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メモリーブラッド0  作者: sibatamei
第2章
34/89

メグを拒絶する禍々しい心の声

前回から続くメグに聞こえてくる謎の声?

いったいその正体は?

   

 昼食になり、二階の食卓で私とアスターの二人と豊川先生の四人の食事が用意されて、私とアスターの二人は共に食事をとる前に、アスターの二人に罰を与えている。


「親分、書取はちゃんとやったんだから別に良いじゃん」「落書きくらいは大目に見てよ」


 二人はブーブーと文句を良いながら、盟に私の肩を五百回揉ませて、梓に豊川先生の肩を五百回揉ませている。


「盟、力が足りないよ。もっと一回一回力を込めて揉みなさい」


 もう手がしびれて動かないよ。


「メグちゃん。別に良いじゃない。落書きぐらい」


 と笑って二人を許しているが、豊川先生はこのような時は甘いことを私は知っているので、


「豊川先生は甘すぎます。この二人はあくまで私の舎弟、責任もって私が教育をします。ほら梓、手を休めないで心を込めて豊川先生の肩を揉む!それまで昼食は私と豊川先生もつき合うから、それまでお預け」


「鬼」


 この二人はちょっと甘やかすとつけあがる悪い癖があるから、ここは私も豊川先生にも心を鬼にさせないといけない。


「ところでメグちゃん。後の二人は盟ちゃんと梓ちゃんに決めて上げれば」


 豊川先生はここでイルカセラピーの件で私が思っていた事をこの場で言う。


「何の話?」「何を決めるって」


 二人は手を休めて豊川先生の話に食いつく。


 タイミング的にはこのような時に話すべきじゃないと思ったが、仕方がないので、イルカセラピーの事を二人に話す。


「ええ、僕達もイルカセラピーに参加して良いの?」「僕はイルカ大好き」


 まあ私は二人に決めていたが、豊川先生もそう思って、アスターの二人をそれとなく決めようとしていたんじゃないかと思った。

 二人は案の定大喜び、イルカセラピーは豊川先生の話によると丁度十日後に準備して入るみたいだ。


「梓、後で早速準備しよう」「そうだね」


 と二人は心を弾ませているが、


「ほら、二人とも後百回ちゃんとしっかりと揉みなさい」


「「はい」」


 しっかりとした返事をするアスターの二人。

 このタイミングでその話題を出してしまったのはあまり良くない感じだが、まあ良いか。

 もし二人がまた何かしでかしたら、『イルカセラピーには連れて行かない』と脅せば、素直に言う事を聞くかもしれないな。


 昼食が終わり、午後は徳川さんのこれまでの抜き打ちテストを行うために、パソコン室の本棚にある問題集を手に取り、どのような問題形式にすれば良いか考えている時だった。


『私に構わないで』


 また聞こえた。

 ここで私は確信する。これは幻聴なのかわからないが、気のせいではない。


 やっぱり豊川先生に相談した方が良いかもしれない。

 この幻聴なのかどうかわからないが、私の中で起こっている事だ。

 でも周りにはまだ悪影響はない。

 とにかく徳川さんの抜き打ちテストと、アスターの二人に英語のABCの書取をさせてから相談しようと思う。


 勉強室に戻り、徳川さんの抜き打ちテストの中二英語の問題集をコピーして、それとアスターの二人にはABCの書取をさせた。


 徳川さんはしっかりと勉強に集中しているので問題はないが、私はアスターの二人は書取中にまた何かやらかすかもしれないので、しばらく近くで様子を見ることにする。


 私は黒板の前にイスをおいて、三人の様子を私の勉強を踏まえながら見ている。

 私の勉強は英単語を書き取り、そして趣味である花の図鑑を見ながら、その名前を覚える事だ。


『私に構わないで』


 また聞こえた。それにさっきよりもひどく、近くでガラスが割れたような激しい衝撃音のように精神的なダメージを食らった感じで、私は座っているイスから崩れるように、地面に膝をついた。


 そんな私を見てアスターの二人と、徳川さんは心配して、


「大丈夫ですかメグさん?」「どうかしたんですか?」


「どうしたどうした」


 と勉強を中断して、私の所に来てアスターの二人は手を貸してくれて、立ち上がり、徳川さんは「また無理したんじゃないんですか?メグ先生」と心配され「大丈夫です」と言った。


