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メモリーブラッド0  作者: sibatamei
第2章
31/89

メグの新しい舎弟


 盟と梓は知り合う前から、セイレーンの力を持っていた。


 それを知っている者は幼い頃に捨てられて、育てられたとある町の教会の神父さんと、その神父さん亡き後に出会った豊川先生、そしてこの闇医者に二人の手当を頼んで、お金目当てで孤児で幼い二人の深刻な事情につけ込んだ者だ。

 その者は明日この闇医者の診察室に来ると言っている。


 盟と梓は豊川先生や私達にもう迷惑かけたくないと言う理由で私たちの前から姿を消した。


 盟と梓はとんでもない事件を起こした親の娘であり、二人は表沙汰に姿を現してはいけない存在。

 

 歌う事が好きでその二人のセイレーンの力を駆使して、芸能界にデビューを考えたがそれはまかり通る事はない。

 仮にデビュー出来たとしても、世間に幅を利かせる芸能界で父親の罪のことでバッシングされる事は目に見えているからだ。


 それで二人は私達の前から姿を消しそのセイレーンの力を駆使して、路上ライブをしてお金を稼いだ。

 道行く人は二人の歌声に魅了されていきお金を稼いで暮らしていた。

そして二人の前に一人の男が現れた。

 それが闇の世界に通じる榊と言う男だった。


 その榊と言う男は私が二人の深刻な事情につけ込んだと勝手に解釈したが、実を言うと二人はその榊と言う男に感謝しているみたいだ。

 自分たちの居場所を裏の世界とは言え、手配してくれたのだから。

 コンサートでライブが出来て楽しく、お金にも生活にも不自由しなかったのだから。


 その榊という男の事を闇医者に聞いたが、闇の中でも闇で、彼の素性を知るものはいないが、何度か関わりがあり、こうして闇医者である自分のところに手配するのだから、心底悪い奴とは言い切れないと言っていた。


 それと盟と梓の二人と闇医者とみゆきちゃんの証言から推測して、その榊って男とメビウスは無関係だと断言できた。


 メビウスはセイレーンの能力を持つ二人のところをかぎつけ、それが二人の危機を私とみゆきちゃんが察知して駆けつけ、二人は命を落とすことはなかった。


 メビウスは二人の後頭部にかみつき、血を吸ってその能力を自分のものにしたのだ。

 それがメビウスの目的だと思う。


 みゆきちゃんの予言によると私達が駆けつけていなければ、二人は殺されていた。それは私も感じたことだ。


 それにみゆきちゃんが言うには節子ちゃんのタイムトリップの件だが、あの力はメビウスは私が言うメモリーブラッドでコピーできないみたいだ。


 それはあの力は体内に宿る血液ではなく、人間の魂からの力みたいだ。

 しかもあの力は魂を削るので使う毎に命を削る事だと知って、私は胸を痛めた。


 メビウスは節子ちゃんを操り、二度もタイムトリップを使わせた。

 だから命が削られたのは確実だ。


 私と同じ吸血鬼でありメモリーブラッドを駆使するメビウス。

 いったい何が目的なのか?

 その目的の為にみゆきちゃんも必要みたいで、いつか分からないがきっと狙われる。


 話は終わり今後、盟と梓は榊の元でまた歌うと言っていたが、私はそんな二人が心配でその榊という男を一目見てどんな奴なのか確かめて置かないと気が済まず心許ない。


 盟と梓とみゆきちゃんは狭い診察室の中で一つのベットを三人で使い疲れ切った体を癒す為に健やかな眠りについている。


 私はメビウスとの戦いの時に、受けた傷は回復しているので榊が戻ってくるのをずっと診察室の扉の前で待っていた。


 


 そして必然的に朝はやって来て、同じベットで眠っていた三人も起きて、闇医者から朝食を振る舞われた。


「粗末な飯だが何か食っておいたほうが良い」


 私もごちそうになり、そのメニューは言われた通り粗末なもので、モロヘイヤのスープにかちかちに固まったコッペパンだった。


 盟と梓は食欲がないと言っていたが、闇医者に威圧的な口調で「無理してでも食べろ」と言われて渋々食べた。

 私も食べたところ、本当においしくなく食欲のそそる味ではないが、モロヘイヤはすごく栄養があり、かのクレオパトラが健康と美容の為に食された植物だと英治メモリーが言っていた。

