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メモリーブラッド0  作者: sibatamei
第2章
33/89

予感?予兆?幻聴?


『私に構わないで』


「誰?」


 真っ黒な中、私の意識しかない。

 また何かしらの、予知夢を見ているのだろうか?


『私に構わないでって言っているじゃない』


 悲痛な叫びを漏らす、謎の声。


「だから誰なの?」


 すると何かすべてを壊される衝撃が私に襲い、私はとっさに叫びながら、目覚めた。


 辺りを見渡してみると、驚いたエイちゃんとみゆきちゃんが心配そうに私を見ていた。


「どうしたのメグお姉ちゃん。すごくうなされていたけど」


「大丈夫かメグ?」


 みゆきちゃんとエイちゃんが突然叫びながら目覚めた私に言いかける。


「・・・」


 私は余計な心配をかけるんじゃないかと思って黙っていると、


「メグ、隠し事はなしだぞ。またそうやって誰かに心配かけてしまうって言う思いで黙っているんだろ」


 エイちゃんに私の心をよまれてしまった。


 だから私は別に隠すほどの事じゃないと思って、


「何か変な夢を見て・・・」


「どんな夢だ?」


「またメグお姉ちゃん予知夢を見たんじゃない?」


 エイちゃんとみゆきちゃんは私に顔を寄せて問いつめるように聞き出そうとしている。


「何か『私に構うな』って、私の心に呼びかけて来るような叫びが木霊して」


 私の言葉にみゆきちゃんとエイちゃんは顔を見合わせて、みゆきちゃんが、


「誰に構うなって言われたの?もしよければ、みゆきのホーリープロフェットで見て上げてもいいけれども」


 そこで私は考える。

 ホーリープロフェットは特定の人物じゃなければ占えないし、かといって私を占っても仕方がないこと何じゃないかと思って「分からないけれども、何でもかんでもみゆきちゃんのホーリープロフェットで占ってはいけない気がする」


 私がそう言うとみゆきちゃんがしょんぼりする。


「別にみゆきちゃんが役に立たないとかそう言う風に言っているわけじゃないのよ」


 と慌ててみゆきちゃんの機嫌を直すように言う。

 そこでエイちゃんが、


「とにかく今日は休んだ方が良いんじゃないか?俺から父さんに言っておくからさ」


「いやいやいやいや。私なら大丈夫。多分気のせいだから」


「それは疲れが原因じゃないのか?そのような事を気になってしまうのは・・・だから父さんに俺から言って置くから今日は一日休んでいろ」


「そんな事は出来ないよ。徳川さんの勉強を教える事や、盟と梓の教育だってあるのよ」


 そう。この数日間、盟と梓が居候することになり、豊川先生に『この二人は私が監督するから、少しの間だけこの家に居させてあっげてくれないかなあ』と頼んだら、『そんな事をしなくても二人の面倒は見て上げられるよ。それくらいの余裕なら僕にはあるよ』と言っていたが、私の舎弟になった盟と梓の教育はしっかりとやらなくてはいけないと思っている。

 それに二人は私も人のことを言えないが、まだ未熟だ。

 あの二人を野放しにしたら何をしでかすか?それとあの二人は自分を守るすべを持っていない。だから悪い人間にたぶらかされるかもしれないので心配で私の舎弟と言うことで、この家において貰っているのだ。


 エイちゃんとみゆきちゃんは私を心配して言ってくれたが、とにかく私には私にしか出来ない責任がある事を伝えて、ちょっとエイちゃんは腑に落ちないと言った感じだが説得することが出来た。


 私は体を起こして時計を見ると六時を示していた。


 さて私の舎弟はちゃんと起きているか?確認しに行くと、二人は聡美ちゃんの部屋でいつも寝ているので聡美ちゃんの部屋に行けば、起きていなければ二人はいる。


 さっそく聡美ちゃんの部屋に行き、ノックをすると、誰も返事をしないので、そっと扉を開くと、聡美ちゃんはおらず二人もいない。

 どこ行ったのだろうあのバカどもは?