「本当に大丈夫なのメグさん」「無理しないでよ」


 と本気で私の事をアスターの二人は心配している。

 もしかしたら二人は心配を装って、書取をさぼっているんじゃないかと思ったが、そうじゃなかった。二人は私が言った通り、ちゃんと書取を行っていた。

 少しでもそんな風に疑った私はちょっと恥ずかしくなったが、とにかくこの幻聴ただ事では済まない気がした。

 それに私に妙な汗がにじみ出ている。

 とにかく今は二人の勉強を見る事を最優先にする。


 その後二人はちゃんと私の言う事を聞いてくれて、今日の私が出した課題を素直にこなしてくれた。

 まあ、徳川さんの抜き打ちテストだが、百点中八十点の功績を出したので明日から中学三年の課題を出す事に決めた。

 中学三年からは中学一年と二年とは違って、ひと味違うから、徳川さんに気を引き締めるように取り組むように伝えておいた。

 そんな徳川さんはやる気に満ちていて、胸を張って望む所と言ったところだ。

 本当に徳川さんその調子で行ったら、数年後本当に目標の東大合格になるんじゃないかと私自身期待に満ちていた。

 アスターの二人もこれぐらいのやる気を出してくれればいいんだけどな。

 きっと二人には人生の目標がないから、何に対してもおろそかにしがちなのかもしれない。

 だから二人には学習よりも、心が燃えるようなときめきに出会わせる事なのかな?

 でも二人は歌うことに対してその情熱はハンパないし、セイレーンと言う人を魅了する能力を持っている。

 その力を生かして歌手と考えたが、彼女達は仮に売れても、身内の事でバッシングされるのが落ちだと聞いている。

 でも二人は歌う事が好きなんだよな。

 どうにかしてその能力を活かせる環境を作って上げたいと思っている。

 その前に、彼女たちの学力は最悪の意図を辿っている。

 だからやりたい事も大事だが、まず世間にでる前に、ちゃんと最低限出来るようにさせたい。

 それは勉強に限らず、色々な面で。

 でも何だろう。今日の二人は午前中はちょっと書取をおろそかにして罰を与えたが、午後から私がこうして妙な物を煩ってた事がきっかけか?私の事を心配して、ちゃんと課題をこなしてくれた。

 だからアスターの二人は勉強の学力よりも百倍大切な物をちゃんと備えていると思って、私は心底安心している。

 二人はちょっとひねくれた所があるけれども、心は純真無垢だ。

 でも純真すぎて世の中の事をあまり知らないので危ない気がするから、色々と皿洗いやら、掃除にも勉強もちゃんと出来るようにして、世を渡っていけるようにしてあげたい。


 屋上で一人で考え事をして、時計は午後六時を示している。

 また妙な幻聴に苛まれないか心配だったが、今は聞こえてこない。

 そんな時、入り口から、アスターの二人が私の姿を見て、心配そうに駆け寄ってきた。


「メグさん。大丈夫なの?」「さっき倒れそうになったけど」


 二人は本当に心配そうな顔をして私の目を真摯に見つめている。何かそんな二人を見ていると、心がほっこりとして、思わず二人に身を寄せて抱きしめて言った。


「大丈夫だよ」


 と。


「「メグさん」」


 きょとんとするアスター。


 しばらく二人の温もりを感じていたくて、しばらく二人を抱きしめていた。


 二人の体温は暖かく、それを確認して安心した。


 そこで私は思い出して、二人からいったん離れ、目を見て、


「それよりも二人とも、ちゃんとやる事はやったの?」


 と聞くと、


「お風呂掃除にパソコン室の掃除」「それと皿洗い、全部終わったよ。それでメグさんが心配なら、ちゃんと役目を終えたことを伝えて見に行ってあげなさいって由美子さんが言っていたからさ」


 やばい。二人の思いに涙がこぼれ落ちそうだ。


「メグさん泣いているの?」「大丈夫なの本当に?」


「大丈夫だよ。だから今日は二人とも娯楽室でゲームしていても良いよ」


「本当に」「やったー」


 二人は仲良さそうにハイタッチして、屋上を後にする前に私に振り返り、


「メグさんも一緒にゲームしようよ」「待っているから」


「ああ、後で行くよ」


 とアスターの二人を見送り、二人は屋上を後にした。


 少し二人の事でここで感慨に耽っていた。


 さて私も、娯楽室に行こうとした時に、またガラスが割れるような衝撃的な声が心に響いた。


『来ないで』『私に構わないで』『私の事なんてほおっておいてよ』


 と頭が割れそうな程の衝撃的な音に、私は立ちくらみがした。

 何なんだよこれは?いったい誰なんだよ。



 ******   ******   ******   ***** *********   ******   ******   **



 あなたはいったい誰なの?