 それにこのコッペパン食べてみると、ふっくらとしていなくて、学校の給食に出てきたようなあのコッペパンの味がしておいしくなかった。

 でも学校のコッペパンは市販のパンよりも健康面に配慮されていると英治メモリーは言っている。

 まあ私たちは普段からおいしい物を食べてばかりいるから、少々贅沢な感じになっているんだと思う。

 それにこういう質素な料理こそ英治メモリーでまとめてみると、健康面も配慮されていて長生きの秘訣なんだと思う。

 それとこの闇医者、ぶっきらぼうな物言いだが、悪い人ではない感じがする。

 後で名前を聞いておいて、何かしら縁を結んでおいた方が、今後とも力になってくれるかもしれない。

 まあ、お金は闇医者と言う事で榊から法外なお金を受け取ったみたいだ。


 朝食を食べ終わり、榊は来なかった。


 盟と梓は来ると信じているみたいだが、いっこうに来ない。


 九時を回った時、闇医者に、


「お前達の契約はこれまでだ。ここから出て行って貰おうか」


「もう少しだけ待っていても良いじゃないですか?」


 みゆきちゃんが訴える。


「榊の契約では今日までと言われている」


「だったらみゆきが払うよ」


 みゆきちゃんがポーチから札束を取り出して、闇医者に渡した。


「悪いが俺はもう疲れているんだよ。金は榊から充分に貰ったし、今日はここで店じまいだ。だからとっととここから出ていきな」


「そんなせめて榊って言う人が迎えに来るまで」


 みゆきちゃんが言う。


「あいつは多分来ないよ」


「どうして?」


「さあな。とにかく仕事はした。俺は子供が大嫌いなんだよ」


「そんな言い方・・・」


 みゆきちゃんが問いつめようとした時私がみゆきちゃんを制して、


「ありがとうございました」


 盟と梓はがっかりした表情で立ち上がり、外に出た。


 私も外に出る前に、この闇医者に興味があり、


「あの、あなたのお名前を聞いていませんでしたね」


「桑原秀人」


 闇医者は素っ気なく名乗り、私はその名前を胸に焼き付けた。


 外に出て朝の明るいはずのスラム街は、太陽の光は照らしてはいるものの、何か鬱蒼としてあまり穏やかな感じじゃなく、ここにいると何かやばそうな気がして、私は三人を連れてとりあえず、私とみゆきちゃんが暮らす塾に行くことにした。


