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メモリーブラッド0  作者: sibatamei
第2章
36/89

不穏な気配

前回のあらすじ。


里音の事に関わってはいけないとメグ達は豊川に釘を刺されたが、みゆきが里音を心配のあまり勝手な行動をとり、そのホーリープロフェットの力で里音の事を探り学校で気を失った。


駆けつけたメグはみゆきの勝手な行動に戒めにその頬を叩いた。


みゆきはホーリープロフェットで何を見たのか?



 私に叩かれたみゆきちゃんは、その叩かれた頬を軽く指すって、その大きな瞳から、涙腺が故障したかのように止めどなく涙が頬を伝い流れ出ていた。


「ごめんなさい。ごめんなさい・・・」


 と連呼している姿を見て、みゆきちゃんはどうやら自分が勝手な事をしたのに対して自覚して反省していたみたいだ。


 みゆきちゃんを叩いた手を見て、叩いた衝撃で、手がピリピリとしてちょっと痛みがあった。


 ちょっと強く叩いた事に私も反省しなければ、いや叩く事はないんじゃないかと反省しなければいけないかもしれない。


 だってみゆきちゃんは里音の事が心配だったんだ。

 だから約束を破ってまで里音の事をホーリープロフェットで予言してしまった。

 それで何を見たのか分からないが、きっと私が最初受けたような心を壊されそうな衝撃的な声を聞いて気を失ったんだと思う。

 いや叩いて良かったのかもしれない。

 豊川先生の忠告を思い出してみると、私達特殊な能力を持った人間が関わると、命を失うと念を押されて言われたからだ。


 もしみゆきちゃんが永遠の真っ暗な闇に飲まれてしまう事を思うと、私は叩いて良かった。

 それでみゆきちゃんに私は嫌われても良いと本気で思う。


 みゆきちゃんを見ると、涙が止まらないと言った感じで泣き続けている。涙を必死で止めようとしているが、止まらないと言った感じだ。


 とにかくみゆきちゃんを叱った事は私は間違いではないと思っている。

 たとえそれが里音に対する思いだとしても。


 保健室はみゆきちゃんが涙を必死に拭う音しか聞こえない。

 私はみゆきちゃんの涙が落ち着くまで、みゆきちゃんから離れて、保健室の窓から見える生徒達がサッカーで戯れる姿を何気なく眺めていた。


 しばらくして、みゆきちゃんの涙が乾いた頃、私はみゆきちゃんに水晶玉で何を見たのかを詳しく聞くために、みゆきちゃんと向き合ったが、みゆきちゃんは私を見るとまた再び止めどなく涙を流してしまった。


 このような経験私もしたことがある。きっとみゆきちゃんは私に対して本当に悪い事をしたと思って、涙は乾いた物の、再び私を見て、私に対する後ろめたい気持ちが堰を切るようにどっと気持ちにあふれて、再び涙が止まらなくなったからだと思う。


 だから私はそんなみゆきちゃんを抱きしめた。

 みゆきちゃんは私の胸の中で涙を堪えずに、私の胸元を涙で濡らした。


 そしてみゆきちゃんの涙が乾いた頃、ホーリープロフェットで何を見たのかを詳しく教えてくれた。


 ホーリープロフェットで里音の事を予言したみゆきちゃんが見た物は、どうやらこの件に関してメビウスの陰謀があると言っていた。そのメビウスが里音に対して何を狙っているのか探った瞬間に、頭が割れそうな程の衝撃的な音にさらされ、気がつけば保健室で、篠原先生に聞くまで、みゆきちゃんは気絶した事に気がつかなかったみたいだ。