 心の中で呟いた時、目の前は木造の壁で遮られていて、その壁づたいを辿っていくと、一つのドアを見つけた。


 そのドアの向こうに何かがある気がして、恐る恐るそのドアノブに手をかけようとすると・・・・『いやーーーーーー』と全身が粉々に砕けそうな程の衝撃をもろに受けて、「あああーーー」と叫びながら、私は目を覚ました。


 呼吸が乱れていて、すごく動揺している。それにすごい汗。

 私はどうしてしまったのだ?


 辺りを見渡すとアスターの二人とみゆきちゃんが同じベットの上で眠っていた。

 ここは由美子さんの部屋。


 そういえば私は屋上で全身が粉々に砕けそうな程の衝撃的な奇声を身に受けて、それから・・・。


 部屋に立てかけられている時計を見ると、午前五時を示していて、窓の外を見ると、カーテンは閉められているが、夜明けを知らせるかのように明るみを帯びている。


 とりあえずみゆきちゃんを起こす。


「・・・メグさん」


 と寝ぼけ眼をこすっている。


「おはようみゆきちゃん」


 するとみゆきちゃんは私の顔を確認すると急に「メグさん大丈夫なの?」と勢いよく私に飛びついて、私を激しく揺さぶった。


 みゆきちゃんの反応を見ると、突然倒れた私を心配してくれたみたいだ。


 そしてアスターの二人も目を覚まして、私の事を抱きしめて、泣いていた。


「本当にどうしたんだよ」「僕達本当に心配したんだよ」


 そんな心配している三人に、私は「ごめんなさい」と言うしかなかった。


 これ程みんなに心配をかけてしまうなら、この衝撃的な幻聴の事を一刻も早く豊川先生に相談した方が良いだろう。


 本当に私の中で何が起こっているのか?この心配の元を根本から根絶する必要がある。


 でも豊川先生に相談してその解決の糸口は見つかるかわからないが、とにかく今豊川先生が起きているなら、すぐにでも相談しに行こうと思ったその時、豊川先生が部屋に入ってきた。


「おはようみんな」


 そういって部屋の明かりをつける。

 丁度良いと思って私は、


「豊川先生、相談したいことが」


 そういって豊川先生の目を見ると、もう私の事情を知っているような感じだった。そして言う。


「メグちゃん。きっと心に衝撃的な叫びをもろに聞いたと思う」


 私はその通りだと、おもむろに頷く。


「今回の件はメグちゃんの問題じゃなくて、僕の問題なんだ。

 だから、何も心配しないで僕の言う事を聞いて欲しい。

 そうすれば、メグちゃんは今回の件に巻き込まれる事はない」


「言う事って何ですか?」


 と豊川先生の穏やかな目を見て聞く。

 すると豊川先生はちょっと険しい目つきで私に言った。


「里音ちゃんに近づかないで」


 その豊川先生の話を聞いて、里音の事が恐ろしく心配な気持ちが心の底からわき出てきた。


「その顔から察するに、きっとメグちゃんは里音ちゃんの事がすごく心配になったと思う。それは人情味のあるメグちゃんなら当然の反応だと思うけど、今回の件は僕と里音ちゃんの問題だし、はっきり言っておくけど、メグちゃんには力にはなれない。

 今回の件は力でどうにかする問題じゃない。

 下手をすると、命まで脅かされる危険があるからね」


「命までって・・・」


 私が豊川先生の目を見て、その答えを聞こうとするが、穏やかな瞳から一変して、『関わるな』と言っている感じだった。


「念を押して言って置くけれども、メグちゃんももちろんだけど、ここにいる四人みんなそれぞれ特殊な力を持っている。

 その力で何とかしよう何て絶対に考えないでね」


 そう言って、豊川先生は部屋から出ていった。


 ・・・里音にいったい?


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