コスモスは自ら命を絶つことはしない
前回のあらすじ。
呪われし紫音の件は一応片づいた。
そして呪われし紫音は一輪のコスモスにその魂を宿し、私の元で心で会話をしていた。
紫音の望みは魂を宿したコスモスが枯れゆくまで、里音とその仲間達を心で感じていたいと言うことで、毎日、心で近況を伝えた。
そして数日の時がたち枯れる寸前に、今回の一件で心に大きなダメージを受けて自閉症となった里音の元へと紫音の魂が宿ったコスモスを里音が入院している病院へと持って行った。
すると・・・。
完全に心を閉ざしてしまった里音に、紫音の魂が宿ったコスモスを渡すと、それに呼応するように、里音はおもむろに顔を上げ、そしてその瞳から大粒の涙が頬を伝った。
その様子を側で伺っていた私には見える。
コスモスに宿りし紫音の姿が肉眼ではなく心の目で見える。
「し・お・ん」
『お姉ちゃん』
朗らかな笑顔で里音を見つめる紫音。
私は席を外した方が良いと思って、病室の廊下で待っていた。
コスモスに宿った紫音ちゃんはもう、あの呪われた魂ではなく、純粋無垢な少女の清らかな心の持ち主だ。
そんな紫音ちゃんと里音が対面して、心を動かして、その心に付いた柵を取り除いて、また元気な姿を取り戻してくれると私は信じている。
思えば紫音ちゃんはとてもかわいそうな子だ。
本当は姉である里音を感じながら幸せに生きたいと思っていたに違いない。
でも運命は残酷だ。
里音は妹である紫音に望みを叶えてあげる為に、ドレスを手に入れ、それが呪われていたなんて・・・。
流霧さんに話を聞いたが、あのドレスには呪われた怨念が宿っていたみたいだ。
誰が悪いわけではなく、こんな言い方はしたくないが、運が悪かったんだ。
この世の中のすべての人が救われる事がないと言う残酷な真実。
紫音ちゃんはもう生きたくても生きられないのが事実。
それを撤回することはけっして出来ない。
病院を後にして、私は街を歩きながら考える。
世の中には生きたくても生きれない人がいる。
でも逆に生きれるのに、その命を絶つ愚かな人もいる。
豊川先生にメールで助けを呼ぶ生徒なんかがそうだ。
死にたい。
消えたい。
と言うのが主な内容だ。
でも考えてみれば私も人のことを言えない。
エイちゃんに出会うまで、そのような人たちと同じ事を言っていたのだから。
だからもし命を絶とうとしている人にあったら、悲しい運命にさらされた紫音ちゃんの事を語ってあげたいと思う。
その事が心に届くかとうかは別として、私は紫音ちゃんの死を無駄にはしたくない。
何となく歩いていると、道路の片隅から、コスモスが咲いているのを見かけた。
こんな潤いもあまり感じられない道路の片隅に賢明に生きようとしている。
まるで僅かな命の灯火を一輪のコスモスに宿した紫音のように感じて涙が止まらなかった。
花は自分から命を絶つことは決してしない。
人間に比べれば、はるかにその命は短いが、それでも太陽と恵みの雨で賢明に生きようとする。
踏まれてもまた太陽に向かって咲く。
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塾に帰ると、みゆきちゃんとアスターの二人が待っていて、三人は何か私に後ろめたい気持ちがあるような顔をしていたが、私も同じだった。
でもその非を互いに攻める事はせずに、私は三人まとめて抱きしめ、そして笑いあった。
ちなみにみゆきちゃんはまだ傷が残っていたが、もう大丈夫みたい。
それと数日前だけど、豊川先生は私に深く頭を下げた。
今回の件、諦める前に私達に相談するべきだと反省した。
こんな達観した人でも、ちゃんと過ちを認め、謝る姿を見て、本当に豊川先生はすごい人なんだと改めて分かった。
今回の教訓で学んだ事は、諦める前に、頼れる誰かに相談すること。
一人ですべてを成し遂げようとするのはいささか傲慢な事だ。
人間は一人では生きられない。一人では立ち上がれない。一人になる事は自分を見失い、誰にでも心の中に存在する悪魔にとらわれてしまう。
そして最悪の場合、その悪魔に地獄に誘われ、永遠の闇に葬られる事だってある。
それは私は今まで辛い経験をして分かって来たことだけれども、誰かが言っていたが、人間は分かっていても同じ過ちを繰り返す愚かな者だと。
愚か者だからこそ、その信頼できる人の手を決して離してはいけない。
その信頼できる人も同じ人間であり、愚か者だから、きっと同じ事を思っているだろう。
だから私はみゆきちゃんやアスターの二人、その他にもたくさんいるが決して一人になる事をさせはしない。
それは私が私であるために。
メモリーブラッド0はここで打ち止めで次回からまた新しい小説を連載します!
少しでもお時間の許せる方は、読んでいただけると冥利に尽きます。
そして私の小説を読んだ事で、後悔させる事は決してしません。
メモリーブラッド0はいったん打ち切りますが、まだ書いていくつもりです。これからもメグ達の活躍をご覧ください。




