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メモリーブラッド0  作者: sibatamei
第3章
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イルカとリリィ



 海に飛び込み、泳いで私の仲間が乗っているクルーザーの所まで向かう。

 きっとリリィも人並み外れた力の持ち主だがら、私の後についてきて泳いでこれるだろうと思う。


 本当にリリィは人並みはずれていて、私よりも泳ぐのが早いので、とりあえず、リリィは早いから私の後についてこいと言ってついてこさせた。


 多分私の力ではリリィにはかなわないだろう。

 でもリリィは私たちの敵ではなく、むしろ味方なのかもしれない。

 そんなリリィと一緒に行動する事はとても頼もしく思える。


 かなり沖まで行き、私の仲間が乗るクルーザーが見えてきた。


 リリィはちゃんとついてきているか確認したところ、ちゃんと私の後ろに並ぶようについてきている。


 クルーザーを見てみると、みんなスキューバダイビングをする格好をして、飛び込んでイルカ達と戯れている所だ。


 私はちょっとみんなを脅かしてやろうと思って、イルカのように水中に泳ぎ、リリィも私に続くように伝える。

 私は吸血鬼の尋常じゃない力を駆使して、最大二十分は水中に潜る事が出来ると以前お風呂の中で潜って実験済みだ。

 でも泳ぎながら水中に潜るのとではやはり体力も消耗するので、ただじっとして潜るよりも、違うかもしれない。


 とにかく私もイルカになりすまして、みんなの所に行こうと思う。


 水深五メートルの所で、みんなが乗っているクルーザーが浮いているのが見えてくる。


 そこでリリィが心配になり、リリィの方を確認しようと後ろを振り返ると、リリィはいつの間にかイルカ達に囲まれている。


 リリィを取り巻くイルカをかき分けてリリィの手を引いて、みんなが乗るクルーザーの所へと勢い良く、顔を出す。


「ヘーイ、みんな元気」


「メグさん?」


 ちょっと驚いているみゆきちゃん。


「メグさん泳いでここまで来たの?」「何をしに来たの?」


「ちょっとみんなを脅かしてやろうと思って」


 そういってみんなの顔を見るとちょっと気まずい空気に包まれてしまった。


「私お呼びで無かったかな?」


 すると豊川先生が「メグちゃん。潜るときはちゃんと装備をして、それで海の中で脅かすなんて、ちょっと僕は感心しないな」と怒られてしまった。


 豊川先生に叱られてちょっと気持ちがブルーだった。


 とりあえず、私はクルーザーに上がり、リリィも引き上げてクルーザーに乗せた。


「メグ、何か心が暗い」


 なるほど、リリィは私の心が見えるんだったな。


「そうだよ。ちょっと仲間に叱られてな」


 するとリリィは笑い出す。


「何がおかしいの」


 怒り出す私にリリィは、


「リリィもラン姉さんに叱られて、心、暗くなった。でも、その後、笑えた」


 何かリリィの話を聞いていると心がほっこりとして楽しくなってくる。


「とにかくリリィ、ここにはそんな私の仲間がいる」


「メグの心、明るくなった。それにメグの心一つじゃない」


「一つじゃない?」


「それを数える事出来ない。でもたくさんあって、明るいメグ」


 どうやらリリィは周りを気づくこと気づかれる事はないが私の心を通して、リリィを仲間達に伝えられるんじゃないかと言う作戦は大筋成功したのかもしれない。


 すると藤沢三姉妹が私と気づくことが出来ないリリィと一緒に座っている所にやってきた。


「どうした三人とも」


