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プロローグ


 俺は子供の頃、ヒーローに憧れていた。

 幼少期は戦隊シリーズのヒーローに。

 思春期の頃には魔王だとかそんなものに憧れていた。


 だからと言って悪役になりたかったわけではなくて、

 いつも魔王中心に物語は展開されていく、要するに魔王の方があたかも正しいようなそんな物語を良く見ていた。

 大人になってからも多分。


 結局俺はヒーローになりたかったんだと思う。


-------------------------



 ここはどこなんだろう、真っ白な空間。

 上下左右の感覚がない、奇妙な感覚。

 浮いているのか?

 少なくとも俺の部屋では無い。


 俺は確か夕飯を買いに行ったコンビニで強盗と戦って、それで……



「やっと起きたのかよー、僕待ちくたびれちゃったよー」


 突然俺の目の前に子供が現れる。10歳くらいだろうか。

 明るい金髪で碧眼の男の子のように見える。


「君は……誰だ?」


「僕? 僕は君たちの世界で言う神様だよ? 君は死んだんだ」


 そうか、やっぱり俺は死んだんだな、あの後……。どうなったんだろう。

 俺は、ヒーローになれたのだろうか?


「神様、私が死んだのは理解しました。状況は覚えています、少し聞きたい事があります」


「ん? どうしたのー?」


「私が死んだあと、どうなったのですか?」

 そう、俺は確かコンビニに入った強盗と無謀にも戦って、包丁で胸を貫かれたんだ。


「あぁ、あれねー」

 神様は少し考えた素振りを見せると笑みを浮かべながら俺に告げた。


「みんな死んだよ」

 神様は軽く言い放つ。


「君が死ぬことになった原因、事件は君を誤って殺てしまった犯人はパニック状態に陥る、そしてその場にいた店員を殺害。その事件はそれで幕を閉じたんだ」


「しかもその後に犯人も自殺だって。笑えるよねー。君のせいで、君が余計な事をしなければ誰も死なないで済んだのに」


 目の前が真っ暗になったような気がした。。

 思考が灰色に染まる。


「世の中は君の妄想のように簡単じゃない。君は強くないし、刃物を持っている男には勝てない。大人しくしておくべきだったんだよ」


「俺は……」

 俺はただ救いたかっただけなんだ、そう言いかけて、辞めた。


「ただ今回、僕は君に良い話を持ってきた。贖罪の機会を与えるよ」


 良い話……

 過去に戻って歴史を変えてくれるとか、事件をなかったことにしてくれるとかだろうか。


「残念! 君の考えてるようなことできないよ? 過去には戻れないし、起こった出来事は変えられない。でも君ヒーローになりたいんでしょ? もう一度ヒーローになるチャンスを与えてあげる!」


「ヒーロー……?」


「そうだよ、君には異世界で生まれ変わり、魔王を倒してほしいんだ!魔王が攻めてくるのは君を送ってから20年後。このままだと更にたくさんの人の命が失われる」


「……俺のせいで人が死んでいるのに、俺だけ生き返ることなんてできない。俺のせいで死んだ人達を送ってやってくれ」


「残念だけどそれはできないよ、魂の性質が合わないからね。ただ君が異世界に行くのなら、元の世界で死なせてしまった倍以上の人間を救うことができるかもしれないよ」

 魂の性質とはなんのことだろう、ただそんなことはどうでもよかった。

 俺は異世界に行って、人間を救えばいいのか? それで赦されるのだろうか。


「そうだよ! 君は許される、僕にね。そして今から失われるはずの命を救えばいいんだ」


「それに今、君が異世界(ステュクス) に転生することで救われる命もあるんだからね」

 どういう意味だろう……ただ


「--------俺は……」


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