 もしかしてと思って娯楽室に行くと、二人は朝っぱらからゲームを楽しんでいた。


「何をやっているの二人とも」


 と声をかけると、


「それはこっちの台詞ですよメグさん」「僕たちはメグさんが起きないから、仕方なくゲームをして待っていたんですよ」


 何だ二人とももう起きていたのか。


 まだ二人の行く中学も決まっていないので、今は徳川さんと共に勉強をさせている。


 それに毎朝、私とみゆきちゃんと舎弟の盟と梓を連れて、隣町が一望出来る河川敷まで毎朝かかさず行わせている。


 いつもは盟と梓が寝坊してくるのだが、今日は私が寝坊してしまったのかと思って、二人にその件について謝っておいた。


 そして私達四人は早朝のランニングに出かける。


「メグさん。今日はペースを少し落としてくださいよ」「僕達はメグさんのような人並みはずれた体とは違うんだから」


「でもみゆきちゃんは私にしっかりついてきているよ。年下のみゆきちゃんよりも体力がないなんて情けないと思わないの?」


「何だよ。もう」「行けば良いんだろ」


 とブーブーと文句を言いながらだが、私にちゃんとついてきている。


 ランニング。ランニング。


 いつもの隣町が見渡せる河川敷にたどり着き時は、盟と梓はもうへとへと状態だった。これはいつものことだった。


「はぁはぁもう走れないよ」「水、水」


「二人ともだらしがないな、もう一週間走り続けているのに、まだ慣れていないの?」


 みゆきちゃんが地面で腰を下ろしている盟と梓を見下ろして言う。


「みゆきも人間じゃないんだよ」「そうだよ。きっとメグさんと同じ吸血鬼なんだよ」


「何訳の分からない言いがかりをつけているの?そんな事はあるわけないじゃない。みゆきは確かに予言を司るホーリープロフェットの使い手だけど、人間と対して変わらないよ」


「「本当かな」」


「まあ、みゆきは信じなくても良いけれども」


 盟と梓、通称アスターの二人はみゆきちゃんよりも年上だ。もう少し大人な振る舞いは出来ないのかと人知れず嘆息の息を私は漏らしていた。


「じゃあ、もう休んだことだし、折り返して、走って戻るよ」


 もちろん盟と梓は文句を言っていたが、帰りは少し二人は戻るまで時間がかかったが、まあ何とか走らせた。


 まあアスターの二人を舎弟にしたのは良いが、それはそれで大変なんだけれども、なんだかんだ言って、私は楽しいからな。

 それに二人は私の舎弟として働いて貰っているが、みんなと生活していて、それなりに成長もしているし、人に気を使う事も最近は覚えてきた。

 その成長を親分として見届けると、やっぱり嬉しいよ。

 でも二人はそろって学年的に中学二年だが、頭の中身は小学生のみゆきちゃん以下だ。

 そう考えるとこの先思いやられるが、私がしっかりしないといけないんだよね。


 帰って、朝ご飯だ。

 二人も由美子さんの手料理が大好きで、これがなかったら生きていけないなんて言っている。


 朝食も終わって、みゆきちゃんも聡美ちゃんエイちゃんもそれぞれ学校に出かけて、私と舎弟のアスターは徳川さんが来るまで二人に自習させる。まあ来ても、二人の学力はかけ算が危ういと言う感じで、仮に学校が決まっても勉強にも付いていけず世間も知らないので、二人は周りからバカにされて、いじめられるのが落ちかもしれない。

 でもここの塾の生徒には冗談は言うけれども、人を蔑んだり、いじめたりする人はいない。

 仮にあっても私がさせないけれどもね。


 そしていつものように徳川さんは来て、いつものように東大を目指して勉強に励んでいる。

 アスターの二人は勉強が嫌いで、以前徳川さんに教えた九九をアスターの二人に教えている。

 本当に双子の姉妹で姿顔もそっくりで、その頭の中身までそっくりなのだ。

 本当に笑える。


 私は二人に今九九を復唱させている。


「やっと八の段まで言えるようになったね」


 私が言うと、


「僕たちだってやれば出来るんだよ」「僕たちも徳川さんと同じ大学に行くのも良いかもしれない」


 二人の失言に頭が痛くなる。

 だから私は一緒の部屋で勉強している徳川さんに「すいません徳川さん。うるさいし失礼な事を言わせちゃって」


「良いって良いって、子供のしたことだからな」


「僕たちは子供じゃない」「そうだそうだ」


「黙りなさい。ほら早速、九九の段ちゃんと言えるまで、お昼は抜きだからね」


 そう言うと二人は狼狽えて、やる気を示す。


 とにかく今週中には九九をマスターさせたい。


 とりあえず、二人は復唱で九九を言える事が出来たので、少し休憩させて、次は漢字の書き取りをさせた。


 まあ漢字の書取は黙ってもただ写して書くだけだから、猿でも出来る芸当だ。だから二人を漢字の書取をさせて、徳川さんの勉強を見たが、徳川さんは最近は自分で勉強を学習する力が培われていっている。