 すると三人とも私を見て不思議そうな顔をしている。

 そこで豊川先生が来て、「どれ、三人の言っている事を手話を通して翻訳してあげようか?」


「お願いします」


 未来さんが豊川先生に私に伝えたいことを手話で伝える。

 手話をし終わった未来さんの翻訳を豊川先生が言う。


「何かね、メグちゃんに今まで感じたことのない気持ちが見えるって言っている」


 もしかしたら、リリィが私の所に寄り添って、リリィと心の中で共有している姿が、藤沢三姉妹はかいま見たのかもしれない。


「藤沢さん達、さっきも言ったかもしれないけれども、ここにいるんだよね。リリィが」


 リリィの肩に手を乗せて改めて紹介するように伝える。


 すると藤沢さん達はにっこりと笑って、未来さんが手話を豊川先生に伝える。


「ちょっと信じられないけれど、メグさんは嘘をつくような人じゃないと私には分かりますって」


 豊川先生がそういって私が理解すると、未来さんが私の所に身を寄せて、私の胸に手を当てて目を閉じる。


 それに続いて、藤沢さん二人、舞さんも京美さんも私の胸に手を当てる。


 三人の表情を見て、気づくことの出来ないリリィを私の心を通して感じようとしている。


 するとリリィが私の肩に寄り添ってきた。


「リリィ、メグの心に、何かリリィを呼びかける。何か」


 リリィの台詞を聞いて、私はとっさにうれしくなり「通じている」と大声で言った。


 すると三人もリリィも驚いて雰囲気的に、私の気持ちを通じて語り合っていたのに、それが途絶えてしまって、何か四人に申し訳なく思ってしまう。


 藤沢三姉妹はそんな私に穏やかに笑って、未来さんが豊川先生を通じて手話をする。


「リリィさんによろしく。だって」


「こちらこそよろしくだって」



 リリィはそうは言っていないが、きっとリリィならそういうと思ってそう言っておいた。


 そして藤沢三姉妹はイルカと戯れるために、船から飛び降りて行った。


 船に私と豊川先生が取り残されて「豊川先生はリリィの事を信じてくれますよね」


「僕は最初から信じているよ。藤沢さん達みたいに心の中を読む事は出来ないけれども」


 それを聞いて私は安心する。


「メグちゃんもせっかく来たんだから、着替えて、イルカと会話してみると良いよ」


「リリィの分も用意出来ますか」


「うん。余分に二つ持って来たから大丈夫だよ」


 そう聞いてリリィを連れてスキューバダイビングセットがある船内へ。


 中に女性のインストラクターがいて装着の仕方を知らないので、早速装着の仕方を教えてもらい。

 このインストラクターにリリィの事をなんて言おうと思った時、リリィは私に首を振って「私はそれなしで良い」と言っていた。


 リリィに装着させるのは私しかいないし、私だってインストラクターがいないとリリィに装着する事は出来ない。


 まあリリィは大丈夫だろう。


 ダイビングスーツに着替えた私は、早速飛び込もうと外に出て、船から飛び降りようとしたところ。


「リリィ、一緒に行こう」


 リリィの手を引いて、私はリリィと共に海に飛び込んだ。


 みんなイルカ達とワンツーマンで何かを語りかけているかのように、向き合っている。


 私とリリィが飛び込むと、イルカ達はこぞってリリィの二匹のイルカが集まった。


 二匹のイルカとリリィの間に何か、別の世界が見えるような気がした。

 そこで二匹のうちのイルカの一匹が私の所に寄ってきて、イルカはこんなに人なつっこい生き物なのかと言うくらいになついてきて、こうしてイルカとワンツーマンで語り合うように向き合うと、気持ちが穏やかな感じがしてきて、私は自然と涙があふれ出てきた。