 でも盟と梓はその提案には乗らなかった。


「盟、梓、とりあえずみんな心配しているから塾に帰ろうよ」


「やだよ」「僕たちはもう豊川先生やみんなには迷惑はかけられないよ」


 盟と梓。


「とにかく顔を見せるだけでも良いからさ」


「きっと豊川先生は僕たちを何とかしてくれると思う。でももうあの人にはもう迷惑はかけられない」「盟も僕も同じ気持ちだよ」


「じゃあ、どうするんだよこれから」


「榊さんを待つよ」「あの人は僕たちの恩人だし」


「でもその人が戻ってくる保証はどこにもないんでしょ」


 二人は言葉をなくしたと同時に、鬱蒼とした表情をした。


「とにかくメグ、僕達の事はほっといてくれよ」「メグやみゆきには関係ない」


 本当に困ってしまった。でもここで二人をほっといたら、二人は・・・。


 二人は榊さんとやらを待って、診療所の外の前で壁に寄りかかり体躯座りをして、待っている。


 十分二十分三十分と時間が過ぎても、その榊さんとやらは戻ってきそうにない。


「メグもみゆきもどこかに行ってくれないか?君達が僕たちの前に行ることで榊さんが僕たちの接触を拒んでいるかもしれないだろ」「そうだそうだ盟の言うとおりだ」


 私はため息をもらして「そんな事はないよ。だったらせめてその榊さんとやらが来るまで私達も一緒にいて見届けさせてくれよ」


「「・・・」」


 二人は勝手にしろと言わんばかりに、そっぽを向いた。


 でも再び二十分四十分一時間と経過したが、診療所の前には榊さんとやらはおろか誰一人、通らない。


 私とみゆきちゃんは黙って二人に寄り添い、黙っていた。


 そして盟がこらえきれずにその大きな瞳から大粒の涙を流した。


「泣くなよ盟、榊さんは必ずきっと来るから」


 と梓もつられて泣きそうだった。


 私はそんな二人がいたたまれずに、


「盟、梓、もう十二時を回っているよ。だからまた明日にして、とりあえず豊川先生の所に行こうよ」


「うるさい。僕達はもう豊川先生には迷惑はかけられない」「そうだそうだ。僕達はもう誰にも迷惑をかけないで生きようって二人で決めたんだ」


 そこでみゆきちゃんが、


「二人ともガキね」


「何だよみゆき」「お前だって豊川先生のお世話になって迷惑をかけているんだろ」


「そうだよ。かけているよ。一つ言って置くけれども、誰にも迷惑をかけないで生きられないよ。そんな事を知らなきゃ、あんた達はガキよ。小さなガキんちょよ」


「何だよみゆき」「僕達とやるのか?」


「やってやっても良いよ」


 そこで私が止めに入り「ちょっとみゆきちゃん」と言ったがみゆきちゃんは私を片手で制して私は黙って三人を見届ける事にした。


「あんた達の事をみゆきのホーリープロフェットで予言させて貰ったけれども、真っ暗で何も見えないよ」


 いつの間にかみゆきちゃんの右手が握りしめられている事に水晶玉が握りしめられていることを察した。


「でたらめ言うな」「こいつ」


 二人がみゆきちゃんに迫り込もうとした時に、みゆきちゃんが倒れてしまった。


「何だよ。もうおしまいかよ」「口だけの奴じゃないか」


 私はみゆきちゃんの様子がおかしいと思ってみゆきちゃんにかけより、どうやらみゆきちゃんは本当に二人の事を予言して、その未来を言い当てて、力を使い果たしてしまったみたいだ。

 一晩休んだとは言え、昨日みゆきちゃんは潜在能力のホーリープロフェットを発動させたのだから、昨日の疲れがまだ拭い切れていないみたいだ。


 私はそんな無神経な二人に、手の甲で二人の頬を一発ずつ叩いた。


「何するんだよメグ」「この野郎」


 二人が私に飛びかかって来たので、二人の襟首を掴み上げた。


「放せメグ」「何するんだよ」


「二人ともいい加減にしなよ。みゆきちゃんはあなた達に本気で力を使って予言した事も知らないで」


「僕達には関係のない事だ」「メグもみゆきも引っ込んでいろよ」


 二人のだだに私の怒りがこみ上げて来て、二人の頭と頭をちょっと強めにぶつけて二人を泣かして、二人を軽く放り投げた。


 二人はみゆきちゃんの言う通りガキのように泣いている。


「私もみゆきちゃんも豊川先生の所でお世話になっているよ。でもそれなりに豊川先生の元で働き役に立てているつもりだよ。みゆきちゃんも私も。

 だからたとえ迷惑でも豊川先生の役に立てて、少しでもその迷惑を払拭して働こうとは考えないの?」


「僕達に何が出来るんだよ」「僕達は豊川先生の力に何てなれないよ」


「じゃあ、豊川先生の力になれなくても私の力になってよ」


「どのように?」「僕達は歌うことしかできない」


「そう。その歌は昨日のメビウスとの戦いの時に大いに役に立ったよ。だから豊川先生の力になれないなら私の力になってよ」


 二人は顔を見合わせ、涙を拭う。


「メグの力って」「僕達が」


「じゃあこうしよう。今日からあなた達二人は私の舎弟ね」


「冗談じゃないよ」「メグの舎弟なんて」


「じゃあ、みゆきちゃんが予言した真っ黒な未来を迎える?」


 二人は黙る。


「だったら私の舎弟になって、今日から私の言う事を聞くのよ」


「舎弟ってどんな事をさせられるの?」「メグが僕たちを舎弟なんて」


「つべこべ言わずに私の言う事を聞け。また泣かされたいか?」


 と大声を上げて怒鳴りつける。すると二人は、うろたえる。


「返事は?」


 二人は立ち上がり、「「はい」」と返事をした。


 何かこういうのも良いかもしれない。


 まあ舎弟と言ったら、暴走族の龍平君達がそうだけど、この二人をこうして舎弟にして今日から私の言う事を聞いてもらい、私だけの為に尽くさせれば良いのだ。

 最初からそうしていれば良かったのかも。


「じゃあ二人とも、親分の私の言う事はちゃんと聞いて貰うからね」


「「はい」」


「じゃあ、最初に私の命令は・・・」




 ******   ******   ******   *****

 *********   ******   ******   **



 私はみゆきちゃんを抱えて、二人を塾まで連れて帰った。


 里音も聡美ちゃんもそんな盟と梓に逢えてすごく嬉しそうにしていた。


 二人もなんだかんだ言ってみんなと会いたかったのだと伺える。


 そしてそんな二人に私からの最初の命令は、その二人が駆使するセイレーンの力を発揮させてみんなの前で歌わせる。


 私は二人を屋上に連れて行って、豊川先生やエイちゃんに聡美ちゃんに里音それに、先ほど気がついたみゆきちゃんに、由美子さんを招いて、二人を歌わせた。


 みんな二人の歌声を聞いて、私とみゆきちゃんには見えるがセイレーンがみんなの頭上をまって、私たちを幸せな気持ちにさせてくれる。


 これで今回の二人の件は丸く収まった。


これでアスターの盟と梓の物語は終わりです。

また次回から、新しい「メモリーブラッド0」を書いて行きますのでこれからもメグとその仲間達の事を見届けてくだされば冥利に尽きます!

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