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メモリーブラッド0  作者: sibatamei
第2章
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美少女巫女奈々

前回までのあらすじ。


 ある日、私は最近見なくなった盟と梓の予知夢を見て、心配になり、豊川先生に相談して、豊川先生も心配していて、私の予知夢を見過ごすわけにはいかないと言う事でみゆきちゃんに頼んでホーリープロフェットで予言して貰うことになった。


 内容的には二人に不穏な何かが迫ろうとしていて、その正体を探ろうとしたところ、みゆきちゃん自身もおかしくなるので、詳しく探る事は出来なかった。

 でも居場所を特定できたので、みゆきちゃんの気力が回復次第、二人の居場所を聞くことになった。


 私も一段落した時にみゆきちゃんに二人の居場所を聞こうとしたところ、みゆきちゃんは美少女御子奈々と言うアニメに夢中で、それを見終わったら、みゆきちゃんに聞こうと思う。



 私はみゆきちゃんが美少女御子奈々のアニメに夢中なので、私はこれを見終わったら居場所を聞くことにして、ついでに私もこの美少女御子奈々をみゆきちゃんと共に見る。


 この美少女御子奈々だけど、普段は十七歳の女子高生で、坂崎奈々と言う。

 美少女御子の事は世間には秘密で、それを仕立てたウサギのぬいぐるみのようなキャラクターのミンミンはなぜか九州弁。


 ありきたりな魔法少女的な物語だが、内容が私的に気に入った。


 悪しき心に染まろうとしている人を悪の道に誘おうとする、奈々の宿敵のプサン。


 それを止めようと必死に戦う美少女御子奈々。


 ご都合主義的な勧善懲悪物だが、何か私の心に響いた。


 こんな子供が見るようなアニメに夢中になるなんて私ってちょっと子供じゃないかと思ったが、構うものかと思って、来週もまたやるので録画予約しておく。


 これで楽しみが一つ増えた。


 さて、アニメも見終わった事だし、みゆきちゃんに盟と梓の居場所を聞くことにする。


「場所は街のスラム街に位置するダンスホールって出たよ」


 そのみゆきちゃんの証言に、先ほどみゆきちゃんがホーリープロフェットを発動している時、辺りが一瞬その背景が映ったのでイメージしやすかった。 


 いったいなぜそのような情景に染まったかは私には分からないが、とにかくスラム街のダンスホールって言うと、ネットで調べてここしかなくすぐに特定できた。店の名前はラベンダー。