 まるでイルカは声ではなく私に心で会話をしているみたいだ。


 嬉しそうに鳴くイルカ。


 私も嬉しいよ。


 何か夢の中にいるようで心地の良い感じがする。


 イルカとこうして戯れていると時間など忘れて、お昼を迎えた。


 昼食を取るために皆一度クルーザーの中に戻り、食事をとることにする。


 お昼はインストラクターが持ってきたお弁当だった。


 多分人数分はあるんだろうけれども、リリィの分は?と思った直後に、豊川先生が私にお弁当を二つ渡して、リリィによろしくと言わんばかりにウインクした。


「ありがとうございます」


 二つのお弁当を受け取って、早速リリィに渡そうとすると、リリィはまだ船内におらず、リリィはどこ行ったと聞いても分かる者はいないから、私が探すしかなかった。


 クルーザーから海を見渡すと、リリィは数匹のイルカと戯れていた。


「リリィ」


 大声で声をかけて、リリィは振り向き、リリィに手招きをして呼ぶ。

 リリィは私たちがいるクルーザーの所に来て上がってきてくれた。


「リリィ、ずぶ濡れじゃないか。そんなんじゃ風邪ひくよ」


「その心配はない。リリィ、体調、悪くしたりしない」


「そうか。でも・・・。私の水着があるからせめてそれに着て、早速その濡れた服を乾かそう」


 リリィに水着を渡す。

 リリィは受け取り、不思議そうにその私の白いワンピの水着を見つめている。


「これ、どう着るんだ」


「そうか、リリィ水着を着たことがないんだな」


 船内にリリィを連れて、とりあえず、ここで着替えて貰うことにする。

 インストラクターの人が男性でここで着替えると言ったらすぐに出て行き、リリィと二人きりに。


「ほら、リリィ服縫いで」


 するとすぐに身につけている物を恥じらいもなく脱ぎ捨てて、真っ裸な状態になる。


「脱いだ」


「じゃあ、その水着に着替えて」


「どうやって着るんだ?」


 その時、船内の扉が開いて、悟子君が入ってきて、「ちょっと今お取り込み中何だけれども」そういって裸のリリィを覆い隠すように悟子君の視界に入らないようにした。


「ごめんなさい。俺もちょっと忘れ物が」


「ノックぐらいしなさい」


「ってメグさん何をやっているの?」


「何でも無いわよ。とにかく用が済んだら出て行く」


「分かりましたよ」


 そういって船内から出ていく。


 ってリリィは裸だけれども、悟子君には見えないだろうな。

 でもリリィって本当に綺麗な体をしている。

 その姿を男の子にさらしたら、ムラムラしてしまうのは必須だろう。


 とりあえず、リリィには私の水着に着替えて貰って、船内から出た。



「似合っているじゃんリリィ」


 本当に私のサイズぴったりだ。

 さすがは私とうり二つの存在の事だけはあるか。


「リリィ、これ、何か落ち着かない」


「良いから良いから」


 ちなみにリリィが着ていた服は女性のインストラクターの人に乾かして貰うように頼んでおいた。


「リリィお昼にしよう」


 お昼は船内でみんな固まって食べている。


 豊川先生に渡されたお弁当の一つをリリィに差し出して、「じゃあリリィ食べようか」


 リリィと私はお弁当の蓋をあけて、中身はサンドイッチだった。


「メグ、フォークで食べるんじゃ・・・」


「これはフォークはいらない。こうして食べるんだよ」


 サンドイッチを手にして、食べるところをリリィに見せた。

 リリィも同じように食べて「おいしい」と言ってくれる。


「メグさんリリィってどこにいるの?」「僕たちも会いたいよ」


 アスターの二人が言う。


「いるよここに」


 二人はため息をつく。


「さっきからリリィリリィって何だよ」「そうだそうだ」


 何こいつら怒っているんだ。


 そこでピンと来た。


 アスターの連中は私に焼き餅を焼いていることに。


 どうからかってやろうかと考えるとリリィが「メグ、嫌らしい気持ち」


「へ?」


 リリィの言っていることが意味が分からなかったが、すぐにリリィの言ったことを心の中で吟味してみると、私がアスターの二人をからかおうとした嫌な心を見たのだと気がついた。


 そこで藤沢三姉妹の未来さんが豊川先生に手話で伝えて、豊川先生が「メグちゃんがリリィを怒らせたって言っているけれども」


「そんな事はないよ」


 そして未来さんが豊川先生を通じて手話をする「口では嘘をついていても心を偽る事は出来ないって」と豊川先生はそれを口にしながら笑っていた。


 本当に藤沢三姉妹には適わないな。


 だから私は「ほらアスター、焼き餅を焼かない」とからかうのをやめて、アスターの気持ちをくんでやることにした。


 本当にアスターの二人は子供で思った通り、リリィに気を使いすぎて、焼き餅を焼いていた。

 話を聞いてやって、アスターの二人はすっきりとした感じで、私は私で、ちょっとリリィと未来さんに怒られた感じがして、ちょっとブルーになっていた。


 そうだよな。人をからかったり欺いたりしちゃダメだよな。


 昼食も終わって、引き続き、自然のイルカ達と私達は戯れる事になった。


 午後三時くらいになって、この辺で引き上げる事になり、クルーザーを陸の方へと向けて、私達は戻った。


 本当に自然のイルカと戯れて私は本当に良かったと思っている。

 それにリリィも、私の心を通じて、藤沢三姉妹にその存在を知り、わずかでも会話が出来た。


 それよりもリリィって、いったい何のために私の前に現れて、私しか見えないんだろう。

 それにみゆきちゃんの予言にも、私の予知夢にも何かあると言われている。

 でも今のリリィを見ると、その予知夢で見た事とは違っていて、無邪気で何かあるという気配すら感じられない。

 ただリリィは私になついているだけで、何も見えていなかった。


 だが、この後、私達に思いも寄らぬ出来事に遭遇する事は今の私たちには知る由も無かった。


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