 だから徳川さんが良ければ私の抜き打ちテストを行いたいと思ったが、それは午後からにして、私はアスターの二人がちゃんと勉強しているか、徳川さんに勉強を学習すると共に見張っていて貰う。


 その間、私は豊川先生に相談したいことが合ったのだ。

 それは昨日のエイちゃんから聞いたイルカセラピーの事についてだ。


 いつもパソコン室で引きこもりの生徒にメールでエールを送っている豊川先生の部屋に入り昨日の事を豊川先生に話した。




「・・・そんな事が」


「はい。本当に一週間前の事を思うと夢を見ているような感じがしました」


「そのみゆきちゃんのような事例は今だにないけれども、みゆきちゃんの力にもあるかもしれない。それとみゆきちゃんの心の傷に伴って、そのイルカ達は何かしらみゆきちゃんと共鳴したのかもしれないね」


 確かにみゆきちゃんは普通の女の子じゃない。ホーリープロフェットを司る予言者でもあるのだ。

 その力も合わさってみゆきちゃんの深い心の傷に共鳴した。

 人は誰でも心の傷はある。みゆきちゃんに限らず私にも豊川先生にもアスターにもエイちゃん、この世界に生きとし生きる人間すべて。

 だったらみゆきちゃんが普通の人間であり、人よりも深い傷を持った普通の少女だったらイルカはあの時共鳴するだろうか?


 まあ、それはともかく本題に入ろうと思う。


「エイちゃんから聞いたのですが、豊川先生は毎年この時期になるといじめや虐待なので心の傷を負った生徒達を連れて、海外に行きイルカセラピーを行っていると聞いたのですが、もしよければ、みゆきちゃんも参加させて上げてはどうかと思いまして」


 豊川先生はフフと笑って何がおかしいのかと思って、豊川先生の目をじっと見つめて話を聞くと、豊川先生も同じ事を考えていたのだ。


「実を言うと、今回はメグちゃんを引率係として来て貰おうと思っていたんだ」


「本当ですか?」


 私は話を聞いて空を飛ぶほどの気持ちになる。まあ私はさておいて、


「みゆきちゃんも参加させて上げても良いですか?」


「もちろん。メグちゃんの推薦で後二人呼んでみては良いけれども、誰か行く宛のある人いない」


 後二人、すぐに頭に思い浮かんだのが、アスターの二人だった。

 考えてみれば彼女達の事情を聞いて、とても深刻だと思うし、みゆきちゃん同様に深い心の傷があるのは知っている。

 後二人選ぶなら、アスターの二人が打ってつけだと思う。

 だから後で話して、それでどうするかは二人が決めることだな。

 いや親分の言う事は聞かせないといけないので必ず参加させる。

 私が海外で塾が不在の時に二人が何をしでかすか心配だ。


 それと話は終わり、もう一つ話があった。

 それは今朝から妙な幻聴のような声が聞こえる事だ。

 話そうと思ったが、きっと私は疲れていて一過性の何かだと思って気にとめず、話さなかった。それで丁度話が終わった時、お昼を回っていたので、豊川先生に「イルカセラピー楽しみにしています。それでは」と言ったら、先生は「はーい」といつものように返事をくれた。


 まあ強引に連れて行くつもりだけど、きっと二人は喜ぶだろうと思って、勉強室に入ってその朗報を聞かせてやろうと思ったが、徳川さんはちゃんと勉強しているが、二人は机を寄り添わせて、何かひそひそと話し合っている。


「二人ともちゃんとやっているの?」


 二人は私の声に跳ね上がるように立ち上がり、


「し、し、しているよ」「ちゃんと書取やっているよ」


「どれ見せてみなさいよ」


 すると二人はそれぞれノートを伏せて隠す。


「だからちゃんとやったって」「徳川さんに聞いてみなよ」


「ちゃんとやっていたと思うよ。静かに鉛筆をなぞる音しかしなかったし」


 と徳川さん。


 徳川さんは集中しているあまり、二人が隠れて何かやましい事を目撃する余裕がなかったんだと思って、とにかく二人が見せたがらずに隠しているノートを強引に奪うと、確かに書取は言われた通り、こなしていたが、二人とも妙な落書きをしている事に私はちょっとご立腹で二人に罰を与える。


 本当に二人にはこの先思いやられそうだが、何かかわいくて憎めない、そんな二人何だよね。


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