 この事を豊川先生に伝えた方が良いと私は思っている。

 きっと私は豊川先生に怒られるかもしれないが、そんな事を気にしている場合じゃない。


 そして私とみゆきちゃんはみゆきちゃんが通う学校を後にして、帰り道、私とみゆきちゃんの間に会話はなかった。

 私に叱られて叩かれて、まだ気分がブルーなままのだろう。

 だからそんなみゆきちゃんをしばらくそっとして置くことにする。


 塾にたどり着いた時、もう夕方の十七時を示していた。


 玄関に立つと、聡美ちゃんが心配そうに駆けつけて私に聞いた。


「メグちゃんみゆきちゃん。お帰り。最近里音を見ないけれども、知らないかな」


「さあ」


 みゆきちゃんもゆっくりと首を左右に振って私と同じように白を切った感じだ。


「ところで二人とも、今日の夕飯は何が食べたい?」


 私とみゆきちゃんも夕飯どころじゃない感じだったが、ここで素っ気なく言うと、里音の事を何か知っていると悟られそうなので、明るく、


「そうだね。パスタなんか良いかな?みゆきちゃんも好きだし」


 みゆきちゃんに顔を向けると、「みゆき何でも良い」と言って階段を上がって、部屋に戻った。


「みゆきちゃん元気ないけど、何か合ったの?」


 聡美ちゃんに心配され、


「ちょっと学校で問題を起こして、私が叱ってちょっとブルーなんだ」


 と適当に言って、


「そう」


「じゃあ、私はアスターと徳川さんの勉強を見なくてはいけないから、夕飯楽しみにしているね」


 笑顔でそういうと、「うん」と返事をしてくれた。


 里音を心配する聡美ちゃんを欺くのはあまり良い気分ではないが、聡美ちゃんがこの件に関して関わったら大変な事になりそうだから止むを得ない。


 勉強室に戻ると、徳川さんは私によろしくとアスターに言い残して帰って行った。

 アスターの二人もちゃんとしっかりと私が出した課題をこなしていることに嬉しく思う。

 まあ、これは当たり前の事だが、以前のアスターの二人と比べて大きな成長だ。


 それはともかく豊川先生の禁忌を破ったがみゆきちゃんがホーリープロフェットで予言した事を豊川先生に伝えに行かなくてはいけない。

 だがパソコン室に行ったが豊川先生の姿はなかった。

 どこ行ったのだろうと思って夕飯の支度をしている聡美ちゃんとそのお母さんの由美子さんに聞いてみると、今朝からいないと言う事だ。

 私は無性に心配になってきた。



 ******   ******   ******   *****

 *********   ******   ******   **



 食事の時間になり、みゆきちゃんはいらないと言っていたが、育ち盛りに夕飯を食べないと良くないと思って強引だが、みゆきちゃん一緒に食卓に来させた。

 そして聡美ちゃんと由美子さんが揃って、私達六人で「いただきます」と言って夕食を食す。


 みゆきちゃんが元気ないことにアスターの二人も、気を使って、そっとしといてあげている感じだ。

 まあみゆきちゃんの事はともかく豊川先生にちゃんと報告しないといけない。


「由美子さん」


「はい」


「豊川先生はいつ頃お帰りになるんですか?」


「さあ、たまに出かけたと思ったら、二三日帰って来ない時もあるからね」


 確かにそうだ。豊川先生が不在の時にたまにそんな事があった。


 きっと里音の事で不在なのは予測できる。


 でもどこにいるんだろう?


 みゆきちゃんのホーリープロフェットを考えたが、やはりさっきと二の舞になるし、みゆきちゃんを危険な目に遭わせたくない。

 それにその事で叱ってしまったのだから。

 だから私達はこの里音の件に関わってはいけない。


 みゆきちゃんは食事を残してしょんぼりして、部屋に戻っていった。

 それを見た聡美ちゃんは、


「みゆきちゃんすごい落ち込んでいるけれど、大丈夫なの?」


「大丈夫だよ。少ししたら、また元気を取り戻すよ」


「だと、良いんだけれども・・・」


「そんなに心配?」


「いや、以前も確かにそんな事あったけれども、今回の落ち込み方はちょっといつもと違うような感じがして」


「大丈夫だよ」


 とは言ったものの、みゆきちゃんの頬を叩いた手を見て、ちょっとやりすぎてしまったのかもと改めて反省させられる。

 でも私は間違った事はしていない。


 食事が済んで、アスターの二人に後かたづけをさせる。


「じゃあ、二人とも、終わったら、お風呂入って寝る時間まで自由時間ね。自由時間の間はゲームでもテレビでも何でもしていいから」


 そういって私も部屋に戻ろうとすると、二人は、


「メグさん。みゆきどうしたんだよ」「いつも元気がないじゃん」


 余計な事を心配しなくて良いと言って突っ返そうと思ったが、「里音の事を占って、学校で失神したみたいなんだ。それで大事には至らなかったんだけど、私はちょっときつめに叱ってな」