 それにホールの中の様子が写真で掲載されており、先ほどみゆきちゃんが予言していた時に、辺りが一瞬描写されたまんまの所だった。


 時間を見ると午後九時に開業で、コンサートは深夜十一時に始まる。


 それに出演者の名前が掲載されている。


 ボーカル 朝倉 盟 朝倉 梓


 と、匿名もしないで本名で語っているから、すぐに分かって良かった。


 とにかく行ってみて二人に何事もなければと思うが、みゆきちゃんのホーリープロフェットによると二人に不穏な気配が迫っているって言うから見過ごせない。


 今日はちょうどキャバクラもない日だからちょうど良い。


 とりあえず、晩ご飯を食べてから出発することにする。


 今日夕飯を囲むのは里音と聡美ちゃんとみゆきちゃんと私の四人だ。


 当番は里音と聡美ちゃんの二人だ。


 メニューはミートソースパスタだ。


「今日はメグはバイトないんだ」


 里音が私に聞く。


「うん。店は清掃業者が来て、今日一日休業でさ」


「じゃあ、久しぶりにみんなでマ×オカートでもしない?」


「ゴメン。ちょっと用事があって」


 みゆきちゃんの方を見る。みゆきちゃんはパスタをもりもり食べている。


「また豊川先生からの仕事?」


「・・・・うーん。私事でもあるかな」


「今度はどんな内容なの?」


 里音に質問責めされて私はちょっと困惑すると、聡美ちゃんが助け船を出すかのように、

「里音、メグちゃんにも聞かれたくない事もあるだろうから、あまりそうやって質問責めはしない方が良いよ。メグちゃん困っているじゃん」


「ゴメン。でもちょっと心配でさ」


 瞳をうつろわせ、何か緊迫な雰囲気に染まった。


 しばしの沈黙の中、沸々と思い出てくるのが、麻美ちゃんの事だった。


 聡美ちゃんも里音も麻美ちゃんの事を思い出してしまったかもしれない。


 でもここで麻美ちゃんの話をするのは、あまり良くない気がして、


「このパスタおいしいね」


 と私が笑顔でそう言うと、二人も便乗して、


「でしょ。私と聡美が丹精込めて作りました」


「みゆきちゃん。おいしい?」


 おいしそうにもりもり食べているみゆきちゃんに聡美ちゃんが聞く。


「おいびい」


 口に物を入れながら答えるみゆきちゃんがおかしくて私たちは笑ってしまった。


 空気が明るくなったが、もしかしたら、あのような事にならなければ麻美ちゃんはこの席にいたんじゃないかと、切なくなった。


 それに以前は盟も梓もこの食卓に同席していた。


 仲間が悲しい目に遭うと私も悲しい。


 はっきり言ってこんな気持ち嫌だよ。


 それはもしかしたらここにいる里音も聡美ちゃんもみゆきちゃんも同じかもしれない。


 でも麻美ちゃんは死んだ訳じゃないし、また私たちにその元気な姿を見せてくれると信じている。


 それよりも今は盟と梓が何か危険な何かにさらされようとしている。


 私には人を守れる力がある。


 この力をみんなの為に、それは私が私であるために。



 ******   ******   ******   *****

 *********   ******   ******   **



 食事も食べ終わり、そろそろ盟と梓がいるダンスホールに向かおうと思って玄関の前で靴を履こうとしている時にみゆきちゃんが。


「メグさん。みゆきも連れて行ってよ」


 ここで考える、みゆきちゃんには今まで色々と協力してもらった。でも今日は力を使って体調的に芳しくないかもしれない。


「・・・でも・・・」『休んでいた方が良いよ』と続けようとしたが、私の言葉を遮り、「みゆき、メグさんの力になりたい」


 みゆきちゃんの真摯な目を見る。

 そのみゆきちゃんの瞳の奥に熱く燃えたぎる何かが見えた気がして、これは連れて行かない訳にはいかないと思った。


 早速私とみゆきちゃんは盟と梓がいると思われるダンスホールへと向かう。


 夜の街は相変わらず喧噪だ。


 二人の事が心配だった。


 何事もなければ良いが、きっと何かあると思う。


 人混みの中、みゆきちゃんとはぐれないようにしっかりと手を握って歩いて行った。


 そして街の一角のスラム街にたどり着き、いかにも素行の悪そうな人がちらほらと見えた。


 私とみゆきちゃんにその連中から妙な視線を感じて嫌な感じになったが、とにかくみゆきちゃんに「目を合わせてはいけない」と言っておく。


 本当にスラム街と言われているように街の雰囲気は、街灯の明かりが薄暗く、いくつか廃ビルが点在していて不気味な所だ。


 そしてそんな中を歩いて行き、目的地のダンスホールにたどり着いた。


「ここね」


 見上げると看板にはネットで見たとおりの外観だが、実際に見てみると、何かみゆきちゃんが言う不穏な気配がこの中に立ちこめている感じがして無性に怖くなったりする。


 みゆきちゃんの方を見てみると、顔をこわばらせ緊張している様子だ。


 そんなみゆきちゃんにも私自身にも『深呼吸』と言い聞かせ、中へと入っていく。


 奥へ入っていくと、ダンスホールの前に一人の男が立っていて、


「何だお前等、ここはガキの来るところじゃないぞ」


「私達は朝倉姉妹のコンサートを聴きにきました」


「入場券がなければ入れる訳には行かないな」


 するとみゆきちゃんが愛用のポシェットから、札束を取り出して、


「これあげるから中に入れて」


「おいマジかよ」目を丸くして驚いていて、どうやら通してくれるみたいだ。


 私はみゆきちゃんに手を引かれて中に入って行く。


 その前にみゆきちゃんにあんな事をしてはいけないと強く行っておくべきだと思ったが、タイミングが合わず言えなかった。


 そしてダンスホールの中に入り、私たちは緊迫した空気に包まれる。


 何か諍いが起きそうで、とにかくみゆきちゃんの手をしっかりと握って気を引き締める。


 辺りを見渡してみると、酒盛りをしている客、薬物中毒に陥ったように壁にもたれ掛かり、喘いでいる人。


 まるでここは無法者の集まりのような場所だ。


 盟と梓が恐ろしく心配になる。


「姉ちゃん。よくこんな所に入れたね」


 いきなり、顔面ピアスだらけで、頭が金髪の見るからに怪しい男に声をかけられた。


 私と手をつないでるみゆきちゃんの手の力が強まる。きっと怖いんだと思う。


 その場を去ろうとしたが男は私の前に立ちふさがり、


「つれない事を言わないで俺たちと遊ぼうよ」


 男は親指で仲間の所を示す。


 一瞥すると、男女六人が酒盛りして、ジョッキを上げて歓迎するようだ。


 少し考えて、私は聞いてみる。


「朝倉盟と梓の姉妹は今日このステージに現れるんだよね」


「何だよお前達も、あの姉妹の歌声を聞きに来たのか?」


「・・・そうだけど」


 とりあえず友達と言うことは伏せておく。


「じゃあお姉ちゃん達と俺達は仲間当然じゃないか。あっちでアスターの事について語り合おうぜ」


 突然現れて、気安く仲間と言われて、あまりいい気分はしないが、とにかく情報をかき集めるために、男について行く。


 だがみゆきちゃんは怖いのか?『行かないで』と手をひいて合図を送っているようだが、私は「大丈夫」とにっこりと笑って安心させて、みゆきちゃんも少し心許ない感じだったが、私にとりあえず賛同してくれた。


