。

 連れて来た男に私はレイプをされそうになった事もあった。

 私は男から逃げるように、二日間家出をして、警察に補導され、帰って来た時には、母親の無情なピンタだった。

 理由を説明したって母親には話など通じない。

 私は何度も思った。

 大人になったら母親のいない世界に行こうって。


 一つ息を付いて、リリィの寝顔が大分かけた。

 ちょっと休憩と思って、牛乳をいっぱい貰おうと、冷蔵庫を開けて、コップに注いで飲んだ。


 昔の自分と今のリリィを重ねると、リリィがうらやましく思ったりするが、もしかしたら、これは不謹慎な事かもしれないので、私の心の奥底にしまっておこうと思う。

 リリィもリリィで辛い目に遭ってきたのだ。

 私の方が苦しいとかそういうのははっきり言って好きではない。

 良く豊川先生の引きこもりの生徒に不幸自慢をしてくる子もいるが、そんな事を自慢すること自体悲しい事だし、そんな話をしていると、自分も不幸になり、周りの人も不幸になってしまいかねない。

 でも私の舎弟のアスターの二人と、私の妹のような存在のみゆきちゃんは決して、そんな事はしない。

 もしするようだったら、私は本気で叱るけれどもね。


 何か物思いに耽ると嫌な事を考えががちだ。

 とにかく牛乳を飲み干して、引き続きリリィの寝顔を描こうと思ったが、丁度その時に、扉が開いて、振り向いてみてみると、豊川先生が笑顔で、「そろそろ夕食の時間だよ」と言われて、絵を描くことに夢中になり、「あっごめんなさい。ちょっと夢中になりすぎて、時間を忘れてしまいました」と謝った。


「何?絵を描いていたの?」


「はい」


 リリィの書きかけの絵だが、豊川先生にリリィの姿を知って貰いたいと思って見せた。


「ふーん。もしかしてリリィって子?」


「よくわかりましたね」


「うん。何となく。メグちゃんにそっくりだね」


「分かります」


「メグちゃん。この絵上手に描けているじゃない」


「ありがとうございます」


「僕も何だろうな。リリィって子に何かあると感じている」


「どんな感じですか?」


「分からないけれども、何かあるよ」


 リリィを起こしてみんなで食堂に向かった時に私が描きかけのリリィを見せた。


 思った通りみんな私にそっくりだと言っていた。

 藤沢三姉妹は私が描いたリリィの絵を見て、私の心を通してリリィを見つめている。

 私が描いた絵は私の心を通してリリィと藤沢三姉妹を意志疎通を強く繋げるものへとなった。


 夕食は昨日と同じようにバイキング形式だった。

 今日のメニューは昨日とほとんど違うけれども、海の幸をフンダンに使った食材がメインだった。


 リリィも今朝教えられた通り、ちゃんとお皿に載せて不器用なフォークの持ち方だがちゃんと普通に食べられるようになっている。

 昨日とは偉い違いだな。


 藤沢三姉妹は食べるよりもリリィに興味があるみたいで、私が描いたリリィの絵を見つめているばかりだった。


 食事が終わった後、藤沢三姉妹は不安な表情をしていた事に部屋に戻り、「どうしたの?」と聞いてみる。


 すると未来さんは紙とペンを持って、『リリィに不安が見える』と書いて私に見せてくれた。


「不安って?」


 お腹一杯に食べたリリィはベットに寝そべって、気持ちよさそうに寝そべっていて、そのような様子は感じられなかった。


 気のせいじゃない?と言いたいところだが、藤沢三姉妹はいつも真剣だ。


 だから私は「分かった。とりあえず気にとめておくよ」


『よろしくお願いします』と紙に書いて見せてくれた。


 藤沢三姉妹はちょっと不安に見えたリリィが心配な面もちだが、リリィの方を見ると、そんな様子は感じられなかった。


 やっぱり気のせいなのかな?


 でも藤沢三姉妹に見えて私に見えない物があるかもしれない。


 藤沢三姉妹の洞察力は並外れている。




 ******   ******



 激しくガラスが割れる音がして、私は目が覚めた。


「何?」


 藤沢三姉妹も目を丸くして驚いて起きた。


 割れたガラスの方を見ると、テラスから全身黒いタイツのような物に身にまとい、サングラスをかけた男二人組だった。


「何だお前等」


「そいつを渡せ」


「そいつ?」


 サングラスの向こうの視線を追ってみるとリリィの方に目を向いているのが分かった。

 こいつらリリィが見えるのか?

 とにかく緊急事態だ。

 こいつ等がどうしてリリィの姿を見る事が出来るのかは、後にして、リリィを守らなきゃいけない。


「リリィは渡さない」


 私は連中に構える。


「なら死んで貰う」


 ナイフを取り出して近づいてくる二人組に動作は遅く、どうやらこいつ等は普通の人間だと思って恐れるにたらない人間だと思い、ナイフを交わして連中の一人に攻撃を加えたが、加えた瞬間に霧散するように消えてしまった。


「何?」


 するともう一人の連中の一人がナイフを片手に私に猪突猛進に突っ込んで来たが、それを交わして攻撃を仕掛けたが同じように霧散して消えていった。


「何が起こったの?」


 連中の姿が見えないが、気配は感じる。

 まだ油断してはいけない。


 連中は人間ではないし、何か特殊な能力を持っている。


 部屋には連中は消えていったが、殺意は感じる。

 私と藤沢三姉妹、それとリリィの身柄を狙っている。


 とにかくうろたえているリリィと藤沢三姉妹を私の所に引き寄せて気を引き締めて奴らから守ろうと、目を閉じて精神を集中させる。


 奴らは何者なのか?私の攻撃は通用しない。

 冷静になり連中の弱点を探る。

 もしかしたら力では適わないのかもしれない。

 でも何か方法はあるはず。


 そこで目を閉じた先に以前戦った詩音の顔が映った。


 その瞬間ナイフが私の所に飛んでくるのが分かった。


 私はその向かってくるナイフに背を向けて、四人に声ではなく心で訴える。


『みんな伏せて』


 と。

 言葉よりも心で伝えた方が早いことを私は知っている。

 藤沢三姉妹とリリィはすぐに私の心の声を聞いて言うとおりにしてくれた。


 私は心に念じる。


『詩音力を貸して』


 それは微力だが詩音が私達に牙を向いた時の力、サイコキネシス。


 向かってきたナイフは床に落ち、私が攻撃して霧散して消えた二人組は、断末魔と共に身につけていたサングラスと木の人形のような物が二つ床に落としていなくなったみたいだ。


 殺意が消えた。


 どうやら襲ってきた二人の魔の手を阻止できたようだ。


 微力のサイコキネシスだから、耳をふさいで入れば、人体に影響はほとんどない。


 霧散した連中はサイコキネシスのような特殊な能力に弱かったんだな。


「ありがとう詩音」


 そして連中が残していったナイフとサングラスと人形を拾って、ナイフはナイフだが、このサングラスと木の人形のような物はちょっと分かりかねない代物だ。


 藤沢三姉妹とリリィは、怯えながら身を縮み込ませて耳をふさいでいる。

 まるでその姿はトラににらまれて怯えているウサギのような感じだ。

 とにかくそんな不憫な姿と気持ちにさせて申し訳ないと思い、「四人とももう大丈夫だよ」と声に出して言ったが、よほど怖かったのだろう。耳に届いておらず、怯えたまま、怖がるウサギのように耳を塞ぎ、身を縮めている。


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