「マジかよ」「で、占って何が出たの?」


 二人の質問にどう答えるべきか考えさせられる。正直にメビウスが絡んでいると言った方が良いのか?でも豊川先生の事を思い出して、


「あんた達が心配する事じゃない。私たち能力者は豊川先生の言われたとおり、この件に関して関わってはいけない」


「でも里音は」「大丈夫なの」


 私は二人に威圧的な視線を向け、「二人とも言っておくけど、この件に関して、何かしでかしたら、ただじゃ置かないからね」


 二人は息を飲むように黙り込む。


「じゃあ、やることちゃんとやったら、ゲームでも何でも好きなことをしていて」


 と言い残して、台所を後にした。


 私も部屋で待機したいが、みゆきちゃんは部屋にいる。

 今みゆきちゃんと二人きりでいるのは何か気まずい。

 私は部屋をそっと空けて見ると、みゆきちゃんはベットの上でうつ伏せになって、まだ気分が優れない感じだ。

 もう少しほおっておいた方が良いだろうと思って、私は部屋に入らず、誰もいない勉強室で星の本を見て時間を潰していた。


 とにかく今は豊川先生にみゆきちゃんが予言した事を報告して、どうするかだ。



 ******   ******   ******   *****

 *********   ******   ******   **



 揺さぶられて起こされ、エイちゃんが目の前にいた。


「メグ、こんな所で眠っていたら体に毒だぞ」


 と言われてどうやら私は本を読んでいるうちに、うたた寝をしてしまったみたいだ。


「エイちゃん。豊川先生は?」


「親父はまだ帰ってきていないみたいだけどな」


「そう」


 エイちゃんが帰ってきたと言う事は時間は大分経過している事が分かる。その証拠に勉強室に立てかけられている時計を見ると午後十一時半を示している。


 エイちゃんと共に部屋に戻り、みゆきちゃんももう眠った頃だと思って部屋に入ると、みゆきちゃんの姿がなかった。


「みゆきちゃん。みゆきちゃん」


 辺りを見渡して、みゆきちゃんの姿がない。


「みゆきちゃん。まだ部屋に戻っていないのか?」


 エイちゃん。


 辺りを見渡して「みゆきちゃんがいなくなった」と呟き、心配は募った瞬間に聡美ちゃんが私たちの部屋に慌てて駆けつけてきた。


「メグちゃん。お兄ちゃん。盟と梓がまだ部屋に戻っていないんだけど知らないかな」


 聡美ちゃんの話を聞いて、みゆきちゃんとアスターは里音の事を本当に心配していた。もしかしたら一緒になってどこかに行ってしまったのかもしれない。


「みゆきちゃんもいないのよ」


 とりあえず家中を探したが、三人の姿はなかった。


 時計は零時を回ろうとしたところ、勉強室で私とエイちゃんと聡美ちゃんと三人で集まり、ここで三人は里音の事が心配で外に出かけた事を話すべきかどうか迷った。


「三人ともどこに行ったのだろう?」


 聡美ちゃん。


 そこでエイちゃんが私の目を見つめて、


「メグ、お前何か思い当たる節はあるのか?」


 と聞かれて、言って良い事なのか悪い事なのか迷っていると、


「あるんだな」


 見抜かれてしまった。


 もう二人に嘘はつけないと包み隠さず三人が里音の事を心配している事を言った。


「最近里音を見ないと思ったら、そんな事が」聡美ちゃん。


「ごめんなさい隠していて、でも私とアスターとみゆきちゃんも豊川先生に関わるなって釘を刺されていて・・・」


「そういえば親父の姿が今朝から見てないな」エイちゃん。


「もしかしたらお父さん・・・」


 聡美ちゃんの反応に何か心当たりがあるんじゃないかと思って、


「豊川先生が今どこにいるか、知っているの?」


 聡美ちゃんの肩を揺さぶって問いつめた。


「落ち着けメグ」


 エイちゃんに言われて、私は心配のあまり少しばかり焦ってしまっているから、ここはエイちゃんの言う通り深呼吸をして、「ゴメンなさい」と謝った。


「とりあえずそこに言ってみるか?」


「エイちゃんも知っているの?」


「ああ親父のもう一つの書籍だよ。俺たち家族以外には他言はあまりするなって言われているけれども、仕方がない」


 そこで聡美ちゃんが、


「みゆきちゃん達はどうするの?まさか豊川先生の所にいるとは限らないし」


「それもそうだな。じゃあ手分けしよう」


 三人で話し合ってこうなった。

 私は一人でも大丈夫なので一人で豊川先生のもう一つの書籍に行き、エイちゃんと聡美ちゃんは三人が行きそうな所を私が教えて伝えた。


 早速外に出て、私は豊川先生の書籍に行くことになり、エイちゃんと聡美ちゃんには三人が行きそうな所を手当たり次第。


 そして手分けして私は一人になる。


 これで良いのだ。


 私はどうにか二人を言いくるめて私が豊川先生の所に行くようにした。


 きっと三人もみゆきちゃんの予言で豊川先生のもう一つの書籍に向かったと私は推測したんだ。

 そこに里音もいるかもしれない。


 目的地に向かう途中に、『来ないで』とまた精神的に壊れそうな声が響いた。


 そんな事に後込みしている場合じゃない、私は行かなくてはいけない。


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