 とにかく連中の輪に入り、私もみゆきちゃんも緊張している。


 そこで一人の茶髪のアフロヘアーの女性が、


「二人とも何辛気くさい顔をしているのよ・・・って、あんたうちで働いている川上さんじゃない」


「えっ?」


 申し訳ないが私はこんな人見覚えがない。


「私よ私」


 頭につけていたのはアフロのカツラだった。


「ああ、片山さん」


「どうしたのよ。こんなところに来て、・・・ってその子誰?」


 みゆきちゃんに視線を向けて人見知りの激しいみゆきちゃんは目をそらして私の背後に隠れてしまった。


「ごめんなさい。ちょっと人見知りが激しくて、こういう所には慣れていなくて」


「じゃあ、何であなた達来たの?」


「・・・・まあ、アスターの歌を聴きに来たんですよ」


「だったら、こっちに来て語り合いましょうよ」


 まるでここの人は二人が所属しているバンドのアスターのファンなら誰でも親睦を深めて来るようだ。


 少し距離を縮めて、ちょっとみゆきちゃんは渋々だったが私の後に付いてきてくれた。そしてその手を決して離そうとはしなかった。それで良い。


「アスターはいつ結成されたんですか?」


「ちょうど三ヶ月前ぐらいかな。アスターがこのダンスホールに来る前はまるで発展途上の無法者の集まりで、喧嘩が絶えなく、つまらない演奏をした人間は二度と楽器が弾けないぐらいに腕の骨を粉々にされた事がある程のひどいところだったからね」


 話を聞いて盟と梓が心許なくなる。そう言えば盟と梓が私たちから姿を消したのも三ヶ月前だ。


「何だ何だ?アスターの話で盛り上がっているのか?」


 私と片山さんの話に割り込んできたのが、先ほど私達に因縁を付けてきた男だった。


「この人、アスターに恋をしているのよ」


「ああ、アスターのあの双子の姉妹はまさに天使だよ。このダンスホールにはなくてはならない存在だね・・・っと申し遅れた俺は渡辺裕太って言うんだ」


「私は・・・」


「川上メグさんよ」


 私が名乗ろうとしたら、片山さんが代わりに知り合いだよと言わんばかりに私を紹介した。


「二人は知り合いかい?」


 片山さんが私との関係を語ってくれた。


「川上ちゃん、まだ未成年だろ。キャバクラなんかで働いてお酒飲んでお客に奉仕して良いの?・・・って、ここは何でもありだから、別に気にすることはないか」


 渡辺と言う男が背もたれにのけぞったとき、背広の内ポケットから拳銃が垣間見えた。


 私は背筋が凍った。


 そんな時。激しい音がして振り向いてみると、中年の男性が激昂して机をひっくり返していた。


「ふざけんじゃねえぞ」


 男は罵りながら、か弱い女性を殴りつけ、その光景を見て心が疲弊しそうで、みゆきちゃんはおびえながら私に抱きついた。


「気にするな気にするな、いつもの事だよ」


 渡辺は平然と言って、何事もないように、水割りを一口飲んで落ち着いていた。


 周りの人間は怯えている者や、楽しんで写メなどを取る者、それと渡辺のように落ち着いている者様々だ。

 でも誰も止めようとしない。


 男に殴られている女性は悲鳴をあげ、その光景はまるで地獄絵図を見ているような心境だ。


 私も見て見ぬ振りをして、やり過ごそうとしたが、何だろう?手を出したら面倒な事になるのを分かっているのに、助けたいか見過ごすかで葛藤が生じる。


 そして私はやっぱり助けたい衝動に駆られて、渡辺が持っている水割りグラスを手に取り、思い切り投げつけ、直撃させ気絶させた。


「おい」


 私のとっさの行動を見て驚きの声を上げる渡辺。


 私は女性の方に駆け寄り、


「大丈夫ですか?」


 私に泣きつく女性。


 どんな事情が合ったのか知らないが、女性に蛮行を働くなんて言語道断だろう。


 すると会場内のライトが落ちて、観客達は興奮の歓声をあげる。


 そしてステージにスポットがあてられて、盟と梓がそろって白い艶々のウエディングドレスのような衣装に身にまとい、登場した。


「綺麗」


 思わず私は呟いた。


 私に泣きついていた女性も先ほどまでの事は忘れて、ステージの二人に夢中になって観客達と同じように歓声をあげていた。


 二人は目を閉じながら両手を広げている。


 そんな二人を遠くから見ているが、何か得たいのしれない何かを感じる。


 そして二人はマイクを手に取り、歌った。


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